この記事では、映画『10 クローバーフィールド・レーン』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。
映画『10 クローバーフィールド・レーン』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2016年 |
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上映時間 | 103分 |
ジャンル | サスペンス SF ミステリー |
監督 | ダン・トラクテンバーグ |
キャスト | ジョン・グッドマン メアリー・エリザベス・ウィンステッド ジョン・ギャラガー・Jr ダグラス・M・グリフィン |
製作国 | アメリカ |
映画『10 クローバーフィールド・レーン』の登場人物(キャスト)
- ミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)
- デザイナー志望の女性。手先が器用。彼氏のベンと別れて別の町に向かう途中、交通事故に遭って、偶然シェルターに運び込まれた。幼い頃、父から虐待を受けていたが、兄コリンに助けられていた。ハワードとエメットの言葉を信用しきれず、監禁されているのではないかと疑う。
- ハワード(ジョン・グッドマン)
- 自分の農場の地下にシェルターを作った、太った中年男性。海軍に所属していた時期があり、専門知識を持っている。母親と一緒に家を出た、娘のメーガンを激愛していた。普段は穏やかだが、カッとなりやすい性格。シェルターの中では、ハワードの言うことは絶対。
- エメット(ジョン・ギャラガー・Jr)
- ハワードのシェルター作りを手伝った男性。異様な雰囲気を感じ取り、ハワードに頼み込んでシェルターに入れてもらった。食糧棚を倒したせいで、ハワードから暴力を振るわれ、片腕を怪我してしまう。スポーツ推薦で大学に進学するはずだったが、諦めた過去がある。
映画『10 クローバーフィールド・レーン』のネタバレ・あらすじ(起承転結)
映画『10 クローバーフィールド・レーン』のあらすじ【起】
彼氏のベンに別れを告げ、逃げるようにして町を出たミシェル。
ベンからは何度も着信があったが、ミシェルはベンと復縁する気はなかった。
車を走らせている途中、ミシェルは事故に遭ってしまう。
目覚めると、まるで監獄のような部屋に寝かされていた。
足は鎖で繋がれていた。
彼女の荷物は部屋にあったが、携帯電話は圏外だった。
ハワードが、松葉杖と鎖の鍵を持って、部屋に来る。
命乞いをするミシェルに、誰も助けには来ないから諦めるよう諭したハワード。
監禁されたと思ったミシェルは、部屋からの脱出を試みるが失敗。
そこは、ハワードの農場の地下にあるシェルターだった。
交通事故に遭ったミシェルを見つけたハワードは、彼女をそこに運び込んだ。
化学兵器による攻撃を受け、外には汚染物質が溢れてしまったらしい。
ミシェルは、ハワードを信用出来ずにいた。
ミシェルとハワードの他には、エメットという男性がいた。
ハワードから暴力を振るわれ、片腕を怪我していたエメットも、外に出てはいけないと言う。
映画『10 クローバーフィールド・レーン』のあらすじ【承】
ハワードの支配下にあるシェルター内では、ハワードの命令は絶対だった。
窓越しに農場の豚の死体を見せられ、外は汚染されていると説明されたミシェル。
だが、ハワードのトラックを見て、車に追突してきたのがハワードだと気付く。
自分からシェルターに入ったというエメットは、謎の光を目撃したと説明する。
どうしても信じられないミシェルは、ハワードから鍵を盗んで、外へ出ようとする。
そこに、皮膚がボロボロになった女性が助けを求めてくる。
ようやくミシェルは状況を理解した。
ハワードは、ミシェルの車に追突したのは自分だと告白する。
そして、女性が感染していた菌をシャワーで流すよう勧める。
ミシェルに、愛娘メーガンの話をして写真を見せるハワード。
エメットはスポーツ推薦で大学進学が決まっていたが、それを諦めた過去を告白する。
ミシェルは、父親から虐待を受けていた過去と、自分をかばってくれていた兄の存在を打ち明ける。
パズル、本、古いビデオやデュークボックスがあるシェルター内で、3人は次第に打ち解けていった。
映画『10 クローバーフィールド・レーン』のあらすじ【転】
空気浄化装置が止まってしまう。
ダクトを通って、装置を再起動できるのは、ミシェルだけだった。
浄化装置が置かれた部屋で、窓の内側から書かれた「助けて」というメッセージ、写真の中でメーガンが着けていたピアスを見つける。
それには血が付いていた。
エメットに相談するミシェル。
ハワードがミシェルに見せたメーガンの写真は、行方不明になった別の少女のものだとわかる。
