この記事では、映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2018年 |
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上映時間 | 88分 |
ジャンル | サスペンス ドラマ |
監督 | グスタフ・モーラー |
キャスト | ヤコブ・セーダーグレン イェシカ・ディナウエ ヨハン・オルセン オマール・シャガウィー |
製作国 | デンマーク |
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』の登場人物(キャスト)
- アスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)
- コペンハーゲン警察の警官だったが、捜査上でトラブルを起こし、緊急通報司令室へ異動させられオペレーターをしている。強い正義感があり、洞察力や情報収集能力に長けている。頭の回転も速く知的ではあるが、先入観が強い。妻帯者であったが、妻とはすでに別居状態。
- イーベン(イェシカ・ディナウエ)
- 助けを求めて通報した女性。二児の母。恐慌状態に陥っており、錯乱する場面もある。息子を殺害しておきながら、助けたと思い込んでいる。精神医療センターに入院していたことから、以前から心を病んでいたと思われる。アスガーを頼りにし、説得に応じる。
- ミケル(ヨハン・オルセン)
- イーベンの夫。暴行罪にて服役経験を持っている。粗暴な面が目立っているために妻や子供達を心から愛していることが分かりづらい。不器用な人物と思われる。赤ん坊の息子が妻によって殺されているのを発見し、イーベンを精神医療センターへ連れて行こうとする。
- ラシード(オマール・シャガヴィー)
- コペンハーゲン警察の警官でアスガーの相棒。19歳の青年を撃ち殺してしまったアスガーの件について法廷で、彼の正当性を証言する予定になっていた。アスガーを深く信頼している。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』のあらすじ【起】
緊急通報指令室のオペレーターとして働くアスガー・ホルム。緊急ダイヤルには毎日、様々な電話がかかってくる。基本的に、かかってくる相手の住所氏名は逆探知で即座に判明するが、携帯電話の場合は範囲しか出ないため、番地や目印になるものを教えてもらわなければならない。その後は捜査部へ連絡を入れ、出動要請をするのだ。
緊急ダイヤルは24時間対応。ドラッグで苦しむ男性、強盗に襲われた男性。それぞれに対応した後、イーベンという女性から通報が入る。女性は誰かと一緒のようで、相手に気付かれないよう緊急ダイヤルへかけた様子。イーベンには子供をあやす振りをさせ、通話を切らないよう頼む。パトカーの出動要請をした後、再びイーベンと会話。電話口には一緒にいる男の声が聞こえていたが、通話が途中で切れてしまった。
高速道路を走行中らしく白のワゴン車だと言うため、出動したパトカーにも知らせる。警官の話では確かに白のワゴン車が走行していたようだが、相手に気付かれ高速道路を降りようとしているらしい。パトカーはすぐにワゴン車を止めた。ところが、その車に女性は乗っていなかった。パトカーは高速道路を降りてしまったため、同じ部署の他の巡視パトカーに怪しい車を探してもらうことにした。
そこで、アスガーはイーベンの自宅へ連絡を入れることに。しかし、電話に出たのは幼い女の子。恐らくイーベンの子供と思われる。彼女の話では、母イーベンは離婚した父ミケルと一緒に家を出て行ったと言う。家には幼子しかいないらしい。幸い少女は父親の携帯番号を覚えていたため、すぐに検索ができた。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』のあらすじ【承】
少女曰く、怒ったミケルがやって来てイーベンと言い争った後、弟の部屋へ行き更に激怒。イーベンへと乱暴を働きナイフを手に彼女を連れ去ったらしい。アスガーは少女を励まし、何かあったら緊急ダイヤルに連絡を入れるよう言い聞かせた。
通話を切った後、他のオペレーターにイーベンから通報があったか確認したが、かかってきていない。アスガーはミケルの車のナンバーを巡視中の部署へ知らせたが、部署のオペレーターは全車にもナンバーを知らせるように言う。だが、ミケルは自宅へ向かっているわけではなく、暴行罪での逮捕歴もある。ひとまず、イーベンの自宅へ警官を送るよう要請し、再び通話を切った。
