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映画『罪の手ざわり』あらすじ&ネタバレ感想。無料視聴できる動画配信は?

ジャ・ジャンクー監督による人間ドラマ。社会の中で抑圧された4人の男女が暴力に手を染めていく姿を描く。第66回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞。チァン・ウーやワン・パオチャンなど中国を代表する役者が顔を揃える。

映画『罪の手ざわり』 作品情報

  • 製作年:2013年
  • 上映時間:129分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ジャ・ジャンクー
  • キャスト:チャオ・タオ、チアン・ウー、ワン・バオチャン、ルオ・ランシャン、チャン・ジャーイー etc…

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映画『罪の手ざわり』 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『罪の手ざわり』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『罪の手ざわり』のあらすじを紹介します。

4つの場所で展開される罪の物語。
山西省の炭坑で働くダーハイ(チァン・ウー)は利益を全て吸い上げる大手企業に苛立ちを感じていた。しかし相手は役場にまで手を回しており、直談判するも逆に袋叩きにあってしまう。ついに村のために立ち上がったダーハイは猟銃で関係者を1人1人始末していく。

重慶で家族への仕送りを続ける父親のチョウ(ワン・バオキアン)は、出稼ぎと偽って家を出ては強盗を繰り返す日々を送っている。母の誕生日に合わせて家にも戻って来たチョウを妻は疑う。しかし真実を告げないままチョウは再び家を出る。そしてまた銃を手に強盗を決行するのだった。

不倫を続けているシャオユー(チャオ・タオ)は宜昌の風俗サウナで受付の仕事をしていた。ある日不倫相手の妻が職場にやってきて彼女を追いつめる。何とか逃げ出すも、今度はたちの悪い客がしつこく迫ってくる。その時彼女の中で何かが壊れた。隠し持っていたナイフを片手に客を血祭りにあげていくのだった。

シャオホイ(ルオ・ランシャン)は広東省の工場で働く若者だ。しかし彼のミスが原因で友人がケガをしてしまい、工場から逃げ出して彷徨い始める。何とかナイトクラブの仕事を見つけ、そこで知り合った少女と親密になるが厳しい現実の前に恋を諦める。重ねて母親からは金を催促され、ケガをした友人からも追いつめられる。行き場を失ったシャオホイは身を投げるのだった。

映画『罪の手ざわり』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『罪の手ざわり』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

被害者たちの逆襲

これまでのジャ・ジャンクーの映画の登場人物たちはみな、急速に複雑化する中国社会の被害者たちであった。追いつめられ虐げられ、悲しみを内に秘めた人間を描き続けてきたのだ。しかし今作ではやや異なる。彼らは内なる悲しみをついに武器を手にとり外へと噴出させる。相手は歪んだ社会の構造であり、低下したモラルであり、逃れようのない厭世観だ。戦いの最中の登場人物たちはヒロイックに描かれる。炭坑で働くダーハイはタクシードライバーのトラヴィスのようであり、サウナで働くシャオユーはまるで京劇の役者だ。強盗を続けるチョウの銃さばきはアクション映画さながらだ。ジャ・ジャンクーはあえてヒロイックに描くことで、彼らの戦いに敬意を表しているようでもある。

それでも根深い中国の闇

だが最後に登場する若者のシャオホイだけは、全ての怒りや悲しみを自分自身に向けてしまう。思えば中国の歴史は平民たちの反乱によって幾度となく動いてきた。しかし現代の中国はまさに彼に象徴されるような状況なのだ。蓄積された怒りは行き場を失い、社会からは無視されてしまう。結果社会は一見円滑に回転するが、どこかに歪みが生まれてしまうのだ。ジャ・ジャンクーはそこを鋭く指摘してみせる。内側に向かい続けた暴力はいつか取り返しのない悲劇を生むことになるのだと。


想像していたよりもかなりショッキングな作品で、人間が極限まで追い詰められると信じられないような行動を取ってしまうのかと驚かされました。
中国を舞台にした作品ではありますが、人の心の中に潜む闇に国は関係ないと思います。この作品のようなショッキングな出来事は日本でも身近に起こりうることでしょう。
失敗した人、間違った行動をしている人を非難するのは簡単ですがそういう人に寄り添い、心の叫びに耳を傾けられる人が増えれば悲しい犯罪は少なくなるのかなと感じました。(女性 30代)

映画『罪の手ざわり』 まとめ

ここ数年中国で実際に起こった事件をもとにして、4つの物語をオムニバス的に描いた映画。現代中国を鋭く切り取ったような作品を作り続けてきたジャ・ジャンクーらしい作品になっており、急速に高度化する中国社会の歪みが暴力へと変わっていく瞬間をうまく捉えている。暴力に身を委ねる登場人物たちをヒロイックに描きながらも、その後にやってくる罪のてざわりまでしっかりと見せる秀作だ。物語の普遍性ゆえなのか演出はリアリティよりもむしろファンタジックな面を優先させており、エンターテイメント的な要素も含み観ている者を飽きさせないだろう。

またジャ・ジャンクーの作品はその内容故に中国での上映が禁止されることが多い。本作も日本公開時にはまだ中国での公開が決まっていない。目の前で確実に起こっているはずの暴力から目を逸らさずにいることは難しいのだ。

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