映画『THE QUAKE/ザ・クエイク』の概要:ノルウェーのディザスターパニック映画『THE WAVE/ウェイヴ』の続編。前作と同様のキャストで、今回は首都オスロに大地震が襲う。地質学者の友人が崩落事故で亡くなり、彼を偲んだ主人公。だが、友人が調査していた資料から恐るべき予測をし、家族を救うため、奔走する。
映画『THE QUAKE/ザ・クエイク』の作品情報
上映時間:108分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:ヨン・アンドレアス・アナスン
キャスト:クリストッフェル・ヨーネル、アーネ・ダール・トルプ、ヨナス・ホッフ・オフテブロ、エディット・ハーゲンルッド=サンデ etc
映画『THE QUAKE/ザ・クエイク』の登場人物(キャスト)
- クリスチャン・エイキョード(クリストッフェル・ヨーネル)
- 地質学者。3年前の大津波の折、警告を発して多くの人々を助ける。その他にも助けられる人々がいたことに自責の念を感じている。家族と距離を取り、研究に没頭している。コンラッドの研究からオスロを大地震が襲うことを予測する。
- イドゥン(アーネ・ダール・トルプ)
- クリスチャンの妻。3年前の大津波によりトラウマを抱えているが、気丈にも普段の生活を送るよう前向きに過ごしている。夫が自責の念を感じていることを知っているが、拒絶されたことで捨てられたと思っている。
- ソンドレ(ヨナス・ホッフ・オフテブロ)
- クリスチャンの息子でユリアの兄。オスロにて大学生活を送っている。恋人と楽しい時を過ごしていたが、父からの連絡やメールで危機を察する。
- ユリア(エディット・ハーゲンルッド=サンデ)
- クリスチャンの娘。まだ幼いながらも家事をするなど、しっかり者。父が大好きで会えない日々で寂しさを募らせている。
- マリット(カトリーネ・トールボルグ・ヨハンセン)
- コンラッドの娘。研究に没頭する父親を見て育つ。亡くなってからは、葬儀の準備に追われているが、クリスチャンと共に調査を手伝う。ユリアを助けてくれる。
- ヨハネス(スティーグ・アンダム)
- ノースター社の地震観測部に所属している。クリスチャンとも旧知の仲だが、彼の忠告を一切、聞こうとしない。
- コンラッド(ペール・フリッシュ)
- 地質学者でクリスチャンの友人。一人娘を守るため、オスロを襲う大地震の危険を長年に渡って調査していた。トンネルの崩落事故に巻き込まれ亡くなる。
映画『THE QUAKE/ザ・クエイク』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『THE QUAKE/ザ・クエイク』のあらすじ【起】
ノルウェー、ガイランゲル。巨大津波の災害から3年後、地質学者のクリスチャン・エイキョードは家族の生活拠点を首都オスロへと移し、自分はガイランゲルに残って研究に没頭する日々を送っていた。クリスチャンは3年前の津波から大勢の命を救ってはいたものの、もっと大勢の人々を救えたのではないかという自責の念に駆られており、離れて暮らす家族との間にも距離ができていた。
ある日の夜、オスロ中心部から29キロ離れたオスロフィヨルド・トンネルにて崩落事故が発生。犠牲者は2名だったが、そのうちの1人がクリスチャンの友人でもあり、同じ地質学者のコンラッドだったことが分かる。
そこで、クリスチャンはスマホのメールや小包が、当のコンラッドから届いていたことを思い出す。小包の中身は近年、オスロ周辺で発生した地震に関する書類が数多く入っていた。
コンラッドは100年前にオスロを襲った大地震の再発を危惧して調査していたのだ。
オスロには現在、クリスチャンの家族が住んでいる。もし、コンラッドの予想が現実になるとすれば、家族だけに留まらず3年前の大津波よりも多くの被害者が出るだろう。だが、この予想はまだ事実とは程遠い。しばし、思い悩んだクリスチャンは翌日、オスロへ向かうことにした。
オスロ中心部にあるノースター社へ向かい、周辺にて発生したと思われる震動を確認。ところが、ノースター社での計測器では震動を感知しておらず、記録にも記載されていない。その上、地震の予測はできないと旧知の仲である主任のヨハネスから言われてしまう。
