映画『劇場版 SPEC 天』の概要:かつてカルト的人気を誇ったドラマ「ケイゾク」と同じ世界観のドラマ「SPEC」の劇場版1作目。2012年に公開され、翌年には続編で完結編となる「SPEC~結~」漸ノ篇、爻ノ篇の2部作が公開された。
映画『劇場版 SPEC 天』 作品情報
- 製作年:2012年
- 上映時間:119分
- ジャンル:SF、サスペンス、コメディ
- 監督:堤幸彦
- キャスト:戸田恵梨香、加瀬亮、福田沙紀、でんでん etc
映画『劇場版 SPEC 天』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『劇場版 SPEC 天』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『劇場版 SPEC 天』のあらすじを紹介します。
警視庁公安部公安第五課、未詳事件特別対策係は、特殊能力者(スペックホルダー)の起こす事件を秘密裏に取り締まる部署。
ある日、スペックホルダーから「ミイラ化死体殺人事件」を調べ「シンプルプラン」を中止しろ、という挑発が。
ミイラとなって殉職した同僚、吉川の敵を取るためにも当麻紗綾と瀬文焚流は調査に乗り出す。
そんな中で瀬文は、内閣情報調査室の特殊班に所属する元カノ、青池里子と再会を果たす。
当麻と瀬文の友人で、サイコメトリー能力のスペックを持つ美鈴が危険な情報を知ってしまったと警告され、未詳で保護する事に。
だが、死んだと思われていたスペックホルダーで当麻の弟でもあるニノマエが、時間を操るスペックを使い美鈴を連れ去ってしまう。
スペックホルダーの俳優の伊藤淳史、マダム陽、ニノマエの3人から、ニセ御前会議メンバー殺害映像が送られてくる。
多くの影武者がいた津田助広を中心に対策チームが結成されるが、警視総監と青池の娘ジュンが3人に誘拐されてしまう。
ジュンは父親がわからず青池ともDNAが一致しない、スペックを持つ不思議な少女だった。
救出隊が潜伏先へ向かうが、瀬文は冷気を操るマダム陽と炎を操るマダム陰から猛攻撃を受けてしまう。
ミイラ化の仕組みに気が付いた当麻の作戦によって2人は倒されるが、伊藤淳史の攻撃を受けた当麻を庇い、青池は重症を負う。
やがて、ニノマエを裏切った美鈴が殺されてしまう。
映画『劇場版 SPEC 天』 結末・ラスト(ネタバレ)
死者となったスペックホルダーを召喚する、当麻のスペックが暴走を始めるが、野々村係長や瀬文の協力で当麻は平常心を取り戻す。
やがて、人質救出とニノマエへの襲撃が開始される。
伊藤淳史の腕が伸びるスペックに圧倒される中、津田は自らの体に仕掛けた爆弾を使い、命を懸けて警視庁官と仲間を救う。
当麻とニノマエの対決が再び始まるが、彼らの目の前にいたニノマエこと当麻陽太は、遺体から作られたクローンだった。
時を止めるスペックの裏を突いた罠により、ニノマエのクローンと伊藤淳史は敗れる。
自らの命を賭した作戦だったが、無理を押して現場に来ていた瀬文に助けられ、当麻は大きな怪我を負うことはなかった。
病院で目覚めた当麻は、瀬文が生きていたことに安堵する。
屋上では、セカイと名乗る男がニノマエのクローンたちを消し去り、ジュンと共に姿を消した。
映画『劇場版 SPEC 天』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『劇場版 SPEC 天』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ドラマ版から見てきたファンのためだけの映画
ドラマ「SPEC」の最終話、スペシャルドラマから「起承転結」と続く「転」の部分にあたる「SPEC~天~」。
「シンプルプラン」「御前会議」「ファティマ第三の予言」といったキーワードの謎、青池の娘ジュンの行方に関しては解決しておらず、本作の続編で完結編にあたる「SPEC~結~ 漸ノ篇・爻ノ篇」の二部作に丸投げしている。
また、ドラマ版やスペシャルドラマを見ている設定で作られたストーリーのため、本作だけでは全く楽しめない。
ドラマ版から見ている人向けの作品なので、飛行機事故で亡くなったはずの当麻の弟で、記憶を書き換えられて一十一(ニノマエジュウイチ)として当麻と死闘を繰り広げた過去、殉職した瀬文の部下の妹で、スペックホルダーの美鈴との関係などに説明は無い。
スペシャルドラマ「SPEC~翔~」のラストでミイラ化し、殉職した吉川刑事と、その場から去っていった3人のスペックホルダーの謎が明らかになるなど、シリーズを見てきた人は十分に楽しめる内容。
病を処方するスペックを持つ海野を召喚し、封印したはずの当麻のスペックの暴走も迫力がある。
堤幸彦監督ならではのギャグが満載
瀬文の元カノで、変な日本語を使うが優秀なCIROのメンバー青池里子役の栗山千明、本人役の伊藤淳史、バブル時代の流行り言葉を使うマダム陽とマダム陰の2役の浅野ゆう子など、濃いキャラクターが新たに登場している。
小ネタも満載で、青池に対して当麻が「キルビル」と叫ぶシーンなども盛り込まれている。
なお、クエンティン・タランティーノ監督の「キルビル」は、栗山千明の出世作にあたる作品だ。
ドラマは間違いなく名作のはずなのだが、映画になるとどうにもテンポが悪い。おそらくコント番組を見ている感覚に近い。1時間くらいの枠だったら楽しんで見れるが、長時間は疲れてしまうそんな作品だ。それは、堤幸彦監督の作風なのだから仕方がない。長尺とは相性が悪い。
それにドラマのようなこじんまりとした世界がぴったりだった今作品を、映画にして無理やり壮大にして盛り上げようとして失敗してしまった。もしそうならドラマで完結してくれれば良かったのにと思ってやまない。
補足すると、戸田恵梨香や加瀬亮や神木隆之介は頑張っていた。(男性 30代)
ドラマシリーズを見ていないと何とも理解しきれない作品で、途中でうとうとしてしまいました。よく言えば、SPECファンに向けた作品なのだと思いますがそれならわざわざ映画にする必要があったのかなと感じてしまいました。スペシャルドラマで放送すれば良かったのでは…と思ってしまうクオリティに驚きましたがこれが『SPEC』の良さなのでしょう。ギャグなのか、シリアスなのか、真面目にやっているのかわからず困惑しましたが妙にクセになる雰囲気がありました。(女性 30代)
映画『劇場版 SPEC 天』 まとめ
連続ドラマ、スペシャルドラマを見てきたことが大前提の作品で、見ていない場合は理解できないであろう部分が多すぎる作品。
また、本作の堤幸彦監督と植田博樹プロデューサーの手で誕生した推理ドラマ、映画「ケイゾク」と世界観を共有していて、「ケイゾク」と「SPEC」を見ておけば楽しみが倍増する作品でもある。
ドラマ最終話から「起翔天結」(起承転結)というサブタイトルが付いており、当麻の左腕の謎やニノマエとの因縁を描いた「零」というスペシャルドラマも存在する。
ギャグとシリアスな部分の折り合いのつけ方はさすが有名監督の作品といったところで、笑える部分はしっかり笑えるし、シリアスなシーンには引き込まれる。
だが、事件の結末などすべて続編に丸投げしているので、本作だけでは全く楽しめない。
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