この記事では、映画『帝都物語(1988)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『帝都物語(1988)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『帝都物語』の作品情報
上映時間:136分
ジャンル:SF、アクション、ファンタジー
監督:実相寺昭雄
キャスト:石田純一、原田美枝子、姿晴香、山本清美 etc
映画『帝都物語』の登場人物(キャスト)
- 平井保昌(平幹二朗)
- 土御門家の当主であり陰陽師。加藤が帝都を滅ぼそうとしていることを察し、帝都の霊的な改造を渋沢栄一に進言する。命をかけた占いで関東大震災の日を予言する。
- 加藤保憲(嶋田久作)
- 帝都東京の破壊を目論む謎の人物。将門の霊を呼び覚ますために、その末裔である辰宮家の人々を誘拐したり、中国大連から関東大震災を誘発させる。
- 幸田露伴(高橋幸治)
- 平井保昌より土御門家に伝わる秘伝書を受け取り、加藤と対決をする。辰宮洋一郎に一緒に加藤と戦うように頼むが、断られてしまう。
- 辰宮恵子(原田美枝子)
- 神社の巫女であったが、将門からの啓示を受け、辰宮由佳理を守護し加藤保憲と戦うべく、辰宮洋一郎と結婚をする。加藤と刺し違えるが、その後の行方が分からなくなる。
- 辰宮洋一郎(石田純一)
- 将門の末裔である辰宮家の長子。幸田から加藤と戦うように促されるが、自分にも将門の霊を呼び覚ます能力があることを知っており、それを加藤に利用されないため固辞をする。
- 辰宮由佳理(姿晴香)
- 洋一郎の妹。洋一郎同様に強い霊力を持っているため、加藤に依代として利用される。加藤によって身籠ったと思われたが、実は兄との子どもを産むことになる。
映画『帝都物語』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『帝都物語』のあらすじ【起】
明治45年東京。土御門家の陰陽師、平井保昌は渋沢栄一に帝都改造計画に土御門一門を加え、霊的な改造をしなければ、帝都は滅びてしまうと忠告する。
帝都滅亡を画策する加藤保憲が土御門家に対して式神を撃ってくる。そして、平井や幸田露伴の抵抗もむなしく加藤は、平将門の末裔である辰宮由佳理をさらっていく。加藤は由佳理を依代として将門の霊を呼び出そうとしていた。しかし将門の霊は、「我の墓を荒らすな」と加藤に忠告する。そこへ平井の撃った式神が届く。すると加藤は、由佳理をおいて撤退をするのだった。
渋沢は帝都を東洋一の街、神と自然に祝福される都市にしたいと考えていた。陸軍の工藤は軍事的に強い都市にすべきだと主張する。物理学者の寺田寅彦は地震に耐える地下都市を提案するが、一笑にふされるのだった。
明治天皇が崩御し、時代が変わる。平井は、幸田に土御門の秘伝書を渡し、命をかけて加藤の帝都破壊の時を占う。そこに現れた加藤は、平井を殺し、血文字を残して、中国の大連へ渡るのだった。

映画『帝都物語』のあらすじ【承】
平井が予言した大正12年を迎える。寺田は、亥の日に微かながらの地震を感知していており、異変を感じていた。一方、大連では加藤が着々と準備を進めていた。
由佳理は10年前加藤に拉致された時に、身籠ってしまっていた。幸田の友人でもある森鴎外によって処置を施したが失敗し、女の子を産んでいた。
帝都に結界を張っていたが、加藤はそれを破り侵入し、幸田の前に現れる。幸田は、土御門から譲り受けた秘伝書の陣形を使うが加藤には通用しない。地脈は動き始めていた。加藤は勝ちを宣言する。幸田にとどめを刺そうとする加藤だったが、「我が墓を犯すな」と将門の霊に阻まれるのだった。
そして9月1日、関東大震災が起こり、帝都は火に包まれる。それでも将門の霊は目覚めないのだった。なぜと問う加藤の姿があった。
巫女の恵子は、将門からの啓示を受ける。彼女の使命は将門を目覚めさせないこと。由佳理は守護すべき人、宿敵は加藤と、占いは示すのだった。
幸田は再び加藤が現れると予言する。そして、その時は一緒に戦って欲しいと由佳理の兄、辰宮洋一郎に頼むのだった。
映画『帝都物語』のあらすじ【転】
昭和2年。寺田の推奨する地下鉄計画は進行していたが問題が発生する。寺田たちは現場に向かう。地下の工事現場では式神たちが暴れていた。寺田は、それを集団幻覚と判断する。人だから幻覚をみる、だったら人造人間を使えば良いと提案するのだった。
辰宮家に嫁いだ恵子は、占い師でもある泉鏡花から観音力があると言われる。そして、近々鬼に出会うと占われる。その鬼を恨んじゃいけないとも忠告もされるのだった。
