この記事では、映画『天国と地獄(1963)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『天国と地獄(1963)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『天国と地獄(1963)』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0036757
製作年 | 1963年 |
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上映時間 | 143分 |
ジャンル | サスペンス ヒューマンドラマ |
監督 | 黒澤明 |
キャスト | 三船敏郎 香川京子 江木俊夫 佐田豊 |
製作国 | 日本 |
映画『天国と地獄(1963)』の登場人物(キャスト)
- 権藤金吾(三船敏郎)
- 製靴会社ナショナル・シューズの工場担当常務。16歳で見習工として入社した叩き上げ。会社の株を買い占め、乗っ取ろうと画策している。
- 戸倉警部(仲代達也)
- 誘拐事件の捜査担当主任。犯人の卑劣な手口に憤り、捜査に執念を燃やす。
- 権藤玲子(香川京子)
- 権藤の妻。裕福な家庭に育ったため金銭や地位に頓着がない。
- 河西(三橋達也)
- 権藤の秘書。
- 青木(佐田豊)
- 権藤付きの運転手。息子の進一を男手一つで育てている。
- 竹内銀次郎(山崎努)
- 貧しい環境に暮らすインターン。
映画『天国と地獄(1963)』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『天国と地獄(1963)』のあらすじ【起】
製靴会社ナショナル・シューズの重役を勤める権藤の家に、同僚の重役が相談に来る。彼らは高級品を扱う現社長の方針と対立しており、安価な製品を売ることで、より利益を上げられるよう事業転換したいと考えていた。しかし権藤は、この相談を拒否。彼らを追い返す。
実は権藤自身も、会社乗っ取りの計画を独自に進めていた。彼は自社株を買い占めるため秘書の河西に5000万円の小切手を大阪へ持っていくよう指示する。
直後、権藤の元に一本の電話が入る。それは「子供を攫った」という男からの電話であった。犯人は3000万円の身代金を要求する。しかし電話の後、彼の息子・純は家にいることが分かる。安心した権藤であったが、住み込みの運転手である青木の息子・進一がいないことが発覚。犯人は純と進一を間違えて誘拐したのだ。
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映画『天国と地獄(1963)』のあらすじ【承】
権藤は警察に助けを求める。しばらくすると戸倉警部率いる捜査班が権藤の家に到着する。再び掛かってきた犯人との電話のやり取りを聞いていた刑事は、権藤に身代金を払うよう提案する。しかし、権藤は金を払えば自らの地位が脅かされてしまうため、進一の命が掛かっているにもかかわらず金を払う決心ができない。
それを見た権藤の秘書・河西は、彼の計画を敵対する重役たちに知らせた。退路を断たれた権藤は、身代金を払う決意をする。
その後の犯人からの電話で、指示された通り、指定された大きさのカバンに3000万円を入れ、特急こだまへと乗り込む権藤。事前に進一の無事を確認することを条件としていたが、車内に子供は見当たらない。
すると車内電話に権藤宛に犯人から電話が掛かる。それは「酒匂川の鉄橋が過ぎた所で、カバンを窓から投げ落とせ」というものであった。洗面所の窓は、指定されたカバンがちょうど通る大きさだった。進一の姿を確認した権藤は、そこからカバンを落とす。
進一は無事、保護されるが犯人は取り逃がしてしまう。
映画『天国と地獄(1963)』のあらすじ【転】
戸倉警部率いる捜査班は、公開捜査を開始。犯人との電話でのやりとりや進一の証言等から、犯人のアジトを見つけ出す。しかし、そこにいた共犯者らしき男女二人は、ヘロイン中毒ですでに死亡していた。
彼らの死を主犯による口封じであると考えた戸倉警部。彼は新聞記者に頼んで「共犯者は生きており、身代金に使われた札が市場で見つかった」という嘘の情報を流す。
