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映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』の概要:商売仲間の常三郎は“俺が死んだら女房を嫁にもらってくれ”と寅さんに遺言を残す。寅さんはその後間もなくして未亡人になった常三郎の妻と所帯を持つことを本気で考えるのだが…。薄幸のマドンナに音無美紀子を迎えた「男はつらいよ」シリーズ第28作目。

映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』の作品情報

男はつらいよ 寅次郎紙風船

製作年:1981年
上映時間:101分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:山田洋次
キャスト:渥美清、倍賞千恵子、音無美紀子、岸本加世子 etc

映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』の登場人物(キャスト)

車寅次郎(渥美清)
生まれも育ちも東京は葛飾柴又。人呼んで「フーテンの寅」。テキ屋稼業を生業とし、全国を旅して歩いている。たまに故郷の柴又へ帰ってきて、毎回騒動を起こす。わがままな一面もあるが義理人情に厚く憎めない男。年がら年中恋をしている。
諏訪さくら(倍賞千恵子)
寅さんの腹違いの妹。タコ社長の印刷工場で働く夫の博と小学生になる息子の満男と三人暮らしだが、おいちゃんおばちゃんのいる「とらや」で過ごすことが多い。優しく思慮深い女性で、寅さんのことをいつも心配している。
倉富光枝(音無美紀子)
寅さんの商売仲間・カラスの常の女房。福岡県の秋月で常三郎と暮らしていたが、常三郎の死後、東京へ出て来る。苦労してきた女で、妙に色っぽい。
小田島愛子(岸本加世子)
静岡県の焼津で暮らす18歳の元気な娘。家出中に大分県の夜明で寅さんと出会い、すっかり寅さんに懐いてしまう。腹違いの兄・健吉(地井武男)はマグロ漁船の漁師。

映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』のあらすじ【起】

秋。帝釈天参道にあるとらやではみんなで寅さんの噂をしていた。そこへ寅さんがフラリと帰って来る。少々気にくわないことがあってすぐに旅立つと言い出した寅さんをなだめるため、妹のさくらは柴又小学校の同窓会のハガキがきていることを告げる。同窓会が今日開かれることを知り、寅さんは機嫌を直して同窓会へ向かう。

その夜、泥酔した寅さんは同級生の安夫に送られてとらやへ帰って来る。未だにヤクザな暮らしをしている寅さんは堅気の同級生たちから冷たい扱いを受けたようだ。クリーニング店の仕事が残っている安夫が帰ろうとしたので、寅さんは“お前のケチな店が潰れたって、世間はどうってことない”と暴言を吐く。これには人のいい安夫も腹を立て、悔し涙に暮れながら帰ってしまう。翌朝、反省した寅さんは旅に出る。

大分県の夜明へ商売に来た寅さんは、その夜旅館で愛子という家出娘との相部屋を頼まれる。身構えている愛子に寅さんは優しく語りかけ、自分の名を名乗る。安心した愛子は態度を急変させ、ハイテンションで騒ぎ出して寅さんを閉口させる。愛子は50も過ぎてまた新しい男を作った母親と喧嘩をして静岡県の焼津から家出してきた。唯一頼りになる腹違いの兄・健吉はマグロ漁船の漁師なので半年に1回しか帰ってこない。寅さんはすっかり自分に懐いてしまった愛子を、どうしても突き放せなかった。

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映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』のあらすじ【承】

愛子を連れてとある神社のお祭りで商売をしていた寅さんは、斜め向かいに店を出していた女から声をかけられる。女は寅さんの古い商売仲間の常三郎の女房・光枝だった。常三郎は体を壊して3ヶ月前から入院しているのだという。寅さんは光枝に見舞いへ行くことを約束する。

数日後、寅さんは福岡県の秋月にある常三郎の自宅を訪ねる。光枝はすぐ買い物へ走り、ちょうど自宅へ帰っていた常三郎と寅さんは男同士で話をする。常三郎は光枝との馴れ初めを語り、寅さんに折り入って頼みがあると言い出す。それは自分に万が一のことがあったら、光枝を寅さんの女房にしてやって欲しいというとんでもない頼みだった。寅さんは笑って流そうとするが、本気で“約束して欲しい”と詰め寄る常三郎の気迫に押されて“約束するよ”と答えてしまう。

