『タクシードライバー』あらすじとネタバレ映画批評・評価

タクシードライバーの概要:「タクシードライバー」(原題:Taxi Driver)は、1976年のアメリカ映画。監督はマーティン・スコセッシ。主役はロバート・デ・ニーロ。共演はハーヴェイ・カイテル。スコセッシ監督作「ミーン・ストリート」のキャストが中心となる。共演女優として「ラスト・ショー」のシビル・シェパード。「ダウンタウン物語」のジョディ・フォスター。

タクシードライバー

タクシードライバー あらすじ

映画『タクシードライバー』のあらすじを紹介します。

ニューヨークのとあるタクシー会社に、ベトナム帰りのトラヴィス・ビックル(ロバート・デ・ニーロ)という男が訪れた。タクシーの運転手に就いた彼は、他の運転手のようにテリトリーを決めず、ハーレムでもどこでも客に頼まれれば車を出す。そんなトラヴィスを他の運転手たちは「ゼニの虫」と呼んだ。ある日トラヴィスは次期大統領候補パランタインの選挙事務所に勤めるベッツィ(シビル・シェパード)に惹かれる。数日後に彼は事務所を訪れ、選挙運動に参加したいとベッツィに申し入れ、その勢いでデートに誘う。そしてデートの日、トラヴィスはベッツィをポルノ映画に連れて行き、彼女から激しい怒りを買う。それ以降トラヴィスはベッツィにアプローチを掛けても無視され続け、逆上した彼は選挙事務所に乱入しベッツィに罵声を浴びせた。

日々タクシーで街を流すトラヴィスは、堕落しきった世の中を自ら浄化するという思いに駆られ、その思いは変質しながらエスカレートを続けてゆく。

ある日、イーストビレッジで、ポン引きのスポーツ(ハーヴェイ・カイテル)に追われる、少女売春婦のアイリス(ジョディ・フォスター)が、トラヴィスの車に逃げ込んでくるが、彼は連れ去られるアイリスを虚ろな目で見送るだけだった。その後トラヴィスは裏ルートから拳銃を仕入れ、射撃の訓練と肉体の強化に励む。健康的な食事を採り、鏡の前で不敵な笑いを浮かべ、逆に怒りに満ちた表情で瞬時にホルスターの拳銃を抜いて悦に入った。

ある夜、馴染みの小売り店で強盗に居合わせたトラヴィスは、店を襲った黒人の強盗を射殺する。やがて彼は仕事仲間から「キラー」と呼ばれるようになった。

そしてアイリスと再会し、足を洗うように説得するトラヴィスは彼女をどうにか説き伏せるも、アイリスを金蔓にするスポーツは足を洗うと言った彼女を再びたらし込んで引き留める。そんな中、満を持してトラヴィスは大統領候補パランタインの大集会に向かう。サングラスにモヒカン頭で現れた彼は、拳銃を抜こうとしてシークレット・サービスに発見されるも人ごみに紛れて逃走する。そしてその夜、彼はスポートの売春宿を襲撃し、自らも重傷を負いながらスポーツ本人、用心棒、アイリスの客を次々と射殺した。現場へ駆けつけた警官の前で、血まみれのトラヴィスは左手の人差し指を自らのこめかみに当て、銃を撃ち抜く素振りを見せ不敵な笑みを見せた。アイリスは解放され、新聞はトラビスを英雄として採り上げた。その後、トラヴィスは何事もなかったかのように、再びタクシードライバーに戻った。

タクシードライバー 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:1976年
  • 上映時間:114分
  • ジャンル:サスペンス、アクション
  • 監督:マーティン・スコセッシ
  • キャスト:ロバート・デ・ニーロ、シビル・シェパード、ピーター・ボイル、ジョディ・フォスター etc

タクシードライバー 批評 ※ネタバレ

映画『タクシードライバー』について、2つ批評します。※ネタバレあり

ベトナム戦争の闇と、病んだ社会の底辺をシリアスな視点で描いた問題作

主人公のトラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)は、出だしからどうにもならない風体で落ち着きがない。笑顔の裏に隠された、挙動不審な男を演じるデ・ニーロの凄みが冒頭から画面に充満し、テンションが張り詰めた空気感に包まれている。ベトナム戦争帰りで精神的な疾患を抱え、資本主義社会に馴染めずに右往左往する帰還兵は相当な数が存在したと聞くが、そういった社会的な背景と、何かを見つけようとしても社会の底辺にしか目を向けることが出来ず、自分も同じ底辺にいるという錯覚で環境に馴染んでしまわざるを得ない若者の葛藤が、言葉少ない主人公と街の表情から読み取れる。そしてトラヴィスの相談に乗り「人生なるようにしかならんさ」と言い捨てるベテラン運転手との隔たりも印象的だ。アメリカという自由の国に住んでいながら夢を追いかける術を得られないまま、持って行き場のない若者の矛先を、悪の成敗という目的へ自らを導いてゆく狂気が痛々しく表現され、70年代の病めるアメリカをシリアスに描いたアメリカン・ニューシネマの傑作である。

マーティ・スコセッシの若い感性が随所に生きる

自室で銃を携え、テレビ画面を虚ろな目で見ながら物思いに耽る主人公の背景に流れる、ジャクソン・ブラウンの「レイト・フォー・ザ・スカイ」が時代を象徴しやけに印象的である。目の前の何かが崩れてゆくという詩の内容が陰鬱とした画面に空しく響き、そのような音楽的な演出にもスコセッシ監督の美学が垣間見えてくる。タクシーの乗客として監督本人が登場する場面もあるが、ちょっとねじが外れかけた思想を熱弁し、ストーリーの中の妖しげな一場面として印象深い好演を見せている。

まとめ

ロバート・デ・ニーロの演技が、多くの俳優に影響を与えた最初の作品だろう。表面的な格好の良さというものではなく、不安というものを笑顔の中にまで表現できるというのは並大抵な感性で得られるものでない。後の「ケープ・フィアー」や「キング・オブ・コメディ」などでその真骨頂が観られるが、ここでのデ・ニーロは若いながらも完璧な狂気を演じ、役者としての天性の演技力を輝かせている。

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