映画『スティーラーズ(2013)』の概要:アメリカ南部の田舎町。質屋を訪れた3人の男達が抱える、それぞれの事情を描いている。ストーリーは3つに別れているが、それぞれに関係性があり見ごたえがある。コメディタッチなストーリーの中、バイオレンスなシーンも交えたR15指定作品。
映画『スティーラーズ』の作品情報
上映時間:113分
ジャンル:アクション、コメディ
監督:ウェイン・クラマー
キャスト:ブレンダン・フレイザー、イライジャ・ウッド、ヴィンセント・ドノフリオ、ペル・ジェームズ etc
映画『スティーラーズ』の登場人物(キャスト)
- ロウドッグ(ポール・ウォーカー)
- アメリカ南部の田舎町の青年でジャンキー。どちらかというとまだ理性があり、時々哲学的なことを話したりする。髭を生やした男前だが、独特な手の動きをさせて甲高い悲鳴を上げる。
- ランディ(ケヴィン・ランキン)
- ロウドックの友人でやはりジャンキー。強引で傲慢な面があり、リーダー的存在だが、意外にもピエロを怖がる。執着心が強い。
- ヴァーノン(ルーカス・ハース)
- ロウドックの友人でジャンキー。知能が低く、強盗で使うショットガンを質に入れて、待ち合わせの場所まで行くためのガソリン代を捻出。切れたら何をするか分からない。
- リチャード(マット・ディロン)
- 裕福な男性。6年前に結婚した妻が行方不明になっており、忘れられない。金持ち特有の傲慢さがあり、何をしてでも行方不明の妻を探し出そうと奮闘。
- ジョニー・ショー(イライジャ・ウッド)
- 若い青年だが、変人だと噂されている。女性を何人も飼っている異常者。釣りが趣味。痛いことには耐えられず、リチャードの拷問にすぐ音を上げる。
- リッキー・バルドースキー(ブレンダン・フレイザー)
- エルヴィス・プレスリーを神と崇め、物まねで巡業している男性。過去の栄光に縋っており、金髪の恋人に逃げられてしまう。
- アルトン(ヴィンセント・ドノフリオ)
- 質屋の店主。恰幅の良い白人男性で、いつもいる黒人の友人と毎日、たわいない話をしている。
映画『スティーラーズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『スティーラーズ』のあらすじ【起】
アメリカ南部の田舎町。アルトンが経営する質屋はどこか古めかしくて貧乏臭いが、様々な客がやって来る。その日は、郡主催の盛大な祭りが開催される日だった。
ショットガンを持った青年が質屋を訪れる。アルトンとその友人は強盗かと身構えたが、なんてことはない。青年ヴァーノンはショットガンを売って、車のガソリン代が欲しいだけだった。
田舎町の青年ロウドックは、友人のランディとヴァーノンの3人で強盗を計画していた。待ち合わせは人気のない野原。だが、彼は体調が芳しくなく、ランディに今日はやめようと進言。しかし、ランディは祭りが開催されている今日でなければ、騒ぎが大きくなるため、頑なに今日でなければならないと言うのだった。
ようやくヴァーノンが到着。しかし、彼は強盗に必要なショットガンを質に入れてしまい、手に入れた金で車にガソリンを入れて来たと言う。ロウドックは驚きを隠せず、ヴァーノンを叱りつけた。そこへランディがやって来て、会話中のヴァーノンを車で轢いてしまう。ヴァーノンの弟から兄がランディの金を盗んだと吹き込まれたためだ。
血塗れのヴァーノンは最早、虫の息である。ランディとロウドックはどうすることもできず、彼をその場に放置して、ヴァーノンの弟の元へ向かった。弟は狂ったジャンキーであるため、言動には信憑性がない。ロウドックはランディに忠告するも、友人は話を聞いてくれず。結局、ヴァーノンの罪は弟の嘘だということが判明した。
