映画『17歳(2013)』の概要:『17歳』(原題:Jeune et Jolie)は、売春でセックスにのめり込んでいく17歳の少女の姿を描いたフランソワ・オゾン監督によるフランス映画。主演はマリーヌ・ヴァクト。
映画『17歳』の作品情報
上映時間:94分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:フランソワ・オゾン
キャスト:マリーヌ・ヴァクト、ジェラルディーヌ・ペラス、フレデリック・ピエロ、シャーロット・ランプリング etc
映画『17歳』の登場人物(キャスト)
- イザベル(マリーヌ・ヴァクト)
- パリの名門校であるアンリ4世高校に通っている。華奢な体つきで幼さも残るが、どこか大人びている。バカンスの最中にドイツ人のフェリックスと知り合い、初体験をする。その後、20歳と偽り、「レア」と名乗って売春を繰り返す。
- シルヴィ(ジュラルディン・ペラス)
- イザベルの母で、医者として働いている。パトリックは再婚相手。
- パトリック(フレデリック・ピエロ)
- イザベルの義父。年ごろで、義理の娘ということもあり、イザベルとはややぎこちない。
- ジョルジュ(ヨハン・レイセン)
- イザベルの売春の相手。祖父と孫というくらい年が離れている。イザベルとのセックスの最中に亡くなる。
- アリス(シャーロット・ランプリング)
- ジョルジュの妻。夫の浮気には長年悩まされていた。
映画『17歳』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『17歳』のあらすじ【起】
誕生日を目前に控えた夏、イザベルは家族でリゾート地にバカンスに来ていた。イザベルは、そこでドイツ人の青年・フェリックスと知り合う。
母には食事にフェリックスを招くように言われるが、イザベルにはその気はない。
誕生日の数日前、夜のデートに誘われたイザベルは、弟のヴィクトルの協力を得てこっそり抜け出す。
海辺で二人はいい雰囲気になり、そこで初体験をする。
初めてのセックスはあっけないものだった。暗闇の中、イザベルは目の前にもう一人の自分が冷静にこちらを見つめているように感じた。
フェリックスに家まで送ってもらい、キスをして別れる。
翌日、フェリックスにはそっけない態度をとる。数日後にイザベルの17歳のバースデーパーティが行われたが、やはりそこにフェリックスは招かれなかった。
夏のバカンスから帰る日、車はフェリックスの乗る自転車を追い越していく。ヴィクトルに「フェリックスだよ」と教えられるが、イザベルは見向きもしなかった。
映画『17歳』のあらすじ【承】
秋になり、新学期を迎えていた。
イザベルはアダルトサイトに登録し、不特定多数の男と知り合って売春を始める。大人びているとはいえ、17歳の未成年。
イザベルは20歳だと偽り、「レア」という偽名を使う。母のグレーのシャツをこっそり借り、ハイヒールを履いてスーツを着、真っ赤なリップを塗ったイザベルは、実年齢よりも大人に見える。
中には、ネットの情報とは年齢も顔写真も違う相手もいた。ジョルジュもその一人だった。彼はイザベルの祖父といってもおかしくないほどの年齢だった。
ジョルジュはイザベルを気に入り、何度も会うようになる。
他にも、30代の弁護士や、父親と同じ位の年齢の男も相手にした。時には未成年と言うことがバレ、指定した金額をもらえないこともある。そして、「売春婦は死ぬまで売春婦だ」とあざ笑われることもあった。
ある日、両親と観劇に行った先でジョルジュを見かける。彼は女性を連れていた。
次にホテルで会った時、あの時一緒だったのが彼の娘であると聞かされる。家族に対して、誠実に向き合ってこなかったというジョルジュだったが、今では娘といい関係を築けているらしい。
映画『17歳』のあらすじ【転】
ジョルジュのことはイザベルも気に入っていた。他の男と違い、紳士的なのがいい。
放課後に何度も会っていたが、ある日セックスの最中にジョルジュが息を引き取る。
イザベルは混乱し、人工呼吸や心臓マッサージで蘇生を試みるが、ジョルジュは息を吹き返さない。イザベルは約束のお金だけもらい、逃げるように部屋を後にした。
それからしばらく。