あと15分で交代であったが、アスガーは別室へ移動し異動前のコペンハーゲン指令室へ。今夜は元上司がオペレーターをしていたため、彼にミケルの自宅をがさ入れするよう頼んだ。しかし元上司は、それはアスガーの仕事ではないと言う。アスガーは以前、コペンハーゲン警察署の警官だったが、捜査上のトラブルにて現在の部署へ異動させられていた。翌日に控えている法廷にて元相棒のラシードが疑惑を晴らしてくれる予定となっており、その後は一線へ復帰する予定だった。
オペレーターの仕事は通報に対応し、必要な情報を聞き出し出動要請をするだけ。がさ入れの要請は仕事の範囲を超えている。元上司と通話を終えた後、イーベンへ電話したが、留守番電話に切り替わる。車はまだ見つからないらしい。そこで、アスガーは少女から聞き出していたミケルの携帯電話へかけてみる。すると、ミケルは多くを語らず、関わるなと言って一方的に通話を切ってしまう。仕方ないのでラシードへ連絡を入れ、彼にミケルの家へ向かうよう頼んだ。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』のあらすじ【転】
すると、幼い少女からアスガーへ通報がきたと言われる。電話を代わり少女と会話。その直後、要請した警官が到着したため、警官と電話を代わってもらった。すると、警官は少女の衣服が血塗れであることに不審を抱く。幼い弟がいるはずだと寝室へ向かうよう頼んだ。ところが、赤ん坊の弟はすでにズタズタに引き裂かれ息絶えている。担当警官は凄惨な状況に耐えられないと告げ、電話を切ってしまうのだった。
茫然とするアスガーだったが、夜勤がやって来たため、交代しなければならない。だが、彼はもう少し残ると告げる。オフィスのブラインドを下げ、ミケルの携帯電話に再び電話をした。電話に出た彼へと全て知っていると明かしたアスガー。イーベンを解放するよう説得したが、ミケルは何も言わず通話を切ってしまう。再度かけ直したが、留守番電話に切り替わった。
ラシードがミケルの自宅に到着した模様。彼に事情を明かし自宅へ入ってもらう。ミケルの自宅は雑念としており、大量の未開封の郵便物と未開封の子供のおもちゃがあるらしい。恐らく行き先はシェラン島であるが、その地区に関する郵便物がないか探して欲しいと頼む。通話を切ったアスガーはしばし思考した後、イーベンの携帯へ電話をかけた。彼女は電話に出たが、情報を引き出せずミケルによって電話が切られてしまう。
イーベンのことが気になって仕方ないアスガー。他の通報にはおざなりに対応。直後、イーベンから通報が入る。彼女は閉じ込められたくないと泣き始め、どうにか聞き出したところによるとどうやら車の貨物室に入れられた様子。彼女はパニックに陥ってアスガーの言うことを聞かない。どうにか、詳細を聞き出したい。イーベンが落ち着くよう話を聞き出す。すると、車が止まった。イーベンはミケルを酷い男だと言い、自らの罪を話し始める。赤ん坊が蛇を怖がって泣き止まないので、静かにさせたと言う。その話に愕然としてしまうアスガー。通話はミケルが彼女を連れ出した後、切れてしまった。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』の結末・ラスト(ネタバレ)
予想とは違う真実にしばし、愕然とするアスガーだったが、そこへラシードから連絡が入る。山のような郵便物から必要な情報を見つけ出したらしい。ミケルは暴行罪での服役経験があったために親権訴訟にて訪問権を失っていた。こればかりは自業自得としか言いようがないが、シェラン島北部にあるのは精神科病院らしい。イーベンが以前、入院していたようでヘルシンオアにあった。これまでの情報が全て繋がっていく。
調べると確かに北シェランには精神医療センターがあった。アスガーはミケルへ電話し、彼になぜ真実を明かし通報しなかったのかを聞く。すると、彼は今まで誰に助けを求めても、助けてはくれなかったと嘆く。ミケルは妻が息子を殺害したのを目にして絶望した後、全てに片をつけようと考えたと言う。イーベンを助けたかったが、できなかった。妻は自分が何をしたか分かっていない。息子を殺して助けたと思い込んでいる。ミケルはそう言うと通話を切った。
イーベンはミケルを殴って逃走したらしい。携帯電話に連絡を入れたが、繋がらなかった。アスガーは勝手な思い込みをしてしまった自分に憤る。ラシードがその後の進展を聞きたがり電話をくれたが、彼には明日の法廷で自分のために嘘の証言をしなくてもいいと話した。だが、すでに供述書で嘘をついてしまっている。今更、覆すことも難しく互いに家へ帰ろうと話し合った。