その後、車で走行中の2人は突然、対向車が車線をはみ出してきたため、道路から外れて野原へ突撃。そこで、弓矢を発見し持ち主から盗んでしまう。
その頃、友人に無実の罪で轢かれてしまったヴァーノン。幸い怪我は大したことなく、たまたま通りかかった謎の男からショットガンを譲り受ける。
映画『スティーラーズ』のあらすじ【承】
夜。マスクをしてヘロインを売ってくれる店へ乗り込んだロウドックとランディ。だが、店主は強盗されることを察しており、準備万端で待ち構えていた。相手は銃でこちらは弓矢。勝ち目はない。しかし、そこへ怒り狂ったヴァーノンが登場し、ショットガンを放ちまくる。ランディは早々に死亡。そして、店は爆発してしまった。
ヴァーノンがショットガンを売り渡した後、質店に新婚旅行だと言う夫婦が訪れる。銀行の関係で金が下ろせず、現金が必要になったらしい。夫リチャードは妻の指輪を換金しようとして、ガラスケースにある指輪を発見。顔色を変えた。
その指輪は6年前、行方不明になった妻が持っていた物だった。リチャードはアンノンに指輪を売りに来た人物を聞き出し、ついでにアンノンの車も購入した。新妻は乗って来た車で帰し、自分は質屋から買った車に乗る。
指輪を売りに来た人物はレストランのコック。彼から指輪の出所を聞き、コックの叔父を訪ねる。叔父はジョニー・ショーという男と賭けをして貰ったと言う。叔父と対決して勝利を収めたリチャードは、ジョニーの家を突き止めて訪ねた。
ジョニーは若い青年だったが、広大な土地に住み地元では変人と噂されていた。リチャードはジョニーを拷問にかけて指輪の出所を聞き出す。ハンマーで殴ると奴は簡単に妻の居場所を吐いた。
ジョニーが白状した場所へ行くと、檻に閉じ込められた全裸の妻がいる。リチャードは凄惨な状態の妻に絶句し、檻から出そうとするも彼女は怯えて出て来ようとしない。6年の間に何があったのか。怒りを募らせたリチャードは、ジョニーの家へ戻って奴を殺してしまう。
映画『スティーラーズ』のあらすじ【転】
再び、檻に閉じ込められていた妻の元へ戻り、彼女をようやく外へ連れ出したリチャード。なぜ、逃げ出そうとしないのか聞くと、妻は自分がナンバーワンになったからだと言う。意味不明だったが、話の様子だとどうやらここにいるのは彼女だけではないようだ。
リチャードは他の建物へ入り、ピラミッドに積まれた檻に閉じ込められた女達を発見。ジョニーは妻を含めて合計15人もの女達を飼っていたのだ。
愕然としたリチャード。こんなことがあっていいものだろうか。彼は檻の扉を全て開け、女達に自分の意志で逃げろと言い、妻を連れて出発した。
病院へ向かう車の中、妻と会話したリチャード。彼女を安心させるためにジョニーを殺したと告白。すると、妻は酷くショックを受け、リチャードが持っていた包丁で彼をめった刺しにしてしまう。
車は道路から外れ大破。衝撃で妻が死亡してしまう。リチャードは這う這うの体で新妻へ電話。よりを戻そうと都合の良い話をするも当然、新妻は許してくれるはずがなかった。
新婚夫婦が去った後、アンノンの質屋へプレスリーの恰好をした男がやって来る。彼はリッキー・バルドースキー。エルヴィス・プレスリーを神と崇め、物まねショーをして巡業に回っている。リッキーはエルヴィス本人が持っていたとされる、メダルペンダントを質に入れた。
その金で車のガソリンを入れたリッキー。彼は郡の祭りでショーをするために訪れたのだが、いかんせんとにかく貧乏だ。共に来た恋人には愛想を尽かされ、何日も風呂に入っていないのか、とにかく強烈な匂いを醸している。
映画『スティーラーズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
