映画『エレファント・ソング』あらすじネタバレ結末と感想

エレファント・ソングの概要:母親が目の前で自殺してから9年も心を閉ざした青年の主治医の謎の失踪。院長は謎を解くために青年と1対1の対話に臨む。彼は不可解な話を延々と続けるばかりだった・・・。青年の目的とは・・・。

エレファント・ソング あらすじネタバレ

エレファント・ソング
映画『エレファント・ソング』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

エレファント・ソング あらすじ【起・承】

時は’60年代。
14歳の時、オペラ歌手である母が目の前で自殺したマイケル(グサヴィエ・ドラン)は、それ以来、青年になった今も精神病院に入院している。

ある日、彼の担当医であるローレンス(コルム・フィオール)が失踪するという事件が起きる。
手がかりを知るのはマイケルだけだが、彼は病院一の問題児で、医師、看護士が手をやいていた。

彼の担当で、看護師長のピーターソン(キャスリン・キーナー)は、マイケルは周囲のものを茶化すだけで、
まともに答えようとしないと、院長のグリーン(ブルース・グリーンウッド)に助言する。

しかしグリーンは、あえてマイケルと1対1で話してみようと試みる。
そんな院長にマイケルは、対話の条件を3つ出した。

1:カルテを読まない。
2:ご褒美にチョコレートを出す事を約束する。
3:看護師長をこの件から外す。

院長は条件を飲むが、マイケルは肝心の話はしようともせず、無駄話ばかりしていた。
マイケルの目的は何だったのか・・・。

エレファント・ソング あらすじ【転・結】

マイケルは象とオペラに対し、異様なまでに執着を示し、院長の前で薀蓄を語り続けた。
看護部長や担当医には、とうの昔に心を閉ざし、喋る事などなくなってしまった。

担当医は失踪したわけでも殺されたわけでもなく、ただ単に休暇届を出しただけだった。
それをマイケルは、いたずらで隠していた。
このチャンスに、担当医や看護士以外の人間と話せるのではないかと。

マイケルは、自分がオペラ歌手である母親が凱旋中に、一夜の過ちで出来た『いらない子供』だったと院長に語る。
彼の記憶は母親を亡くした14の時、9年前で止まっていた。

マイケルは、院長を翻弄し続けた挙句に、こう言う。
ただ黙って最初から僕の話を聞いてくれるだけで、よかったのに。

そしてナッツ入りチョコレートを貰う。
ナッツアレルギーだったマイケルは、オーバードースで死んでいく。

院長は目の前で死んでいったマイケルに許してくれと、哀しみに暮れる。
それは幼い娘を失った哀しみ以上のものだった。

エレファント・ソング 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2014年
  • 上映時間:100分
  • ジャンル:サスペンス、ミステリー
  • 監督:シャルル・ビナメ
  • キャスト:ブルース・グリーンウッド、グザヴィエ・ドラン、キャリー=アン・モス、ギィ・ナドン etc

エレファント・ソング 批評・レビュー

映画『エレファント・ソング』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

映画冒頭の名曲が示す両親との距離感

映画冒頭は、マイケルの母親が、プッチーニのオペラ『O mio babbino caro』を歌うシーンで始まる。
歌の内容は、結婚を父親に反対された娘が、ポンテベッキオ橋から身投げするというもの。

マイケルは母親がアフリカを凱旋中にハンターである父親との一夜の過ちで出来た子供だった。
彼が象に詳しい所以は、少年時代にアフリカで父親と暮らした楽しい思い出が凝縮されているから。

おそらく彼の父親は、マイケルが少年時代の時になくなり、母親が嫌々ながら引取ったのだろう。
マイケルの、ぼろぼろの象のぬいぐるみは、いわば父親との思い出の代わり。

母親には愛されていない事は、冒頭の歌や、距離感からじわじわと伝わってくる。

何故マイケルは院長を選んだのか

マイケルは最後、愛されなかった自分に責任があると自らの人生を締めくくる。
最後に自分の人生を曲がる事無く聞いてくれる相手を選んだ末に。

その選ばれた相手が院長だったのは、マイケルの聡明さ所以だろう。
院長は、かつて家庭を顧みず、幼い娘を失い、今は再婚し我侭な妻オリヴィア(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)に
翻弄されている。

聡明なマイケルは院長の中に、自分と似た人間関係の苦しみを見出したのかもしれない。

心の自由はない環境

映画の中でマイケルが置かれている環境は、心の自由はない。
彼は、看護士に頼めば付き添いつきで外出は出来るが、自由に行動する事も発言も出来ない。

心の自由がないという事は、生きている自由もないのだ。
マイケルは、仮に退院できたとしても自由はない、それが彼に死を選ばせたといっても過言ではない。

大手の労健に行った事がある人なら判るかもしれないが、保険所の検査にパスする程度の衛生度は保っているが、
人間的な暖かさが感じられない病棟の独特の雰囲気がにじみ出ている。

エレファント・ソング 感想まとめ

元々は劇曲だったこの作品は、映画化に当たり、登場人物の背景にさらに肉付けされ、ストーリーラインも一部書き加えられた。
何よりもグサヴィエ・ドランが主演を熱望した事で当時は話題となった作品でもある。

若干25歳でカンヌ映画祭の審査員に選ばれたドランが、マイケルは自分だと語る程、この映画には思い居いれがあるという。
彼自身、今でこそ才能を認められ世間から脚光を浴びているものの、かつてはマイケルの様に、親の愛にか渇望していた若者だったのかもしれない。

そんなドランを救ったのが、映画だとすれば、この映画もまた、誰かの救いになるのかもしれない。

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