映画『ヴァルハラ 神々の戦い』の概要:貧しくも慎ましく生きていた農家の兄妹が神々の住むアスガルドへ連れて行かれたことにより、膠着状態にあった巨人族との永き戦いに一石を投じることになる。北欧神話をベースに神の国と巨人の国との戦いを描いたファンタジー。
映画『ヴァルハラ 神々の戦い』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:ファンタジー、アドベンチャー
監督:フェナル・アーマド
キャスト:ローランド・ムーラー、ヤコブ・ローマン、スティーネ・フィッシャー・クリステンセン、ドゥルフィ・アル=ヤブーリ etc
映画『ヴァルハラ 神々の戦い』の登場人物(キャスト)
- ロスクヴァ(セシリア・ロッフレード)
- ミドガルズの山に住む少女。天界に憧れを抱いている。実はユグドラシルの未来の女王で自然や動物と特別な繋がりを持っている。正しい心と勇気を持ち、等しく生き物に愛情を注ぐ。
- トール(ローランド・ムーラー)
- 雷神であり戦神。ハンマーミョルニルを武器に持つ。短気だが、怒りが持続することはなく熱しやすく冷めやすい。単純なところがあり、ロキにいつも手を焼いている。人間を奴隷にして横暴に振る舞っていたが、ロスクヴァが光の子だと気付き保護する。
- テュール(ヤコブ・ウルリク・ローマン)
- 軍神。トールとはライバルのような関係。フェンリルの世話をしていたが、捕まえる際に左腕を噛み千切られる。フェンリル逃走の責任を負い捜索をしている。
- フリッグ(スティーネ・フィッシャー・クリステンセン)
- 愛と結婚と豊穣の女神でオーディンの妻。戦いに飽き享楽に落ちた神々の惨状を憂い、光の子の出現を切望していた。ロクスヴァを導き見守っている。
- ロキ(ドゥルフィ・アル=ヤブーリ)
- 悪戯好きの神。巨人族と神の間の子でトールとは義兄弟。トールといつも一緒にいるが、時々厄介なトラブルを発生させる。邪悪な面と神としての面を併せ持ち、人間を奴隷として扱う。
映画『ヴァルハラ 神々の戦い』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ヴァルハラ 神々の戦い』のあらすじ【起】
神々の王、隻眼のオーディンと雷神トールが住む神々の国アスガルドには、世界の中心に根を下ろす命の樹ユグドラシルがある。神々は人々の崇拝が集まる宮殿ヴァルハラに赴き、彼らから力を得ていた。オーディンはヴァルハラにて世界を見渡し、カラスを放って離れた土地の情報を集める。闇とカオスが支配する恐ろしいウートガルズには巨人族が住み、人間の国ミドガルズでは誇り高きヴァイキングと勤勉な農民が住む。しかし、1000年にも渡る巨人族との戦いによってヴァルハラには闇が襲い、いよいよ世界の終わりラグナロクを迎えようとしていた。
ある日、雷神トールと弟神ロキはミドガルズの山に降り立ち、農民の家で一夜の宿を取ることにした。トールは乗って来た巨大なヤギを夕食に振る舞い、ロキが連れて来たフェンリルの話を聞かせる。フェンリルはいずれ太陽を飲み込み、闇を呼ぶと予言されたオオカミだったため、神々はドワーフ族が作った頑健な鎖グレイプニルに繋いでヨトゥンヘイムの洞窟に閉じ込めている。もしフェンリルが巨人族に渡るとラグナロクが始まるとされていた。
翌朝、トールは人間に振る舞ったヤギの骨からヤギを復活させたが、後ろ足の骨が折れている。激怒したトールが一家を問い詰めると、息子が進み出る。その場はロキが取り繕い少年を仕えさせることで許しを得る。一連の出来事はロキの悪戯であった。一家の後継ぎでもあった少年はトールと共に天界へ。妹ロスクヴァは両親と共に兄を見送ったはずだった。
ところが、天界へ着いたところで荷車にロスクヴァが潜んでいることが判明。ロキが送り返すことを拒んだため、兄が妹の面倒を見ることに。薄暗い広間には神々が集い、トールがいなかったために巨人族が鎖を破壊しフェンリルが逃亡したと報告がされる。フェンリルはトールが奴隷を引き連れて討伐することになった。
映画『ヴァルハラ 神々の戦い』のあらすじ【承】
兄妹はトールとロキの住まいにて奴隷となり雑用を命じられる。ロスクヴァは神々に憧れを抱いていたため、トールとロキの横暴な振る舞いに憤り口答えしてしまう。兄は命を救われたことに感謝しているようだが、ロスクヴァは違う。彼女は深夜に兄ともう1人の奴隷と共に奴隷部屋から逃走。ヴァルハラの門を開けて外へ逃れるのだった。
ところが、アスガルドからミドガルズへ降りるための橋がない。虹の橋は神にしか使えないからだ。もう1人の奴隷は巨人族だったが、心優しく気の好い青年だった。彼の導きにより森に身を潜めることにした。だが、兄は妹の行動を咎めトールの元へ戻ると言う。少年は妹を置いて1人で去ってしまう。
日が暮れた頃、山奥にて巨人族に囚われた兄。彼は族長の甘言に騙されウートガルズへ連れて行かれてしまう。
一方、巨人族の青年と穏やかな暮らしを送っていたロスクヴァ。彼女は青年が取って来たキノコを口にして幻覚症状に見舞われる。そして、自分の腹部が強く光るという現象を目にするのだった。
映画『ヴァルハラ 神々の戦い』のあらすじ【転】
