映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』の概要:007シリーズの第18作目。英国の潜水艦が中国の領海付近で攻撃を受け、沈没した。中国空軍の攻撃と見せかけたこの陰謀は、「メディアの帝王」と呼ばれるカーヴァーの仕業だった。事件の真相を探るため、英国諜報部MI6は、諜報員007ことジェームズ・ボンドをカーヴァーの元に送り込む。そこでボンドは、第三次世界大戦をも引き起こしかねない巨大な陰謀を突き止める。
映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:アクション
監督:ロジャー・スポティスウッド
キャスト:ピアース・ブロスナン、ジョナサン・プライス、ミシェル・ヨー、テリー・ハッチャー etc
映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』の登場人物(キャスト)
- ジェームズ・ボンド/ 007(ピアース・ブロスナン)
- 英国諜報部MI6に所属するスパイ。軍隊に所属した経歴を持ち、階級は中佐。スパイ活動の能力はずば抜けているが、美女に弱いのが玉に瑕。愛飲しているカクテルはウォッカマティーニで、「ステアではなく、シェイクで」というこだわりがある。カーヴァーの妻・パリスと、かつて関係を持ったことがあり、それを知ったMからカーヴァーの調査を命じられる。
- エリオット・カーヴァー(ジョナサン・プライス)
- 大手新聞「トゥモロー」紙を発行するカーヴァー・メディア・グループ・ネットワークの総帥。新聞、雑誌、テレビなどあらゆるメディアを統括し、「メディアの帝王」と呼ばれている。しかしその裏では、自社グループの利益のために、中英両国の間に国際紛争を引き起こすという陰謀を企んでいる。
- ウェイ・リン(ミシェル・ヨー)
- 中国外務局公安委員、すなわち、中国政府のスパイ。新華社通信の記者と偽ってカーヴァーに接近するが、スパイ活動の途中で正体がバレて、ボンドと共に命を狙われる。ボンドのことを「堕落した西洋の女たらしの諜報部員」と揶揄するが、最後は協力してカーヴァーの陰謀を阻止する。
- パリス・カーヴァー(テリー・ハッチャー)
- カーヴァーの妻。結婚前にボンドと関係を持ち、目の前から去ったボンドを恨んでいたが、再開して再びボンドへの思いを熱くする。そして、ボンドと再び関係を持ち、カーヴァーのアジトへの経路を教えたため、カーヴァーに雇われたドクター・カウフマンに殺される。
- ヘンリー・グプタ(リッキー・ジェイ)
- ハイテク・テロの草分け的存在として国際的にマークされているアメリカ人テロリスト。60年代は反戦運動の過激派だったが、その後は金で自らを売り、今ではカーヴァーの部下となっている。
- スタンパー(ゲッツ・オットー)
- カーヴァーのボディーガードでドクター・カウフマンの弟子。戦闘能力に優れ、冷血な殺人も次々と行う。英国艦デヴォンシャー沈没の際には、海上に脱出した乗組員を多数射殺。さらに、カーヴァーの計画を邪魔するボンドたちも殺そうとする。
- M(ジュディ・デンチ)
- ボンドの上司。破天荒で、女たらしなボンドに手を焼く一方、ボンドの才能を高く評価し、重用している。抗戦派の提督に対抗して、最後まで戦争勃発を防ごうとする。
- Q(デスモンド・リュウェリン)
- 英国諜報部の発明家。ボンドために武装した新型BMWを用意し、護身用の携帯電話を渡す。携帯には、BMWを遠隔で操作したり、相手に電気ショックを与えたりする多数の機能が備わっており、何度もボンドの危機を救う。
- ミス・マネーペニー(サマンサ・ボンド)
- MI6に勤務する女性諜報員で、Mの秘書的な役割を果たしている。ボンドの女癖の悪さを容認する一方、自分に対するボンドからのアプローチも軽くかわすキャリアウーマン。
- ドクター・カウフマン(ヴィンセント・スキャベリ)
