映画『陽だまりハウスでマラソンを』あらすじネタバレ結末と感想

陽だまりハウスでマラソンをの概要:かつてオリンピックの金メダリストだったマラソン選手が、老後の生きがいを求め、多くの障害を乗り越えながらフルマラソンに挑戦する。高齢化社会のあり方を問う2013年公開のドイツ映画。

陽だまりハウスでマラソンを あらすじネタバレ

陽だまりハウスでマラソンを
映画『陽だまりハウスでマラソンを』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

陽だまりハウスでマラソンを あらすじ【起・承】

パウル・アヴァホフ(ディーター・ハラーフォルデン)は1956年のメルボルン・オリンピックのマラソンに西ドイツ代表で出場し、ソ連のポポフに勝って見事金メダルを獲得した伝説の人だった。現在は妻のマーゴ(ターチャ・サイブト)と郊外の一軒家で静かな日々を送っていた。

マーゴは数年前に乳がんを患ってから体調がすぐれなかった。客室乗務員をしている一人娘のビルギットは年老いた両親を心配し、老人ホームへ入居するようパウルを説得する。パウルは最愛の妻マーゴのために渋々施設への入居を決める。

しかしパウルは毎日歌を歌ったり、栗人形を作ったりするような施設での生活に馴染めず、療法士のミュラーと対立する。“老人はみんな死におびえ、平穏を望んでいる”と決めつけているミュラーの考えにパウルは反発し、ベルリン・マラソンに出場するためトレーニングを始める。当初は戸惑っていたマーゴもパウルの気持ちを理解し、昔のようにトレーニングをサポートする。

パウルがかつての金メダリストだと気付いた入居者たちは彼の挑戦に刺激され、活気を取り戻していく。しかしパウルのやり方が気に入らない入居者もおり、自分の本気を見せるため、パウルは若い介護士のトビアスとマラソンの勝負をする。パウルはペースを崩さない走りでトビアスに勝利し、彼を応援していた入居者たちはますます団結を強める。

陽だまりハウスでマラソンを あらすじ【転・結】

ミュラーはパウルが走る理由を老人性のうつ病による発作的な行動か、認知症のせいにしたがっていた。ミュラーの誘導尋問に耐えきれなくなったパウルは、マーゴと施設を出てしまう。

パウルはテレビ番組に出演し、閉鎖的な施設の対応を告発する。パウルとマーゴはビルギットの家に身を寄せ、トレーニングを続けていた。しかしビルギットは自分のペースを乱されイラついており、2人を再入居させてもらえるよう施設へ頼む。どうしてもマラソンはやめないというパウルとビルギットは衝突し、マーゴは胸を痛める。

パウルのトレーニング中にマーゴが倒れ、医者から余命宣告される。パウルはマーゴを失うことを何よりも恐れており、すっかり弱気になる。マーゴは必ずレースに出て走り抜いて欲しいとパウルを励ます。そしてパウルの腕の中で静かに永眠する。

マーゴを失ったショックで混乱していたパウルは、トレーニングに出たまま迷子になってしまい、結局施設に戻される。精神的に不安定になったパウルは夜中に暴れ、ベッドに拘束される。

施設側のやり方に疑問を感じていた入居者はトビアスとともに密かにパウルの拘束を解き、彼をベルリンへ向かわせる。さらにミュラーを部屋に閉じ込め、パウルを支持する入居者たちと施設を脱走し、パウルの応援へ行く。ベルリンでは、パウルが走り始める。

テレビ中継でパウルの姿を見たビルギットもスタジアムに駆けつけ、父のゴールを待つ。観客たちはパウルが帰ってくるまで、スタジアムに残っていた。パウルはフラフラになりながらも気力で走り、ついに42.195キロを完走する。観客は総立ちで彼のゴールを称賛し、パウルは自分が一人ぼっちではないのだと感じていた。

1年後、ミュラーは辞職し、入居者たちは開放的な空間で活き活きと暮らしていた。パウルは結婚したビルギットの家を訪ね、孫を愛おしそうに抱きしめる。

陽だまりハウスでマラソンを 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★☆☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2013年
  • 上映時間:115分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:キリアン・リートホーフ
  • キャスト:ディーター・ハラーフォルデン、タチア・ザイプト、ハイケ・マカッシュ、フレデリック・ラウ etc

陽だまりハウスでマラソンを 批評・レビュー

映画『陽だまりハウスでマラソンを』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

かなり社会派の作品

「陽だまりハウスでマラソンを」という邦題からほっこりしたヒューマンドラマを勝手にイメージしていたが、全くそんな映画ではない。主人公のパウルが入居する老人ホームの描写は1975年度のアカデミー賞で5部門を受賞した名作、「カッコーの巣の上で」を彷彿とさせる。

老人はみんな死の恐怖に怯え心の平穏を求めているものだと杓子定規に決めつけ、それを救うのが自分の使命だと思い込んでいる頑ななミュラーという女性の療法士。さらに施設内の規律を乱されることを嫌い、冷酷な対応をとる施設長。この2人は決して悪人ではない。多くの入居者を管理するために規則というものはどうしても必要で、綺麗事だけでは済まされないのもわかる。「カッコーの巣の上で」では精神病院の絶対的権力者だったラチェット婦長が“使命”と“規則”で動く人物だった。

施設にとってパウルは今までの秩序を乱す迷惑な存在だ。娘にとっても父は自分勝手な頑固親父であり、親子は衝突を繰り返す。しかし入居者の老人たちにとっては、自分の生き方を貫こうとするパウルが大きな希望となる。そこの葛藤はかなり現実的に描かれており、誰が正しいと一概には言えない。見終わってからも色々と考えさせられる、予想外に社会派の一面を持った作品だ。

見知らぬ俳優に出会える喜び

ドイツ映画には馴染みがなく、主演のディーラー・ハラーフォルデンもその妻役のターチャ・サイブトも全く知らなかった。その分、何の固定観念もなく俳優の芝居と向き合える。

特に心に響いたのはターシャ・サイブトの控えめでリアリティーのある芝居だ。マーゴは残される夫と娘のことが心配で、そのために何とか生きようとしている。おそらく彼女は自分の欲で長生きしたいなどとは微塵も思っていない。そのマーゴの健気さと深い思いやり、さらには芯の強さをターシャ・サイブトは見事に表現している。資料がないのでわからないが、ドイツでは長く名脇役を務めてきたような女優さんではないだろうか。可能なら他の出演作も是非見てみたい。

陽だまりハウスでマラソンを 感想まとめ

こじんまりした作品を想像していただけに、内容の濃さも大規模なマラソンシーンも、いい意味で期待を裏切ってくれた。高齢化社会を迎えたドイツの現状は日本にとても近い。さらに第二次世界大戦の敗戦国であることも日本と同じで、共感できる部分が非常に多かった。

最大のテーマは“人生を最後まで諦めない”ということなのだろうが、夫婦愛や介護の難しさなども盛り込まれた内容なので、そう単純ではない。しかしマラソンのゴールシーンは単純にグッとくる。これはなかなかの力作。見て良かった。

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