その後、クリスチャンはコンラッドの自宅を訪ねた。そこで、友人が何を調査していたかを目にすると崩落事故があった日、工事による爆破が行われたかを調べるようヨハネスへ連絡した。
映画『THE QUAKE/ザ・クエイク』のあらすじ【承】
オスロ中心部から1.2キロ。ガムレビェンにクリスチャンの家族が住んでいる。家の前で長男のソンドレと遭遇し自宅へ。妻イドゥンとは3年ぶりの再会だったが、その夜は久々に笑い合った。そこで、クリスチャンは妻へと重大な事実を話そうとしたが、上手く話すことができなかった。
翌日もコンラッドの書斎へ。友人が長年、調査していた事象と向き合う。コンラッドにはマリットという娘がおり彼女は現在、父親の葬儀の準備をしていた。マリットは父親の提唱はいつも当たらないと言っていたが、クリスチャンにしてみればコンラッドも1人の父親である。きっと彼は娘を守るために必死で研究を続けていたに違いない。マリットを説得したクリスチャンは、一緒に崩落事故があったトンネルへ向かうことにした。
バリケードを勝手に開けて崩落現場へ。一通り現場を見たクリスチャンは、トンネルのドアに気付き中へと入った。洞窟のような道を進むと、ハシゴが設置された場所に着く。ハシゴを登ると上部には空間ができていた。
その日の夜はユリアが出演する演劇を観に行く約束をしていたが、トンネル調査で遅くなってしまったクリスチャン。イドゥンから電話が入り会場へ向かっていると話す。すると、直後に停電が発生。異変を察したイドゥンが周辺を見渡していると、異様な音と共に一瞬だけ地面が大きく揺れる。
異変はクリスチャンとマリットも感じていたが、それきりイドゥンとは連絡が取れなくなってしまう。2人は中心部へと向かっていたが、そこで首都の明かりが全て消えているという異様な光景を目にするのだった。
妻と娘がいるはずの演劇ホールへ到着したクリスチャンは、イドゥンの携帯へ着信を入れる。どうにか繋がり家に戻る途中だと聞いて一安心した。
そこへ人込みの中、ホールへ向かうヨハネスを目にしたクリスチャン。彼を追って中へと入る。オスロでは建物を支える土台として山奥にある岩盤を加工して利用していたが、少しの衝撃でも粉々になってしまうほど、非常に脆いものだった。コンラッドはこのことに気付き、調査を続けていたのだ。岩盤は演劇ホールの土台としても使われており、恐らく首都全体でも同様と思われる。この件についてヨハネスに迫ると、建築ミスなだけで地震ではないと言い張るのだった。
映画『THE QUAKE/ザ・クエイク』のあらすじ【転】
ホールから出てマリットに帰宅を促す。クリスチャンも家へと帰宅したが、自責の念に絡め取られているクリスチャンに妻は大災害から助かっただけでも幸運だったのだと言い、夫を慰めるのだった。
翌日、マリットは父親の書斎を片付けようとしてPCに触れてしまう。彼女は画面に現れたものを携帯で撮影し、急いでクリスチャンの家へ向かった。それはトンネルの扉の中に置いたマウスの映像だ。各所に設置したマウスは1匹が突如、死んでしまう。クリスチャンは映像を目にして最悪の事態を予測してしまう。
マウスは岩盤の亀裂から発生した有毒ガスによって死亡したと思われる。それは100年前の大地震と同じ予兆で、その後には湖水爆発が起こりオスロを大地震が襲う。これは間違いようもない。クリスチャンはユリアとマリットを連れて外へ。途中、大学へ行ったソンドレの携帯へ連絡を入れるも息子は電話に出ず切ってしまう。
マリットの車に乗り込んだ夫は次にイドゥンへ連絡を入れつつ、会社へと向かった。悠長にしている時間などない。
妻の職場は34階なので、エレベーターに乗り込む。その間、ヨハネスに警報を鳴らすよう電話した。
その頃、車で待っていたマリットとユリア。マリットが目を話した隙にユリアが姿を消してしまう。ふと見上げた彼女は、少女がエレベーターに乗って上階へ向かう姿を目撃するのだった。
34階に到着したクリスチャンは、妻を見つけて逃げるよう促したが、本気にはしない。そこで、彼は妻をエレベーターへ乗せて警報ベルのボタンを押した。ところが、エレベーターのドアが閉まる直前、向かい側のエレベーターからユリアが現れるのを目にしてしまう。警報ベルにより、一度降下したエレベーターは戻らないシステムになっていた。
エレベーターで降下中、突如として停電が発生。やがて、エレベーターのケーブルが撓む不気味な音が聞こえ始める。
