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映画『ナイトメア・アリー』のネタバレ・あらすじ・考察・解説

この記事では、映画『ナイトメア・アリー』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。

映画『ナイトメア・アリー』の作品情報


出典:U-NEXT

製作年 2021年
上映時間 150分
ジャンル サスペンス
スリラー
監督 ギレルモ・デル・トロ
キャスト ブラッドリー・クーパー
ケイト・ブランシェット
トニ・コレット
ウィレム・デフォー
製作国 アメリカ

映画『ナイトメア・アリー』の登場人物(キャスト)

スタントン・”スタン”・カーライル(ブラッドリー・クーパー)
見世物小屋に流れ着いた男。読心術と出会い、それを使って一攫千金を狙う野心家。
リリス・リッター博士(ケイト・ブランシェット)
心理学博士。スタンのショーがトリックだと見破る。
メアリー・エリザベス・”モリー”・ケイヒル(ルーニー・マーラ)
見世物小屋で電気人間のショーをする女性。スタンと惹かれ合う。
クレメント・”クレム”・ホートリー(ウィレム・デフォー)
見世物小屋のオーナー。
ジーナ・クルンバイン(トニ・コレット)
見世物小屋で読心術を使ったショーを行う。
ピーター・”ピート”・クルンバイン(デヴィッド・ストラザーン)
ジーナの相棒で夫。かつては読心術のショーを行っていたが罪悪感から酒浸りとなる。
エズラ・グリンドル(リチャード・ジェンキンス)
大富豪で、昔亡くした恋人との交霊をスタンに依頼する。

映画『ナイトメア・アリー』のネタバレ・あらすじ(起承転結)

映画『ナイトメア・アリー』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ【起】

1939年。生家を燃やし、あてのない旅に出たスタンは、見世物小屋で「ギーク(獣人)」のショーを見物する。ショーの後、スタンは見世物小屋のオーナー、クレムに雇われる。

スタンは読心術師ジーナのアシスタントとして働くようになる。ジーナには相棒であり夫のピートがいたが、彼は酒浸りで、ミスを起こすこともしばしばあった。

ある日、ピートにコールドリーディングを駆使した読心術を披露してもらったスタン。その技術に感激した彼は、ピートに頼み込んで教えてもらうようになる。しかし、彼が

スタンは電気ショーで人気を集めていた美しい娘、モリーに心惹かれる。モリーもスタンに恋心を抱くようになり二人は恋仲になる。スタンは見世物小屋を出て二人で独立することを提案するが拒否されてしまう。

映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ【承】

ある夜、スタンはクレムと共に病気になったギークを街へと運ぶ。クレムは獣人を病院へは連れて行かず、教会の前に放置した。スタンはクレムから「ギークの作り方」について聞く。クレムは、酔っぱらいの浮浪者を見つけては、アヘンを混ぜた酒を飲ませ、アヘン中毒にすることで彼らを何でも言うことを聞く「ギーク」として飼いならしていたのだ。

ピートはショーで致命的なミスをしてから、酒を控えるようになっていたが、その我慢も限界に達する。ピートはスタンに頼み込んで酒を調達してもらう。翌日、ピートはアルコール中毒で死亡していた。

それから間もなく、保安官がやって来て、見世物小屋を閉鎖するよう命じる。スタンはピートから学んだ読心術を駆使して保安官を丸め込み、閉鎖を回避する。それを見たモリーはスタンと見世物小屋を出ることを決意。スタンはジーナから、読心術の技術が記されたピートの手帳を託される。スタンとピートは見世物小屋を後にする。

映画『ナイトメア・アリー』のあらすじ【転】

スタンとモリーが見世物小屋を出てから2年。二人はホテルのステージで、上流階級の人々を相手に読心術を使ったショーで名声を得ていた。

ある日のショーで、心理学者リリス・タッカー博士がトリックを明かして二人を妨害する。モリーからの暗号なしでショーを続けなければならなくなったスタンは、コールドリーディングを駆使した観察と推理で、その場を切り抜ける。さらにスタンは、リリスと同席していたキンブル判事にもコールドリーディングを使い、自身に霊能力があるかのように見せかける。

