『野生のエルザ』あらすじ感想とネタバレ映画批評・評価

野生のエルザの概要:「野生のエルザ」(原題:Born Free)は、1966年のイギリス映画。監督はTVドキュメントで活躍した、ジェームズ・ヒル。主演はヴァージニア・マッケンナ。共演にはビル・トラヴァース、ジェフリー・キーン、ロバート・ヤング、ピーター・ルコイエ、ジェフリー・ベスト。

野生のエルザ あらすじ

野生のエルザ
映画『野生のエルザ』のあらすじを紹介します。

ジョイ・アダムソン(ヴァージニア・マッケナ)は、ケニアの北高原の監視官ジョージ・アダムソン(ビル・トラヴァース)の妻で、人食いとして射殺されたライオンの子供を拾い育てることにし、その中でいちばん小さなエルザを特に可愛がった。地方行政官の忠告のように、大きくなった時の野生の恐ろしさを危惧する事も考えたが、エルザは夫のジョージが病気の時は、枕元で一晩中見張りをすることもあった。楽しい時期は短く、やがて大きくなり過ぎ野生も表れてきたエルザの行く末をジョイは考え、エルザを野生に戻す事に決めた。だが雄ライオンの傍に連れて行くと、エルザは慌てて車の方に飛んで帰って来る始末で、他の動物を殺すことを教えようとすると獲物と遊ぶような態度を取る。さらに一週間サファリに放してみたが、獲物を捕れずに餓死寸前のところを発見される。こうなると動物園に送らざるを得ないのだが、エルザが繁殖期に入ったある日、ジョイは彼女を遠くまで運んでみる。すると野生の牝ライオンと激しい取っ組み合いの末にエルザが勝ってしまう。彼女は本当の野生に目覚めたのだが、ジョイは嬉しさと同時に、エルザが遠くへ行ってしまう寂しさを隠せなかった。そこから一年間が経ち、アダムソン夫妻はエルザを放した場所へ訪れたが、一週間過ぎてもエルザは現れなかった。諦めて帰ろうとした時に遥か彼方からエルザが姿を現し、彼女は三匹の子ライオンを連れていた。エルザはジョイに近づき、懐しそうに体をすり寄せて甘える仕草を見せ、彼女の子供たちもジョイに近寄ってくる。やがて近くからエルザの夫と思われる雄ライオンの呼ぶ声が響いてきた。

野生のエルザ 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1965年
  • 上映時間:94分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ジェームズ・ヒル、トム・マッゴーワン
  • キャスト:ヴァージニア・マッケンナ、ビル・トラヴァース、ジェフリー・キーン、ロバート・ヤング etc

野生のエルザ 批評 ※ネタバレ

映画『野生のエルザ』について、感想批評です。※ネタバレあり

どこか複雑な心境にさせられる時代背景

今の世ならば、動物ドキュメントでは人間と極端な接触をしないよう配慮された映像が多く見られるが、1960年辺りの時代ならではの物語だろう。感動的な映画としての観点では、動物と人の絆も感じられ心温まるいい作品だとは思うのだが、現実的にやむなく自分が殺したライオンの子供を見過ごすという選択は難しいだろうと思う。動物保護の観点や倫理観を語る前に、親を殺されたライオンの子供はまず野生では生きて行かれないという現実に迫られるのだ。そう考えると、ジョイが無理を承知で引き取るというのも仕方がないように思えるし、後で野生に帰すというところで再び悩むのも理解出来る。こういったストーリーには様々な要因が含まれており、子供のライオンを見殺しに出来ないという選択に迫られた時点で、話はスンナリと進む訳がないのである。野生のドキュメンタリーなどでも、カメラマンや撮影スタッフは、いかなる状況においても手出し無用という鉄則があるが、この映画がきっかけでその掟が生まれたのではないのだろうかと考えてしまうのだ。将来自分の立場を脅かされるという理由で、雄ライオンが子ライオンを喰い殺すようなシーンがドキュメントではリアルに放映されているが、それが野生の掟というものであるのだ。

深く考えず、物語として見なければならない話

エルザの親が人を襲うライオンであったというところが厄介なのである。人食いライオンにしてしまったのは結局人間なわけであり、そもそもライオンがいるところに住んでいるというのはいかがなものだろう。というような事も勝手な言い分であるのだが、ライオンは肉食獣なので彼らにとってはシマウマも人間も同じ肉としか認識されていないのだろう。とにかく「世の中」というのは人間が作った道理であり、人間の勝手な理屈のみしか通らないように出来ているので、ライオンの住む世界に入って行くのも人間の道理である。「人食い」=「悪」も人間の道理であり、ライオン側では、「人間」=「食べ物」という図式が成立しているのだ。そんな事を考えていればこの映画は何の価値も失ってしまうので、たまたまそういう美しい物語があったのだという認識で自己解決しなければならない。

野生のエルザ 感想まとめ

人間とは不思議なものであり、ライオンの子が野生に帰るとか帰らないとかで揉めるくせに、ライオンに喰われる草食動物はかわいそうとは思わないのだ。そして自分たちもその草食動物を日々食べて生きている。結局は肉食動物同士の生き方が合致したというところで生まれた美談であると思うのだが、これがハイエナの子供だったらどうなっていたかとか、チンパンジーだとか、はたまたシマウマだったらとかとシミュレーションしてみたら、やっぱり「猫可愛がり」という結論に落ち着いた。大人になってどう変わってしまおうと猫科動物の子供というものはひたすらに可愛いのである。その可愛さの前では、道徳や倫理なんていうものは吹き飛んでしまうのは理解出来る。子供の時に何回もこの映画をテレビで観たが、その度に一緒に見ている誰もが声を揃えて「可愛い~」と言っているのだ。主人公だって単純に同じ気持ちだったのだろう。なんやかんや言いながらも最後は野生に帰ったのだからそれでいいじゃないか。単純に風景も音楽も最高です。

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