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映画『アリスのままで』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『アリスのままで』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『アリスのままで』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『アリスのままで』の結末までのストーリー
  • 『アリスのままで』を見た感想・レビュー
  • 『アリスのままで』を見た人におすすめの映画5選

映画『アリスのままで』の作品情報

アリスのままで

製作年:2014年
上映時間:101分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:リチャード・グラツァー、ワッシュ・ウェストモアランド
キャスト:ジュリアン・ムーア、アレック・ボールドウィン、クリステン・スチュワート、ケイト・ボスワース etc

映画『アリスのままで』の登場人物(キャスト)

アリス・ハウランド(ジュリアン・ムーア)
コロンビア大学で教鞭を執る言語学教授。頭脳明晰で、愛する夫と3人の子に恵まれ順風満帆の人生を送っていた。若年性アルツハイマー病の発症により人生が一変する。若い頃に母と姉を事故で亡くしている。ランニングが趣味。
ジョン・ハウランド(アレック・ボールドウィン)
アリスの夫で、大学で働く医学博士。アルツハイマー病となったアリスを献身的に支える。しかし心の底では受け止めきれない部分もあり、仕事に打ち込んで彼女の病気を直視することから逃げている。
リディア(クリステン・スチュワート)
ハウランド家の次女。女優志望で、ロサンゼルスで小さな舞台に出演しながら夢を追っている。大学に進学しなかったことで、母のアリスとは口論することも多かった。
アナ(ケイト・ボスワース)
ハウランド家の長女。法律の道に進んだ。現在は夫チャーリーと暮らしており、人工授精を予定している。アルツハイマー病の遺伝子を受け継いでいることが判明する。
トム〈ハンター・パリッシュ)
ハウランド家の長男。医学院生として病院での勤務に忙しい毎日を送っている。

映画『アリスのままで』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『アリスのままで』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『アリスのままで』のあらすじ【起】

アリスはコロンビア大学に勤める高名な言語学者。50歳の誕生日を迎えたばかりだ。夫ジョンと、アナ・トム・リディア・3人の子供にも恵まれ、公私共に順風満帆な生活を送っていた。しかし、ある日講演で「語彙」と言う言葉を度忘れしてしまったのを境に、物忘れの傾向が散見するようになった。大学のキャンパス内で道に迷ったり、得意なはずの言葉が出てこなかったり、ついさっき紹介されたトムの恋人を忘れてしまったりと言った具合だ。心配になったアリスは神経科を受診、医師は記憶テストの結果から、アルツハイマー病を疑っていた。今まで積み重ねてきた事がすべて消えてしまうような強い不安に、アリスは怯えていた。

アリスと夫のジョンは検査の結果を聞かされる。病名は遺伝性の、若年性アルツハイマー病だった。アリスの不安を受け止めていたジョンも、これには動揺する。子供達にも遺伝している可能性があると聞き、アリスは子供達にも病気を打ち明ける。3人の子のうちアナに病気が遺伝している事がわかる。アナは兼ねてから考えていた人工授精を、予定通り行う事を決めるが、いつか必ず発症する自分の病気への怯えから、彼女の声は震えていた。

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映画『アリスのままで』のあらすじ【承】

アリスの病状はだんだん悪化し、教授としての仕事にも支障が出始めた。学生からも不満が殺到し、大学側に病気を打ち明けたアリスは仕事を辞めざるを得なくなる。

病状が進めば、自分の誕生日や子どもたちの名前も忘れ、自分が自分で無くなってしまうだろう。そう考えたアリスは、強い睡眠薬を用意し、基本情報の質問リストと、自分へのビデオレターを作成する。睡眠薬自殺を促す内容のビデオレターをパソコン内に隠し、質問リストに答えられなくなったらこれを開くと言う仕組みだった。

アリスとジョンは夏季休暇を海辺の別荘で過ごす事にする。アリスはついさっきした会話も忘れてしまうようになっていた。トイレの場所がわからずショックを受けるアリスを、ジョンは優しく慰める。しかし一方で、ジョンは仕事により打ち込むようにもなっていた。彼女を気遣いながらも、すべてを受け止める事ができず仕事に逃げていたのだ。

リディアがニューヨークで舞台に出るため実家に滞在する。アリスとは相変わらず、大学に行くかどうかでギクシャクしていた。アリスはリディアの戯曲を読もうとして、気づかず日記を読んでしまう。その事を知ったリディアは激怒した。

映画『アリスのままで』のあらすじ【転】

次の日、リディアの舞台を見るためアナとトムも実家に戻ってきた。アナは双子を妊娠していた。アリスは昨日リディアを怒らせた事は覚えていたが、その理由を思い出せず謝罪する。リディアも病気のアリスに怒った事を公開していた。アリスは今まで知性で自己規定して来た自分が、今はその知識に手が届かない心境を吐露する。2人は仲直りし、リディアは自分の日記をアリスに贈る。2人の距離は、病気をきっかけにかなり近づくようになっていた。