この記事を読んで焦った主犯は、身代金が入っていたカバンを焼却する。しかし、カバンには現金受け渡しに際して、燃やすと牡丹色の煙が出る仕掛けが施されていた。牡丹色の煙が出た煙突の場所から、捜査班は主犯を突き止める。それは権藤邸の近所にある下宿に住むインターン・竹内源次郎という男であった。
映画『天国と地獄(1963)』の結末・ラスト(ネタバレ)
戸倉は竹内がより重い罪で裁かれるよう、彼を泳がせる。竹内は共犯者を確実に殺すため、ヘロインを調達しに夜の街へ現れる。
竹内は、ヘロイン中毒の女を旅館に連れ込む。彼は確実に殺せる量を知るため、大量のヘロインを女に打ち、殺害。その後、共犯者の家に現れた竹内を、戸倉が逮捕。竹内は連行される。
死刑が確定した竹内は、権藤との面会を希望する。面会に応じた権藤に対し、竹内は「高台にある豪邸の権藤邸は天国、自分がいる安アパートは地獄である」と語り、権藤への恨みが募っていったことを語る。
死刑も地獄も怖くはないと話す竹内だったが、次第に身体が小刻みに震え始め、ついには金網に掴みかかりながら絶叫する。竹内は刑務官に取り押さえられ、二人の間にシャッターが下ろされる。
映画『天国と地獄(1963)』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
黒澤明監督の演出力が光るサスペンス映画でした。前半の緊迫感ある誘拐劇と、後半の地道な捜査パートの対比が見事。特に、ラストで犯人が自らの憎しみに囚われ、地獄へと堕ちていく様子が強烈でした。映像の使い方や構成の巧みさに唸らされました。(20代 男性)
人間の欲望と格差社会を鋭く描いた社会派サスペンスだと感じました。誤って使用人の子供を誘拐してしまうという設定がすごくリアルで、主人公・権藤の苦悩に胸が痛みました。犯人の歪んだ怒りと自己破壊的な末路も悲しく、単なる勧善懲悪ではない深みがありました。(30代 女性)
さすが黒澤映画というべき完成度。最初から最後まで無駄なシーンがなく、誘拐から犯人逮捕まで、緻密に積み上げられていきます。特に、権藤の「正義とは何か」を問う姿勢に心を打たれました。映像の緊張感も素晴らしく、古い映画とは思えない臨場感でした。(10代 男性)
ラストシーン、権藤と犯人が刑務所の面会室で対峙する場面にゾクッとしました。犯人の憎悪と絶望、その生々しさが胸に迫りました。単なるサスペンスではなく、社会の闇や人間の業を描いた作品。白黒映像のコントラストも美しく、ますます作品に引き込まれました。(40代 女性)
社会格差というテーマを60年前にここまでリアルに描いたことに驚きました。誘拐事件を軸に、登場人物の心理が丁寧に描かれていて、特に権藤の苦渋の決断には心を揺さぶられました。犯人の悲しい末路にも同情してしまうほど、重厚な人間ドラマでした。(30代 男性)
誘拐犯の動機が単なる金銭目的ではなく、社会への怨恨だったところにリアリティを感じました。救われないラストにも納得。緻密な警察捜査の描写もリアルで、今観ても全く色褪せない傑作だと思います。個人的には黒澤明作品の中でもかなり上位に入る好きな作品です。(20代 女性)
前半の密室劇と後半の捜査パートが絶妙にバランスを取りながら展開していくのが素晴らしい。子供の無事を確認するシーンでは思わず涙が出ました。終盤、犯人の哀れな最期を見た時、単なる勧善懲悪では終わらないテーマ性を感じ、深い余韻に包まれました。(50代 男性)
高台に住む権藤と、貧民街に住む犯人。このコントラストがタイトルの『天国と地獄』そのもので、非常に象徴的でした。権藤の決断と犯人の怒り、それぞれが説得力を持っていて、単純な善悪では語れない人間ドラマとして圧倒的でした。見応え抜群です。(40代 女性)
古い映画と思って侮っていましたが、脚本の緻密さとテーマの深さに驚きました。警察捜査の地道な描写、そして最後にたどり着く犯人像まで、すべてがリアル。権藤の苦悩と犯人の絶望、どちらにも感情移入できて、非常に見応えのある作品でした。(30代 男性)
誘拐された子供が実は自分の子ではなかった…そこから権藤が下す決断の重さに涙しました。犯人も社会に押しつぶされた被害者だとわかる作りが、物語に奥行きを与えていました。圧倒的な完成度に、今でも色褪せない名作だと実感しました。(10代 女性)
映画『天国と地獄(1963)』を見た人におすすめの映画5選
張り込み
この映画を一言で表すと?
