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映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』あらすじネタバレ結末と感想

映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』の概要:アメリカ大統領選の予備選挙を裏で操るコーディネーターたちの駆け引きを通して、選挙の裏側と汚い政治の世界を赤裸々に描く。ジョージ・クルーニーが共同脚本・監督を務め大統領候補となる政治家も演じた。

映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』 作品情報

スーパー・チューズデー 正義を売った日

  • 製作年:2011年
  • 上映時間:101分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ジョージ・クルーニー
  • キャスト:ライアン・ゴズリング、ジョージ・クルーニー、フィリップ・シーモア・ホフマン、ポール・ジアマッティ etc

映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

[miho21]

映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』 あらすじ【起・承】

アメリカ大統領選を目指す民主党予備選挙はアーカンソー州出身のプルマン上院議員とペンシルベニア州のモリス知事(ジョージ・クルーニー)の一騎打ちとなっていた。

拮抗する選挙戦を裏で操るのは選挙コーディネーターたちだ。モリス陣営はベテランのポール(フィリップ・シーモア・ホフマン)をリーダーとし、広報官には頭の切れる若き新鋭のスティーヴン(ライアン・ゴズリング)を置いている。対するプルマン陣営を指揮するのはポールとも旧知のダフィ(ポール・ジアマッティ)だった。

両陣営は勝利の鍵を握るオハイオ州での予備戦に向けて動く。キーマンとなるのは共和党のトンプソン議員で、彼を味方につければ選挙は俄然有利になる。ポールはトンプソン議員を口説くため、ノースカロライナへ向かう。

一方スティーヴンには敵のダフィから密会の誘いがある。案の定引き抜きの話だったが、スティーヴンは毅然としてそれは断る。その席でプルマンはトンプソンに国務長官の座を約束していると聞く。スティーヴンはそのことをポールに話そうとするが、結局隠したままにする。

スティーヴンはインターンの選挙スタッフであるまだ20歳のモリー(エヴァン・レイチェル・ウッド)に誘われ、そのまま寝てしまう。彼女の父は民主党の全国委員長だった。

モリス陣営はトンプソンに出し抜かれ状況が悪化する。スティーヴンはポールにダフィと会ったことと相手がトンプソンに国務長官の座を用意していることを伝える。ポールはトンプソンと取引するようモリスを説得するが、彼は応じようとしなかった。

その晩、スティーヴンは再びモリーとベッドを共にする。深夜、彼女の携帯にモリスから電話がありそのことでモリーを問い詰めると、実はモリスと一度過ちを犯し自分は妊娠しているとモリーは白状する。

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映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』 結末・ラスト(ネタバレ)

翌日、スティーヴンはタイムズ紙の記者アイダから呼び出される。彼女はダフィとの密会もプルマンとトンプソンの取引も知っており、ダフィとのことを記事にされたくなければ取引のことを詳しく話せと彼を脅す。情報源がわからず、スティーヴンは混乱する。

モリーにはお金を渡し、速やかに中絶し選挙スタッフから外れるよう命令する。モリーはスタッフとして残りたがるが、彼はそれを許さなかった。

スティーヴンは彼女をクリニックへ送り届け、終わったら連絡するよう告げポールと会う。アイダの話をすると、ポールはその情報をリークしたのは自分だと言う。ポールが唯一信じるのは忠誠心であり、スティーヴンがダフィと会った時点で解雇することを決めていた。そのことはモリスも了承済みだと言われ、スティーヴンはクビを切られる。

手術を終えたモリーは1人でホテルに帰りスティーヴンの解雇を知る。彼が敵陣営に寝返り、自分とモリスのスキャンダルを暴露するはずだと確信したモリーは恐怖に怯える。

スティーヴンはモリーの予想通りダフィのところへ行くが、クビにされた人間は雇えないと冷たくあしらわれる。でかい情報があると言っても、ダフィの答えはノーだった。

さらにスティーヴンはホテルの部屋でモリーが死んでいるのを見てしまう。留守番電話に何度も電話をしてきていた彼女の悲痛な叫びを聞き、スティーヴンは打ちのめされる。

モリーの死因はアルコールと処方箋の過剰摂取によるものとされ、スキャンダルにならないよう処理されようとしていた。スティーヴンはモリーの携帯からモリスを呼び出し、彼女の遺書がある、このスキャンダルをばらされたくなければポールを解雇し自分をリーダーとして雇えと脅す。モリスの出した答えはポールの解雇だった。