- カーヴァーが雇ったプロの殺し屋。自称、射撃の名手で法医学の権威、拷問の技術にも長けているという。パリス殺しをボンドの仕業に見せかけようと偽装工作を企むが、逆にボンドに殺される。
- ジャック・ウェイド(ジョー・ドン・ベイカー)
- CIA(米国中央情報局)の工作員。ボンドが沈没した英国艦の調査をするための手助けをする。『007 / ゴールデンアイ』にも登場する。
映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のあらすじ【起】
ロシア国境付近。武器の密売が行われる現場に、MI6から“ホワイト・ナイト”という暗号名のスパイが送り込まれた。ホワイト・ナイトの撮影した映像には、大量の最新兵器と指名手配中の国際テロリストたちの顔が映し出され、その中には、ハイテク・テロリストのヘンリー・グプタの顔もあった。
英国海軍の提督は、ロシア側の許可を得て、この密売の現場に軍艦からの巡航ミサイル攻撃を行う。ところが、ホワイト・ナイトから送られてきた映像には、戦闘機に搭載された核魚雷が映し出されていた。
ミサイルが核魚雷に命中すれば、プルトニウムが拡散し、チェルノブイリ原発事故以上の大惨事となる。提督は慌てて、発射されたミサイルの爆破を指示するが、すでにミサイルは爆破操作の圏外に出てしまい、爆破不可能となっていた。
ホワイト・ナイトには退避命令が出されるが、一向に命令に従う様子がない。それどころか、撮影されている映像に本人が映し出された。ホワイト・ナイトとは、この作戦におけるジェームズ・ボンドのコードネームだったのだ。
ボンドは核魚雷を搭載した戦闘機を奪い、ミサイル着弾直前に離陸して、核魚雷の被弾を阻止する。ところが、ボンドの戦闘機を別の戦闘機が追ってきて、攻撃をしかけてきた。さらに、後部座席で気を失っていたパイロットが目を覚まし、ワイヤーでボンドの首を絞めた。
戦闘機の内外から一度に攻撃を受けたボンドは、首を絞められているワイヤーを両手で外そうと必死にもがきながら、膝の間に操縦桿を挟んで、敵戦闘機の真下に潜り込む。そこで後部座席の脱出装置のスイッチを押すと、ボンドの首を絞めていたパイロットは座席ごと戦闘機の真上に飛び出し、敵戦闘機の装甲を突き抜けた。
敵戦闘機は大破し、核汚染の参事は回避された。MI6の作戦本部では歓声が上がる。普段はクールなボンドのボス「M」も、ボンドの活躍に思わずニヤリと笑った。
映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のあらすじ【承】
南シナ海を航行中の英国海軍巡洋艦デヴォンシャーの上空を、中国軍のミグ戦闘機2機が通過した。戦闘機は、デヴォンシャーが領海を侵犯しているので、領海外に出なければ攻撃すると警告を発してきた。
デヴォンシャー側は、領海ではなく公海上を航行しているので、攻撃してきたら反撃も辞さないと返信を送る。その後、間もなくデヴォンシャーは魚雷による攻撃を受け、沈没。中国軍のミグもミサイル攻撃で1機が撃墜された。
表面上は、英国艦と中国戦闘機がニアミスにより攻撃し合った結果のように見えたが、実は双方に攻撃をしかけたのは、現場にいた謎のステルス艦だった。デヴォンシャーに魚雷を打ち込んで沈没させ、海上に浮上していた乗組員を銃で虐殺。中国軍のミグ機もミサイルで撃墜した。
そのステルス艦に指示を出しているのは、ドイツのハンブルクにあるカーヴァー・メディア・グループの本社だった。そこでは、武器密輸現場にいたハイテク・テロリストのヘンリー・グプタが、グループの衛星を使ってGPSの妨害電波を流していた。そのため、狂った位置情報を衛星から得ていた英国艦は、中国領海を侵犯してしまっていた。
これは、カーヴァー・メディア・グループの総帥、エリオット・カーヴァーの企みだった。彼は英国と中国が戦争を始めるよう仕向け、それが実現した際には戦争の模様を独占中継しようとしていた。