その後、スタンは判事から個人的な依頼を受ける。スタンはリリスから、彼女が判事のカウンセリングで得た個人情報を得た。その代わりに彼女のカウンセリングを受けるスタン。スタンは判事の依頼を成功させ、多額の報酬を受け取る。

判事の信用を得たスタンは、判事の紹介で大富豪エズラ・グリンドルの依頼を受ける。彼の依頼はかつて亡くした恋人ドリーと交霊することだった。

映画『ナイトメア・アリー』の結末・ラスト(ネタバレ)

スタンはリリスから得た情報を元に、モリーをドリーに仕立て上げて、グリンドルを騙すことにする。モリーは拒絶するが、最後だからと説得され渋々引き受ける。

ドリーに扮したモリーが、グリンドルの前に現れる。彼は感激のあまりモリーに抱き着く。恐怖を覚えたモリーは、パニック状態になり、正体がばれてしまう。騒ぎを聞きつけたグリンドルの護衛アンダーソンが駆け付ける。スタンは騒ぐグリンドルを殴り付け、おとなしくさせると、アンダーソンを車で轢く。

愛想をつかしたモリーはスタンの元を去って行く。

スタンはリリスのオフィスへ行き、預けていた金を要求するが、警察を呼ばれてしまう。

貨物列車に乗り込み街を脱出したスタン。金も無く行く当てもないスタンは、放浪生活を続けるうちアルコール中毒になっていた。流れ着いた見世物小屋で、読心術師として興行主に売り込むが相手にされない。

しかし、興行主はふと思いついたようにスタンに酒を勧め「一つ仕事がある」と持ち掛ける。それは「ギーク」の仕事であった。スタンは泣き笑いしながら「それは俺の天職です」と答える。

映画『ナイトメア・アリー』の考察・解説(ネタバレ)

映画『ナイトメア・アリー』の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ナイトメア・アリー』の獣人の正体はなにか?

映画『ナイトメア・アリー』に登場する「獣人」は、サーカスの見世物小屋で展示されている悲惨な存在です。人間の尊厳や理性を奪われ、野獣のように振る舞うこの「獣人」は、観客の好奇心と恐怖心を煽るためだけに、檻の中に閉じ込められ、生肉を貪り食らう姿を晒しています。

しかし、この「獣人」の正体は、本来は普通の人間だったのです。彼はかつてサーカスで働いていましたが、薬物によって意識を狂わされ、動物のような行動を取るよう仕向けられてしまいました。つまり、「獣人」とは、不運にも人間性を奪われ、搾取の対象となった哀れな犠牲者なのです。

主人公スタンが物語の最後に同じ運命をたどってしまうことからも分かるように、この「獣人」はスタン自身の未来の姿を暗示しているとも言えます。彼の存在は、欲望に溺れ、堕落していく人間の末路を象徴しているのです。スタンが最終的にサーカスに戻り、「獣人」と化してしまう結末は、彼の人生の破滅を如実に表しています。

「獣人」は、サーカスという権力構造の中で、支配者に利用され、搾取される存在です。彼の悲惨な姿は、スタンへの警告でもあるのです。名声と富を追い求める過程で、スタンは次第に人間性を失い、「獣人」と同じ運命に陥ってしまうのです。

映画『ナイトメア・アリー』でリリスが言った「愛してる」の本当の意味とは?

