映画『わらの犬(1971)』の概要:イギリスの田舎町へ引っ越した温厚な数学者が、ある事件をきっかけに内に秘めた人間の暴力性をむき出しにしていく。サム・ペキンパー監督作品。ダスティ・ホフマンがしだいに狂気じみていく数学者を演じている。1971年公開のアメリカ映画。
映画『わらの犬』の作品情報
上映時間:115分
ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
監督:サム・ペキンパー
キャスト:ダスティン・ホフマン、スーザン・ジョージ、ピーター・ヴォーン、ピーター・アーン etc
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映画『わらの犬』の登場人物(キャスト)
- デイビッド・サムナー(ダスティ・ホフマン)
- 星の内部構造と放射線の関係について研究しているアメリカの数学者。最近妻エイミーの故郷であるイギリスの片田舎に引っ越してきた。争い事や暴力を嫌う。
- エイミー・サムナー(スーザン・ジョージ)
- デイビッドの妻。子供のような性格でデイビッドが研究に没頭していると不機嫌になる。飼い猫を可愛がっている。ノーブラで出歩く奔放な女性。
- ヘンリー・ナイルズ(デビッド・ワーナー)
- 知的障害があるので村人から偏見を持たれている。兄のジョンが面倒を見ている。
- チャーリー・ヴェナー(デル・へニー)
- 昔エイミーと男女の関係があった。エイミーに雇われ、デイビッドの家の車庫の修理を手伝う。エイミーのことを狙っている。トムの甥。
- クリス・コージー(ジム・ノートン)
- ねずみ駆除業者だが、チャーリーたちと車庫の修理を手伝っている。少し頭がおかしい。
- ノーマン・スカット(ケン・ハッチソン)
- 車庫を修理している大工。暴力的で油断のならない男。
- トム・ヘッデン(ピーター・ヴォーン)
- 酒飲みの荒くれ者。思春期を迎えたジャニスという娘がいる。
- スコット少佐(T・P・マッケンナ)
- 村の荒くれ者たちにも一目置かれる少佐。片腕がない。
映画『わらの犬』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『わらの犬』のあらすじ【起】
数学者のデイビッドは静かな環境を求めて妻エイミーの故郷であるイギリスの小さな村へ引っ越してくる。村の外れにあるエイミーの実家はあちこちにガタがきており、エイミーと顔なじみのチャーリー、ねずみ駆除業者のクリス、大工のスカットが車庫の屋根の修理工として雇われる。迎えにくるトラック運転手のリドウェイも含めた4人の労働者たちは、インテリのデイビッドをバカにしていた。
エイミーの故郷は閉鎖的な田舎の村で、アメリカから来たデイビッドとノーブラで町中を歩くエイミーは好奇の目で見られる。しかし学者タイプの温厚なデイビッドはあまりそういうことを気にしない。それがエイミーには腹立たしかった。
エイミーは子供っぽい性格で、デイビッドが研究に没頭すると退屈して邪魔をしてくる。デイビッドに相手にされず苛立っていたエイミーは、わざと窓のそばで裸になって屋根を修理中のチャーリーたちを挑発する。温厚なデイビッドもさすがにエイミーの大人気ない態度にイライラさせられ、なかなか仕事がはかどらなかった。
映画『わらの犬』のあらすじ【承】
ある日、エイミーが可愛がっていた飼い猫が行方不明になる。エイミーがヒステリックに騒ぐので、デイビッドは嫌気がさして町のバーへ行く。しかし地元の人々には変な目で見られ、チャーリーたちにもからかわれる。ちょうどデイビッドの家へ行くつもりだったというスコット少佐とともに、デイビッドは早々とバーを出る。
自宅には教会の牧師夫婦も来ていた。エイミーはずっと不機嫌で、何となく気まずい空気が漂う。牧師夫婦と少佐はデイビッド夫婦の歓迎会を兼ねた親睦会を開くことを告げ、長居はせずに帰って行く。