シルヴィの職場に警察が訪ねてきた。もちろん、イザベルのことだ。ホテルの監視カメラにはしっかりイザベルの姿が映っていたのだ。
思いもよらない娘の行いを知り、シルヴィは驚く。家に帰ってイザベルの部屋を確認すると、大量の札束が出てきた。本当だったのだと分かり、シルヴィは大きなショックを受ける。
イザベルは警察の聴取を受け、その後母にパソコンも携帯も制限された。精神病院に通わされるが、イザベルは自分がおかしくなったのではないとわかっている。
ある日、家でパトリックと二人で話していたが、それを見たシルヴィは娘を疑う。まるで娘が夫を誘惑しているように感じたのだ。
映画『17歳』の結末・ラスト(ネタバレ)
売春をやめてからは、元通りに暮らしていた。同級生が集まるパーティでイザベルはアレックスに「キスをしたい」と言われ、そのままキスをする。
そのままいい雰囲気になった二人はパーティを抜け出す。
自宅にアレックスを呼び、セックスをした。アレックスはイザベルとこれからいい関係を築けると感じていたが、イザベルは別れを告げる。なぜなら、「恋をしていないから」。
アレックスと別れたイザベルは、親に止められていた携帯を取り出し、売春していた時に使っていたSIMカードを差し込んだ。すると、たくさんのメッセージが舞い込む。イザベルは笑ってそれらを確認し、メッセージの相手と待ち合わせをする。
待ち合わせ場所に現れたのは、女性だった。その女性はジョルジュの妻・アリスだった。彼女は夫が最後に会った女性に会いたかったのだという。
アリスは昔からジョルジュの浮気に悩まされていた。それでも夫は自分を愛していたし、自分も夫を愛していた。許すしかなかった。だが、時にはお金をもらって他の男とセックスをしたいと考えたことは何度もあったと言う。
亡くなった部屋を見たいと言い、イザベルを連れて部屋へ向かう。二人でベッドに寝ころび、イザベルが目を覚ました時にはもう彼女の姿はなかった。
映画『17歳』の感想・評価・レビュー
大人ほど達観しておらず、幼い子供のように無知ではない、17歳という危うい年ごろが上手く表現されていたと思う。ただ、イザベルの気持ちがあまり見えてこなかったのが残念だった。男達や関係を持つことに無感情だったとしても、さすがにジョルジュの死を体験した後なら何か感情の変化が生まれてもおかしくはないと思う。母のシルヴィが激怒する気持ちは理解できたが、もう少しイザベルに向き合って欲しかったなと思う。(女性 30代)
主演のマリーヌ・ヴァクトがめちゃくちゃ綺麗でスタイルもスラーっとしていて美しかった。17歳の危なっかしくてどことなく空虚な感じ、つまらない平凡な日々に少しの刺激…
子供から大人へと変化する微妙な時期、自分ではどうして良いか分からないアンバランスさが良く描けていた。フランソワ・オゾンの乾いた空気感、独特のアンニュイな感じのフレンチ感な雰囲気はクセになる。そして最初の家族でのバカンスシーンの風景は美しく、ゆったりとしていてとても良かった。刺激的だが繊細な素晴らしい映画。(女性 30代)
17歳という絶妙な年齢を描いた作品。官能的であり、危うさがあり、フランス映画らしいと言えるだろう。どこか芸術的ともいえる世界観に、イザベルの美しさと、特に繊細に描かれていたと感じた。
多くのキャラクターの関係性が無駄なく表現されていて、恋愛の本質や、イザベルの純粋さなどがフランス映画らしくまとめられていた。
人によって好き嫌いが分かれる作品かもしれないが、フランス映画が好きな人にはおすすめしたいと思う。(女性 20代)
はっきりした結末、イザベルや両親の気持ちを描かないのはフランス映画らしいと言えばそうなのかもしれませんが、売春を続けるイザベルの心をもう少し見たかった気がします。寂しさからなのか、好奇心からなのか分かりませんが、売春なんてしなくても幸せで普通の人生はあったはずなのに…と思うとイザベルが哀れに感じてしまいました。
どのシーンをとっても美しくて、ストーリーよりも映像が魅力的でした。イザベルがこの後どんな人生を送るのか気になるところです。(女性 30代)
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