ハワードは少女を誘拐し、殺害した犯人の可能性があった。
ミシェルとエメットは、外の世界にいるかもしれない他の生存者に助けを求めようとする。
ドアや浄化装置に近寄ったミシェルの体から、シャワールームのカーテンに汚染物質が付いたのではないかと、ハワードを誘導するエメット。
そして捨てられたカーテン、ガムテープなどを盗み、ガスマスクと防護服を作る。
そしてハワードの銃を奪い、外に助けを求める計画を立てた。
しかしハワードが、ミシェルたちの変化に気付く。
エメットはミシェルを庇い、嘘をつく。
ハワードはエメットを射殺し、人間を溶かすことができる過塩素酸の中に沈めた。
映画『10 クローバーフィールド・レーン』の結末・ラスト(ネタバレ)
ガスマスクと防護服が完成し、あとは脱出するだけになった。
しかしハワードが、防護服の存在に気付く。
過塩素酸の入ったドラム缶を倒し、ハワードを足止めして、空気浄化装置のある部屋に逃げ込むミシェル。
防護服とマスクを身に着け、シェルターの外に出た。
外に汚染物質は無かった。
安心したミシェルはガスマスクを外し、車で逃げようとする。
しかしシェルターが爆発し、上空を飛んでいたUFOが近寄ってくる。
シェルターの前で死んだ女性の車の防犯ベルが作動し、地面を這う未知の生命体が現れる。
女性の遺体からキーを探し出し、音を止めて逃げるミシェルの前に、緑色のガスをまき散らすUFOが現れる。
ガスマスクを着け、ハワードのトラックに逃げ込んだミシェル。
未知の生命体に襲われ、トラックごとUFOに捕まる。
トラックの中にあったお酒とライターで火炎瓶を作り、なんとか助かった。
クローバーフィールド10番地を抜けたミシェルは、緊急ラジオを耳にし、助けを求める人がいるというヒューストンに向かって車を走らせた。
映画『10 クローバーフィールド・レーン』の考察・解説(ネタバレ)
映画『10 クローバーフィールド・レーン』に出てくるメーガンは誰だったのか?
『10 クローバーフィールド・レーン』に登場するメーガンは、シェルターに住む謎多き男性ハワードにとって重要な人物です。ハワードはメーガンの名前を頻繁に口にし、彼女が自分の娘であると主張します。彼は彼女の写真を見せ、メーガンがいなくなったことを嘆き悲しんでいるのです。しかし物語が進行するにつれ、メーガンが本当にハワードの実の娘だったのかどうかに疑問が生じてきます。
実際のところ、ハワードが「娘」と呼ぶメーガンは、彼の本当の娘ではない可能性が示唆されているのです。シェルター内でミシェルが発見した写真には、以前ハワードに監禁されていた別の女性が写っており、その女性の名前もメーガンでした。このことから、ハワードはメーガンという名の女性を自分の娘のように扱い、支配しようとしていたことが明らかになります。つまりメーガンとは、ハワードが自分の都合で「娘」と呼んでいた被害者だったのです。
ハワードの言動は狂気じみており、彼の発言の真偽は定かではありません。メーガンに対する彼の異常なまでの執着心は、彼の不可解な行動の原因の一つであり、物語に緊張感を与える重要な要素となっています。ハワードの「娘」をめぐる謎は、この作品の核心に迫る鍵となっているのです。
映画『10 クローバーフィールド・レーン』の続編最新情報は?
『10 クローバーフィールド・レーン』は、「クローバーフィールド」シリーズの一作品ですが、他の作品とは独立した物語が展開されています。この映画の直接的な続編については、現時点で公式な発表はありません。しかしシリーズ全体としての続編や、関連作品に関する噂や企画は存在しています。
製作を手がけるバッド・ロボットとJ.J.エイブラムスは、「クローバーフィールド」シリーズをアンソロジー形式で展開しようとしています。つまり、共通の世界観を共有しつつも、それぞれ独立したスタイルやストーリーを持つ作品群として構成されているのです。『10 クローバーフィールド・レーン』は密室スリラーとして完結した内容になっているため、この作品の直接的な続編が製作される可能性は低いかもしれません。
ただし「クローバーフィールド」シリーズ全体としては、今後も新たな作品が生み出される可能性があります。2018年に配信された『クローバーフィールド・パラドックス』は、前作とは直接つながりのない内容でしたが、シリーズを貫くテーマを扱っていました。
今後このシリーズがどのように展開していくのかは不透明ですが、ファンとしては「クローバーフィールド」の世界観を舞台にした斬新な物語が登場することを期待せずにはいられないでしょう。『10 クローバーフィールド・レーン』の世界が、さらに広がっていく可能性は十分にあるのです。
映画『10 クローバーフィールド・レーン』と第1作目『HAKAISHA』とのつながりは?