再び加藤が現れ、由佳理の娘、雪子をさらっていく。それを追いかける恵子。加藤は、今度は雪子を使い、将門を復活させるつもりだった。恵子は、加藤に追いつき雪子を取り戻そうとするが、加藤は「俺を憎め」と告げ雪子と共に消えるのだった。
恵子は加藤との戦いのため辰宮家を離れることにする。恵子は洋一郎が戦わないのは、将門を目覚めさせる力が彼の中にあるからだと見抜いていた。洋一郎に必ず帰ってくると約束をして、恵子は加藤との戦いに向かう。地下では人造人間「學天則」を使った式神退治が始まろうとしているのだった。
映画『帝都物語』の結末・ラスト(ネタバレ)
辰宮は、自分の血によって将門の霊を鎮める決意をする。そして、由佳理も娘雪子の元に向かうのだった。雪子は将門の首塚に取り込まれていた。地下では式神退治のため「學天則」の自爆装置が起動されていた。
加藤は何かを恐れていた。それは、自分の子どもだと思っていた雪子はそうではなく、もっと霊力の強いものの子どもであることだった。地下の「學天則」の爆発によって地脈が断たれる。地上では加藤と恵子が霊力戦を繰り広げていた。将門の首塚では、洋一郎が身を呈して将門の霊を鎮めようとしていた。その兄に駆け寄る由佳理。二人は一緒に首塚に取り込まれ、それによって加藤も倒れるのだった。
何事もなかったかのように帝都の夜は明ける。気がつくと倒れていたはずの加藤の姿がない。恵子が振り返ると加藤が立っていた。加藤は自分を憎めと言う。人々の憎しみが加藤を動かしているのだった。恵子は加藤に止めを刺す。そして二人は、その姿を消すのだった。
帝都は復興していた。止まることを知らない発展を続けていた。辰宮は、神田明神のお祭りで恵子の姿を見たような気がするのだった。鏡花の占いの札が、風に飛ばされる。飛ばされたのは観音の札だったが、拾ってみるとその札は鬼に変わっていた。不審に思う鏡花の横を、加藤のような軍服を着た男が通り過ぎるのだった。
映画『帝都物語』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
実相寺昭雄監督の不思議で妖艶な演出。嶋田久作による魔人・加藤の怪演がこれでもかと堪能できる。特徴的な風貌、立ち振る舞いは、まさしく、帝都・東京を数年にわたり、その手で滅ぼさんと暗躍する孤高の巨悪そのもの。
ストップモーションで撮影される、加藤操る悪魔たちをはじめ、ミニチュア、特撮シーンも、加藤とそれを阻まんとする人々の戦いの迫力を表現している。
また、東京に様々な思いを馳せる人々がマルチな視点で描かれているのも面白い。(男性 20代)
『帝都大戦』を先に鑑賞し、かなりクセになったのでこちらも鑑賞しました。『帝都大戦』に比べるとグロテスクな描写やホラーっぽい雰囲気は抑えめで、どちらかと言うと不思議な作品です。しかし、よく分からないと言うよりも他で感じたことの無い独特な雰囲気なので、ハマればかなり面白く見られると思います。
陰陽師や風水など全く知識がないと理解しきれない部分もあるので原作を知っている方にオススメしやすい作品では無いでしょうか。(女性 30代)
初見の感想は「日本映画でここまでのスケールを描けるのか!」という驚きでした。加藤保憲という圧倒的なキャラクターが、帝都・東京を滅ぼすために暗躍する姿が怖ろしくも魅力的でした。特撮とオカルト、歴史的事実が絡み合う独特の世界観に引き込まれました。関東大震災や帝都の霊的防衛など、日本史や神話好きにも刺さる要素満載。終盤、加藤が娘の誕生を知り、微かな人間性を見せるシーンは印象的でした。(20代 男性)
この作品の魅力は、加藤保憲というダークヒーローに集約されると思います。彼の存在感があまりにも強く、主人公側が霞んでしまうほどです。特に後半、東京を破壊するための大地震や帝都壊滅計画の描写には圧倒されました。科学と霊術、帝国主義という重たいテーマをこれほどエンタメに昇華しているのは見事。もう少し登場人物たちの心理描写が欲しかったですが、独特の世界観がクセになります。(30代 女性)
子どもの頃にテレビで見てトラウマ級に怖かった作品ですが、大人になって見返すとその圧倒的な映像美と思想の深さに驚かされました。加藤のキャラクター造形、帝都という舞台、陰陽道と科学の対立、どれをとっても独創的。終盤の地下遺構のシーンや、結末での赤子を見守る加藤の瞳には、ただの悪役ではない人間性が垣間見えました。時代背景とリンクした物語も魅力です。(40代 男性)
『帝都物語』は一種の“日本的スチームパンク”とも言える作品でした。物語の根底にあるのは、「過去の呪い」が未来を支配しようとする構図。霊的防衛と称して帝都を守る科学者たちと、それを破壊せんとする加藤の対比が見事です。大地震や関東軍など、史実がベースにあることで説得力があるのも良い。1980年代の日本映画でこれだけのスケールを実現したことにも拍手を送りたいです。(50代 女性)