さらにカーヴァーは、英国の報復に見せかけて北京にミサイルを投下し、自分の意のままになる人物を政権の座に就かせ、中国国内での衛星放送の放映権も獲得しようとしていた。そのため、カーヴァーは沈没した英国艦にダイバーを送り込み、巡航ミサイルを1基、盗み出させた。
事件発生の直後、ボンドはMから呼び出される。Mは、国防大臣や軍の提督と今後の対策を検討していた。提督は報復を主張するが、MはシンガポールのMI6支局からGPSの妨害電波が発信されていたという報告を得ていたため、事実を確認するまでは報復攻撃に出るべきではないと反論する。
そこにボンドがやって来て、英国の新聞「トゥモロー」を見せる。そこには、英国艦が撃沈され、乗組員がむごたらしく射殺された、という記事が掲載されていた。また、乗組員の遺体から抽出された弾丸は、中国空軍のものだとも書かれていた。
その記事を見た国防大臣は、提督に艦隊派遣を命令する。艦隊派遣までに要する時間は48時間。大臣はMに対して、48時間以内に調査を行うよう命令した。
Mもボンドも、「トゥモロー」紙がなぜこれほど早く記事を掲載したのか、疑問を抱いていた。乗組員の遺体が回収されたのは3時間前。だとすれば、これを記事にした「トゥモロー」社では、この件を事前に知っていたとしか思えない。
Mは、その日の夜、ハンブルクで行われるカーヴァーのパーティーに出席するようボンドに命じる。Mがボンドを指名した理由の1つは、ボンドがかつて、カーヴァーの妻と関係を持ったことがあるからだ。
なぜそんなことまで知っているのか尋ねるボンドにMは答えず、代わりに秘書のマネーペニーが「お国のためよ」と説明する。
映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のあらすじ【転】
空港で、予約したレンタカーを調達しようとするボンドに、レンタカーサービスの店員を装ったQが現れる。MI6の発明家であるQは、今回のボンドのミッションのために、武器や脱出道具を搭載した新型のBMWを用意していた。
パーティーに出席したボンドは、Mの指示通りカーヴァーの妻パリスに接触する。パリスは、突然自分の前から姿を消したボンドに恨みを抱いていたが、ボンドに再会して再び恋心が蘇り、ボンドと一夜を共にする。
パリスから情報を得たボンドは、カーヴァーの新聞社に潜入し、GPSの座標を狂わせる暗号機を入手する。そして、脱出を図る際、中国外務局公安委員のウェイ・リンと遭遇する。リンは、パーティーの席で新華社通信の記者と偽ってカーヴァーに接近していた。
ボンドとリンは、それぞれ脱出に成功するが、ホテルに戻ると、ボンドの部屋でパリスが殺されていた。すでにカーヴァーの系列テレビ局のニュースでは、「パリスを殺した犯人が、パリスのそばで、拳銃で自殺していた」という報道が流れている。パリスを殺したドクター・カウフマンは、ニュースで報道されているとおりの偽装工作を実行するために、ボンドを待ち構えていた。
パリスの遺体を見て呆然とするボンドの背後で、カウフマンが銃を向けていた。カウフマンは、ボンドに銃を捨てるよう要求する。丸腰になったボンドだが、Qが用意してくれた携帯電話の電撃を使い、一瞬の隙をついてカウフマンにショックを与え、彼の拳銃を頭に突き付けて、引き金を引いた。
皮肉にもパリスの殺害現場は、カウフマンが計画した偽装工作どおりの光景となった。ただ1つ計画と違ったのは、自殺したと報道された男が、ボンドでなくカウフマンだということだった。
ホテルはカーヴァーの部下に包囲されていたが、ボンドはQが用意してくれたBMWの装備を駆使してその場を脱出する。Qが「無傷で返せ」と言ったBMWは、最後はレンタカーサービスの店に突っ込んでボロボロになった。奇しくもそのレンタカーサービスの店は、Qが空港で扮装していたサービスの店だった。
ボンドは沈没したデヴォンシャーを調査するため、CIAのジャック・ウェイドの協力を得て、米軍基地から南シナ海の沈没現場に向かった。米軍機から英国艦の沈没現場に投降され、海底に沈んだデヴォンシャーに入ったボンドは、そこから巡航ミサイルが1基、盗み取られていることを知った。
