映画『憑神(つきがみ)』の概要:浅田次郎の小説「憑神」を原作とした、2007年に公開された作品。三囲稲荷と間違って三巡稲荷に手を合わせたことから、貧乏神、疫病神、死神に憑りつかれてしまった江戸の青年の奇妙な生活を描いた。
映画『憑神(つきがみ)』 作品情報
- 製作年:2007年
- 上映時間:107分
- ジャンル:時代劇
- 監督:降旗康男
- キャスト:妻夫木聡、夏木マリ、佐々木蔵之介、鈴木砂羽 etc
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映画『憑神(つきがみ)』 評価
- 点数:60点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『憑神(つきがみ)』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『憑神(つきがみ)』のあらすじを紹介します。
時は幕末。
代々将軍家の影武者をしてきた別所家の彦四郎は、井上家に婿養子に入ったものの離縁させられ、今は実家で長男の佐兵衛夫婦に邪魔者扱いされている。
出世した友人が、かつて向島の三囲(みめぐり)稲荷に祈願したと聞き、彦四郎も祈願に行くよう、行きつけのソバ屋の主人から勧められる。
しかし酔っぱらった彦四郎は、藪の中にあった三巡稲荷の社を、三囲稲荷の分社と勘違いして祈願する。
翌日、伊勢屋という男に出会い、彼が三囲稲荷の福の神だと信じる彦四郎だったが、正体は貧乏神だと告げられる。
“三巡稲荷”が勘違いだったとわかり取り消そうとするが、伊勢屋はできないの一点張り。
もののけが見える井上家の使用人、小文吾から離縁の原因は義父の画策だったと教えられた彦四郎。
貧乏神から逃れる“宿替え”という、他人に不幸をなすりつける方法があると聞かされ、井上家に貧乏神を押し付けてしまう。
やがて、役目を果たそうとしない佐兵衛から、別所家の役目を引き継ぐことになった彦四郎。
体調が優れない彦四郎は相撲取りの九頭龍に出会うが、彼は疫病神だった。
修行中の小文吾が助けに現れるが、疫病神には歯が立たない。
だが、彦四郎の誠実さに心を打たれた疫病神は、兄の左衛門に宿替えしてしまう。
疫病神と別れた後、おつや、という少女に出会った彦四郎。
彼女は三巡稲荷の最後の使者、死神だった。
彦四郎は、死神と真っ向からぶつかる覚悟を決める。
映画『憑神(つきがみ)』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『憑神(つきがみ)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
個性派キャストの演技がすごい
演技派のキャストを多くそろえた豪華な作品。
主演の妻夫木聡は2役演じていて、将軍家の影武者をしてきた別所家の次男で主人公の彦四郎と、将軍徳川慶喜としても登場する。
だらしない兄の佐兵衛役には佐々木蔵之介、井上家の使用人でもののけが見え、彦四郎を慕っていている小文吾役は佐藤隆太、歴史上の人物としても有名な勝海舟を演じたのは江口洋介。
そして3人の神様、貧乏神は西田敏行、疫病神は赤井英和、死神は「ちびまる子ちゃん」の実写版でも有名な子役、森迫永依が演じた。
アクが強い役者ばかりで、入れ替わりに登場する3人の神様は別としても、出演シーンが少ない江口洋介は見せ場がほとんどなくもったいない。
また、宿替えした貧乏神が井上家を火事にした後、小文吾がもののけ退治の修行をして彦四郎を守ろうとするが、全く役に立っていないうえ、もののけが見えるという設定自体も説明不足で取ってつけた印象を覚える。
疫病神に「能天気だから死にはしない」と言わせる強烈なキャラクターの左兵衛を演じた、佐々木蔵之介の演技には笑いが止まらない。
前半と後半のストーリーの温度差
前半での貧乏神と疫病神を追い払うのがすんなり過ぎていて、コメディタッチに描かれているせいか、後半での死神おつやとのストーリーに入り込みにくい。
また、彦四郎の優しさに心打たれたおつやが、一度しか出来ないという宿替えを徳川慶喜にしてから、再び彦四郎に戻す部分が曖昧すぎて理解に苦しむ。
それでも死神のおつやが彦四郎を好きになってしまい、死神と心中という素っ頓狂なストーリーになっていくのは面白い。
影武者が逃げ出した慶喜の代わりに戦に向かうという設定もいいが、慶喜公に付いているのが小文吾一人だけ、というのはツッコミどころ。
こういう作品は大当たりか大ハズレかどちらかなのであまり期待せずに鑑賞しましたが、個人的にこの作品はなんとも言えない微妙な作品でした。
前半はコメディータッチな物語の進み方なので、社を間違えてしまった可哀想な男が貧乏神、疫病神に取り憑かれてしまうという負のパートと、他人に憑神をなすり付けて不幸を回避すると言う挽回のパートのギャップが面白く見られました。
後半の展開は賛否分かれると思いますが、私は全く理解出来ず少し残念だったなと思います。(女性 30代)
映画『憑神(つきがみ)』 まとめ
原作者の浅田次郎が特別出演していて、崩れかけた社の中からおつやが“おじちゃん”こと彦四郎について話し始める、というラストシーンは、もう一度作品を見たくなるような気分にさせる、上手い演出。
勝海舟や榎本釜次郎(榎本武揚)といった実在の人物を登場させたり、榎本釜次郎に至っては留学先をオランダからイギリスに変えただけという、フィクションでありながら現実にあったような部分が含まれているのも興味深い。
また、“三囲神社”は向島に実在する神社で、“三巡稲荷”は存在しないものの、神社仏閣が好きな場合は楽しめそうな作品だ。
1999年の「鉄道員(ぽっぽや)」に続き2作品目の浅田次郎原作、降旗康男監督の作品になっている。
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