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映画『ヴィオレッタ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ヴィオレッタ』の概要:写真家として忙しい母親との接点を持つために、母親のモデルとなった娘。少女のヌード写真は、芸術作品として一世を風靡することになるが、これがきっかけで幼児虐待の疑いをかけられ、母娘の関係に亀裂が入る。監督の半生を交え、描かれた作品。

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映画『ヴィオレッタ』の作品情報

ヴィオレッタ

製作年:2011年
上映時間:106分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:エヴァ・イオネスコ
キャスト:イザベル・ユペール、アナマリア・ヴァルトロメイ、ドニ・ラヴァン、ジョルゲッタ・レアウ etc

映画『ヴィオレッタ』の登場人物(キャスト)

アンナ(イザベル・ユペール)
金髪の美人写真家。一風変わった性格で、才能がある。娘の魅力を見抜き、彼女をモデルとして起用。一世を風靡する。ヴィオレッタを深く愛している。
ヴィオレッタ(アナマリア・ヴァルトロメイ)
アンナの娘。金髪で非常に可愛らしい。曾祖母と2人暮らし。滅多に帰らない母親に気に入られようとモデルになるが、やがて非行に走り憎むようになる。

映画『ヴィオレッタ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ヴィオレッタ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヴィオレッタ』のあらすじ【起】

曾祖母と2人暮らしのヴィオレッタ。母親のアンナは実家に近寄らず、たまにやって来ては、ヴィオレッタの顔を見て短時間で去って行く。アンナはいつも派手な洋服を着て、違う男を連れている。移り気な彼女は芸術家で、写真家でもあった。

そんなある日、放課後に帰宅するヴィオレッタを待ち伏せし、自宅へ連れ帰ったアンナ。自分に似て美しい実の娘をモデルに写真を撮り始める。
画家の男は、アンナの写真を目にして才能があると言う。彼女はヴィオレッタに化粧をほどこし、更に卑猥な衣装を着せて写真を撮った。

敬虔なクリスチャンである曾祖母は、古いタイプの人間で、アンナの芸術が理解できない。アンナの生活に何かと小言を言う曾祖母とは気が合わず、口喧嘩ばかりしていた。

母親の見立てた服を着るようになったヴィオレッタは、学校でもお洒落で垢抜けていく。不思議と色気のある子供であったヴィオレッタ。彼女を撮ったアンナの写真は、アート界でも人気を博すようになる。

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映画『ヴィオレッタ』のあらすじ【承】

写真集を発表したアンナ。一躍有名人となり、大金を手にする。彼女は写真を撮るきっかけとなった画家の男に礼をする。画家の男はアンナにとって恋人のような存在だったが、肉体恐怖症のアンナとはプラトニックな関係だった。

画家の家で、自分がモデルとして起用していた女性を発見したアンナ。モデルの1人は、画家の男に取り入って恋仲にまで進んでいた。2人は結婚を約束しているらしい。アンナはショックを受けて、裏切られた気分になる。

初めて会った時から、画家の男が気に入らなかったヴィオレッタ。ショックを受けて喚く母親に苛立ちを隠せない。パトロンを失ったアンナは、何を思ったのかある日突然、ヴィオレッタを連れてイギリスへ飛んだ。

イギリスでは有名な男性歌手が待っていた。アンナの写真集を見て撮影の依頼をしてきたのだ。彼は美しいモデルであったヴィオレッタとの撮影を希望しており、彼女に魅せられていた。

映画『ヴィオレッタ』のあらすじ【転】

翌日、撮影が開始。ゴシック調で独特な雰囲気の中、撮影は順調に進んだが、興に乗ってきたアンナがヴィオレッタを脱がそうとする。
母親の芸術を理解し、今までも言われた通りにヌードを撮らせてきたヴィオレッタだったが、それまでは単独でのヌード撮影だった。
ここに来て、男性との絡みで服を脱げと言われたヴィオレッタ。母親に不審を感じる。

学校のクラスメイトに、ヌードを撮らせているあばずれと罵られていたヴィオレッタは、断固拒否。アンナは芸術を理由に娘を説得しようとするも結局、撮影は中止となりヴィオレッタは母親と仲違いしたまま、パリへと帰国した。

芸術には賛否両論がつきものである。アンナはやっかみに負けていては、芸術は成り立たないと言う。だが、ヴィオレッタには、それが理解できない。モデルをやるようになって様々な世界に触れ、自分がやらされていることがどういうことかを理解したヴィオレッタ。彼女はアンナの撮影をひたすら拒否し、母親の愛すらも疑うようになる。

ヴィオレッタは普通の女の子に戻りたかった。だが、娘の魅力を見出したアンナは、凡人に埋もれさせまいと必死だった。どうにか事なきを得て帰路に着くも、曾祖母が道端で倒れているのを発見した母娘。高齢だった曾祖母の容態が良くないことは知っていたが、2人は自分達のことで精一杯だったため、彼女のことにまで気が回らなかった。曾祖母は、そのまま亡くなってしまう。

映画『ヴィオレッタ』の結末・ラスト(ネタバレ)

娘のヌードを発表していたアンナだったが、やがて幼児虐待ではないかと訴えられ、裁判所と検察にヴィオレッタの親権を奪われそうになる。
母娘の元に調査員がやって来て、ヴィオレッタに年齢相応の生活をさせるよう指導された。

