「ドラゴンへの道」(原題:猛龍過江、英題:The Way of the Dragon)は1972年の香港映画。主演・監督はブルース・リー。ラストの対決相手にこの作品で脚光を浴びたチャック・ノリス。
映画『ドラゴンへの道』 作品情報
- 製作年:1972年
- 上映時間:99分
- ジャンル:アクション
- 監督:ブルース・リー
- キャスト:ブルース・リー、ノラ・ミヤオ、ウォン・チュンスン、武ウェイ・ピンアオ、チャック・ノリス etc…
映画『ドラゴンへの道』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ドラゴンへの道』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ドラゴンへの道』のあらすじを紹介します。
ローマの中華レストラン「上海」は、土地目当てのギャングに嫌がらせを受け、客も恐がり寄りつかず閑古鳥の鳴く状態が続いていた。父の後を継ぐ女店主のチェン(ノラ・ミャオ)は、故郷の弁護士に相談を持ちかけるが急病で来られなくなり、代理として弁護士の従兄のタン・ロン(ブルース・リー)がやって来る。しかしやってきたのはいかにも香港の田舎青年。言葉も理解出来ずイタリアの習慣に馴染めないタン・ロンにチェンは失望し、レストランの従業員たちも彼に期待を寄せなかった。しかしある日ギャングの一味をタン・ロンは見事な中国拳法であっさりと撃退してしまい、従業員からも尊敬されるようになり、ストイックなタン・ロンにチェンも仄かな気持ちを抱くようになる。
タン・ロンが加わった事でレストランの一同はギャングに立ち向かう決意を固めるが、チェンの叔父であるワンだけがもめ事を嫌って反対する。やがてギャングの手口は次第にエスカレートしてゆくが、タン・ロンの拳法で返り討ちにされるばかりで、ギャングのボスは窮余の一策で拳法の達人を雇い入れる。その中でもアメリカから呼び寄せたゴードン(チャック・ノリス)は、他の用心棒に比べ圧倒的に格の違いを見せつけた。敵の罠によりレストランの一同は外におびき出され、ワンの裏切りによって犠牲者が出る。そしてコロッセオに誘い込まれたタン・ロンは、そこに待ち受けるゴードンと一対一の決闘に臨む。
映画『ドラゴンへの道』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ドラゴンへの道』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ブルース・リー作品の中で一番印象深い映画
主人公のタン・ロンはおっちょこちょいで、シャイな笑顔が魅力の純朴な青年である。表向きの一面だがブルース・リーの役作りにおいて、最も人間臭さを感じられる人物像で印象深い。一人でレストランに入るもメニューの字が読めず、適当に頼んだ挙げ句に出て来た料理が全部スープだったというシーンには、ブルース・リーの遊び心が出て微笑ましい場面である。ノラ・ミャオが演ずるチェンもその田舎者振りに呆れるのだが、最初のコミカルなシーンから徐々にシリアスな方向へ展開してゆく内に、秘かな恋心みたいな心境を表し、陳腐なストーリーの中に華を添えている。初監督としてのイタリアロケで一般社会に溶け込んだドラマ作りに、ブルース・リーが新たなチャレンジで臨んだ心境が垣間見えるシーンが多い。
高倉健・武田鉄矢のための映画
拳法の凄まじさを前面に押し出すのではなく、最後のコロッセオにまとめて爆発させている作りから、監督と主役を兼任したブルース・リーのこだわりが見えてくる。ストーリーの間で見せてくれるヌンチャクや棒術などの見せ所もじっくりと堪能できる。敵の強さがエスカレートしてゆくのは格闘映画の王道として、ここでのコロッセオという古代ローマの格闘場で決闘する場面は、念入りにウォームアップをする二人の物言わぬシーンから異様な緊迫感が流れ、ブルース・リーの惚れ惚れするような肉体の躍動感がクローズアップされる。クライマックスは準備に準備を重ねた格闘家同士の決戦であり、暴漢と乱闘するシーンとは一線を画した、格調高い名シーンとして映画史上に光を放っている。
映画『ドラゴンへの道』 まとめ
ブルース・リーの映画は格闘技のスケールから「燃えよドラゴン」が代表作として上げられるが、この「ドラゴンへの道」はラストでの戦い方の質が違う。悪人というイメージの薄いチャック・ノリスという技術に秀でた格闘家を相手に迎え、正々堂々と試武を行う武術家としての精神に、観る側も襟を正して向かわざるを得ない。ストイックなブルースの生き様が凝縮されており、誰もが憧れてしまう男としての美学に満ち溢れた作品である。
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