その夜、寝室のクローゼットの中で首を吊るされた飼い猫の死体が見つかる。エイミーは“スカットかクリスの仕業だ”と決めつけ、デイビッドにケリをつけるよう迫る。しかし穏健派のデイビッドは証拠もないのに犯人だと決めつけることを躊躇し、4人に何も言えなかった。それどころかデイビッドが嫌いな狩りへ行く約束までさせられてしまい、エイミーはデイビッドの弱気な態度にますます腹を立てる。
映画『わらの犬』のあらすじ【転】
翌日。デイビッドは嫌々ながら4人と狩りへ行き、自分の持ち場で待機するように言われる。その間にチャーリーは密かにデイビッドの自宅へ向かい、留守番をしていたエイミーを犯す。最初は拒んでいたエイミーもそのうちおとなしくなり、官能的な表情を見せる。ところがそこへスカットが銃を持って現れ、エイミーはスカットにまで犯されてしまう。
狩場に取り残されたデイビッドは自分がコケにされたことに怒りを感じ、翌日4人をクビにする。エイミーは昨日のことをデイビッドに打ち明けられずにいた。
その夜は教会で親睦会があり、デイビッドとエイミーも出席する。親睦会には村中の人が集まっていた。エイミーはチャーリーたちを見て気分が悪くなり、デイビッドは調子の悪そうなエイミーを心配して途中で帰ることにする。
同じ頃、トムの娘のジャニスはヘンリーを散歩に誘い出して誘惑していた。2人がいないことに気づいたトムたちは、知的障害のあるヘンリーがジャニスを無理やり連れ出したのだと騒ぎ出す。自分たちを探している声を聞いてヘンリーは気が動転し、出て行こうとしたジャニスを羽交い締めにして窒息死させてしまう。
映画『わらの犬』の結末・ラスト(ネタバレ)
その夜は霧が濃く、車で帰宅していたデイビッドは突然飛び出してきたヘンリーをはねてしまう。デイビッドは怪我をしたヘンリーを自宅に寝かせ、すぐに医者へ電話する。しかし医者も警察も捕まらない。トムとチャーリーたち4人組はヘンリーがデイビッドの自宅にいることを知り、すぐに現場へ向かう。
暴力的なトム一味は強引にヘンリーを連れ出そうとするが、デイビッドがそれを止める。デイビッドは医者と警察が来るまでヘンリーを守ることにして、トム一味を追い返す。それに腹を立てたトム一味は家の外で暴れ出す。ようやく少佐が来てくれてトム一味を帰そうとするが、銃を奪われそうになったトムは少佐を撃ち殺してしまう。これをきっかけに家の中にいるデイビッドとエイミーとヘンリーもトム一味に命を狙われる。
5人の暴力は激しさを増し、デイビッドは戦う覚悟を決める。ずっとヘンリーを渡してしまえと騒いでいたエイミーはデイビッドを裏切って外へ出て行こうとする。しかしデイビッドは力ずくでそれを止め、エイミーにも協力するよう命じる。おとなしいデイビッドは別人のようになり、次々と敵を倒していく。最後の1人はエイミーが撃ち殺し、デイビッドたちはとうとう5人を殺してしまう。
デイビッドは呆然とするエイミーを家に残してヘンリーを送っていく。“帰り道がわからない”と言うヘンリーにデイビッドは“僕もだ”と答えるのだった。
映画『わらの犬』の感想・評価・レビュー
アメリカの地方の閉鎖性とインテリの戦いを描いた作品。監督はバイオレンス映画の雄。サム・ペキンパー。主演にも一線級の役者が揃っており、ダスティ・ホフマンも素晴らしいが、なによりスーザン・ジョージの儚げな色気が素晴らしい。分かり合う気がない人間と話し合うことは不可能。行きつく先は獣のような闘争という割り切りが面白く、爽快なバトルアクション映画とはまた違った暴力の本質を描いた作品だろう。近年作られたリメイク作品の方がわかりやすさの点で優れているが、画面の力の点ではこちらがはるかに上。(男性 30代)
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