ヴィオレッタをモデルに、写真を撮ることができなくなったアンナ。稼ぎ口がなくなり、困窮を極める。彼女は撮り貯めていた作品を密かに雑誌へと掲載することで、日銭を稼いでいた。その頃のヴィオレッタと言えば、小学生であるにも関わらず煙草を嗜み、荒んだ生活を送っている。曾祖母が亡くなったことで、健全さを失っていく母娘。

訴えられて以来、学校へ行かなくなってしまったヴィオレッタ。相談員と面会し、自分はもう大人だから、学校へは行かないと宣言して去る。だが、このままではアンナの社会的地位も危うい。相談員は写真集の販売を中止するようアドバイスするも、アンナは芸術家としての作品だと言って、販売の中止はしないのだった。

そんなある日、ヴィオレッタは自分の出生の秘密を知ってしまう。アンナが実の父親に犯され、産まれた子供がヴィオレッタだったのだ。娘はショックを受けて家出。非行に走ったヴィオレッタは、盗みを犯して施設へと入所することになる。以来、何度も会いに来る母親と、顔を合わせることはなかった。

映画『ヴィオレッタ』の感想・評価・レビュー

母アンナは娘ヴィオレッタを愛していたかもしれないが、心理的な性的虐待を行っていたことは事実である。アンナも元々性的虐待の被害者であり、親子間の虐待の連鎖は中々根が深い問題ではあるが、ヴィオレッタに同じ苦痛を味わわせる必要は0であったと感じる。
この映画の中で誰が悪なのかと問われたら、アンナが悪であると答えるしかない。しかし、アンナの全てが悪というわけではないため、実際問題、白か黒で分けることは非常に難しい。
祖母の死後、ヴィオレッタは頼る相手がいない中、1人で苦しみながらアンナに反抗していたが、虐待を受けている中で、親に反抗することはかなり勇気がいることである。そのため、彼女が何とか力を振り絞って母に反抗していたのだと考えると、かなり心が痛い。
アンナとヴィオレッタの親子仲は本当に複雑なもので、愛憎が渦巻いており、一言では表しがたい関係だと感じた。(女性 20代)


ヴィオレッタ役のアナマリア・ヴァルトロメイがひたすら美しい…愛らしさだけでなく妖艶で退廃的な美しさ、彼女の虜になってしまい目が離せなくなってしまう。写真家の母アンナはヴィオレッタをモデルに写真撮影を始めるがヌードや際どいポーズなど、どんどん過激になっていく。愛情の注ぎ方を間違えた母、それでも母に愛されようと嫌々モデルを引き受けるヴィオレッタが不憫すぎる。母親になりきれなかったアンナ、母の愛情を欲したヴィオレッタすれ違いが何とも切ない。ラストはヴィオレッタは自ら母親からの呪縛から逃げ出そうとし成長が伺える。美しくアートの様な映像に引き込まれてしまう。(女性 30代)


当事者であるエヴァ・イオネスコが監督と脚本に携わっていることが、まず驚きだった。幼いヴィオレッタは写真を撮られることがどういうことか分かっておらず、母と一緒に居られる時間を純粋に楽しんでいたのではないかなと感じた。そのため、ヌードを強要する母のアンナに、嫌悪感を抱いた。しかし、ヴィオレッタの出生の秘密を知ったときに、アンナ自身も苦しんでいたのかなと同情する気持ちが沸き上がってきた。何とも複雑な母娘の関係だと思う。(女性 30代)


人形のように美しいヴィオレッタに魅了されます。しかし、身勝手で欲深い母親に振り回されっぱなしで、全く幸せそうではありません。ヴィオレッタに必要なのは、家族と他愛ない日常を過ごして絆を深めることだったり、友人とくだらない遊びをすることなんだと思います。はじめは何もわからず従順だったヴィオレッタが、徐々に反抗的になっていく演技が秀逸だと感じました。祖母の日々の祈りが切ないです。家族のあり方について、考えさせられる映画です。(女性 30代)


社会問題を露わにしたフランス映画。日本ではダークであまり触れられることのない題材に、大胆に挑戦している作品ではないだろうか。負のループから抜け出せない親子の関係が、とても切なく映し出されている。
写真家の母の愛を、感じられず育ったヴィオレッタ。母とのつながりを唯一見出せるのが、写真の世界だった。その母に写真を撮られることにとても満足だったヴィオレッタも、要求が過激になるにつれて不信感がつきまとう。家族とは何か、虐待とは何かを深く考えさせられる。(女性 30代)


フランスでは、レストランで提供される料理の1皿も「芸術」と捉えているため、写真撮影を禁止しているお店も多いのだとか。それほどまでに「芸術」に対して強い信念やこだわりを持つフランス人。そんな彼らの「美しさ」と狂気にも思えるほどの強すぎる「こだわり」が描かれた作品でした。
忙しい写真家の母に構ってもらいたくて写真の被写体になる娘、ヴィオレッタ。当時10歳のこの少女がとにかく美しく、彼女を見られただけで、この作品を知れてよかったなと感じます。「愛」なのか「欲望」なのか、そしてそれは「芸術」なのか。考えさせられる作品です。(女性 30代)

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