アリスは同じような病気に苦しむ人々の前で講演をする事になった。原稿をどこまで読んだか忘れないようマーカーで線を引きながら、アリスは講演をやり遂げた。彼女は人々から滑稽に見られる悲しみに触れながらも、「私はまだ生きている。自分は苦しんでいるのではなく、かつての自分たろうと闘っているのだ」とスピーチし、聴衆、そして同席した息子のトムを感動させた。

ジョンに転機が訪れる。メイヨー病院で研究チームを率いて働かないかとのオファーが来たのだ。ジョンは大喜びだったが、アリスは夫が休暇を中断する事、ミネソタに引っ越さなくてはならない事に大きく動揺する。ジョンが自分と一緒にいたくないのではと、口論になってしまった。

アナが双子を出産した。アリスの病状は進んでいたが、赤ん坊を抱き上げる手つきは忘れていなかった。アリスにとっても家族にとっても心安らぐひと時だった。

映画『アリスのままで』の結末・ラスト(ネタバレ)

アリスの病状は悪化、意識が朦朧とする事も多くなった。多忙なトムも、産休を終えたアナもアリスの介護はできない。メイヨー病院への着任が近いジョンは、アリスをミネソタに連れて行きたいと考えていた。

家政婦の留守中、アリスはリディアからの写真を見ようとしてパソコンをいじっていた。すると以前の自分が自分にあてて撮影したビデオレターが映し出された。画面のアリスは睡眠薬のありかを話し、自殺を促す。アリスは薬を飲もうとしたが、家政婦が帰ってきて事なきを得た。

リディアがニューヨークの実家に戻ってきた。ニューヨークで芝居をしながら、母の面倒を見ようと決めたのだ。ジョンはアリスを置いてミネソタに移る事にした。彼はその事で強い罪悪感を抱いていた。

ある日、リディアはアリスに話を読み聞かせていた。しかしアリスは話の内容を理解していないかのように、ただ曖昧に微笑むだけ。リディアが今の話が何についての話だったか尋ねると、アリスはポツリと「愛についての話」だと答えた。リディアも驚いた事に、アリスは話を聞いていたのだ。アリスは「“自分”でいるための闘い」を続けているのだ。

映画『アリスのままで』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

「言葉を扱えるのが人間を人間たらしめているもの」とするならば、「言語学者が言葉を忘れていく」という、映画的葛藤を最大化する仕組みは上手いと思う。ただ、少しあざとさを感じる設定である事は否めないし、周りの情景の映り方が変わっていくという手法も少々「分かりやす過ぎ」という印象。

とは言え、人間を人間たらしめているのは言葉ではなく愛であるという着地は感動的だし、ジュリアン・ムーアによる「忘却と葛藤の同時表現」という超ハイレベルな演技は見るべきだと思う。(男性 30代)


突然、若年性アルツハイマーに見舞われた主人公が病気に向き合い、葛藤し、悲しみ、怒る姿に胸が締め付けられた。また、言語学者が徐々に言葉を忘れていく描写はとてもリアルで、ショックが大きいものだった。

若年性アルツハイマーを患ったことで、仕事や日常生活、人間関係、全てが一変していく様子は他人事に思えない重さがあった。

誰もが自分自身のままで生きたいと思うことが叶わなくなる、そんな場面に直面した時自分はどうなるのか不安・恐怖・葛藤・怒りを疑似体験したかのようだ。(女性 20代)


自分が記憶を失っていくとわかりながら毎日を過ごすのは、どんなに辛いだろう。主人公の「癌ならよかった」という言葉がとても心に刺さった。最後のシーンはとても印象的で、記憶を失くす中で最後まで残っているものが「愛」。主人公の中で最後まで残っている子供の頃の記憶は、彼女が一番愛を感じていた記憶なのかなと感じた。

ストーリーとしては、切なさの中にしっかりと温かさを感じられる作品であったが、家の中などの周囲の環境にあまり変化がなかったり、主人公以外の変化が描かれていないのは少し残念だった。(女性 30代)


アルツハイマーと戦う主人公アリスの話。忘れることに苦しむ姿は見ていて本当に辛かった。私自身も祖母が現在、重度のアルツハイマーであることと重ねて見ていたのですごく涙が止まらなかった。実際に家族のことも分からなくなるし、1分、1秒前のことを忘れてしまう。アリスがトイレの場所が分からなくて粗相をしてしまうところ、娘のことを一瞬忘れてしまうところ、動画を何度も見ながら自殺しようとするところ、何をとってもリアルで悲しかった。

ただ一つ残念なのは、元々頭が良かったのに、アルツハイマーになって簡単なことすら分からなくなってしまった、という落差を見せたいだけであろう設定である。正直、元の頭良かろうが悪かろうが家族や本人が抱える悲しみは同じだし、頭が良かったから悲しい、もったいない、という印象を抱かせるのは気分が悪い。(女性 20代)


言語学者と活躍していたアリスですから、若年性アルツハイマーだと診断されたときのショックのほどは計り知れません。患者本人であるアリスが辛いのはもちろんのことですが、見守る家族の不安というのもとてつもないものだと思います。自分の中に蓄えてきたものは全て、その人にとってかけがえのないものであることを実感しました。しかし、「なくす技」が日々上達していくとしても、今この瞬間を生きることが何より大切でしょう。(女性 30代)