リリスがスタンに「愛してる」と告げるシーンは、一見すると感動的な場面に見えますが、実際には非常に皮肉な意味が込められています。精神科医として冷静沈着なリリスにとって、スタンとの関係は感情的なものではなく、あくまで自分の利益のために利用する手段でしかないのです。

「愛してる」という言葉は、リリスの巧妙な策略の一環であり、スタンをさらに深く彼女の罠に嵌めるために発せられたものです。リリスは、愛情を装うことでスタンの心を掴み、彼を自分の思うがままに操ろうとしているのです。彼女にとって、感情は演技に過ぎず、スタンを支配するためのツールなのです。

リリスの「愛してる」という言葉は、スタンを誘惑し、彼女に依存させるための甘言です。そして、物語の終盤で彼女がスタンを裏切り、破滅へと追いやる時、この言葉の本当の意味が明らかになります。リリスにとって、愛は存在せず、ただ欲望と支配だけがあるのです。

つまり、リリスの「愛してる」は、彼女の冷酷な本性を隠すための偽りの言葉であり、スタンを操るために用いられた残酷な武器だったのです。彼女はスタンの感情に付け込み、彼を破滅へと導く道具として、愛を利用したのです。

映画『ナイトメア・アリー』は、どのあたりが怖いのか?

『ナイトメア・アリー』の恐怖は、グロテスクな映像や物理的な脅威ではなく、人間の内面に潜む闇、つまり欲望と堕落、そして精神の崩壊にあります。この作品は、主人公スタンが野心に取り憑かれ、倫理観を失っていく過程を描くことで、人間性の脆さと恐ろしさを浮き彫りにしているのです。

まず、サーカスという非日常的な舞台設定が、不気味な雰囲気を醸し出しています。そこには、奇怪な見世物や、社会から疎外された人々が集うグロテスクな世界が広がっているのです。スタンが次第に自らの欲望に飲み込まれ、倫理的な一線を越えていく様子は、観る者の内に潜在する恐怖心を呼び覚まします。

また、リリスのような人の心を巧みに操る人物の存在は、「誰を信じていいのか分からない」という精神的な不安を煽ります。彼女の存在は、人間関係の脆さと、心の闇の深さを象徴しているのです。

しかし、何より恐ろしいのは、スタン自身が選び取った道が、彼を「獣人」へと変貌させ、破滅へと導いてしまうという結末です。これは、人間の弱さと欲望が、いかにして自らを破滅へと追いやるのかを如実に示しています。そのリアルさゆえに、観る者は強い恐怖を覚えずにはいられないのです。

つまり、『ナイトメア・アリー』の真の恐怖は、人間の内なる闇とその破壊力にあるのです。欲望に溺れた者の末路を赤裸々に描くことで、この作品は人間存在の恐ろしさを観る者の心に突きつけているのです。

映画『ナイトメア・アリー』が後味悪いと言われる理由は?

『ナイトメア・アリー』が「後味が悪い」と評される理由は、主人公スタンの悲惨な最期と、作品全体を貫くニヒリスティックなテーマにあります。物語は、スタンがサーカスでの成功を掴むために、次第に道徳的な堕落の道を辿る様を描きます。彼は巧みな話術と詐術で一時的な栄華を手にしますが、最終的には自ら招いた破滅によって、全てを失ってしまうのです。

特に衝撃的なのは、ラストシーンでスタンが「獣人」へと変貌を遂げる場面です。彼は、かつて自分が蔑んでいた存在そのものになり果て、人間性を完全に失ってしまいます。この結末は、スタンが自らの欲望と裏切りの代償として、最低の状態へと堕ちていく様を如実に示しているのです。観る者は、あまりにも悲惨なスタンの末路に、強い衝撃と虚無感を覚えずにはいられません。

また、スタンだけでなく、作中に登場する人物たちもまた、何かしらの形で欺瞞や搾取の犠牲となり、真の幸福を掴むことができません。リリスをはじめとする登場人物たちは、皆が欲望に囚われた存在であり、その結末もまた、冷酷で救いのないものなのです。

つまり、『ナイトメア・アリー』が「後味が悪い」のは、人間の弱さと欲望が生み出す悲劇を赤裸々に描いているからです。欲望に溺れた者たちの末路を容赦なく突きつけることで、この作品は観る者の内なる闇を照らし出し、強い虚無感を残すのです。それゆえに、多くの人がこの作品に「後味の悪さ」を感じるのでしょう。

映画『ナイトメア・アリー』でリリスの傷は誰が付けたものか?