ポールはスティーヴンに“知事のどんな弱みをにぎったかそのうち教えてくれ”と言い残して去っていく。

オハイオ戦には敗れたが、スティーヴンはモリスにトンプソンと取引させ形勢を逆転させる。すべての良心を殺したスティーヴンは冷酷なリーダーとなっていた。

映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

こんなもんだろうと思ってしまう自分

アメリカ大統領選の裏側で戦略を練り、候補者を動かし、スタッフをまとめる選挙コーディネーターたちの駆け引きや心理戦を描いた本作。彼らはありとあらゆる手を使って選挙戦を有利に展開させようとする。主人公のスティーヴンは現在30歳でこれからのコーディネーターだが、頭の切れるなかなかの策略家だ。

しかしベテランのポールやダフィから見るとまだまだケツが青い。この世界では常に冷静さが求められ、感情に流され弱みを見せると一気に食いつぶされる。そのことをまだ彼はしっかり認識していない。そのため、敵の罠にかかり窮地に立たされる。

散々痛めつけられたことで彼は身をもってそのことを学び、人間的な感情を全て捨て去った冷酷なリーダーとなるのだが…。どの展開もそれほどの驚きはない。選挙の裏側、つまり政治の世界が汚いことなんて昔から誰もが知っていることだし、モリス知事の腐った人間性にもポールやダフィの容赦のなさにも新鮮味は感じない。

新鮮味はないが現実味はある。現実味はあるがなぜかもうこの汚い世界に憤りも感じない。多くの観客は“こんなもんだろう 政治の世界なんて”と思ったのではないだろうか?私たちは政治家に何も期待しないということに慣れすぎたのかもしれない。

寒々しい世界

物語の中で予想外の展開といえば、モリーが死んだことだ。自殺なのか偶発的な事故死なのか結局はっきりしないが、どちらにしても彼女はあっさりいなくなってしまった。

彼女の死は、それまでどこか青さのあったスティーヴンを強くし、一気に一人前の政治屋にする。つまり正義を捨て去る最大のきっかけとなったように見えるが、その前からスティーヴンは正義なんて捨てている。彼は彼女とモリス知事のスキャンダルをダフィと交渉するための武器として使おうとしており、彼女を守る気などさらさらなかったのだから。

唯一人間的に魅力を感じたのはフィリップ・シーモア・ホフマンの演じるポールだった。この世界でただ一つ信用できるのは忠誠心だけだという彼の言葉には説得力があったし、信頼できない人間とは一緒に仕事ができないという彼の判断は間違えていない。

結局モリス知事は自己保身のためにポールを切ってスティーヴンを選んだが、これもちょっと意外だった。むしろスティーヴンが完全に干される、または消されるのかと思っていた。こんな若者の言いなりになるモリス知事の力のなさにびっくりだ。それとも、ポールより見込みがあると踏んだのだろうか?何にしても寒々しい世界ではある。


アメリカの選挙って日本とは大きく異なっていて、日本人の私から見ても非常に興味が湧くような仕組みになっているなと感じます。今作で描かれているのはその裏側で動く人たちの物語。政治の世界がクリーンでホワイトな場所では無いのは分かっていますが、こんなことになっているのかと思い知らされました。
そもそも日本人は自分の国の政治に興味が無さすぎるなとも感じます。国民を巻き込んで、自分の国の政治についてしっかりと考えさせるには、良心を捨てた戦い方も必要なのかなとかなりヒリつきました。(女性 30代)

映画『スーパー・チューズデー 正義を売った日』 まとめ

とてもわかりやすい映画で“ふむふむ、なるほどね”という感じ。これといって何の感情も揺さぶられないし、ドキドキするようなこともない。

今もアメリカの大統領選に向けて予備選挙が行われているが、日本人には馴染みの薄いシステムなのでニュースを見てもピンとこない人は多いだろう。この作品の中でその辺は一応わかりやすく説明してくれているので(ここに勝てば有利だとか、この政治家と手を組めばいいとか)状況がよくわからないということは全くない。つまり誰にでも見やすい親切な作りになっている。

政治の裏側を暴いているようだが、驚くほどのことは何もないのでむしろ娯楽映画感覚で見てちょうどいい。そういうところがアメリカっぽい。

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