そのとき、ボンドを背後から水中銃で狙う人物がいた。中国公安のリンだった。リンは相手がボンドだとわかると銃を下す。しかしそのとき、船体が傾き、ハッチが絞められてしまった。
2人はボンベを捨て、狭い通気口からやっとのことで海上に脱出する。しかし、そこにはカーヴァーの部下が待ち構えており、2人は捕えられてしまう。
ボンドとリンは、サイゴンにあるカーヴァーの会社の支社に連れてこられる。そこではカーヴァーが、翌日の朝刊に載るボンドとリンの死亡記事を書いていた。
カーヴァーは、ドクター・カウフマンの弟子であるスタンパーに、ボンドとリンを拷問で苦痛を与えて殺すよう命令する。そして、カーヴァー自身は、チャン将軍と次の謀略を練るために席を外した。それは、チャン将軍を政権の座に就かせる代わりに、カーヴァーの会社の衛星放送の権利を中国国内で認めさせるというものだった。
ボンドとリンは、手錠で互いにつながれていたが、協力してスタンパーとその部下を蹴散らし、脱出する。そして、バイクで狭いサイゴンの路地を走り抜けて敵の追撃を振り切り、リンのアジトに逃げ込んだ。
映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』の結末・ラスト(ネタバレ)
英国国防省は、中国へ向けて艦隊を派遣し、数分後には英国艦隊と中国のミグ戦闘機隊が戦闘を開始する事態にまで発展していた。しかし、ボンドからの報告を受けたMは、中英両国を手玉にとっていたカーヴァーの陰謀を国防大臣と提督に告げ、中国当局にも連絡を取って、戦闘を未然に阻止する。
ボンドとリンは、カーヴァーのステルス艦に潜入し、艦に爆薬を仕掛けた。ステルス艦はレーダーで発見されないが、爆発が英国艦隊から発見されれば、あとは艦隊がステルス艦を攻撃してくれる。
しかし、2人は監視カメラで発見され、リンはスタンパーに捕えられてしまう。ボンドはリンを救出するために艦内に潜入する。激しい銃撃戦の末、乗組員を倒し、カーヴァーを発見したボンドは、英国艦を沈めた魚雷を使ってカーヴァーを圧死させる。
ステルス艦からは、英国艦から盗み出された巡航ミサイルが北京に向け発射されようとしていた。発射を止めようとするボンドの前に、リンを人質にしたスタンパーが現れる。スタンパーは、鎖でつないだリンを海中に落とすと、ボンドに襲い掛かる。
怪力のスタンパーの攻撃をかわしながらミサイルに爆薬を仕掛けたボンドは、スタンパーの足をミサイルと発射台の隙間に挟ませて動けないようにし、その場を脱出する。
海中に飛び込んだボンドは、鎖に固定され溺死寸前のリンに口移しで酸素を与え、鎖を解いてリンを助け出す。ミサイルは大破し、カーヴァーの陰謀は失敗に終わる。
ボンドの報告を受けたMは、「カーヴァー氏が南シナ海でクルーズ中に溺死。地元警察は、メディアの帝王が自殺したと伝えている」という声明文を発表するよう、マネーペニーに指示する。
ボンドとリンは、海上に浮かぶステルス艦の船体の破片の上にいた。英国艦が拡声器で2人に呼び掛けるが、2人はその呼びかけを無視し、長い口づけを交わすのだった。
映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』の感想・評価・レビュー
『007』シリーズ第18弾。ピアース・ブロスナン演じるボンドはやっぱりかっこいいですね。今回の敵は、世界の情報を操作し戦争を誘発させようとするメディア王。大規模なメディア操作は現実にも起こっていることなので、これが戦争に繋がりかねないのか…と身近にある危険を感じました。
とは言え、ボンドの雰囲気はいつもと変わらずスマートで余裕のあるジョークをかまし、美女にすぐ手を出すチャラ男なのにアクションシーンはお見事でとにかくかっこいいんです。
ボンドには絶対当たらない弾に、ニヤッとしながら見て欲しい作品です。(女性 30代)
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