翌日、住まいの穴倉に別の巨人族が襲来。そこへトールが助けに現れる。彼は酷く怒っていたが、ロスクヴァの兄がウートガルズへ行ってしまったことを聞き、もう二度と会えないと娘に告げた。
その帰り、フェンリルの捜索をしている軍神テュールと遭遇。テュールは元々フェンリルの世話をしていたこともあり捜索を命じられていたが、そこへフェンリルが急襲する。ところが、フェンリルはロスクヴァと対峙し、去ってしまう。
その様子を目にしたトールはロスクヴァから話を聞き、彼女が自然や動物と特別な繋がりを持っていることに気付く。ヴァルハラには古い予言があり、ロスクヴァこそが予言の子だと言うのだ。3000年前、ユグドラシルの未来の女王が消えた。予言はその女王が光の子として帰って来るというものだったが、人間としてではなく神の子として戻るはずだった。故にオーディンは、ロスクヴァは光の子ではないと断言。他の神々も違うと言うが、女神フリッグだけは予言の子だと告げるのだった。
その頃、ウートガルズの巨人族の巣窟へ招かれた兄は、促されるまま謎の飲み物を口にしてしまう。巨人族は少年を囮に神の国を奪おうと考えていた。
トールによって保護されることになったロスクヴァは、豪奢なベッドで休ませてもらったが、深夜になってフリッグに導かれ門の外へ。女神は湖の畔へ導くとロスクヴァにマントを与え、水鏡を使って現状と未来を見せた。1000年に渡る戦いによって疲弊した神々は次第に癒しを求め享楽に耽るようになり、心もばらばらとなっている。ウートガルズでは少年を使って罠を仕掛け、神々を飲み込もうとしている。故に女神は光の子の出現を切望していた。
翌朝、1羽のカラスが少年の首飾りを持って来る。ロスクヴァは兄を救出すべくウートガルズへ向かう決意を固めトールとロキに相談し、共に向かうことになった。
巨人族族長の元を訪ね少年の返還を求めたトール。族長は酒飲み対決に勝ったら少年を返すと言ったが、渡された角杯はとめどなく酒が湧き出るという最悪のもの。勝負にならないと批難したトールは次に巨人族の女戦士と腕相撲勝負をすることになったが、負けてしまう。そこで、全員と戦うと言い放ったトール。次の相手は族長の母親だったが、怪しげな呪術を使われ倒されてしまうのだった。
ロキに促されウートガルズから1人で逃げ出しヴァルハラへ戻ったロスクヴァは、広間で酒に溺れる神々の実態を目にする。フリッグの助けもあり、オーディンにそのことを報告したが、本気にしてはくれなかった。そこで、ロスクヴァは単身、森へ向かいフェンリルが潜伏する洞窟へ。
映画『ヴァルハラ 神々の戦い』の結末・ラスト(ネタバレ)
フリッグは夫オーディンに力が弱っている今こそ、人間の助けを得るべきだと言う。人間が信奉するからこそ、神は強大な力を得ることができているのだ。考えを改めたオーディンは他の神々を伴いフェンリルに乗ったロスクヴァと共にウートガルズへ侵攻することに決める。
激しい戦いを展開しつつ、巨人族の広間へ向かったロスクヴァは、しわがれて意識を失ったトールを懸命に励ます。彼の力の源はハンマーであるミョルニルだ。息を吹き返したトールはハンマーを手に立ち上がり戦い始める。これにより拘束されていたロキも解放され参戦したが、族長の力は強大だった。その間、ロスクヴァは影に身を潜め戦いを見守っていたが、そこへ敵が接近。彼女は恐怖から目を覆ったものの、内なる光の力にて敵が胡散してしまった。不思議に思ったものの、無事に兄の元へ辿り着く。
意識を奪われた兄を懸命に呼び戻すロスクヴァ。一方、トールもまた族長と対峙し、苦しい戦いを経て勝利を手にした。兄も正気に戻り神々と兄妹はウートガルズから脱出する。ロスクヴァは丘の上から見送るフェンリルと遠吠えを交わした。
光が戻ったヴァルハラ。オーディンはロスクヴァの勇気を称え、彼女のためにヴァルハラに席を儲けたが、ロスクヴァは神々と同列になったところでミドガルズの両親の元へ戻ると宣言。だが、兄はアスガルドに残ることになり、フリッグは彼女にヴァルハラと繋がるペンダントを授けた。
ロスクヴァは巨人族の青年と共に虹の橋を渡る。しかし、その途中で兄が追って来る。3人は共にミドガルズへと戻ることに。両親と再会し熱い抱擁を交わした兄妹。ロスクヴァは新しい家族として巨人族の青年を迎い入れる。そうして、新たな生活が始まるのだった。
映画『ヴァルハラ 神々の戦い』の感想・評価・レビュー
北欧神話をベースにしたコミックをデンマークなど4か国の合作で映画化した作品。神と言えば神々しいイメージが強いが、今作では人に近く泥臭い神々の姿が描かれている。
人の世界と神の世界の違いがあまりなく、神の強大な力は描かれているものの神秘さには欠けるような印象があった。終盤で巨人族との戦いが展開されるが、他の神の能力があまり描かれておらず、オーディンの凄まじさもない。フェンリルの活躍は良かったと思えるものだったが、戦闘の様子は人と変わらない演出だったので残念な気がした。広大な自然や風景は美しかったのでその点は満足。(MIHOシネマ編集部)
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