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映画『引き裂かれたカーテン』あらすじ&ネタバレ感想

時は1990年代中盤、アメリカとロシアによる冷戦が続いている中で、核兵器の開発は互いの軍事力を指し示すものとして積極的に進められていた。互いに一国を掛けて核開発を進める中で、双方の情報を収集しようとする諜報員は少なくなかった。本作品は大学教授を諜報員として見立てたサスペンス映画である。

映画『引き裂かれたカーテン』 作品情報

  • 製作年:1966年
  • 上映時間:108分
  • ジャンル:サスペンス
  • 監督:アルフレッド・ヒッチコック
  • キャスト:ポール・ニューマン、ジュリー・アンドリュース、リラ・ケドロバ、Hansjoerg Felmy、タマラ・トゥマノヴァ etc…

映画『引き裂かれたカーテン』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『引き裂かれたカーテン』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『引き裂かれたカーテン』のあらすじを紹介します。

第二次世界大戦の集結後、資本主義国のアメリカと共産主義国のロシアの間では長期間に渡る冷戦が続いていた。アメリカとロシアは直接的な軍事力の行使を行わず、その代わりに核兵器の開発およびその所持によってお互いを牽制し合っていた。

アメリカのアームストロング教授は国際物理学会議に出席するため婚約者のシャーマンと共にデンマークへ向かっていた。しかし、それは名目にすぎず、アームストロングの真の目的は秘密核兵器「ガンマ5」の開発計画のヒントを得ることであった。彼の理論では何度実験してもガンマ5が成功したことがなかったのである。

そうとは知らず、デンマークに一緒に来ているシャーマンはアームストロングの行動を怪しみ、彼がいったい何をしようとしているのかと疑心暗鬼に襲われる。それでも、彼のそばにいたい彼女は東ベルリンへと彼とともに足を踏み入れる。

東ドイツに到着したアームストロングは、会見で「核攻撃にも耐える迎撃ミサイルの開発計画」を実行し、「核戦争の恐怖を廃絶したい」と嘘をつき、東ドイツのライプツィヒにいるリント教授に助力することを発表する。リント教授はロシアでの核兵器実験に成功していたのである。彼の頭の中の数式を手にいれるため、彼はライプツィヒへ向かう。

果たしてアームストロングはリント教授からヒントを得ることができるのか。また、不本意にも同行することとなった婚約者のシャーマンと共に無事に帰国することができるのであろうか。

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映画『引き裂かれたカーテン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『引き裂かれたカーテン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

東ドイツの貧しさを象徴するシーン

中盤、アームストロングが諜報員の「π」に会いに行くシーンがある。この「π」は農場で働く農夫であり、広大な土地を農機で耕している。妻も居る「π」だが、二人が暮らす農家がなんとも見るからに貧しい生活を語っている。また周囲も何もなく電柱だ立っているだけである。「π」に会いにいく前に、アームストロングとシャーマンが泊まっているベルリンのホテルと比べるとこの貧しさが顕著に分かるだろう。

アメリカは憧れの街?!

ライプツィヒから東ドイツへとなんとか無事にたどり着いたアームストロングとシャーマン。郵便局を探していた2人はドイツ人に場所を尋ねる。

そんな姿を見て話しかけてきたのはポーランド人のクチンスカ伯爵夫人。
急ぐ2人を珈琲店に連れ込み、アメリカへ行くための保証人になって欲しいと言う。ドイツから出国するのは可能だが、アメリカへ入国するには保証人が必要だと嘆く。
彼女にとってアメリカは憧れの街。東ドイツはひどい国だと批判している。
果たして、彼女はアメリカに行って何をするのだろうか。

「出国できるの?」と尋ねるシャーマンに対して「年寄りは必要ないのよ」というクチンスカ。東ドイツでは労働力に成り得ない年寄りは邪魔者扱いだったのだろうか。
いずれにせよ、西ドイツを通り越してアメリカへの移住に憧れる彼女の登場によって東ドイツでの生活の過酷さを感じとることができたように思う。

船に居た美女は誰??

作品の終末間近、アームストロングとシャーマンがバレエ劇団の荷物に隠れ東ドイツからの出国に成功する。しかし、荷卸しする船員の姿を見た美しい女性が二人が隠れていることに気付き船員に忠告する。彼女は出国前に二人が見ていたバレエ劇団のプリマであり、なんと冒頭の飛行機でシャーマンの隣に座っているのである!飛行機から降りる際も、取材陣が自分へのものだと勘違いした彼女はアームストロングの顔もシャーマンの顔もばっちり覚えていたのである。だから、バレエを鑑賞していたアームストロングに気付けたのである。女の嫉妬は怖いですね・・・


スパイ物といえば冷戦時代。若い人にはその雰囲気が伝わりにくいかもしれないが、ある程度基礎知識があると楽しめる作品がたくさんある時代だ。この作品はそんな冷戦のただ中に撮られているので、文字通り鉄のカーテンの向こうである東ドイツの様子はあくまでも想像だ。しかしそれはそれで創造物として面白い。映像的にもストーリー的にも今となっては稚拙に映る部分も少なくないが、サスペンスとしての娯楽性は十分にある。本当のスパイがこれでは困るがある種の軽さのおかげですっきり観れる。(男性 40代)

映画『引き裂かれたカーテン』 まとめ

全体を通してアメリカとロシア間における冷戦についての知識がないと理解できない点が多い。

例えば、「ガンマ5」とは何を指しているのか。核兵器の開発がなぜ必要なのか。なぜアメリカの大学教授が東ドイツに潜入する必要があるのか。当時のドイツ人にとってアメリカ人がどういう存在であるのか。また、東ドイツからの出国手続きがいかに手間のいることだったか。など、当時の国際関係や社会事情についてある程度知っておく必要がある作品だった。

しかし、冒頭のアームストロングとシャーマンのイチャつきぶりといい、劇中の音楽といい、物語の締めくくりといい、作品自体は明るく軽快な音楽とブラックジョークを交えた台詞があり、見終わっても爽快感がある。

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