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映画『悪人伝』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『悪人伝』の概要:快楽殺人鬼による連続殺人の被害者となったヤクザの組長が、犯人を追う刑事と共謀して殺人犯の捜査を行う。互いに弱みを握りながら利害の一致により捜査を進める2人は、やがて犯人を突き止めるが…。

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映画『悪人伝』の作品情報

悪人伝

製作年:2019年
上映時間:110分
ジャンル:アクション、サスペンス
監督:イ・ウォンテ
キャスト:マ・ドンソク、キム・ムヨル、キム・ソンギュ、キム・ユンソン etc

映画『悪人伝』の登場人物(キャスト)

チャン・ドンス(マ・ドンソク)
大物ヤクザの組長。底辺から自らの頭脳と腕っ節で伸し上がった叩き上げ。凶悪な雰囲気を纏っているが、一般人には礼儀正しく優しい。手下を非常に大事にしており、慕われている。
チョン・テソク(キム・ムヨル)
刑事。荒くれ者で手段を選ばないことで同僚からも嫌われている。不遜な態度を崩さずドンスへも食って掛かる。人を殺してしまったことで罪の呵責に苛まれるも、ドンスと付き合うことで徐々に染まっていく。法で裁くことに意義があるという信念を持っている。
カン・ギョンホ(キム・ソンギュ)
殺人鬼。父親から虐待されて施設で育った。前科はなく非常に真面目で神経質。人を殺すことで快楽を得ており、頭が切れるサイコパス。
チェ・ソジン(キム・ユンソン)
鑑識課所属の鑑識官。多くの知識を持つ才女でテソクと親しくしており、個人的な依頼でも請け負ってくれる。

映画『悪人伝』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『悪人伝』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『悪人伝』のあらすじ【起】

2005年8月のある日、天安市の宅地開発地区にて被害者男性をめった刺しにして殺害するという殺人事件が発生。警察は昨年から連続して発生する殺人事件を解決することができずにいた。刑事のチョン・テソクは事件解決の糸口が掴めず、凶悪と言われるヤクザの組長チャン・ドンスが経営する店へ堂々と立ち入り苛立ちを晴らそうと考える。

ドンスは警察とも繋がりがある大物ヤクザである。加えてテソクが来るのもいつものことで毎度、警察には苦情の電話を入れているのだった。テソクは店の受付をしている若者を連行し、現場へ。何者かによってめった刺しにされた男の殺人現場だ。現場には鑑識課の鑑識官チェ・ソジンが駆け付け遺体は死後、数時間経過していることを教える。そこで、テソクは車に残された傷を見てもらうことにした。

捜査会議にて被害者男性には犯人との接点がほとんどないことが判明。だが、テソクは7月から発生している3件の事件と今回の事件は同一犯だと言う。どの事件でも凶器は同じで傷痕も一致するため、無差別連続殺人だと告げた。ところが、チーム長は彼の意見を真っ向から否定。チームでも勝手な行動を取るテソクにはあまり良い印象がなかった。

その日の夜、ドンスが縄張り争いの一件を治めて帰宅の途に就く。一人で自家用車を運転していた。外は雨が降っていて視界が悪い。トンネルの手前で後続車がぶつかって来たため、両車は停まった。後続車から降りた青年が謝って来たが、ドンスは気にせず帰れと促す。面倒事は避けたかった。ところが、車へ乗り込もうとした矢先、背後から刺される。青年が突然、襲いかかって来たのだ。2人は揉み合いになりドンスは青年へと反撃。すると、青年は車に乗り込み、ふらふらになったドンスを轢いて逃げて行った。

救急搬送されたドンスだったが、彼が何者かに襲われたことで組員が激情。いざこざがあった組と抗争が勃発してしまう。
翌日、命の危機を乗り越え意識を取り戻したドンスは、側近に敵対していた組がやったことではないと明かし、車の特徴とうろ覚えのナンバーを調べるよう命令した。そこへ、テソクが面会に押し入って来る。非常に不遜な態度だったため、ドンスは聴取に応じなかった。

テソクは病室を去った後、ドンスの車を調べることに。すると、やはりこれまで同様に追突された痕跡が残されていた。ということは、ドンスを襲った犯人はテソクが追う犯人と同一犯ということだ。

