映画『劇場版 幼女戦記』の概要:カルロ・ゼンのファンタジー戦記小説を基にしたTVアニメの続編。現代サラリーマンが、世界大戦が勃発したヨーロッパに似た別世界に金髪碧眼の幼女として転生。彼女は幼いながらに軍将校となり魔導大隊を率いる大隊長として最前線へ投入される。
映画『劇場版 幼女戦記』の作品情報
上映時間:101分
ジャンル:ファンタジー、戦争、アニメ
監督:上村泰
キャスト:悠木碧、早見沙織、三木眞一郎、玄田哲章 etc
映画『劇場版 幼女戦記』の登場人物(キャスト)
- ターニャ・フォン・デグレチャフ(悠木碧)
- 現代サラリーマンが転生した金髪碧眼の幼女。帝国軍の航空魔導士官で現在は少佐。第二〇三航空魔導大隊の大隊長。強大な魔力を持ち上位術式を放つほどの逸材。合理主義者でリアリスト。望みは後方地域で昇進し、平穏で安泰な日常を送ること。
- ヴィーシャ(早見沙織)
- 大隊副官・第一中隊所属。ターニャ専属の副官のような扱い。魔力は高いもののおよそ軍人らしからぬ気弱さだったが、ターニャに鍛えられ戦場でも戦えるようになる。射撃の腕は大隊一。
- レルゲン(三木眞一郎)
- 帝国軍参謀本部所属、作戦参謀の大佐。ターニャの直属の上司。頭の回転が速く聡明。実直な性質でインテリ然としているが、ターニャの所業にいつも悩まされている。
- ルーデンドルフ(玄田哲章)
- 帝国軍参謀本部所属・作戦参謀次長で准将。髭を蓄えた威厳のある人物。軍人然とした人物でゼートゥーアとは同期。機動戦と兵站の権威。いつも葉巻を吸っている。ゼートゥーアと共に画策し、ターニャを重用している。
- ゼートゥーア(大塚芳忠)
- 帝国軍参謀本部所属・戦務参謀次長。初老で物静かな人物だが、ターニャの性格と性質を良く理解しており揚げ足を取って酷使している。非常に頭が切れ政治的方面にも顔が利く。
- ヴァイス(濱野大輝)
- 大隊副長・第二中隊長で大尉。ターニャの地獄のようなしごきを経て意識改革を行い、戦場を駆ける。
映画『劇場版 幼女戦記』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『劇場版 幼女戦記』のあらすじ【起】
現代を生きるサラリーマンが転生した世界は、世界大戦が勃発したヨーロッパに良く似た別世界だった。彼は金髪碧眼の幼女ターニャ・フォン・デグレチャフとして生を受け、類稀なる魔力を生かすべく士官学校へ。軍人として次々と任務をこなした彼女は、航空魔導士官として短期間で少佐へと伸し上がり、数々の戦場を経て優れた指揮官としての才能も発揮した。彼女の最大の目的は何としても生き延び、安全な後方地域で出世し安定した将来を手にすることだった。
統一暦1926年、南方大陸。ターニャは指揮官として帝国軍第二〇三航空魔導大隊を率いていたが、敵軍の罠により戦線が危険に晒される。彼女は急遽作戦を変更し、敵軍の本部を直接叩くことにした。敵魔導大隊との交戦を経て本部前上空。ターニャは大技を行使し本部一帯を崩壊させた。
ターニャは帝国軍本部へ大隊を率いて帰還し、直属の上司レルゲン大佐へ意気揚々と報告したが、なぜか偵察部の士官を紹介される。
統一暦1926年、3月15日未明。吹雪の中、大隊と共に軍用機に乗せられたターニャは帝国東部国境地帯へ。今回の任務は、第一警戒線にて連邦国軍側の大規模動員が報告されたため、演習中の偶発的なミスを装い連邦国軍の偵察を行えというものだった。動向を観察し必要なら警告を発するが、帝国軍側からは戦端を発してはならない。つまり、こちらからは一発も撃たず相手側に撃たせろということである。
大隊は連邦国側の偵察を行い巨大大砲が運び込まれ設置されている様子を目にする。これは確実に戦争を仕掛けようとしている証左であった。そこで、ターニャは自軍に戦端を開かないよう注意し、警戒を強めるよう通信を送ったが、連邦国軍は彼らの目前で大砲を発射。これは言わずもがな、宣戦布告である。即座にあった本部からの通信では全部隊戦闘を開始せよというもの。ターニャは部隊に襲撃命令を発した。
