映画『スーサイド・ショップ』の概要:フランスで映画化されたアニメーション映画。ジャン・トゥーレの小説「ようこそ、自殺用品専門店へ」を原題としており、「自殺」がテーマの問題作。日本では2013年に映画化されている。
映画『スーサイド・ショップ』の作品情報
上映時間:79分
ジャンル:アニメ、コメディ、ミュージカル、ヒューマンドラマ
監督:パトリス・ルコント
キャスト:ベルナール・アラヌ、イザベル・スパッド、ケイシー・モッテ・クライン、イザベル・ジアニ etc
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映画『スーサイド・ショップ』の登場人物(キャスト)
- ミシマ(ベルナール・アラヌ)
- 自殺用品専門店の店主兼トゥヴァシュ家の家長。実は自分の仕事に対して罪悪感を抱えている。
- ルクレス(イザベル・スパッド)
- ミシマの妻、トゥヴァシュ家の母親。ミシマ同様、家業に罪悪感を抱いている。
- マリリン(イザベル・ジアニ)
- アランの姉。普段はニコリとも笑わないが、アランからのプレゼントをきっかけに少しずつ変化が見られていく。
- ヴァンサン(ロラン・ジャンドロン)
- アランの兄。顔色が悪く、暗い絵ばかり描いている。
- アラン(ケイシー・モッテ・クライン)
- トゥヴァシュ家の異例、常にポジティブで笑顔を絶やす事ない少年。アランをきっかけにトゥヴァシュが大きく変わっていく。
映画『スーサイド・ショップ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『スーサイド・ショップ』のあらすじ【起】
その都市は、絶望に覆われていました。黒い雲が渦巻き、人々の顔も常に曇っています。そんな、街中の鳩さえも自殺するような街の中、ひっそりと1つの店が佇んでいました。その店の名前は「Le Magasin dep Suicide」、日本語に訳すと自殺用品専門店という看板を掲げている店でした。
その店では毒薬やカミソリ、腹切り用の日本刀など、あらゆる自殺に通ずる用品を置いてある店です。全ての人が常に心に影を持っているこの街にとって、この店は大ハマり。常に死を決めた客が訪れていました。この店を経営しているのは、全員が陰の固まりのようなトゥヴァシュ一家。両親と長女、長男がいましたが、店長のミシマとその妻が接客の為笑顔を作る事はあるものの、それ以外では全員一切クスリとも笑わないような日々を過ごしていました。
そんなある日、待望の次男が誕生しました。しかし、今まで誕生の瞬間から顔をしかめこの世に絶望していたトゥヴァシュ一家にも関わらず、その新生児はニコニコ笑いながらこの世に生を受けました。その様子に、トゥヴァシュ家の人間は恐怖します。
映画『スーサイド・ショップ』のあらすじ【承】
そしてその男の子、アランは家族の恐れていた通りに成長します。常に笑顔を輝かせ、心には悪戯心も持ち合わせる無邪気でポジティブな少年になったのです。アランは自分とは正反対である自分の家族を愛していましたが、一方で闇に飲まれているこの街を変える必要があるとも感じていました。
大人が次々と自殺していく中、このままだと自分達は孤児になってしまうと思ったのです。そこでアランは、学校の仲間と共にとある計画を立てます。自殺が失敗するように、と首吊り用のロープにこっそり切り込みを入れたりなど、彼なりに街を守ろうと行動します。
一方その頃、アランの父親ミシマは、とある顧客が自分の店の品物を使い自殺する姿を目の前で見てしまいます。昔からの家業とはいえ、この職業に一切の罪悪感がない訳ではなかったミシマは、その事をきっかけに今まで押し込めていた生きる事に対する疲労と絶望、人の命を潰してきた罪悪感に飲まれ、分裂症を起こし倒れてしまいます。
映画『スーサイド・ショップ』のあらすじ【転】
そしてとうとう、アランとその仲間たちは街を救うための最終計画に入ります。まず彼らは、仲間の1人の身内から車を借りました。車を自殺用品専門店の前に止めた彼らは、深夜、巨大なスピーカーを車に取り付けます。そして、そのスピーカーから最大音量で音楽を流し始めました。そのあまりの音の大きさに一帯に振動が響きます。