その日の夜、病室に抗争があった組長が見舞いにやって来る。ドンスが襲われたせいで意味のない戦いをすることになり、慰謝料を請求すると言うのだ。ドンスは反論せず慰謝料を払うことにした。

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映画『悪人伝』のあらすじ【承】

その頃、テソクは班長を説得中だった。襲われても生き残ったドンスなら犯人の特徴を覚えているはずだ。本格的に連続殺人事件として捜査するべきだと進言したが、ドンスは暴力団の組長である。テソクは他にも理由を述べたが、班長はそれでもまともに話を聞いてくれないのだった。

ドンスは病室に似顔絵師を呼んで犯人のモンタージュを作成。ところが、テソクが強制的に賭博罪を適用し店のガサ入れを行い、ドンスを脅してくる。ドンスが聴取に応じないからだ。テソク曰く犯人はサイコパスで女性や弱者を狙うことが多いらしいが、今回の件に関しては相手を無差別に殺害している。これ以上、被害者を出さないためにはドンスから話を聞き出したかった。だが、ドンスはどんな脅迫にも動じない上に一向に口を割らない。

加えてドンスの立場的にも悪い噂が流れ始め、嫌がらせもエスカレート。カジノの新事業も潰れる可能性が出始めた。個人捜査により犯人の車を発見し、奴が新たに殺人を犯したことも分かる。更に凶器まで入手できた。そこで、ドンスはテソクに連絡を入れ情報を共有することにした。

ドンスは底辺から自分の頭と腕で伸し上がって来た叩き上げの人物だった。ヤクザはメンツを一番大事にする。やったらやり返すのがルールなのである。故にドンスはやられたまま黙っているわけにはいかない。彼はテソクに金と手下を貸すので、情報を共有して犯人を捕まえようと取引を持ち掛ける。考えた末、テソクは取引に応じることにした。

2人の同僚に捜査の詳細を説明したテソク。犯人を捕まえた後はついでにドンスも逮捕しようと画策。対してドンスもテソクを利用するだけ利用したら始末するつもりだった。テソクは早速2人の同僚と共に、犯人が乗り捨てた車を調べる。事件の洗い直しと手がかりの入手を徹底して行った。その間、ドンスは別件である計画を思いつく。それは敵対する組長の殺害だ。証拠として入手していた犯人の凶器を使い回した。

テソクは犯人の車から採取した証拠を密かにソジンに渡し、鑑定してもらった。世間が組長暗殺事件で騒然とする中、鑑定結果では被害者のものばかりが出てきたと言う。更に組長暗殺に使われた凶器に組長以外の2人の血痕が発見された。警察はこの件を含め連続殺人事件として捜査を始めるつもりらしい。これでテソクの手柄はないことになる。

怒り狂ったテソクはドンスの元へ殴り込みに向かったが、呆気なくやり返されてしまう。しかも、ドンスは敵対する組長を殺害したのは自分だと簡単に明かす。互いに弱みを握っているため、すぐにどうにかできることでもない。テソクは身を引くしかなかった。

映画『悪人伝』のあらすじ【転】

事件が連続殺人事件となったことで、広域捜査隊との合同捜査へ移行。死んだ組長の葬儀にはドンスも参列したが、その場にまさか殺人鬼も来ているとは思わなかった。殺人鬼は死んだ組長の側近にあるメモを渡した。

テソクとドンスはその日、犯人の車から手がかりを見つけ出そうとしていた。しかし、手がかりを発見した直後、工場に敵対組織の一派が襲来。メモを受け取った側近による報復だった。2人は血塗れになりながらもどうにか勝利したが、揉み合った末に報復を誓った側近が死んでしまう。後処理はドンスが行うことにした。

罪の呵責に苛まれていたテソクは班長と口論になったが、仕方なく誘拐事件の捜査を行うことに。テソク達捜査員は妻に身代金を持たせ犯人が指定した場所へ向かわせる。テソクはその様子を隣のビルの屋上から見守っていたが、同じ場所に怪しい男を発見。逃げ出した男をすぐさま追いかけた。同僚と共に細い路地を駆け巡ったが、テソクは怪我をしている。途中で休憩を挟んだが、不穏な言い合いをしている人々の話を耳にする。大金をもらって何かを預かったという話だった。その男は店で食事をして焼酎を飲んだらしい。