敵軍には魔導士部隊の反応はない。ターニャの部隊は上空から敵軍を攻撃。地上部隊はすでに交戦を開始していたが、ターニャの第一中隊が攻撃せずとも部下の隊だけで敵軍本部は崩壊した。そこで、ターニャは連邦国への陽動として首都を落とそうと考え本国へ許可を申請。
参謀本部はターニャの策に騒然となったが、レルゲンは許容できると言う。加えて作戦参謀次長ルーデンドルフ、戦務参謀次長ゼートゥーアの賛成もありターニャの作戦は許可されることになった。
連邦首都モスコー。連合国軍へ連合国軍籍の多国籍義勇軍が参戦することに。義勇軍には帝国に抵抗するために各国から集められた新兵の魔導士兵が揃う。
モスコー某所では帝国軍との宣戦布告について会議が行われている。開戦に際しての作戦は上場だったが、一同は義勇軍の魔導士隊など必要ないとの意見が多かった。
映画『劇場版 幼女戦記』のあらすじ【承】
市民が街頭を歩行する中、突如としてモスコー広場が爆撃される。ターニャの大隊による攻撃である。まさか首都が攻撃されるとは思わなかった連邦国は慌てふためいた。大隊の作戦は陽動であるため、適度に破壊し適度に馬鹿にすることだ。そして、第一中隊を率いるターニャはモスコーのシンボルである銅像を見事に破壊した。
その頃、多国籍義勇軍は新兵の演習を行っていたが、突然の爆撃に茫然となる。銅像が見事に崩れ去り、連合国は遅ればせながら反撃を開始したが、魔導大隊には一発も当たらない。対装備ではないので照準が甘いのである。
モスコーにはターニャの大隊による警告放送が発され、宮殿には帝国旗が掲げられ帝国歌が放送された。このことで耐え切れず激情に駆られた義勇軍の准尉が命令を無視して突発的に単騎で出撃。彼女は魔導士官であったが、技術は未熟であった。准尉のせいで義勇軍の隊が出撃せざるを得ず交戦開始。とは言え、ターニャの大隊とは練度に差があり過ぎるため、まともに戦っては義勇軍に勝ち目はない。准尉はターニャを狙って攻撃。仕方ないのでやり返したが、准尉は相手が戦死した父を倒した人物だと気付き魔力暴走してしまう。
ターニャは暴走を抑え、大隊を率いてすぐさま撤退した。
数日後、帝国ではターニャ率いる大隊の功績が新聞に掲載され大騒ぎになる。陽動は成功したものの予想以上のターニャの所業にレルゲンとゼートゥーア、ルーデンドルフの3人は新聞を前に溜め息。特に直属の上司であるレルゲンは冷や汗を垂れ流し拳を握って震えた。
駐屯地へ帰還した大隊は作戦成功を祝って盛り上がる。兵士達は少佐が席を外した後は命令通りに羽目を外してその夜を楽しんだ。
映画『劇場版 幼女戦記』のあらすじ【転】
若い准尉は魔導士官であった父を帝国との戦いで失っている。彼女の父はターニャと戦って亡くなったのだ。准尉は崇高な理想を掲げそれに準ずるつもりらしいが、戦争とは綺麗事で乗り切れるものではない。彼女の理想は未熟故の理想のように思え、父を殺した復讐に目が眩んでいるようにも見えた。
翌早朝、ターニャはヴァイス大尉を叩き起こしブリーフィングを行う。参謀本部より連邦国軍が三方向への動きを開始したと通信が入ったからだ。ターニャの大隊は軌道遊撃戦命令にて、北へ派遣される中央軍の先方を担えというもの。ところが、ここで東部軍から救援要請が入る。戦線を押された結果、敵軍に包囲され孤立してしまったと言う。参謀本部直属のターニャの大隊は遊撃戦の命令を優先しなければならないが、味方の軍を見捨てるのも忍びない。そこで、ターニャは地図を見比べ鉄道線を利用し、2つの作戦を成功させる案を確立させた。
夜が明けてすぐ、大隊が出撃。まずは東部軍の四九魔導大隊の救援に向かい敵を一掃。ターニャは四九魔導大隊が所属する司令部を前進拠点として遊撃戦を展開する予定である。
連邦軍前線からの通信により戦況は順調との知らせが連邦首都モスコーの本部へ入る。彼らは朗報に満足したが、モスコーを突如破壊したターニャの大隊が駐屯中だとの知らせも入手。彼らはターニャへの報復として大規模攻撃を立案した。
統一暦1926年3月28日。連邦軍飛行発着所では人手不足により補給が遅れていた。ここには義勇軍がいたが、准尉の思想や本国からの命令により大隊長が憤っている。義勇軍は新兵ばかりで戦力にはならないので余計に苛立ちが募った。
早朝、航空艦隊から連邦軍八個師団による攻撃が開始されたと初報が入る。ターニャは突然の大規模構成に慌てたが、すぐに冷静さを取り戻し、兵士達を叩き起こして出撃準備をさせた。
