『旅の贈りもの 明日へ』あらすじ感想とネタバレ映画批評・評価

旅の贈りもの 明日への概要:「旅の贈りもの 明日へ」は、2012年の日本映画。監督は「ブタがいた教室」などの前田哲。主演は歌手の前川清。共演に酒井和歌子、山田優、葉山奨之、清水くるみ、須磨和声、徳井優、きたろう、白井淳夫、櫻井淳子など。2006公開の「旅の贈りもの 0:00発」に続き、鉄道の旅を通して人々の再生を描くヒューマンドラマとして制作された映画の第二作目。

旅の贈りもの 明日へ

旅の贈りもの 明日へ あらすじ

映画『旅の贈りもの 明日へ』のあらすじを紹介します。

大阪の大手ゼネコンに勤務していた仁科孝祐(前川清)は、2012年の早春に定年を迎える事となった。かつて結婚はしていたが離婚して以来独身を通してきた孝祐は、一人暮らしの部屋で身辺の整理をしながら、過去の懐かしい品々に向かって想いを馳せていた。その中で彼は42年前に文通を通じて知り合った少女、秋山美月(清水くるみ)の絵手紙を発見する。少年時代の想い出が次々と脳裏を駆け巡り、孝祐は彼女に会いたいという想いに突き動かされるように、特急列車の「雷鳥」に飛び乗り、彼女との思い出の地である福井へと向かう。孝祐の手には美月からの絵手紙が握られ、初恋の面影を捜す旅が始まる。

一方、恋人と結婚の予定も決まっていながら、なかなかそこへ踏み切れない香川結花(山田優)。結花もまた早春のある日、思い立ったように名古屋から特急“しらさぎ”に乗って福井へ向かっていた。結花にとってそこは、幼い頃に家族揃って出掛けた想い出の地だった。彼女の記憶に残るのは楽しかった優しい父との旅の想い出。なぜ父は離婚してしまったのかと、結花は父との想い出の地を訪ねる事で、自分自身の終着点を見つけようとしていた。

そしてある所では、バイオリニストとして活躍する久我晃(須磨和声)が、突然に創作意欲も湧かないほどのスランプに陥る。思い悩んだ晃は、東京から列車に乗り込み故郷の福井へ向かう。自分にとって音楽とは、そして夢とは何なのだろうかという疑念の意味を探し出す為に故郷を彷徨う晃。孝祐、結花、晃と、それぞれ三人の旅は同じように新しい出逢いがあった。各々は果たしてどのような発見をするのだろうか。

旅の贈りもの 明日へ 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2012年
  • 上映時間:109分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ/li>
  • 監督:前田哲
  • キャスト:前川清、酒井和歌子、山田優、葉山奨之 etc

旅の贈りもの 明日へ 批評 ※ネタバレ

映画『旅の贈りもの 明日へ』について、2つ感想批評です。※ネタバレあり

ディスカバー・ジャパン再び

随分昔の話であるが、大阪万博を機に旧国鉄(今のJR)が「ディスカバー・ジャパン」というキャンペーンを大々的にアピールし、世間はそれに便乗するような国内の旅ブームがあった。美しい日本の再発見という事であり、高度成長期真っ直中の時代でもあり、若い女性や学生の一人旅などで日本全国が旅行客で賑わっていた。今でこそ当たり前のような一人旅というものであるが、当時は団体旅行というものが主流であり、団体行動を重んじていた日本の概念も、自由な発想へと転換してゆく時期でもあった。人生80年という今の時代、定年退職した後の、第二の人生というのは当たり前の事になってしまったが、1970年の時代では60歳というともう隠居というイメージがあり、一人で旅をする老人などは殆どいなかっただろう。女性は第二の人生を謳歌するという感じで、よく友人たちと旅行に出かけたりしているが、男性の方はと言うとこの主人公のような一人旅に出かけるというのはまだまだ少ないだろう。夫婦で二人という旅も有りかも知れないが、旅のキャンペーンで見かけるような夫婦旅行をしている人より、女の人だけの集団の方が圧倒的に多いような感じはある。家庭というものを背にして社会で生きていた男は、なぜか歳を取ると内向的な方へ向かう人が多いと感じるのだが、それは社会に出ていた時の罪滅ぼしみたいに、家庭にいなければいけないという強迫観念なのかもしれない。いずれにしても一度家という存在を忘れて気ままな旅へ出るというのは、人生の節目には大切なのではないかと実感した。

映画の内容どうのこうのではない

映画制作の背景は正直どうでもいいと感じたが、この作品を観て少しでも旅行に行きたいと感じる人がいれば、それで目的は達成するというニュアンスではないだろうか。人の悩みや葛藤、そして失った想い出を辿り、自分を再発見するプロセスに重点が置かれ、物語の結末をどう謳っているかはさておきの映画である。定年を迎え少年時代を回顧する初老の独身男性。結婚を控えたマリッジブルーの適齢期を迎えた女性。創作意欲を失い失意に暮れる演奏家。という風に設定もリアリズムにはちょっとだけ遠いところにあるものの、旅をする人というイメージにはうってつけのモデルであろう。適用された役者もそのニュアンスにぴったりと当て嵌まるようなチョイスである。前川清という歌手を採用したのも役者らしさがない所では適役だと感じる。キャラクターが立ちすぎてないけない内容なのだ。山田優も須磨和声にしても同じように、役者としてはそう個性が強い方ではない。風景と人間と文化が渾然一体となって”旅”という一つの在り方を描いた、プロモーション的な作品として観るべき映画だろう。

旅の贈りもの 明日へ 感想まとめ

物語性という所へ焦点を当てていない演出がありありと解るので、そのストーリーをどうなるのだろうという頭で見る必要がない。桜の巨木や、海辺の風景や、列車の走る路線などをひたすら懐かしみながら楽しむように出来ている。福井県の観光案内映画とでも言えばいいのだろうか。それをリアルに表現すれば映画として機能しないので、映画風に仕立てたという和風ロードムービーである。しかし、このような映画を作った背景にある福井県の協力的な姿勢には感心する。各都道府県がどうやって県外客を集めようかと四苦八苦する中で、物語など必要ない部分に緩いながらも物語性を付加しながら、取って付けたようなキャンペーンにしなかったのは、やたらと口を挟みたがる地方独特の文化背景を考えると、シナリオ作りや制作課程で困難な部分も多かったのではなかったのだろうかと感じた。

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