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映画『しあわせな人生の選択』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『しあわせな人生の選択』の概要:末期がんと1年間闘った男性が出した決断は、治療を止めることだった。自身の死に向かい着々と準備を始める男性の元に、遠くに住む旧友が訪ねてきた。大事な愛犬と旧友と過ごす4日間を紡ぐ。

映画『しあわせな人生の選択』の作品情報

しあわせな人生の選択

製作年:2015年
上映時間:108分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:セスク・ガイ
キャスト:リカルド・ダリン、ハビエル・カマラ、ドロレス・フォンシ、エドゥアルド・フェルナンデス etc

映画『しあわせな人生の選択』の登場人物(キャスト)

フリアン(リカルド・ダリン)
癌が全身に転移し、闘病の末に治療を止める決断をする。医者や親族には反対をされたが、久しぶりに再会した旧友と再会し共に過ごす中で死への準備を進める。
トマス(ハビエル・カマラ)
旧友の状況を知り、はるばるカナダからスペインへ駆けつけた男性。フリアンの決意の固さを目の当たりにし、ただ寄り添うことに徹底する。

映画『しあわせな人生の選択』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『しあわせな人生の選択』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『しあわせな人生の選択』のあらすじ【起】

妻に見送られ家を出たトマスは飛行機を乗り継いでカナダからスペインへと向かった。それは末期がんと闘う親友・フリアンに会うためである。突然の訪問を喜ぶフリアンだったが、従妹のパウラから連絡を受けたと話すと表情を変えるのだった。フリアンは癌の治療を止め、命の終わりを受け入れようとしている。その決断を考え直せと言われると思ったのである。トマスは「4日は滞在する」と言い切り、一緒に居られる時間を楽しもうと提案した。

フリアンは愛犬のトルーマンの新たな家族を探そうとしていた。大型犬の引き取り手はなかなか見つからず、パウラは猫を飼っているため頼むことはできない。担当の獣医に犬の特性などを聞き出し、どうすべきか相談しに出向いた。主治医は変えられないと伝え、自分の死後も愛犬の世話を頼むのだった。

次にフリアンは自分の主治医との面談にトマスを同席させた。1年間続けた抗がん剤治療を休止しているフリアンに対して、医師はもちろん治療を再開するように諭す。しかし、残された財産を治療に使う意義を見いだせないフリアン。主治医に別れの挨拶に来たのだった。

自分のことに関しては1年をかけ考え、結論を出しているフリアンはトルーマンのことばかり考えている。昼食を食べる前に書店に出向き、動物心理学の本と死に関する本を購入した。

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映画『しあわせな人生の選択』のあらすじ【承】

トマスと食事をしていたフリアンは、疎遠になっていた友人夫婦を見かける。目が合っても声をかけてこないことに苛立ったフリアンは、「もう会えなくなる」と伝えその場を去った。固い意志と衝動に翻弄されるフリアンの姿をトマスはただ見守ることしかできないのだった。

病を抱えながら俳優業を続けているフリアン。トマスはフリアンが出演する舞台をパメラと鑑賞し、夕食を共にした。フリアンの遊び仲間は近くに居ても、親友は遠くに住んでいることが気がかりだと話すパメラ。友人の死を目の当たりにしたことがないトマスもまた、実感が無く不思議な心境に置かれていることを打ち明けるのだった。

その夜、トマスは深夜に「死んだ両親の夢を見る」とフリアンから連絡を受けた。昼間に書店で買った死についての本を読み、余計に不安が募ったのだ。何も言わずにフリアンの話を聞いてあげるトマス。フリアンはトマスの存在に安心し、眠りにつくのだった。

翌朝、トルーマンの里親探しに付き合うトマス。子犬を欲しがる人が多い中、息子のために成犬を探しているという夫婦に面会にいった。この夫婦は女性同士で、子供を養子縁組で迎え入れている。息子との相性を見るために、急遽この家にトルーマンを1泊させることになったが、フリアンは永久の別れのように渋った。いつも一緒だったトルーマンがいない不安は予想よりもひどく、トマスに一緒に居て欲しいと甘えるのだった。

次の目的地は葬儀会館だった。あらかじめ下見の予約を済ませていたフリアン。埋葬方法や骨壺、棺と選んでおくものはとても多い。死後の想像を直接的にしてしまったフリアンは思考停止してしまう。代わって対応したトマスは、フリアンの貯えがないことも知り心配するのだった。強気に振る舞うフリアンだったが、突如身を隠そうとする。ルイスという男性から隠れようとしたのだ。実はルイスの元妻と不倫関係にあったフリアン。友人の家庭を壊してしまったことに、罪悪感をずっと抱いていたという。しかしルイスの方から声をかけてくれ、フリアンの病状を気遣ってくれた。ルイスの優しい言葉に心を洗われたフリアンは、過去について謝罪し関係を修復することができたのだった。

