映画『ウィズネイルと僕』あらすじネタバレ結末と感想

ウィズネイルと僕の概要:俳優経験者でありながら、その後生活保護を含む極貧生活も経験したブルース・ロビンソン監督の半自伝的映画の今作は、日本では「英国病」と呼ばれる1960年代の経済停滞気を色濃く表現しています。

ウィズネイルと僕 あらすじネタバレ

ウィズネイルと僕
映画『ウィズネイルと僕』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

ウィズネイルと僕 あらすじ【起・承】

1969年、ロンドンのダウンタウンに二人の若者が暮らしていました。神経質な「僕」と、尊大で自己中心的な「ウィズネイル」。役者志望の二人は、自分の才能を信じ、汚く狭いアパートで極貧生活を続けていましたが、時代は暗礁に乗り上げ、仕事は減る一方です。おまけにウィズネイルはその尊大な自意識から仕事を選ぶ始末。僕はやむなく、彼を居候させています。
ふたりの生活はアルコールにまみれていました。昼も夜もなく酒を飲む日々の中、ウィズネイルはひどい薬物依存にも陥っていました。

そんな生活の鬱憤を晴らそうと、ある日ウィズネイルは僕に旅行の計画持ち掛けます。資産家で趣味人の叔父・モンティの別荘を借りようというのです。
しかし、僕はモンティが苦手でした。いつもしつこく話しかけてきて、気持ち悪いくらいの笑みを浮かべ、やたらと体を触ってくる初老の男は、僕を気に入っているようでした。
それを知っているウィズネイルは、僕から叔父へ別荘を借りるように言ってきたのです。断っても、一度は決めてしまった彼のこと。なんやかんやと難癖をつけて、聞く耳を持ちません。

ウィズネイルと僕 あらすじ【転・結】

なんとかモンティから別荘を借りる約束を取り付けた二人は、ぼろぼろの車で田舎の別荘を目指します。
悪天続きの中、どうにか別荘にたどり着くも、金のない二人はまともに食事や薪も用意できません。近所の農民から譲り受けるなどして何とかしのいでいる二人の元、叔父のモンティが訪れます。
困惑する二人でしたが、所有者の叔父を追い返すわけにもいかず、共に休暇を過ごすことになりました。叔父のおかげで食事と酒にありついたウィズネイルは気を良くし、叔父に「僕」がゲイであると嘘を吹き込みます。
その夜、叔父は僕の寝室に忍び込みました。驚く僕に、強引に迫る叔父。しかしすんでのところでウィズネイルが現れ、一杯食わされたことを知った叔父はすごすごと退散します。
翌朝、決まりの悪くなった叔父はコテージをあとにします。

僕はまだ、ウィズネイルへの不信感を拭えずにいました。思えば、生活の面倒も見ているのに感謝のひとつもされたことがありません。それどころか、自分の生活に不利益ばかりもたらすウィズネイルに対する不満が募ります。
わだかまりの溶けないまま、ふたりはロンドンへと戻ります。

僕に、とあるオーディションの話が来ました。大きな役です。勝ち取ることができれば、生活は上向くかもしれません。そんな僕に、不安を募らせしつこく絡むウィズネイル。

そして僕は、見事役を勝ち取りました。ウィズネイルとの生活から離れ、役者として本腰を入れる決意をして旅立つ朝、雨の中ウィズネイルは僕を待っていました。
役のためにばっさりと切った僕の髪を、ウィズネイルは笑います。

別れた後、ウィズネイルはひとり、公園でハムレットを演じます。雨が、まるで万雷の喝采のように響き渡ります。

ウィズネイルと僕 評価

  • 点数:55点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★☆☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1988年
  • 上映時間:107分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ブルース・ロビンソン
  • キャスト:ポール・マッギャン、リチャード・E・グラント、リチャード・グリフィス、ラルフ・ブラウン etc

ウィズネイルと僕 批評・レビュー

映画『ウィズネイルと僕』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

英国カルト映画

そう聞いて、今作の鑑賞に至りました。曰く、英ガーディアン紙では近代英国映画トップ25に選出されているだとか、イギリスのみならずアメリカにもファンが多いだとか。
蓋を開けてみて、なるほど、あまりの癖の強さにくらくらしました。
以下、その癖について解説します。

曇り空の英国とかすれ切った映像

英国は、全世界でも有数の、曇天国です。霧のロンドン、なんて言葉もある通り、気候的にも悪天候が多く、シーズンを外した観光客をがっかりさせることで有名です。
そんなロンドンの、しかも60年代というしみったれた時代背景から、とにかく暗い画面が続きます。
英国といえば寒さでも有名。極貧生活で暖房もままならない二人が、青い顔で震え上がるシーンの連続に、観ているこちらまでうすら寒くなります。
そんなシーンの連続を映す映像は、まるでやすりで削ったようにざらざらとした荒い質感。暖かさや陽気さ、光の輝きとは無縁の、どんよりとした映画です。

香る薔薇

花のことではありません。勘の良い方はお気づきかもしれませんが、今作、かなり濃厚にゲイセクシュアルが香ります。叔父モンティの存在もそうですが、まるで恋人や夫婦のように連れ添う二人の姿、疑り深い英国人でなくとも、そう見てしまいます。
また、今作にはモブキャラクター以外、まったくと言っていいほど女性が登場しません。だからこそクローズな世界の中で、二人の仲は親密に複雑に絡み合います。

つまらない

とは言っても、物語の筋がね、決定的につまらないんですよ。わたし、わりとこういう筋の無いだらだらした物語を好んで観るのですが、そういう作品は大体ひとつ、物語を補って余りある魅力があります。
しかし今作は、それがない。
会話劇というほどスマートな会話が繰り返されるわけでもなければ、音楽や映像が特出して格好いいわけでもなく、キャラクターに至ってはまるで魅力的ではない。
なぜこれがカルト的人気?と訝しんでしまうほど。

ウィズネイルと僕 感想まとめ

思わず酷評してしまいましたが、なんのことはない、わたしにハマらなかった、というだけの話です。このどんよりとした雰囲気を好まれる方も多くいるはずですし、なにより、60年代後半の空気をリアルに感じるには良い映画だと思います。
その後、数々の有名作にキャスティングされるリチャード・E・グラント(ウィズネイル)のデビュー作でもあり、「ハリー・ポッター」シリーズでハリーの叔父ダーズリーを演じるリチャード・グリフィスが今作の叔父モンティ役として登場しています。
英国映画はハリウッドに比べ狭い世界であることから、少し数を観ると見知った顔が次々登場するのも魅力のひとつですね。

Amazon 映画『ウィズネイルと僕』の商品を見てみる