大学のソンドレは逃げようと立ち上がったところで揺れが発生。母親のビルのテラスから町の様子を見ているユリアと追いかけて来たマリットも、異常をその目で目撃する。
小高い丘が次々と崩落し、町の至る所で火災が発生。建物は軒並み倒壊し人々を激しい揺れが襲った。第一陣が通り過ぎ、道路は車が走れないほどにでこぼこになり、ビルの硝子は全て割れオスロはすでに壊滅状態であった。
映画『THE QUAKE/ザ・クエイク』の結末・ラスト(ネタバレ)
エレベーターが急降下したことで、床へと激しく叩きつけられたクリスチャンとイドゥン。傷だらけになりながらも、個室から脱出。パニック状態となった妻を落ち着かせ、外へ出る梯子を発見した。
その頃、34階ではマリットとユリアが深手を負った女性を救助。ところが、向かいのビルがこちらへ向けて倒壊して来る。女性を引き摺って急いで逃げたものの、ビルは階下へと直撃。そのせいで現在いるビルが半壊してしまう。階下の支えを失った上階では床が傾き、マリットとユリアが危うく滑り落ちそうになる。どうにか、備え付けのポールに掴まったため、2人とも助かった。
同じ頃、僅かに開いているドアを目指して梯子を上っていた夫婦。切れたケーブルのせいで重りが掠り、イドゥンが右足を怪我してしまう。それでも夫婦は娘を助けるため、協力してドアへ到達。クリスチャンが先にドアの外へ向かうも、エレベーターのストッパーに限界が訪れイドゥンはエレベーターごと落下してしまうのだった。
34階へ戻ったクリスチャン。マリットと娘の無事を確認し、2人の救出へ向かう。ユリアは父の表情からイドゥンが亡くなったことを察し涙に暮れたが、じきに余震がくる。3人は脱出しようとしたが、崩落寸前の階は更に傾きを強めクリスチャンとユリアが落下。幸い、クリスチャンはドア部分に落ちて奇跡的に助かったが、ユリアは割れ残っていたガラス面に落ちてしまう。ヒビが進む中、上からはマリットが向かい父も娘の元へ向かった。瓦礫の落下に伴い、クリスチャンは落下寸前の娘を掴まえる。マリットと協力してユリアを助けた。
その後、無事だったソンドレと合流できたクリスチャンは娘の3人でガイランゲルへ。マリットは父と過ごした家へと無事に戻った。
ノルウェーは欧州でも特に地震活動が多く、全国的にも地震が頻発している。科学者たちは将来的にも大地震がくると断言しているが、それがいつくるかは分かっていない。
映画『THE QUAKE/ザ・クエイク』の感想・評価・レビュー
大津波という災害に襲われる映画『THE WAVE/ウェイヴ』の続編とのことだが、実はそちらの映画を観たことがない。だが、前作を見ていなくても充分、見られる構成になっている。今作は、ただの災害パニック映画とは違い、家族との関係性や災害に遭った後の苦しみを繊細に描いている。故に、災害が襲うまでが長く、終盤に差し掛かる手前でようやく大地震が発生する。
オスロの地下を支える土台がそもそも弱い岩盤を使っているという時点で、もうダメだと思う。100年前にも大地震に襲われているのだから、耐震に力を注がなかったのだろうか。その辺の対応に唖然とした。見応えのある作品だとは思う。(MIHOシネマ編集部)
映画として作られたものなので、頭の片隅で大げさだなと思ってしまう部分はある。でも、東日本大震災のことを思うと、全てが偽りだとも思えなかった。ノルウェーと同じく日本も地震が多い国なので、他人事だと思えず恐ろしい。
クリスチャンと家族の葛藤が、見ていて苦しかった。3年前の津波のことを忘れられないクリスチャンも辛いだろうが、彼を支えきれなかった奥さんも辛かったと思う。イドゥンが亡くなってしまったので、クリスチャンがまた自分を責めなければ良いなと思った。(女性 30代)
日本と同じくらい地震の多い国であるノルウェー。東日本大震災以降、その出来後をテーマにした作品が作られて来ましたが「地震」という同じテーマでも作る国が違うとこんなにも異なる作品が出来上がるのだと驚きました。
日本の作品は地震の裏で戦う人達の人間ドラマをメインに描くことが多いですが、今作は地震そのものの怖さを真正面から描いたパニックムービーになっています。少し過剰に描いたシーンもありますが、大震災を経験した私たち日本人にとっては他人事とは思えない作品でしょう。(女性 30代)
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