すると、そこへイーベンからまたも通報が入る。アスガーを指名しているらしく、通話を代わった。イーベンは冷静になり、息子を殺したことをようやく自覚した様子。彼女は罪の呵責に耐えられず、橋の上から飛び降りようと考えている。そこで、アスガーは自分も罪を犯したと告白。彼は19歳の青年を、正当防衛を装って殺してしまったのだ。そうして、嘘の供述をしてラシードと共謀。法廷で偽証するつもりだった。
イーベンを説得したアスガーだったが、彼女はパトカーのサイレン音を聞いて、それきり通話が途切れてしまう。その後、何度もイーベンに電話をしたが、留守番電話に繋がる。担当地区の警察に連絡を入れると、イーベンは警察へと自ら出頭して来たと言う。
ほっと息を吐いたアスガーは同僚が見守る中、おもむろに通信室を出て廊下の先へ向かう。そして、携帯電話で電話をかけ扉の先へと向かうのだった。
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
電話室の中だけで展開される90分なのに、こんなにも緊張感とドラマが詰まっているとは驚きでした。主人公アスガーは正義感から被害者を救おうとするが、その思い込みが事態を悪化させていく。最終的に“犯人”だと思っていた男が被害者であり、子どもに手をかけたのは母親だったという事実が明かされた時の衝撃は今も忘れられません。(20代 男性)
ワンシチュエーションでここまで人間の内面を掘り下げる映画があるとは思わなかった。視覚に頼らず、音と声だけで物語が進む緊張感がすごい。アスガーの過去の罪や焦りが、彼の言動に影を落としていて、タイトルの“GUILTY”が誰を指しているのかが最後に効いてきた。とても静かだけど、心がざわつく映画でした。(30代 女性)
音だけで描くサスペンスという斬新な試みに惹かれて鑑賞。最初は通報者を助ける“ヒーロー”的存在だったアスガーが、次第にその判断が誤っていたことに気づいて崩れていく過程がリアルだった。自分の過去の罪とも向き合い、最後には人として成長する姿に静かな感動がありました。良い意味で予想を裏切られる良作です。(40代 男性)
この映画は“音”の使い方がすごく上手。電話の向こうの世界が頭の中に映像として浮かび、アスガーと一緒に息を飲むような感覚でした。とくに子どもが「ママは天使をお腹から出した」と話すシーンでは、何が起こったのかを想像して鳥肌が立ちました。視覚的演出なしでここまで想像力を刺激してくれる映画は本当に稀有。(50代 女性)
シンプルな舞台設定だからこそ、脚本と演技の力が問われる作品だと思う。その点で『ギルティ』は完璧に近い出来。アスガーの声の抑揚や沈黙にすら意味がある。彼が抱えている過去の罪と、目の前の事件がシンクロしていく展開には引き込まれました。最初から最後まで一切退屈しなかったし、観た後に色々考えさせられる映画です。(10代 男性)
たった一部屋、たった一人の男、たった一本の電話。それだけでここまでドラマを生み出せるなんて信じられない。アスガーの表情や手元の動き一つ一つが緊迫感を高め、観客を彼の主観に閉じ込めていく。物語が進むにつれて“真実”が崩れていく様が恐ろしく、同時に人間の判断の危うさを突きつけられるようでした。(60代 男性)
最初は淡々とした通報対応に見えていたけれど、母親が加害者であると判明してからの緊迫感が凄まじい。アスガーが自分の過去の誤ちと向き合っていく姿は、まさに“贖罪”の物語だった。電話越しの世界なのに、登場人物たちの感情が手に取るように伝わる脚本が見事。何も見せずにここまで伝える映画は本当に珍しい。(30代 男性)
普段観るサスペンス映画とは一線を画す静けさ。でもこの“静けさ”が逆に不安を煽り、どこまでも張り詰めた緊張が続く。アスガーの声と息づかいだけで心が動かされ、事件の“真実”が明かされたときには言葉を失いました。人間の短絡的な判断がいかに危険かを訴える作品であり、まさにタイトル通り“GUILTY”なのは彼自身でした。(40代 女性)
音だけの演出でここまで感情を揺さぶる映画は初めてだった。視覚に頼らない分、想像力が試されるけど、それが逆にリアリティを増していた。アスガーが被害者と思い込んでいた女性が、実は加害者だったと気づくシーンは震えるほどの衝撃。最後、彼が自分の罪と向き合う決断をした瞬間に静かに涙が出ました。(50代 男性)
ミニマルな構成の中に、サスペンス・ヒューマンドラマ・心理劇すべてが詰まっている傑作。アスガーが全てを“わかったつもり”になって行動し、取り返しのつかない選択をしてしまうところにリアリティがある。私たちも日常で同じことをしていないか、考えさせられました。ラストの救いも希望も、自分でつかみにいくものなんだと感じました。(20代 女性)
映画『THE GUILTY/ギルティ(2018)』を見た人におすすめの映画5選
ロック/LOCKE
この映画を一言で表すと?