それは店にもしっかり届いており、棚に陳列されていた商品は全て落下、壊れてしまいます。一方店の中では、自殺用品を買いにきていた青年とミシマの姉が、その揺れからお互いを守る為行動し恋に落ちます。揺れが収まった頃、店内には既に販売できる商品はなくなっていました。最初は怒りに震える母親でしたが、彼女もミシマと同様に死を売る事に疲れ果てていたという事もあり最終的にアランを許します。
青年がお菓子づくりが得意という事もあり、自殺用品専門店を畳んでクレープ屋でも始めようか、と彼らは散乱する店内でにこやかに話していました。しかし彼らは、二階で寝ているミシマのことをすっかり忘れていたのです。
映画『スーサイド・ショップ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ピクニックをしよう、と青年が焼いたクレープの甘い匂いがミシマの眠っている部屋まで漂ってきました。この家に似つかわしくない匂いに飛び起きたミシマは、1階の家族の元へ飛び込んできます。一斉に事情を説明し始める一行でしたが、ミシマの耳に飛び込んできたのはアランの「全部僕のせい」という言葉だけでした。
元々自分達とは違うと注意していた息子が、とうとう店を壊したと思い込んだのです。怒り狂ったミシマは日本刀を抜きアランを追い回します。2人は街中で逃走劇を繰り広げますが、最後、アランは屋上へと追い込まれてしまいます。そしてアランは、「僕が死んでお父さんが笑顔になるのなら」と自らビルの屋上から飛び降りてしまいます。その瞬間我に返り己を責めるミシマですが、その視界に笑顔のアランの姿が映りました。実はアランは友人たちと協力してビルの下にトランポリンを用意していたのでした。
この事をきっかけに自殺用品専門店を畳む決心をします。そして青年の料理の腕を借り、新しくクレープ屋をオープンするのでした。今までの暗い雰囲気とは一転、明るい活気が店を包みます。しかし、自殺用品専門店の噂を聞きつけた客は未だに訪れます。そんな来客には、ミシマはこっそりと青酸カリを渡すのでした。
映画『スーサイド・ショップ』の感想・評価・レビュー
パトリス・ルコント監督の『スーサイド・ショップ』はアニメーション・ムービーです。
タイトルだけ見るとホラー系かな?と思いましたが、どちらかというとハートフル・ムービーでした。
とある自殺用具販売店の家族に、ひとりだけポジティブな性格の主人公という設定で、ネガティブな世の中をどうにか良い方へ向けさせるといった内容です。
自殺するほどでもないけれど、生きていくのが辛いなという人に是非見てもらいたいです。(女性 30代)
自殺者の絶えない街で自殺専門用品店を営む一家の物語。
父の「ミシマ」という名や、日本刀や腹切りといった日本人に親しいモチーフが登場するところは日本人には見逃せないポイントだろう。
重厚なテーマとは裏腹のポップな雰囲気は、アニメーションだからこそなせる業ではないだろうか。
生きづらい世の中への皮肉や風刺ともとれるコミカルでエッジの効いた表現が、アニメーションということもあり観やすかった。
ダークだけれど、命の重みや大切さが伝わってきた。(女性 20代)
「自殺」をテーマにしていることもあり、ドキッとするシーンやこれを映画にしても大丈夫なのだろうかと心配になる描写もあった。しかし、超ポジティブなアランの姿が描かれていることで、希望を感じる物語になっていたところが良かったと思う。万人受けはしないかもしれないが、命の大切さや家族愛が感じられる物語で個人的には好きだった。
「自殺」について目を逸らすのではなく、こうやってアニメ映画にすることで、改めて命について考えることができるのは逆に良いのではないかと思う。(女性 30代)
確かに自殺をテーマにしている作品ではありますが、生きているのが辛いなと感じている人、死んでしまいたいと思っている人にはおすすめ出来ません。本当に自殺を考えている人にとって、自分を明るい思考へ引き上げようとするポジティブな人間って物凄く鬱陶しいと思うんです。生きていたくないのに「頑張れ」と言われているような気持ちになるので。
主人公だけがポジティブな世界なので、明暗がわかりやすく描かれていますが、実際はこんなに簡単にはいかないでしょう。
自殺者の考えや現状が学べる作品です。(女性 30代)
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