映画の中で、リリスの体に残る傷の由来については具体的な説明がありませんが、その傷は彼女の辛い過去や心の傷を象徴しているように思われます。知的で冷静な精神科医として登場するリリスですが、その肉体に刻まれた傷は、彼女がこれまでに経験した苦しみや裏切りの痕跡なのです。

リリスに傷を負わせた人物が誰なのかは明かされていませんが、おそらく彼女の過去には、何らかの暴力的な出来事があったのでしょう。その傷は、リリスが表面上は理知的な振る舞いを見せる一方で、内面には深い痛みを秘めていることを示唆しているのです。冷徹な態度の裏には、彼女自身が抱える傷があり、それが彼女の行動の原動力となっているのかもしれません。

つまり、リリスの傷は、完璧な外見の下に隠された彼女の脆さと苦しみを表すシンボルなのです。それは彼女のキャラクターに深みを与え、単なる冷酷な悪役ではない、複雑な人間性を感じさせます。リリスもまた、何者かに傷つけられた被害者なのかもしれません。

リリスの傷は、彼女の秘められた過去と内面の闇を象徴する重要なモチーフなのです。その傷の意味を考えることで、観る者はリリスという人物の奥深さに気づかされるのです。

映画『ナイトメア・アリー』でピートはなぜ殺されたのか?

映画の序盤で、スタンの師匠的存在であるピートが命を落とすのですが、これは直接的な殺意によるものではありません。ピートはサーカスで働く熟練の催眠術師であり、スタンにとって頼れる存在でした。しかし、ある日スタンがピートに過剰なアルコールを与えてしまったことで、悲劇が起こってしまうのです。

スタンは、ピートがアルコール依存症であることを知りながら、彼にお酒を勧めます。その結果、ピートは命を落としてしまうのです。スタンは罪悪感を抱きつつも、ピートの死を利用して、彼の秘伝の技術を手に入れてしまいます。このピートの死は、スタンが道徳的な一線を越える最初の大きな出来事となります。

ピートの死は、スタンが成功のために他者を犠牲にするというテーマの始まりを告げる出来事なのです。彼はピートの死から得た知識を基に、富と名声を手にしていきますが、その成功の陰には、常に他者の犠牲が隠れているのです。

つまり、ピートの死は、スタンの堕落の始まりを象徴する出来事なのです。彼はピートの死をきっかけに、次第に欲望に取り憑かれ、倫理観を失っていくのです。ピートの死は、スタンの運命を暗示する重要な場面だと言えるでしょう。

映画『ナイトメア・アリー』でジーナが新聞に載っていた理由とは?

ジーナが新聞に載っていたのは、スタンとの詐欺行為が発覚したからです。サーカスを去った後、スタンとジーナは、スタンの催眠術の才能を利用して、富裕層から金を巻き上げる詐欺を働くようになります。スタンはジーナをパートナーとして巧みにショーに組み込み、彼女の電気を使ったトリックなどで観客を魅了します。二人は奇跡を演出し、人々を欺くことで大金を得ていったのです。

しかし、スタンの欲望はエスカレートし、特に大富豪エズラ・グリンドルに対する詐欺は、彼らの人生を大きく変える転機となります。スタンは、エズラの亡くなった恋人を呼び出すという偽の催眠術を行い、大金を巻き上げようとします。しかしこの詐欺は失敗に終わり、エズラの怒りを買ってしまうのです。

ジーナが新聞に載ったのは、まさにこの詐欺行為が明るみに出たからです。エズラが騙された事実が公になり、二人の犯行がスキャンダルとして報道されたのです。ジーナもスタンの共犯者として、その責任を問われることになります。新聞報道によって、二人の詐欺師としての正体が暴かれ、社会的信用を失墜したのです。

つまり、ジーナが新聞に載ったのは、スタンの際限ない欲望がもたらした結果なのです。彼女はスタンの野望に巻き込まれ、その代償として社会的制裁を受けることになったのです。ジーナの新聞報道は、欲望に溺れた者の末路を象徴しているのかもしれません。

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