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映画『闇のバイブル 聖少女の詩』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『闇のバイブル 聖少女の詩』の概要:両親がおらず、厳しい祖母に育てられた美少女・ヴァレリエ。街に訪れた芸人一座の中に、不気味な黒装束の男を見つけた彼女は、そこから、不思議な迷宮のような夢の世界へと迷い込む。ゴシック的な色彩で彩られた、チェコ制作のシュルレアリスム的映画。

映画『闇のバイブル 聖少女の詩』の作品情報

闇のバイブル 聖少女の詩

製作年:1969年
上映時間:74分
ジャンル:ファンタジー
監督:ヤロミール・イレシュ
キャスト:ヤロスラヴァ・シャレロヴァ、ヘレナ・アニェゾヴァ、ペートル・コプリヴァ etc

映画『闇のバイブル 聖少女の詩』の登場人物(キャスト)

ヴァレリエ(ヤロスラヴァ・シャレロヴァ)
初潮を迎えたばかりの美しい少女。厳格な祖母と共に屋敷で暮らす清楚な娘。突然迷い込んだ、夢とも現実ともつかぬ世界で、その美しさから、危機に陥ることも多々ある。イタチと呼ばれる、不気味な黒装束の怪人との出会いや吸血鬼、魔女狩り等、不条理で悪夢のような出来事に遭う。
祖母(ヘレナ・アニェゾヴァ)
ヴァレリエの祖母。いかにも厳し気な女性だが、内心では年老いていく自分に怯えており、吸血鬼となることで若返る。若返った時には「エルサ」と名乗りヴァレリエの従妹だと言い姿を現した。
オルリーク(ペートル・コプリヴァ)
ヴァレリエに恋をする、眼鏡をした青年。ヴァレリエも、彼を慕っているような様子がある。ヴァレリエに「お守り」だと言いイヤリングを託し、度々危険に晒される彼女を救う。

映画『闇のバイブル 聖少女の詩』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『闇のバイブル 聖少女の詩』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『闇のバイブル 聖少女の詩』のあらすじ【起】

穢れを知らない美しい少女・ヴァレリエ。彼女には両親がおらず、代わりに厳しい祖母がおり、彼女に躾けられながら育つ。そんなヴァレリエにも、初潮が訪れる。ヴァレリエはある日、眠っている時に謎めいた黒装束の男・イタチと、眼鏡を掛けた青年・オルリークにイヤリングを奪われる。しかし、それはいつの間にか再びヴァレリエの元へと戻ってきており、祖母に「子供の癖に耳飾り?」と目を付けられる。ヴァレリエは「もう子供じゃない」と言い、初潮が訪れたことを告げる。祖母はそれを聞いて、ヴァレリエの母も同じく13歳で初潮を迎えたのだと言う。そして、何故か祖母はイヤリングを外すように言う。イヤリングには何か秘密があるのか尋ねるヴァレリエに、祖母はそんなことはないとはぐらかす。

そんな中、村には旅の芸人一座が現れる。芸人一座の中に不気味な黒尽くめの男を見つけ、化け物がいると叫ぶヴァレリエ。それは、冒頭に出てきたイタチと呼ばれる怪人だった。祖母はその男について、何か知っているような口ぶりであった。問いかけるヴァレリエに、祖母は返答を寄越さなかった。代わりに祖母はチェンバロの練習をしていなさい、とヴァレリエに言いつける。言いつけ通り、練習をしていると手紙を付けた鳩が飛んでくる。ヴァレリエがその手紙を読むと、中にはこう書かれている。「美しい乙女よ。君の耳飾りを盗んだのは僕だ。でも君の手に返した。官吏の伯父がずっと狙っていた。僕の両親は伯父のせいで死んだ。君のことが心配だ。今日、教会で処女のための垂訓がある。服を東屋に置いてくれ。それを着て変装し、君と話をしよう。不幸なオルリークより」――手紙の主は、例の眼鏡の青年・オルリークからであった。

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映画『闇のバイブル 聖少女の詩』のあらすじ【承】

ヴァレリエが教会へ向かうと、少女達が祈りを捧げている。そこへ自らを神のしもべと名乗る、黒装束の男が姿を見せる。男は少女達を導き、その純潔を守ると言い、男が去ると少女達も、そしてヴァレリエも一斉に祈りを捧げる。その後、ヴァレリエはオルリークの姿を探し教会の外を歩いてゆくと、噴水の前で鎖に拘束されたオルリークの姿があった。ヴァレリエはオルリークを解放してやるが、そこへ、突如裸の男達が鞭を持って走ってくる。オルリークは男達から逃れるようにどこかへ走り去ってしまう。

ヴァレリエが道を歩いていると、背後から突如、あの黒装束の男・イタチが現れる。イタチはマントでヴァレリエを抱き締めながら、救貧院の場所を教えてくれと言う。ヴァレリエは男に連れて行かれるままそこへ向かうが、扉の先は地下室へと繋がっており、暗く、蜘蛛の巣が張り巡らされた不気味な場所であった。男は「ここは私の王国なのだよ」と言い、ヴァレリエを誘い出す。ヴァレリエが壁の穴を覗くと、そこには、祖母の姿があった。祖母は元恋人で、牧師のグラツィアンに捨てられたくないと縋りついていた。そんな祖母の姿から、必死に目を逸らそうとするヴァレリエを救ったのはオルリークだった。祖母は若返りたいがために、イタチと謎の契約を結ぶ。オルリークはヴァレリエにイヤリングの中に入った薬が君を守る、とそれを渡す。

ヴァレリエは庭で祖母や例の牧師・グラツィアンらと食事をしていた。グラツィアンは美しいヴァレリエに目を付けており、オルリークとヴァレリエが兄妹であることを耳打ちし、彼女に衝撃を与える。

