『スラムドッグ$ミリオネア』あらすじ&ネタバレ考察・ストーリー解説

インドのスラム街で育った少年、ジャマール。人気クイズ番組に出演し見事最終問題へと辿り着く。しかし無学なはずの彼の姿に不正の疑いが。連行された先で、彼は壮絶な人生と背景を語り始める。

あらすじ

スラムドッグ$ミリオネア』のあらすじを紹介します。

インドで熱狂的な人気を誇るクイズ番組「クイズ$ミリオネア」。一問正解するごとに賞金を獲得していき、全て解くと2000ルピー(日本円で約4000万円)を手にすることができる。そんな夢のような番組に挑戦するのはスラム街で生まれ育ち、周りからは「スラムドッグ(=スラム街の野良犬)」と呼ばれ嘲笑の的にされる少年、ジャマール・マリク。しかしそんな彼が次々と正解していく姿に不正の疑いがかけられ、ジャマールは警察で尋問を受けるはめに。顔を水に沈められたり体に電気を流されたりとひどい尋問を受けるが、「ぼくは答えを知っていた」と訴える。そして何故答えが分かったのか、ジャマールは過去の記憶を警察官に語り始めるのだった。

第1問目は「ヒット映画『鎖』の主演俳優は?」という問題。これはインドで最も有名な俳優、アミターブ・バッチャンが答えだったため正解して当然だとみなされた。ジャマールにとっても彼は幼い頃からの大スターで、サインを貰ったがそれは兄のサリームに売られてしまうという悲しい過去を持っている。更に辛い過去を明かすことになったのは「ラーマ神の描写で彼が右手に持つものは何でしょう?」という出題。この答えを知った時、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒の暴動に巻き込まれた母を亡くし、更には住処まで奪われてしまう。暴動から逃げる最中、同じ境遇となった少女ラティカと出会い、3人は行動をともにする。ある日3人の前にママンと名乗る男とその仲間が現れ、他の孤児たちをもある場所へと連れて行ってしまう。そこではみんなに充分な食事と寝床が与えられ子どもたちにここは天国だと思わせるが、ママンの狙いは子どもたちに物乞いをさせ金儲けをすることだった。それだけでは飽き足らず、更に人々に同情を買わせようとママンは歌の上手い子どもを選び失明させる。盲目の歌手は2倍稼げるからだ。ジャマールもその標的になるところだったが、サリームの機転よりギリギリのところで切り抜ける。その一部始終を見ていたラティカも一緒に3人は線路まで逃げジャマールとサリームは走る列車に飛び込むが、サリームが手を離したことによりラティカは置いてけぼり、ママンたちに再び捕まってしまう。ラティカを心配し兄を責めるサリームだったが、自分の命も危なかった上に明日もどうなるか分からない状況下で、とにかく兄と生き延びる決意をするジャマールだった。人を騙し、盗難を繰り返しながらも成長していくが、ラティカのことを忘れられない日々が続く…。

ここまでで教師、医師らの限界といわれる1万6000ルピーを獲得。果たしてジャマールは見事最終問題を解くことはできるのか、そして、ラティカと再会することはできるのか…。

評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2009年4月18日
  • 上映時間:179分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ダニー・ボイル
  • キャスト:デブ・パテル、フリーダ・ピント、マドゥル・ミッタル、モアニル・カプール、イルファン・カーン etc…

ネタバレ考察・ストーリー解説

『スラムドッグ$ミリオネア』について、2つ考察・解説します。※ネタバレあり

青い子どもは何者?

ヒンドゥー教徒の襲撃から逃げる際にジャマールが見た、全身を青く塗り右手に弓と矢を持つ子ども。これはヒンドゥーの神とされるラーマ神の扮装です。弓矢を持つのは、戦士の神であったといわれるからです。その昔アヨーディヤというヒンドゥーの聖地があり、そこに建っていたラーマ神を讃える寺院をイスラム教徒が破壊してしまいます。そこから宗教間の争いは絶えず、暴動が多発していきました。今回の一件もその一つなのです。青い子どもは、これはアヨーディヤで倒されたラーマ神の報復であるとのメッセージが込められています。

サリームの本心は?

赤ん坊を物乞いに利用したり列車でラティカの手を離してしまったりと、どちらかといえば幼い頃から悪知恵の働く兄、サリーム。途中から悪の道に進みギャングの手下となってしまいますが、ジャマールが目を潰されそうになった時ママンを裏切って助けたこと、ラティカと再会した時も決死の思いで拳銃でママンを撃ったことなどからも本当は弟思いであり勇気のある青年なのです。しかし血気盛んであることに加え純粋な愛というものを知りません。その結果、冷酷な行動に出たりジャマールに銃を突きつけてラティカと無理矢理2人きりになろうとします。その真意は描かれませんが、ジャマールの心中が穏やかであるはずがありません。しかしラティカは「もう行って」と声をかけ、自分が犠牲になることでジャマールを守ろうとしたのです。そんな2人のお互いを思い合う姿に、サリームは嫉妬し感化されたことでしょう。ラストでは自分の命を懸けてラティカを逃がし、弟との再会を願いながら息を引き取るのです。

まとめ

インドの子どもたちが受ける迫害や虐待行為に思わず目を背けたくなり、前半は心苦しい展開でした。これが全くの架空の物語ではないことがさらに心に重くのしかかります。世界ではこれと同等の悲しい事件が多発しているのを思うと、つくづく日本は平和であることに気づかされます。本当に幼い頃からひどい目にあったジャマール、サリーム、ラティカ。生き方、考え方がそれぞれ違う3人ですが、どんな時でも挫けず前を向き懸命に生きようとする姿に強く心を打たれました。そして「運ではなく運命だった」という言葉とともにようやく結ばれたジャマールとラティカの純愛の姿に涙しました。苦労という言葉では収まらない幼少時代から、無事ハッピーエンドにつながって安心しましたし、2人が本当に無事で良かったです。しかし私はあまりインド映画を知らないため、エンドロールでのダンスシーンは少々面食らってしまいました。特にサリームが亡くなったのにそんな軽快に踊ってていいのかという点で…。しかしインドの映画のラストは踊りが多いということで、ハリウッドがインド映画に敬意を表した結果だそうです。それを知ってから見てみると、ハッピーエンドを更に助長する形でかっこいいシーンになっているのだと思いました。その他にも司会者や警察の意図だったり異文化であったり、何度か見てみることで分かったり解釈が違ってくるシーンが多々あります。クイズに答えていく、その答えは全て自分の人生の中にある、という分かりやすい展開&構成ですが、その中には深い感情や出来事が詰まっています。色々と考えさせられた作品でした。

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コメント

  1. A より:

    青い子どもは何者?の項目、別の映画についての記述が間違って載っているように思います、

  2. 影山 美穂 より:

    ご指摘の通り、間違って別の作品の内容になっておりました。
    先程修正しました。ありがとうございました。