映画『都会のアリス』あらすじとネタバレ感想

都会のアリスの概要:「都会のアリス」(原題:Alice in den Städten)は、1973年の西ドイツ映画。監督は「ゴールキーパーの不安」、「緋文字」などのヴィム・ヴェンダース。主演のフィリップ・ヴィンター役にリュディガー・フォーグラー。アリス役にイェラ・ロットレンダー。アリスの母役にリザ・クロイツァー。

都会のアリス あらすじ

都会のアリス
映画『都会のアリス』のあらすじを紹介します。

アメリカの東海岸。ポラロイドカメラで風景を撮り続けながら彷徨っているフィリップ・ヴィンター(リュディガー・フォーグラー)は、ドイツの出版社と約束している旅行記が書けないまま1ヵ月が過ぎていることを気に病んでいた。思うような写真が撮れず文章も書けず、放浪するように車を走らせながら旅を続ける中、ニューヨークに着いた時には金も底を尽き、フィリップは車を売り払い帰国の資金を稔出した。出版社の支局へ出向くと原稿が出来ていないのを理由に写真は突き返されてしまう。帰国のために出向いた空港ではストのため足止めを余儀なくされてしまうが、同じように足止めをされてしまった子供連れの女性リザ(リザ・クロイツァー)と出逢う。彼女は9歳の少女アリス(イエラ・ロットレンダー)を連れてドイツに帰ろうとしている所だったが、フィエリップは翌日までアリスを預かってくれとリザから頼まれる。翌朝、リザはエンパイア・ステート・ビルに1時というメモを残して出かけたが、フィリップとアリスが待つビルの展望台には現われなかった。ニューヨークからドイツへの中継地であるアムステルダムに向かった二人だったが、約束の日になってもリザはこない。アリスの祖母の家を探してブッパタールへの車を走らせるが、二人が入ったカフェで、祖母が住んでいたのはブッパタールではなかったとアリスは言う。彼女を警察に預けロックコンサートに出かけたフィリップだったが、ホテルに帰るとアリスがやってきて祖母の居た家が思い出せたと言う。小さなアルバムの写真を手がかりにその家に向うが、2年前に家主はイタリア人に変っていた。目的が無くなってしまった二人は、フィリップの故郷へ渡るフェリーの途中で警察官に発見され、祖母もリザも見つかったと知らされる。そして二人は列車でミュンヘンへと向かい、小さな旅を終えた。

都会のアリス 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:1973年
  • 上映時間:111分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ヴィム・ヴェンダース
  • キャスト:リュディガー・フォグラー、イエラ・ロットレンダー、リサ・クロイツァー、エッダ・ケッヒェル etc

都会のアリス ネタバレ批評

映画『都会のアリス』について、感想批評です。※ネタバレあり

心に染みるモノクロームの旅物語

全くの他人が旅先で偶然に出会い、小さなトラブルが重なり不確かな記憶だけを頼りに目的地へと向かう。一方は仕事に行き詰まった青年フィリップであり、一方は母にはぐれた少女アリス。母親がアリスを捨てたというようなニュアンスが感じられるのだが、ラストで母が見つかったという設定が胸を撫で下ろすところでもある。ニューヨークからアムステルダム、そしてドイツの片田舎へと彷徨い、その茫漠とした旅の姿が胸を衝く。31歳の独身青年と9歳の少女に共通点は全くないのだが、その違和感の中で繰り広げられる旅の生活は、あるときは大人の視線で子供を見つめ、そしてあるときは少女の視線で大人の世界を映し出しながら、現実的でありながらも観る者を不思議な感覚へと導いてくれる。粒子の粗いモノクロ映像から漂ってくる風景の中で、ヴィム・ヴェンダースの映像世界に魅せられる陰影深いロードムービーである。二人のその後を暗示するかのようなエンディングの風景と音楽が心に染みる。

親子であり友人であり恋人のような関係

ロードムービーというものを自らの表現方法として映像に取り入れたヴィム・ベンダースの会心作である。知らない場所で知らない人と巡り会うというものであるがゆえに、旅というものはハプニングの連続であり、ハプニングがあるからこそ旅なのである。一見地味に見えがちな旅物語であるが、現実の中でこれほど心境の変化を孕んでいるものはないだろう。フィリップは仕事で壁に突き当たり、無気力に陥っているような感じであるが、仕事の旅先でアリスという少女との出会いから新たな世界観を見出して行く。大人の世界で挫折を味わいながら、その途中で自分の過去にもあったであろうアリスのような存在との出逢いが、現在の自分を見つめ直すきっかけを与えてくれた。一見無愛想に見えるアリスだが、子供の面と大人の面が随所に入れ替わり、ふたりの関係性を大きく変化させながら見せてくれるところも実に上手い演出である。

都会のアリス 感想まとめ

海外で母親とはぐれてしまった少女を、同郷とはいいながら見知らぬ家まで連れてゆくという日常は、ありそうで滅多に遭遇しないシチュエーションである。相手が子供だけに放ってはおけないという状況ながら、フィリップは迷惑そうに対応しながらもアリスと行動を共にするのを楽しんでいるようにも窺える。それは一瞬でも自分が抱える現実問題から離れられたというような開放感だろう。旅をしながらも執筆をしなければならないという切迫した状況の中で、フィリップにとってはアメリカへの旅は仕事にしか過ぎなかったのだ。そこにハプニングとして現れたアリスという少女は、友人のような恋人のような子供のような存在であり、束縛というものから最も遠いところへ一瞬にしてフィリップを連れて行ってくれた、都会というワンダーランドに生きる「不思議の国のアリス」だったのではないだろうか。

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