本作は、若年性アルツハイマーを患った言語学者のアリスが記憶を失っていく日々を綴った小説『静かなるアリス』を映画化したヒューマンドラマ作品。
アリス本人はもちろん、周囲の人々の苦悩や葛藤する姿にも胸が痛んだ。
そして、もし自分だったらと考えただけでも苦しくなるほど、若年性アルツハイマーという病気の恐ろしさをひしひしと感じた。
最後は少し希望を見いだせる終わり方で、1人でも彼女の傍にいてくれる人がいて良かった。
将来を見つめ直したいときにおすすめしたい作品。(女性 20代)


先に言ってしまうとこの作品で一番感動したのは、主人公アリスのスピーチのシーン。この作品のテーマになっているのは「若年性アルツハイマー」。こういうテーマの作品はどうしてもストーリーが暗くなりがちで、悲しくなってしまいますが、このアリスのスピーチは悲しいという感情の涙ではなく、未来を信じたいと言う、希望の涙が流れました。
もし、自分の家族がと考えるとどうしても苦しくて、辛くなってしまいますが、少しでも「大丈夫」と思える存在がいるだけで本当に強く生きられるということを学びました。(女性 30代)


アリスが徐々に自分を失っていく姿が本当に切なくて、観ていて胸が苦しくなりました。特に、自分が講義で話していた内容を忘れてしまう場面は衝撃的で、彼女の知的な人生と病のギャップが鮮烈に描かれています。家族の支え方もリアルで、娘との関係に救いがありました。(30代 女性)


若年性アルツハイマーというテーマに真正面から向き合った作品で、アリスの視点で描かれていることがとても印象的でした。まだ若く、美しく、知的な女性が病に侵されていく過程が辛くもあり、美しくもありました。最後に娘が朗読した詩に涙が止まりませんでした。(20代 男性)


自分の母親がもしアリスのようになったら…と思うと、他人事とは思えませんでした。症状の進行がリアルで、日常がじわじわと崩れていく描写に恐怖すら感じました。それでも家族が支え合って前を向こうとする姿に希望も感じられます。とても重く、でも観て良かった作品です。(50代 男性)

映画『アリスのままで』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『アリスのままで』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

私の中のあなた(2009)

この映画を一言で表すと?

家族の愛と選択を問う、涙なしでは見られない感動作。

どんな話?

白血病の姉を救うために遺伝子操作で生まれた妹が、自分の人生を選ぶために親を訴えるという衝撃の展開から始まる家族の物語。生と死、家族のあり方を繊細に描いています。

ここがおすすめ!

病気と向き合う家族の姿を描いた作品として、『アリスのままで』と共鳴する部分が多いです。感情を揺さぶる展開と、キャメロン・ディアスの母親役の名演が心に残ります。

世界にひとつのプレイブック(2012)

この映画を一言で表すと?

心に傷を抱えた者同士の、再生と希望のラブストーリー。

どんな話?

双極性障害を持つ元教師と、夫を亡くした女性がダンスを通じて心を通わせていく過程を描いたヒューマンドラマ。互いに不完全な二人が人生を取り戻そうとする姿に心打たれます。

ここがおすすめ!

精神的な困難を正面から描くことで、人間の尊厳と希望を浮かび上がらせます。感情のリアルな揺らぎを捉えた演出と、ジェニファー・ローレンスの圧巻の演技が見どころです。

チョコレートドーナツ(2012)

この映画を一言で表すと?

愛と法の間で揺れる、胸を締めつけるような実話ベースの感動作。

どんな話?

1970年代のアメリカで、ゲイカップルが障がいを持つ少年を養子に迎えようとするが、社会的偏見や法の壁に阻まれる様子を描く。真実の家族とは何かを問いかける物語。

ここがおすすめ!

「失うこと」が避けられない状況の中で「守りたいもの」があるという点で、『アリスのままで』と深い共通点があります。アラン・カミングの演技が魂を揺さぶります。

ファーザー(2020)

この映画を一言で表すと?

認知症を「当事者の視点」で描いた、衝撃と感動のドラマ。

どんな話?

認知症を患う父親が、自分の記憶や現実を見失っていく過程を、観客にも“錯覚”させるような構成で描いた作品。時間軸や人物の入れ替わりによって混乱がリアルに伝わります。

ここがおすすめ!

『アリスのままで』と同じく認知症を題材にしていますが、本作は“当事者の視点”という切り口が斬新。アンソニー・ホプキンスの演技は映画史に残るレベルです。

わたしを離さないで(2010)

この映画を一言で表すと?

運命を受け入れながらも“生きる”ことを問いかける静かな衝撃作。

どんな話?

臓器提供を使命とされたクローンたちが、自らの存在意義や愛、命と向き合う物語。美しい映像と静けさの中に、深い悲しみと尊厳が刻まれています。

ここがおすすめ!

死や病が避けられないテーマでありながらも、そこに確かにある「人間らしさ」に焦点を当てた作品。『アリスのままで』が心に残った人には、確実に刺さる一作です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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