帰り道。光枝は寅さんにだけ常三郎がもう長くはないのだと告げる。光枝は涙ぐみながら“寅さんが会いに来てくれた最後の友達よ”と言って帰って行く。寅さんの耳に悲しい笛の音が聞こえてくる。それは去りゆく光枝の泣き声だった。

その夜、物思いに沈んでいた寅さんは愛子と酒を飲み、翌朝、愛子に置き手紙を残して姿を消す。

映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』のあらすじ【転】

寅さんは柴又へ帰っていた。さくらやおばちゃんたちに“いつもありがとう”と柄にもないことを言う寅さんのことをみんなは不審がる。あれから間もなくして死んだ常三郎の一件で、寅さんは人生の儚さを思い、自分がみんなの善意に甘えてきたことを深く反省したらしい。夜、茶の間でそんなことを寅さんが語っていると、突然愛子がやってくる。寅さんは喜んで愛子を迎えるが、事情のわからない一同は困惑する。

愛子の母親に連絡しても他人事のような話しぶりで、おいちゃんたちはどうしたものかと頭を悩ませていた。そこへ大きなマグロを担いだ健吉がすごい剣幕で入って来て、いきなり愛子を怒鳴りつける。愛子のために必死で働いている自分の気持ちがなぜわからないのだと言う健吉に、愛子は“だって兄ちゃん、家にいないじゃないか”とワンワン泣き出す。それでも愛子は泣くだけ泣いたら、健吉の車に乗って大人しく帰って行った。

しばらくして、寅さんに光枝からハガキが届く。光枝は東京の小さな旅館で働いていた。寅さんはすぐに光枝を訪ね、無理をしないでしばらくとらやに来てブラブラしていろと、いたわりの言葉をかける。天涯孤独の光枝はそんな寅さんの優しさに涙ぐむ。寅さんは忙しそうな光枝を気遣い、“次の休みには必ずとらやへ来いよ”と声をかけて帰る。

映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』の結末・ラスト(ネタバレ)

その晩から寅さんは本気で光枝と所帯を持つことを考え始め、とらやの一同を混乱させる。ついにはおいちゃんの背広を借りて就職試験まで受けてきて、一同は寅さんが本気で堅気になるつもりなのだと驚く。

約束の日。光枝がとらやへやって来る。一同はあの寅さんを真人間にした女性に興味津々だった。幼い頃から苦労をしてきた光枝は、よく気がつく気立てのいい美人で、一同は“この人なら!”と納得する。しかし寅さんはいざ光枝を目の前にすると完全に落ち着きを失い、まともに話もできない。あっという間に光枝が帰る時間になってしまい、寅さんは柴又駅まで光枝を送っていく。

別れ際。光枝は寅さんに常三郎が変なことを言わなかったかと尋ねる。常三郎は死ぬ間際に光枝へ“もし俺が死んだら寅の女房になれ”と遺言していた。寅さんは本気でそんな約束をしたのかと聞かれ、思わず“適当に相槌を打っただけだ”と答えてしまう。寅さんの優しさに惹かれていた光枝は寂しそうに笑い、それを聞いて安心したと言って帰っていく。とらやへ帰った寅さんには就職試験を受けた会社から不採用の通知まで届いており、寅さんもまた寂しそうに笑って旅に出てしまう。

正月。とらやを訪ねた光枝は、忙しい店を手伝っていた。愛子は焼津港で出航する健吉を見送っていた。誰かに肩を叩かれて振り返ると、そこにはにっこり笑った寅さんがいた。

映画『男はつらいよ 寅次郎紙風船』の感想・評価・レビュー

寅さんシリーズにはいくつか話のパターンがあるが、今回は実はヒロインにも好意を持たれているのに寅さんビビって逃げてしまうパターンだ。これがまたせつなくて良い。いつも片想いで自分はモテないと思っている人程、いざ相手からも好意を寄せられるとどうしたらいいか分からなくなって身を引いてしまうところ、あるのではないだろうか。こういうところがまた、寅さんが多くの人の共感を呼び愛されるところなのかもしれない。
本筋のせつなさと対照的な、岸本加世子の元気なエピソードもほっとする。(男性 40代)

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