開戦から3時間が経過。地上部隊による攻勢は激しさを増し、これまでにない大規模な戦場へと発展。帝国軍は敵軍の大砲に苦しめられているが、魔導大隊による攻撃により士気を保ち続けた。
開戦から18時間が経過し、ティゲンホーフ防衛線・A地点補給ポイントへ降り立ったターニャ。大隊の補給と負傷兵の治療を急がせたが、日が暮れても尚、更に二個師団が進軍していると通信が入る。加えて各地点からも師団が進軍しているとの知らせに憤りが隠せない。休む間もなくターニャは再出撃。一昼夜戦い続けたターニャの大隊は疲弊させられ、更に魔導大隊の投入に爆撃機の投入が続投で入った。
追い詰められたターニャは隊を二つに分け、第一中隊を率いるターニャは魔導士隊との交戦へ。相手は義勇軍の魔導士隊だった。ターニャは若い准尉と真っ向から対峙し、彼女の秘められた魔力の高さを目の当たりにする。准尉の狙いはターニャのみと思われる。
映画『劇場版 幼女戦記』の結末・ラスト(ネタバレ)
ヴァイスの隊は爆撃機と交戦中。かなり切迫した戦いを展開し爆撃機4機の撃破に成功。引き続き地上部隊との交戦へ移行した。
その頃、ターニャは准尉との一騎打ちを展開中。市街地を破壊しつつも攻撃を回避。副官のヴィーシャは義勇軍魔導士隊との交戦に奮闘し、足止めを実行していた。准尉の無謀な攻撃に苛立ったターニャだったが、甘い考えを捨てることにして相手の命を奪う覚悟を決めた。
そうして、上位術式を展開し攻撃。
ところが、准尉は攻撃を辛うじて生き延び動揺するターニャへと殴りかかった。ターニャは防御しきれず激しく殴られる。だが、彼女は隙を突いて反撃し、准尉の胸を撃ち抜く。小型銃の銃弾を何発も放ち息の根を止めようとしたが、義勇軍の大隊長が突撃して来て准尉を逃がしてしまう。恨みを募らせる准尉を殺すことができなったことは、ターニャに大きな転換を与えることになる。
爆撃機を失ったことで連邦軍が次々と撤退して行く。激戦を極めた戦線ではようやく戦いが終わり度重なる疲労も相まって安堵の溜め息が溢れた。
作戦終了後、本国へ帰還したターニャは参謀本部へ報告と共に新たな政策を提案することに。そもそも、現代で死んだサラリーマンがこの世界へ転生することになったのは、存在Xという謎の者による所業である。奴は過酷なところへ送り込むと言い、戦争が相次いで勃発するこの世界へ半ば無理矢理送り込んだのだ。
ターニャは参謀本部に転属願いを申請し、戦争を無くす政策を数千枚に渡って記載し書類として提出。戦争によって制定された国がいかに愚かなものかを熱弁した。すると、ゼートゥーアとルーデンドルフは熱弁を聞いた後、彼女の意向を受け後方地域へ転属させる。ターニャはようやく希望通りの場所に行けたと小躍りした。
それからしばらく、後方地域にて平穏な日々を送り満足していたターニャ。ある日、ゼートゥーアから直接、電話連絡が入り状況を尋ねられる。平穏だと答えたもののゼートゥーアは提出された書類の通りに施策が行われることになったため、戦争を終結させるべく提案者自身に出撃してもらうと言う。彼女は再び二〇三航空魔導大隊を与えられ、サラマンダー戦闘団として再び戦場へと引っ張り出されることになるのだった。
映画『劇場版 幼女戦記』の感想・評価・レビュー
原作はカロ・ゼンによる同名ファンタジー小説。今作はテレビアニメの続編となる。金髪碧眼の幼女へと転生した現代サラリーマンが生き延びるべく将校となり戦争へ投入されるという内容。
幼女は現在9歳ぐらいだったはずだが、帝国では魔導士は男女年齢問わず兵士として徴募しているため、ターニャの年齢でも軍人になれる。彼女の合理主義とリアリストは中身が現代サラリーマンであるが故だが、周囲は幼女であることに必ず驚く。しかも、大人も真っ青な能力を持っているので嘗めてかかると痛い目に遭う。今作でもぶっ通しで戦争をしており、作品の魅力は幼女の圧倒的強さや魔術の展開と命のやり取りだろうと思う。続編が発表されるなら、ぜひ鑑賞したい作品。(MIHOシネマ編集部)
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