陽が暮れて、モーテルの前で不思議な老人と出会ったリッキーは、老人から魂を売って理想の夢を手にしないかと話を持ち掛けられる。
ブルースの神と呼ばれた男が十字路で悪魔と出会い、魂を売り渡した話は有名だ。もしや、老人も悪魔なのだろうか。彼は恐ろしくなり母親へ相談を持ちかけようとするも、母親は喚き散らすだけで話にならない。一先ずは考えさせてくれと老人に話した。
祭りにてショーを披露したリッキーだったが、持ち込んだカセットテープは伸びていて音楽もふにゃふにゃ、ダンスも決まらない。理想と現実は酷くかけ離れ、落ち込んでしまう。
こんなはずじゃなかった。リッキーは決意して老人に対し、了承の意を伝えた。
すると、ステージのライトが点灯。教会のゴスペルグループが現れ、生演奏をしてくれる。曲はアメージンググレース。リッキーのショーにはたちどころに観客が集まり始める。そこへ、ジョニーの家から逃げ出し、列を成してやって来た全裸の女達が祭りへ参加。全裸は良くないと気の良い老人がアメリカ国旗を女達にかけてくれる。
曲の終盤。ロウドック達が強盗に入った店が爆発。まるでリッキーのショーを盛り上げるかのように花火が上がる。お陰で彼のショーは大成功を収めた。
様々な偶然が奇跡的に噛み合ったショーのお陰で、リッキーには大きな仕事が舞い込み、愛想を尽かした恋人も戻って来る。だが、彼は彼女を受け入れず、その場に置き去りにするのだった。
不機嫌になった彼女の元に殺されたと思われたジョニーが現れ、女性に甘言を説く。そして、逃げ出したペット達とリッキーの元恋人を連れて帰宅。
祭りでこんなことが起こっていたとは知らないアンノン。彼はいつも通り、黒人の友人と挨拶をして店を閉める。こうして、今日も平穏無事に一日の営業を終えるのであった。
映画『スティーラーズ』の感想・評価・レビュー
登場人物達がほぼ全員ぶっとんだキャラクターで、引いたり驚いたりしているうちに物語が終わった。オムニバス映画だが、3つのストーリーが絶妙に絡み合っているので、1本の映画として違和感なく見ることができた。
特に、リチャードの物語には一番驚かされた。妻を助け出してハッピーエンドになるのかと思いきや、包丁で刺されるという予想外の展開にビックリした。色々と突っ込みどころ満載だが、それを含めておもしろい作品。(女性 30代)
質屋を起点に3つのそれぞれのストーリーが展開し、絶妙に絡み合っていく内容。
それぞれに独立しているかと思いきや、絶妙に絡まり合って1本の作品になるという展開が秀逸。登場人物はそれぞれにとにかく奇抜で壊れた人しかいない。笑いがありサイコもあってヒヤっとさせられつつ、最後はもう気持ちよく爆発という展開が面白かった。そして、なぜかラストシーンでほっと一息させるという終わり方がいい。世界とはもしかしてこんな感じで本当は絶妙に絡まり合って繋がっているのかと考えれば、より楽しく観られる。ただし、今作のようなぶっ飛んだ展開はなかなかないと思うが。この作品のような秀逸な映画はあまり他にないように感じる。(女性 40代)
ポール・ウォーカーにブレンダン・フレイザー、ノーマン・リーダスと好きな俳優ばかり出ているので楽しみにして鑑賞しましたが、私には合いませんでした。
登場人物の中にあまりにもぶっ飛んだキャラクターが1人いるのは「面白い」と感じられるのですが、今作の場合はみんなヤバいやつなので、かなりとっ散らかっていて引いてしまいました。
オムニバスストーリーかと思いきや、しっかり全員が絡み合ってくる展開はとても面白かったです。
好きな人にはものすごくハマる作品だと思います。(女性 30代)
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