ヴァレリエがその晩、自室で服を脱ぎ横になっているとグラツィアンが部屋へと入ってきて彼女を襲おうとする。ヴァレリエはオルリークがお守りだと言っていたイヤリングの薬を飲み、この場で死ぬと言う。この薬は仮死状態になることができ、グラツィアンはヴァレリエを殺してしまったのかと思い、その場を去って行く。

その頃、祖母はイタチに血を吸われたことで吸血鬼と化し、若返った姿でヴァレリエを殺そうと襲い掛かってくるがオルリークが助けに入る。

気絶していたヴァレリエだったが、オルリークの歌声で目を覚ます。その時、オルリークは不意にヴァレリエに愛の告白をし、口づけしようとするが、ヴァレリエは「私達は兄妹よ」とそれを拒み、逃げ出してしまう。そんな彼女に向かって、オルリークは「僕の本当の父はイタチなんだ」と叫ぶ。

映画『闇のバイブル 聖少女の詩』のあらすじ【転】

ヴァレリエが再びイタチのいる地下室へと引き返すと、苦しみ呻くイタチの姿があった。すぐ傍では若返った祖母が高笑いし、イタチはひたすらヴァレリエの名を呼ぶ。それから、我々を救えるのはあの娘しかいない、あの娘は自分の血を引いている――そして、ヴァレリエの血が自分達の頼みの綱だと祖母に言う。

祖母が去った後、ヴァレリエはイタチの元へ走り、彼をお父様と呼ぶ。それから、ヴァレリエは盗んできた鶏の血を吸い、イタチに口移しで血を与えた。すると、イタチの怪物のようだった顔が端正な中年の顔へと変わり、ヴァレリエは父との再会を喜び抱擁し合う。しかし、再びイタチは化け物の姿へ戻り、ヴァレリエを襲い彼女を棺のような場所へ横たえる。イタチは戻ってきた祖母に、オルリークの心臓を使い自らとヴァレリエに永遠の命を与えると言い始める。イタチらが去った後、ヴァレリエはオルリークの傍にいるべきだったと起き上がり、外へと出る。

そんな、ヴァレリエの足元に落ちてきた一通の手紙はオルリークからであった。中にはヴァレリエは自分を捨てイタチを救った、君を愛していたのに――と別れを告げる手紙が記されていた。

街の中では先にヴァレリエを襲おうとした牧師・グラツィアンが、少女や修道女を集め何かを語っている。それは、この街の中に魔女がいる、というようなものだった。その魔女は自分を誘惑し罠に落とそうとしたと言う。グラツィアは祈りを捧げる少女達の中にいたヴァレリエに向かい、魔女だと叫ぶ。修道士らの手により火炙りの刑に処されることとなるヴァレリエ。

火刑台に上げられ、修道士や少女らに囲まれながら火を点けられるヴァレリエだったが、イヤリングに入っていた薬を飲み、仮死状態となる。仮死状態になったことで、無事にヴァレリエは生き延びる。

ヴァレリエは再びイタチのいた地下室へと戻るが、そこでは厳格だった筈の祖母や複数の男女らが乱れており、ヴァレリエはイタチのワイングラスの中に毒を仕込む。イタチがそれを飲むと、彼は苦しみ出し、黒装束の中には動物のイタチが1匹いるだけであった。

映画『闇のバイブル 聖少女の詩』の結末・ラスト(ネタバレ)

ヴァレリエはその足でオルリークの元へと向かうと、椅子の上で眠っている彼の額に唇を落とす。それから、自分の部屋で服を脱ぎ、一糸纏わぬ姿のままベッドで眠る。目を覚ますと、再びいつもの通りの姿をした祖母が帰ってきていた。ヴァレリエの元に再びオルリークから手紙が届き、中には「劇場には行くな。馬の用意をして青い湖に行け」と書かれている。ヴァレリエがオルリークの元へ行くと、オルリークは地下から逃げ出したイタチを銃で撃ち、同時にヴァレリエの祖母も倒れてしまう。

家へと戻ると、祖母はベッドの上でまどろみながらヴァレリエに語り掛ける――「お前の母親は、若い狩人に恋をした。子供を2人産んだ。男の子と女の子を。でもリヒャルデが自分の子だと言ったので、嫉妬した私はお前の母親を追い出した。女の子は私が貰った、それがお前よ。オルリークはリヒャルデがどこかへ連れて行った。私はお前の母さんに言った、“御者のいない馬車が通る日が来たら許す”と」……そう言い残すと、祖母は息を引き取った。

そこへ、馬車がやってきたかと思うと中にはヴァレリエの両親が乗っていた。降りてくるなりヴァレリエを抱き締め再会を喜ぶ母と父。そこへ、先程息絶えた筈の祖母が黒いベールを纏って姿を見せる。ヴァレリエはオルリークとも再会し、手を取り合う。やがて、ヴァレリエは1人、誰もいない森の中ベッドの上で目を覚ます……。

映画『闇のバイブル 聖少女の詩』の感想・評価・レビュー

ゴシック的な装飾や服装、耽美な雰囲気、幻想的で抽象的なショット……と、話というよりはそれらを「観て」楽しむ映画。ストーリーははっきり言って脈絡もなく、あって無いようなものであり、展開も物凄く唐突で何の説明も無いので推測するしかない。さながら不思議の国のアリスのようなシュールで理不尽な世界観。主人公、ヴァレリエの美しさが一部では伝説化しているそうだが、全くその通りで、華奢な美少女。クラシカルなワンピースの装いが人形のようである。(MIHOシネマ編集部)

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