テソクとソジンが無数にある焼酎瓶の中から犯人が飲んだと思われる焼酎瓶を探し、鑑定にかけた。すると、カン・ギョンホという男が浮上する。奴は行方不明者名簿にも名前があり、手指の指紋をわざと潰しているか何かでカバーしていると思われる。加えて犯人の車のハンドルカバーからも同じ指紋が発見された。

住所を訪ねるとここ4カ月ほど帰宅していないらしい。自室を調べると恐ろしく几帳面で神経質な性質が見え隠れした。部屋にあった写真と似顔絵がそっくりだったことからテソクはギョンホが一連の殺人鬼だと確信。即座に誘拐事件で録音した音声を入手し、ドンスへと送った。ドンスは送られてきた音声を聞き、確かに奴だとほくそ笑んだ。

ギョンホは現在、簡易宿舎やワンルームが数多くある地区を転々としている。テソクはドンスに情報を流し、手下を総動員して奴の捜索に乗り出した。捜索は数日に渡り着々と進んだが、ギョンホは一向に見つからない。だが、刑事たちとヤクザは互いに協力することで徐々に打ち解け始める。テソクもまたドンスの隠された優しさを知り心を許すように。
そんなある日、手下を労う食事会を開いた。その最中、ニュースで女子高生が殺害されたと流れる。その女子高生はドンスが傘を譲った子であった。恐らく、ギョンホの仕業である。

映画『悪人伝』の結末・ラスト(ネタバレ)

一同は一斉にニュースで流れた地区へ。奴は殺し損ねた上に罪を上乗せされたドンスを狙っているのだろう。奴が宿泊している場所を捜し当て、帰宅するのを待った。やがて、ギョンホは盗んだ車で戻って来たが、囲まれているのを察してすぐさま逃走。ドンスとテソクは数台の車で追跡を行った。

激しいカーチェイスの果てどうにか車を停めたものの、ギョンホは走って路地へ。それぞれに別れて探したが、ドンスの側近が奴に殺されてしまう。ドンスはギョンホの後を追ってカラオケ店へ。個室のトイレに潜伏していたギョンホを見つけ出し、殴って意識を奪った。そして、報復すると告げギョンホを連れ去ってしまう。テソクは慌ててドンスの行方を探した。

人気のない工場へギョンホを連れ込み、命を奪おうとするドンス。そこへテソクが車で突撃し、衝撃でドンスが吹き飛び気絶した。ギョンホも辛うじて生きていたため、逮捕したテソクは即座に署へ連行する。
このことにより、世間は殺人鬼逮捕の報に沸き立ちギョンホは警察病院に入院することになり、書類送検されることに。加えてドンスの罪も暴かれ手下が次々と逮捕され一気に窮地へと追いやられた。

ギョンホの怪我が完治した後、連日の聴取が行われた。ギョンホは殺人に快楽を覚えており、なまじ頭がいいだけに自らの罪を裁くことはできないと堂々とした態度。裁判でも同様の態度を貫き通したが、証人として手配中のドンスが現れたことで一転する。テソクはドンスを説得し、法でギョンホを殺すために表へと呼び出したのだ。

ドンスは法廷で襲われた時のことを詳細に話した。彼は証言の後、別件で逮捕されることになったが、そのお陰でギョンホには死刑が宣告される。テソクは昇格し、後にドンスはギョンホが収監される刑務所へ。それは事前にテソクとの交渉で約束していたことだった。復讐はどこでも遂げることができる。ドンスは奴と目を合わせにやりと笑うのだった。

映画『悪人伝』の感想・評価・レビュー

タイトル通り恐らく、刑事もヤクザの組長も悪人であるのは間違いない。だが、悪人というよりも利害の一致の果て共に戦う同志のような、友情のような絆が形成されていく様子を見ているようだった。やくざの組長をマ・ドンソクが演じているが、ビジュアル的にも嵌り役で彼が一般人に礼儀正しくしたり、女子高生に傘を与えたりするシーンなど、ちょっと可愛い姿も描かれるので悪人は悪人でも親近感が湧く。刑事に関しては若さもあるので、組長に押され気味で有能ではあるものの印象が薄い。だが、終盤で彼が本領を発揮するため、意外な結末がまた面白いと感じた。(MIHOシネマ編集部)

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