『偽りなき者』あらすじとネタバレ映画批評・評価

偽りなき者の概要:2012年制作のデンマーク映画(原題:Jagten)。第65回カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門で上映され、主演のマッツ・ミケルセンが男優賞を受賞した。

偽りなき者

偽りなき者 あらすじ

映画『偽りなき者』のあらすじを紹介します。

妻と離婚し無職だったルーカス。
元妻と暮らす息子のマルクスと一緒に暮らすため、何とか街の幼稚園で働き始める。
幼稚園では子供の面倒見も良いルーカスは、園児にも好かれ穏やかで平凡な人生を歩んでいた。

そんな時、園に通う親友テオの娘クララがルーカスへの恋心を露にしてきた。
ルーカスは優しく彼女の思いをたしなめたのだが、それが悪夢の始まりであった。
なんと、クララは園長にルーカスに性的ないたずらをされたと嘘をついてしまう。

この嘘が元で、園は職員も保護者もルーカスを変質者として扱うようになりついに警察に任意同行されしまった。
全くの無実の罪を着せられたルーカスは、親友テオや仲間からも虐げられるようになってしまい街で買い物することも難しくなる。
元妻にも連絡がいったせいで、本当だったら翌週から一緒に暮らせることになっていたマルクスとも暮らせなくなってしまっていた。

そんなルーカスのもとへマルクスが訪れる。
ルーカスの無実を信じていたのは、マルクスと仲間の一人ブルーンだけであった。
街の人々の迫害がエスカレートしていく中、クリスマスの日に教会に足を運び訪れていたテオ夫妻に涙ながらに無実を訴える。
テオは初めてここで本当にルーカスが娘にそんなことをしたのか自問自答する。
その夜クララは様子を見に入ってきた父、テオに寝ぼけてルーカスと間違え話す。
それは「こんなことになるとは思わなかった」という内容だった。
この話のおかげで完全に疑いが晴れたルーカスは、翌年また仲間の中に戻り日常を取り戻していた。

偽りなき者 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2012年
  • 上映時間:115分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:トマス・ヴィンターベア
  • キャスト:マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、アニカ・ヴィタコプ、ラセ・フォーゲルストラム etc

偽りなき者 批評 ※ネタバレ

映画『偽りなき者』について、3つ批評します。※ネタバレあり

どんより暗いくせに全く飽きない不思議な映画

一言でいって飽きない。
面白いかと言われると、明るく楽しい映画ではないので「面白い」という表現は適切ではない気がする。
冒頭から薄暗い演出のザ・ヨーロッパ映画という雰囲気の作品で、1時間半の短さとは言え耐えられるか不安になるそんな映画なのである。
しかし不思議に目が離せなくなっていく。
BGMは最小限で華やかでもなく、背景は冬のデンマークということもあり大して美しくもない。
あげく内容は園児が振られた腹いせにセクハラ容疑で嘘をつかれ、狭い社会の田舎町の中でほとんどの住人から迫害されていくという悲惨なものである。
それなのにこのドキドキ感は何であろう。
次が気になって仕方なくなってしまい、映画の世界にどっぷりはまってしまう不思議な魅力が溢れている。

俳優の演技があっぱれ

主演のミケルセンの演技が非常に良い。
暗くて冴えなくてお人好しの男性っぷりが本当に板についている。
それを支える個性的な友人や息子役の俳優も、ドキュメンタリー映画でも見ているかのようなリアルさで演じておりフィクションであることさえ忘れてしまう。
ぜひ俳優陣の演技力の高さを鑑賞して欲しい作品の1つである。

現実的に起こりうる精神面での打撃

人間誰しもが持っている疑心暗鬼。
昨日まで見方だった仲間たちが一瞬にして敵に変わる、そんなことは現実世界でもあること。
容易に想像がつくストーリー展開に、観客は共感を覚え恐怖を覚える。
特にラストシーン。
翌年何事もなかったかのように仲間と息子のパーティーで集まるルーカスだったが、一部の住人はまだ半信半疑である。
そしてルーカスも仲間と猟にでかけた森の中で、猟銃に狙われるという幻想を見てしまいトラウマを抱えている現実を描きだしている。
ここは幻想なのか、現実なのかいまいちあいまいではっきりしないのだが。
肉体の暴力より精神的な暴力の怖さをこれでもかと思い知らされる映画であった。

まとめ

とても見やすく映画としても完成度が高い作品であった。
ヨーロッパ映画が苦手だという人にも展開が早くまわりくどくダラダラしていないので、見やすくなっているのではないか。
音楽的な効果を強調することで、ドラマの悲惨さを演出していないのも褒めるべきところ。
俳優の演技と作品の質、監督の撮影技術での勝負している本物の映画である。
現在の世の中でも問題になっている冤罪。
本当に冤罪なのか信じてあげたい気持ちと、疑ってしまい迫害の仲間に簡単に加わってしまう気持ちと両方が理解できる。
この問題は非常に難しく、冤罪と思っていてもと人がういうことも実際にはあるからだ。
疑心暗鬼のまま付き合う事にも恐怖を覚える。
ラストのルーカスのトラウマ化は自然の流れであり、これがまた現実的な事件として印象付ける結果となっている。

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