映画『しあわせな人生の選択』のあらすじ【転】

病気を抱えてもなおステージに立ち続けるフリアンは、「休養が必要だ」と解雇されてしまった。崖っぷちに立たされたフリアンに寄り添うトマス。翌日、トルーマンの里親候補からもう一日様子を見たいと申し出られ、フリアンは時間を持て余してしまう。寝室に飾ってあるし写真を見て、息子・ニコの誕生日であることを思い出したフリアンは、トマスの経済力を頼りアムステルダムに居るニコと昼食を食べたいとわがままを切り出すのだった。

フリアンは化学療法を止めたこともニコには話せていない。むしろ治ったと勘違いしているという。ニコに話すべきだと言うトマスに反抗するフリアン。トマスに通訳をしてもらいながら、ニコの通う大学へと向かう。道中、トマスの言葉を振り返り、フリアンはニコに全てを伝えようと決心した。

突然の訪問に驚くニコだが、何とか時間を作り昼食を一緒に食べようと提案してくれた。ニコの恋人・ソフィも同席し和やかに話すが、フリアンは病気のことを告白することができなかった。別れ際フリアンはソフィに息子を委ねた。少しためらった様子のニコは、フリアンをただ強く抱きしめ別れを惜しむ。フリアンも何も言えないままぎゅっと抱きしめ返すことしかできなかった。

映画『しあわせな人生の選択』の結末・ラスト(ネタバレ)

スペインに戻った二人は飲み明かし、フリアンの泊まるホテルに一緒に戻った。ツインのベッドに並んだ二人。電気を消される前に、フリアンはそっと手をだした。トマスは優しく手を重ね、眠りにつくのだった。

トルーマンの里親候補の夫婦は「死」を恐れて話しを白紙にした。時間が限られているフリアンはすぐに次の候補者と会い、何とか話をまとめようとする。しかし、トマスは候補者の人種差別的発言が許せず、猛反対をするのだった。

偶然、フリアンの元妻と会った二人。実はフリアンの状況をニコに伝えてあると話す元妻。別れ際のハグの意味を理解し、フリアンはさらに気を落としてしまう。さらにトイレに間に合わず部屋で失禁してしまったフリアンは、パウラを招いて夕食を共にするもネガティブな発言ばかりを繰り返すのだった。

帰国を翌日に控えたトマスはホテルに戻ることにする。偶然忘れ物をしたパウラと鉢合わせ、二人はフリアンを失う哀しさを共感しあった。そのままホテルに一緒に向かった二人は、生きている実感を得ようと体を重ね合う。感情を抑えきれないトマスは、パウラの胸を借り大いに泣くのだった。

翌朝、見送ろうとホテルに出向いたフリアンは、パメラの車を見かけ二人の関係を察する。空港まで向かう車内にはぎこちない時間が流れる。搭乗口を前に、フリアンは、トルーマンのリードと書類、航空券を渡した。トマスに内緒で大型犬を乗せるための交渉を済ませていたフリアン。トルーマンには鎮静剤を与えており、飛行機に乗れるようにしてあったのだ。フリアンの最期のわがままだと分かっているトマスは何も言わず、全てを受け止めた。

搭乗口にトマスと向かったトルーマンは、何度もフリアンの方を振り返りながら歩みを進める。指定席に着いたトマスは、リードを手にただフリアンのその先の時間に思いを馳せるのだった。

映画『しあわせな人生の選択』の感想・評価・レビュー

多くを語りすぎない静かな物語であった。セスク・ゲイ監督自身が見守った母親の闘病体験をベース構成されたという一作。人生の余暇は期限がわからないからこそ悠々としていられる。残された時間が見えているならば、フリアンのように全てをやり切ろうとしてしまうかもしれない。ただ傍に居て、希望通りの時間をともにしてくれる旧友。偉大な存在と過ごしたのはたった4日間だが、実りの多い時間を共有してもらうことができた。(MIHOシネマ編集部)


自分の死がすぐそこまで来ているとしたら、どんなふうに生きたら良いのかを考えさせられる作品でした。きっと、正解なんてないのだと思います。元気なうちは、誰にも迷惑をかけずに…なんて言っていても、いざ死が近づくと「最後のわがままだから」と自分勝手な行動をしてしまうのかも知れません。
それを何も言わずに受け止めてくれる存在は、今の自分にいるのかな?と生き方や自分自身の行動を改めて考えさせられました。(女性 30代)

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