『少年は残酷な弓を射る』あらすじとネタバレ映画批評・評価

少年は残酷な弓を射るの概要:ロンドン映画祭での作品賞をはじめ、数々の賞を受賞した、リン・ラムジー監督の2011年の作品。ナルニア国物語の白い魔女役を演じたティルダ・スウィントンが、エズラ・ミラーの母親役を熱演している。

少年は残酷な弓を射る

少年は残酷な弓を射る あらすじ

映画『少年は残酷な弓を射る』のあらすじを紹介します。

トマティーナの夢を見ていたエヴァが目覚めると、家の外壁には真っ赤なペンキがぶちまけられていた。
アルコールと向精神薬が手放せない彼女には、夫と息子と娘がいて、充実した仕事もある、幸せな日々があった。
今では安月給のパートで一人暮らし、外を歩けば罵られ、立派とは言いがたい自宅に嫌がらせをされる毎日。
そんな日々の中、エヴァは過去を思い返していた。

まだ入籍していなかったフランクリンと一夜を共にし、子供を授かるエヴァ。
しかし、母親になる覚悟も自覚も愛情もないまま、膨らんでいくお腹を嫌悪する日々。
そして生まれた息子ケヴィン。

エヴァがどれだけあやしても泣き止まないのに、夫フランクリンには懐く幼い息子。
日々の苛立ちを隠せないエヴァは、あなたが生まれるまではママは幸せだった、と口走る。

4歳なったケヴィンは、まだオムツが取れない。
嫌がらせのようにお漏らしをするケヴィンを、思わず壁に放り投げて骨折させるエヴァ。

その後、エヴァは妊娠してケヴィンに妹セリアが生まれる。
思春期になったケヴィンは、エヴァに対してあからさまな嫌がらせをするが、フランクリンの前では良い子を演じるのをやめない。
セリアが怪我をして片目を失う事故をきっかけに、夫婦の間では離婚話が持ち上がる。

そして16歳の誕生日の直前、ケヴィンは学校の体育館に生徒を閉じ込め、弓矢を放つ。
それは多数の怪我人、死者も出す事件で、ケヴィンが逮捕される瞬間を見たエヴァは急いで自宅へ向かう。
フランクリンとセリアは、体に何本もの弓矢が刺さった状態で、庭で息絶えていた。

それから2年、刑務所にいるケヴィンへの面会を続けるエヴァ。
「どうして?」と尋ねられるケヴィンは「わかっていたはずなのに、わからなくなった」と複雑な顔で答える。

そんな息子を抱きしめる母親が、そこにいた。

少年は残酷な弓を射る 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2012年6月30日
  • 上映時間:112分
  • ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
  • 監督:リン・ラムジー
  • キャスト:ティルダ・スウィントン、ジョン・C・ライリー、エズラ・ミラー etc…

少年は残酷な弓を射る 批評 ※ネタバレ

映画『少年は残酷な弓を射る』について、2つ批評します。※ネタバレあり

赤い色を上手く利用した作品

トマトを投げ合う祭トマティーナで、街中が真っ赤に染まるシーンから始まるこの作品。
セリアの可愛がっていたハムスターが排水溝に詰まっていたと思わせた次の瞬間、まるで血のようなペンキのついた手を洗うエヴァがいて、ハムスターが排水溝にいたことを想像させる。

エヴァへの家や車への嫌がらせのペンキの色は、いつも赤だ。
過去を思い出しながらベッドで横になるエヴァは、必ず赤い光が照らしている。
ケヴィンが捕まるシーンも周囲に赤を使い、ケヴィンが白いシャツを着ることで、コントラストが上手く使われている。

鏡に映したようなエヴァとケヴィン

エヴァが水面に顔をつけた次のシーンには、過去のケヴィンが水面を指でつつく。
面会中にケヴィンは噛んだ爪を綺麗に並べ、エヴァは卵のカラをケヴィンと同じように並べる。
まるで鏡に映したかのように瓜二つな親子の姿を見事に描いている。
また、エヴァ役のティルダ・スウィントンと、ケヴィン役のエズラ・ミラーの見た目や雰囲気を似せているので、親子役に全く違和感を感じない。

フランクリンとセリアが命を落とすシーンは、直接は描かれていないものの、弓矢だけでケヴィンが犯人だと想像させる。

親子らしい2人のシーンは、体調を崩した幼いケヴィンに弓を放つ内容の絵本を聞かせるエヴァと、思春期になったケヴィンとエヴァがパターゴルフの受付で辛口な批判をするシーンだけだ。
似すぎているが故に反発しあう親子が、ラストシーンではじめてハグするのだが、それがひとつの希望だと思いたくなる。

まとめ

ほとんどがエヴァの回想シーンで作られている「少年は残酷な弓を射る」。
同名の原作は、オレンジ賞を受賞した作品であり、映画も多くの賞を受賞している。

中性的な顔立ちで、難しい役ケヴィンを演じたエズラ・ミラーには不思議な魅力があり、今後注目したい。

また、役柄の心境や細かい部分をあまり映さない作品だが、じっくり見るとわかる事も多くなっている。
時間をかけてゆっくり見たい作品だと思う。

ラストシーンのエヴァとケヴィンの会話は、人それぞれの取り方があるように思える。
この作品では親のあり方、思春期の子供感受性や幼い子供に対しての接し方の問題点も描かれていて、アメリカの学校で実際に起こった銃乱射事件を思い起こさせるものがある。

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