『10 クローバーフィールド・レーン』と、シリーズ第1作である『クローバーフィールド/HAKAISHA』とのつながりは、ストーリーの直接的な連続性ではなく、設定やテーマにおける共通点によって示唆されています。第1作は、ニューヨークを襲撃する巨大怪獣によってもたらされるパニックを描いた、都市を舞台にしたモンスター映画です。一方『10 クローバーフィールド・レーン』は、地下シェルターに閉じ込められた人々の生存をめぐるサバイバルドラマです。
両作品に共通するのは、「見えざる脅威」に直面した人間たちの恐怖や混乱を描いている点です。『クローバーフィールド/HAKAISHA』ではその脅威が怪獣という形で具現化されていますが、『10 クローバーフィールド・レーン』では、外界で何が起きているのか分からない状況そのものと、ハワードという人物の存在自体が脅威として機能しています。
また、シリーズ全体を通してのつながりとしては、架空の企業「タグルアト」が登場することや、エイリアンや異世界の存在を示唆する共通の設定が散りばめられています。このように2つの作品は、一見異なる物語でありながらも、世界観や隠された設定によって緩やかに結びついており、シリーズ全体に織り込まれた謎やテーマを考察する楽しみを提供しているのです。
『10 クローバーフィールド・レーン』は、『クローバーフィールド/HAKAISHA』とは異なるアプローチで、人間の恐怖心や生存本能を探求しながら、「クローバーフィールド」の世界観を拡張する作品となっています。2つの作品は表層的には異なりますが、その深層では確かなつながりを感じさせるのです。
映画『10 クローバーフィールド・レーン』はどこで見れる?フルで無料視聴する方法は?
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みんなの感想・レビュー
今作で長編映画監督デビューを果たしたダン・トラクテンバーグは、これまでコマーシャルなどを手掛けてきた若手の新人監督だ。
2011年に制作した自主短編映画『Portal : No Escape』はわずか7分の映像だったが、その才能で世界を驚かせた。
そんな天才が挑戦したのが、『クローバーフィールド/HAKAISHA』の事実上の続編でもあり、SFなのに密室での心理戦がメインで描かれた異色的な今作。
密室劇なのにSFにする必要があるのか?という疑問が浮かぶが、外に出られないという状況設定を作る上で、最も有効的なのが地球外生命体による侵略だ。地球外生命体なら、地下シェルターという概念がない可能性が高く、隠れている人間に気づかないこともあり得る。
外で何が起きているのか、いつになれば外に出られるのか。そういった先の読めない展開を、巧みな状況設定によって生み出している。
そして、密室の中にハワードという男を登場させる。どんな人物なのかも、何を考えているのかも分からない、得体の知れない恐怖を身近に置くことで、観客の不安を煽る。
この大小の恐怖の使い分けが本当に巧妙で、ハラハラドキドキさせてくれる。
密室という限られた空間は、観客を映画の中の世界に誘導しやすい。終盤にもなると、観客はしっかりと主人公に感情移入している。
だから、主人公に命の危険が近づくと、助けたくてウズウズする。
今作は、そういった定番のツボもしっかりと押さえている。
それが、ミシェルがハワードに追われるシーン。「志村、うしろうしろ!」・・・もとい、「ミシェル、危ないよ!あいつまだ生きてるよ!追ってきてるよ!」と教えてあげたくなってしまう。
新しい物を作る上でも、定番的な手法は必要なのだと実感させられる。
ミシェル役のメアリー・エリザベス・ウィンステッドは、絶叫クイーンの異名を持つだけあり、今作でも良い表情を見せてくれる。
この密室の中で、観客に追体験をさせる重要な立ち位置でもあるから、作品を重ねるごとに違った魅力を見せてくれ、なおかつ恐怖に慄く姿が印象的な彼女がキャスティングされたのも頷ける。
ハワード役のジョン・グッドマンも良かった。嘘か本当かわからない語り口調もそうだが、あの荒い鼻息が、密室の閉塞感を一層高めていて居心地を悪くする。
設定、ストーリーライン、キャスティング。それぞれの良い部分がお互いに作用しあい、これまでにない密室SFが生まれている。