加藤保憲というキャラクターは、日本映画史に残る“怪物”だと思います。彼の不気味さ、妖しさ、そしてどこかにある哀しさが混ざり合って、ただの悪役ではない深みがあります。帝都を破壊しようとする動機も、実は人間社会への失望であったり、信念であったりするのがリアル。彼の娘が誕生した瞬間に見せた表情は涙ものでした。ビジュアル的にも唯一無二の世界観で、強く記憶に残る作品です。(30代 男性)
霊的バリアという概念を初めて知ったのがこの映画でした。科学万能の時代に、目に見えない力で都市を守るというアイディアが衝撃的でした。加藤保憲のビジュアルと演技は圧倒的で、夢に出てきそうな怖さ。オカルトとSF、戦争と国家思想が混ざり合ったジャンル不明な雰囲気が、逆にクセになる一本です。正直、今観ても色あせないのがすごい。(40代 女性)
学校では教わらない“もう一つの日本史”を観た気がしました。関東大震災や軍国主義、昭和初期の日本社会が背景にありながら、それを霊的戦いで描くという設定が非常にユニーク。加藤という存在は怪物であると同時に、体制に抗う存在としても描かれていて、ある種のカタルシスを感じました。映像の迫力、音楽の重厚さも印象的でした。(50代 男性)
陰陽道という言葉に初めて興味を持ったのがこの映画でした。加藤保憲の強烈な印象はもちろんですが、彼と戦う科学者たちの葛藤も描かれていて、人間ドラマとしても見応えがあります。物語終盤で彼が敗れ去るものの、その“呪い”が未来に受け継がれていくというラストは、後味は悪いけれど深い。日本独自のダークファンタジーです。(20代 女性)
映画『帝都物語』を見た人におすすめの映画5選
帝都大戦
この映画を一言で表すと?
“帝都物語”の正統な続編にして、加藤保憲の怨念が再び炸裂する黙示録的映像詩。
どんな話?
昭和20年、東京大空襲の中で、加藤保憲は帝都壊滅の再来を企てる。彼に立ち向かうのは、霊能力者や科学者たちの新たな世代。前作から時代を進めた戦後混乱期の東京を舞台に、怨念と希望が激突する。
ここがおすすめ!
『帝都物語』の世界観が好きなら必見の続編。よりダークで濃密な描写と、加藤保憲の“人間味”の強調が見どころ。戦時中の混沌とオカルトの融合というテーマも秀逸で、より重厚な作品に仕上がっています。
魍魎の匣(2007)
この映画を一言で表すと?
昭和モダンの闇に潜む“魍魎”が狂気を呼ぶ、本格ミステリー×怪異譚。
どんな話?
昭和27年、東京で起こる少女連続猟奇事件。探偵・榎木津、刑事・木場、作家・関口がそれぞれの視点から怪異と向き合い、やがて恐るべき真相に迫っていく。京極夏彦原作の実写化作品。
ここがおすすめ!
“帝都の闇”という意味では共通点が多く、陰陽道や霊性、都市の病理をテーマに据えた作風が魅力的。美術や衣装も丁寧で、世界観にどっぷり浸れる作品です。知的で重厚なミステリー好きにおすすめ。
陰陽師(2001)
この映画を一言で表すと?
呪術と陰謀が交錯する平安絵巻、美しき陰陽師・安倍晴明が都を護る!
どんな話?
平安時代、陰陽師・安倍晴明は、都を蝕む怨霊や陰謀と戦う。藤原道長との友情や、愛と呪いに翻弄される人々の姿も描かれ、伝統と幻想が入り混じるダークファンタジー。
ここがおすすめ!
加藤保憲とは異なる“陰陽師”像を知るならこの作品。ビジュアルの美しさと市川染五郎の晴明の気品が際立ち、霊的戦いの荘厳さが『帝都物語』と共通。日本の古典的オカルトファンタジーを堪能できます。
デビルマン(2004)
この映画を一言で表すと?
世界の終末と人間の業を描いた、伝説的ダークヒーローの覚醒譚。
どんな話?
悪魔の力を持つ少年・不動明が、人間としての心を保ちながら悪と戦う姿を描く。親友との対立や世界の崩壊といったテーマを通じて、人間の本質や愛の形が問われる壮大な黙示録。
ここがおすすめ!
『帝都物語』の持つ“終末感”や“人智を超えた力との対峙”というテーマが好きな方には響くはず。映像や演出に難がある部分もありますが、スケールとテーマ性は極めて近く、比較しながら観るのも一興。
パプリカ(2006)
この映画を一言で表すと?
夢と現実の境界を超える、映像で見る一種の精神侵略サイコサスペンス。
どんな話?
他人の夢に入り込む装置「DCミニ」が盗まれたことで、夢と現実が混線し、世界は崩壊の危機に陥る。セラピスト“パプリカ”とその仲間たちは暴走を止めるため、夢の迷宮を駆け巡る。
ここがおすすめ!
精神・都市・技術が融合した世界観は『帝都物語』の“霊的東京”と非常に親和性があります。今敏監督のヴィジュアルセンスが冴え渡る圧巻の映像体験で、知的かつ幻想的な作品を好む方に最適です。
みんなの感想・レビュー