一台の車中で人生が崩壊していく、極限のリアルタイム・ドラマ。
どんな話?
建設現場の責任者ロックは、ある決断をきっかけに車で長距離を走る中、電話越しで家族・仕事・浮気相手との関係が崩れていく。物語のすべてが車内のみで進行し、言葉だけでドラマが展開する異色の一作。
ここがおすすめ!
『THE GUILTY』と同様、空間を限定しながらも極限の緊張感と人間ドラマを描く作品。トム・ハーディの一人芝居は圧巻で、声と表情だけで物語を紡ぎ出す演技力に魅了されます。サスペンスというより心のドラマとして観てほしい作品です。
フォーン・ブース
この映画を一言で表すと?
たった一本の電話が命取りに──息もつかせぬ心理サスペンス。
どんな話?
電話ボックスに入った男が突然見知らぬ人物から命を脅かす電話を受け、外に出ることも助けを呼ぶこともできない極限状態に追い込まれていく。相手は男の秘密を全て知っていて、逃げ場はない。
ここがおすすめ!
リアルタイムで進む閉鎖空間サスペンスという点で『THE GUILTY』と共通。視覚的制約がある中で展開される心理戦と、声だけの脅威がもたらす恐怖は、観客の想像力を強烈に刺激します。短時間で密度の高いドラマを楽しみたい方に。
ブロー・ザ・マン・ダウン~女たちの協定~
この映画を一言で表すと?
静かな田舎町に隠された“真実”をめぐる、女性たちの犯罪劇。
どんな話?
母を亡くした姉妹が、偶然巻き込まれた殺人事件を隠そうとする中で、町に潜む闇が明るみに出ていく。小さなコミュニティに蔓延る秘密、駆け引き、そして女性たちの知恵と連帯が描かれる。
ここがおすすめ!
『THE GUILTY』が“声と密室”なら、こちらは“静けさと連帯”でサスペンスを成立させています。多くを語らずとも伝わる演出と、じわじわと迫る恐怖の描写が共通点。女性たちの強さと脆さが際立つ良質なサスペンスです。
セッション9
この映画を一言で表すと?
廃病院で起こる精神的崩壊を描く、不穏と狂気の心理ホラー。
どんな話?
解体作業中のチームが、精神病院跡地で不気味な録音テープを発見し、少しずつ精神的な異常に蝕まれていく。登場人物たちのトラウマや秘密が重なり、やがて事件が起きる。
ここがおすすめ!
音と声を重要な要素として使い、想像力に訴える演出が『THE GUILTY』に通じます。直接的な描写を避けつつ、観る者を精神的に追い込んでいくスタイルが特徴で、余韻の残るサスペンスホラーを探している方におすすめ。
スティル・ライフ オブ・ジョン・メイ
この映画を一言で表すと?
孤独を見つめ続けた男が“誰かの人生”と出会う、静かな感動作。
どんな話?
孤独死した人々の埋葬や遺族探しを仕事にしているジョン・メイ。形式的な仕事に淡々と取り組んできた彼が、ある男性の死をきっかけに“誰かのために動く”ことの意味を見出していく。
ここがおすすめ!
『THE GUILTY』が自分の罪と向き合う物語なら、こちらは“無縁”を受け入れた男が人間らしさを取り戻す静かな贖罪劇。地味ながら心に染みるヒューマンドラマで、内省的なストーリーを求める方にぴったりです。
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