緊張感みなぎる刑事たちのドラマと人間模様!
どんな話?
殺人事件の容疑者を追うため、張り込み捜査に挑む二人の刑事の物語。暑い夏の数日間、犯人の恋人の家に張り込み続ける中で、刑事たちの心情や犯人への思いが交錯していきます。サスペンスとヒューマンドラマが見事に融合した作品です。
ここがおすすめ!
地道な捜査の積み重ねと、人間臭いドラマのバランスが秀逸。『天国と地獄』の後半に見られる警察パートが好きだった人にはドンピシャです。リアルな描写と緊張感がたまらない作品です!
八甲田山
この映画を一言で表すと?
人間の誇りと無力さを描き切る、壮絶なサバイバルドラマ!
どんな話?
明治時代、極寒の八甲田山で起きた実際の遭難事故を基に、兵士たちが過酷な雪山で生き延びようとする姿を描いた物語。極限状態の中で、人間の強さと弱さが赤裸々に映し出されます。
ここがおすすめ!
リアリティに満ちた映像と、登場人物たちの葛藤が心を打ちます。社会や運命に翻弄される人間を描く点で、『天国と地獄』に通じるものがあります。重厚なドラマを求める人におすすめです。
ミスティック・リバー
この映画を一言で表すと?
過去の悲劇が現在を蝕む、胸を締め付けるサスペンス!
どんな話?
幼い頃の事件が原因で疎遠になった3人の男たちが、再び悲劇的な事件に巻き込まれる物語。愛と喪失、赦しと復讐が交錯し、やがて衝撃的な真実が明らかになります。クリント・イーストウッド監督作品。
ここがおすすめ!
人間ドラマとサスペンスが完璧に融合した一作。社会の暗部や、人間の矛盾と哀しみを深く掘り下げる点で、『天国と地獄』が好きな人なら心に響くこと間違いなしです!
プリズナーズ
この映画を一言で表すと?
正義と狂気の境界を問う、重厚な誘拐サスペンス!
どんな話?
幼い娘が誘拐された父親が、自ら捜査に乗り出す一方で、警察も事件解決に奔走する物語。正義を追い求めるあまり、父親は次第に過激な手段に走っていきます。緊張感と心理戦が見どころの傑作サスペンス。
ここがおすすめ!
誘拐事件をきっかけに人間の本性があらわになる構成は『天国と地獄』を彷彿とさせます。道徳と狂気のギリギリの境界線を描く、重厚で骨太なドラマを楽しみたい方におすすめです!
野良犬
この映画を一言で表すと?
若き刑事と失われた銃が生む、熱き追跡劇!
どんな話?
戦後の混乱期、拳銃を奪われた若き刑事が、先輩刑事と共に必死の捜査を繰り広げる物語。銃を手にした犯人との心理戦と、社会の陰影が交錯する、黒澤明監督の秀逸な刑事ドラマです。
ここがおすすめ!
一人の刑事の焦燥と成長を描きながら、社会背景を巧みに織り込んだストーリー展開が魅力。『天国と地獄』の緻密な捜査劇に痺れた人には、絶対に刺さる一作です!
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