この記事では、映画『4デイズ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『4デイズ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『4デイズ』の作品情報
上映時間:97分
ジャンル:サスペンス
監督:グレゴール・ジョーダン
キャスト:サミュエル・L・ジャクソン、キャリー=アン・モス、マイケル・シーン、ブランドン・ラウス etc
映画『4デイズ』の登場人物(キャスト)
- H(サミュエル・L・ジャクソン)
- 政府に保護されている特別尋問官。全ての情報が政府により極秘扱いで、実は政府の汚れ仕事を引き受ける拷問官。妻と2人の子持ち。仕事に高いプライドを持ち、完遂への意識が非常に高い。
- ヘレン・ブロディ(キャリー=アン・モス)
- FBIロサンゼルス支局テロ対策班の捜査官。アラブ系テロ組織を捜査中のチームリーダー。厳格で知的な女性。揺るがない良識と常識を持ち、Hの行動に対して何かと突っかかる。
- スティーブン・アーサー・ヤンガー(マイケル・シーン)
- 元陸軍特殊部隊の職業軍人。爆弾処理に精通しており、核爆弾を3カ所の都市に設置。生粋の米国人でありながらアラブ系テロ組織に所属し、ヨセフ・ムハメッドに改名。妻と2人の子供がいるが、離婚している。
- チャールズ・トムソン(スティーヴン・ルート)
- 国防情報局の関係者。Hの事情を全て知る人物でマネージャーのような存在。
映画『4デイズ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『4デイズ』のあらすじ【起】
火曜日。FBIロサンゼルス支局、テロ対策班のヘレン・ブロディはテレビ報道を目にして、犯人の男に見覚えがあると感じる。彼女が捜査中である、アラブ系テロ組織に所属している男と報道中の犯人の名前が一致。犯人スティーブン・アーサー・ヤンガーは、警察官2名を銃撃したとして指名手配されていた。
捜査班のチームは急いでヤンガーの資料をかき集める。その最中に上司が現れ、この機会にテロ組織に関わる全員の家族や友人を確保、警察へも協力を要請しヤンガーの所在と場所を確保しろと命令。ヘレンはすぐに行動を開始した。
テロ組織に関わる多数を確保するため、局内は大忙しである。そんな中、彼女の携帯に国防情報局の関係者であるという、トムソンから電話がかかってくる。CIAの資料にあったHという男は非常に危険な男であるため、早々に手を引けというものだった。
Hという男の自宅へ向かったヘレンは、大人しく投降して来た男を逮捕して尋問したが、Hは不遜な態度を示してばかり。しかも、上司がトムソンと共に尋問室へ来て彼を連れて行ってしまった。Hはどうやら政府によって保護された重要人物であるらしいが、全ては極秘とされているため、彼が何者であるかは明かされず。更に上司は捜査班を中央指令施設へ移すと言う。当然、場所は極秘だった。
水曜日。全ての資料を持って移動を開始。施設は軍によって厳重に警備されていた。到着早々、トムソンとHに遭遇。彼らがなぜここにいるのか。Hは嫌われ者の請負人だと自分のことを言う。その後、一室へ案内された一行が見せられた映像は、ヤンガーからの脅迫映像だった。
ヤンガーは3都市にそれぞれ核爆弾を仕掛けたと言う。制限時間は金曜の正午まで。彼は陸軍特殊部隊出身で爆弾や爆薬に精通している。イランへ出兵した際、18ポンドの核物質を盗み、姿を消していた。それもイランからの依頼で盗んだらしい。目下、脅迫映像のみで要求は未だに明かされていない。しかも、ヤンガーはすでに陸軍によって逮捕されていた。

映画『4デイズ』のあらすじ【承】
トムソンとH、ヘレンは早速、捕らえられたヤンガーの元へ向かう。奴がいるコンテナではすでに軽い拷問により尋問が開始されていたが、あれでは生ぬるいとHがおもむろにコンテナ内へ。彼は中にあった道具を手にして突如、尋問官を殴り倒した。
騒然となった一同は、Hを捕縛。ヘレンは上司へと苦情を入れた。拷問で得た証言では証拠にならないからだ。だが、上司から今回の拷問は政府によって公認されているため、仕方ないと言われてしまうのだった。
一方、ヘレンはヤンガーの行動調査や元妻の所在をチームに捜査するよう命令。そして、ヤンガーの尋問については、政府からの命令もありH主導で行われることになった。彼は心得た助手を1名招き入れ、準備を開始。ヤンガーを拘束して突然、顔色も変えずに奴の小指を切り落とした。再び場内が騒然。非人道的な拷問である。軍もFBIも非情さを訴えたが、政府からは何も言われない。なんと、Hは政府公認の拷問スペシャリストだったのだ。
軍の将軍は尋問について、すべてを大佐に一任してしまい、早々に退散している。しかし、ヘレンだけは拷問を受け入れられず、最後まで非人道的だと訴えた。彼女は上司に宥められ、仕方なくHのやり方を受け入れる。更にHからの要請もあり、彼女も尋問へ参加することになるのだった。
Hが鞭ならば、ヘレンは飴である。しかし、ヘレンの説得にもヤンガーは容易に頷かない。その後もHは拷問を続け、夜が明ける。
木曜日。Hの妻が食事を持って施設へ来所したため、休憩を取ることになった。その際、彼は尋問するなら10分経って泣き出した後か、寝ていたら電撃を流して起こせとヘレンにリモコンを渡して行く。
映画『4デイズ』のあらすじ【転】
10分後、ヤンガーが眠っているのをトムソンが発見。Hはヘレンにボタンを押せと言っていたが、大佐がリモコンのボタンを押してしまう。すると、リモコンは故障してしまい、電撃が切れないというトラブルが発生。ヘレンは中へ入って電撃装置をどうにか止めた。
食事中のHの元へ向かったヘレン。電撃のリモコン故障は彼が意図的に仕掛けたものだった。ヘレンはHに抗議するも、彼は全てを予想しており平然と仕事へ戻る。彼女は残された妻と会話し、H夫妻の悲惨な過去を一部聞かされるのだった。
チームは順調に捜査を続けている。ヘレンは爆弾が仕掛けられた都市に当たりつけて、捜索を指示。Hの呼び出しがあったため、尋問室へ向かった彼女はHの指示により、ヤンガーのマッサージをしつつ会話を続けた。そして、ようやくヤンガーから要求を聞き出すことに成功するのである。
要求はイスラム諸国、政権への財政支援停止と米軍の撤退だった。この要求は至極まっとうなものである。残された時間は21時間。だが、政府側はこの要求を断固拒否。この決定にヘレンはヤンガーに爆弾の所在を教えるよう詰め寄るも、彼は拷問を覚悟した上で逮捕されている。そもそも、ヤンガーが本当に核物質を所持していたのかも確証がない。それなら爆弾も本物であるかも疑わしくなってくる。
ヘレンは再び、ヤンガーへ尋問に向かった。すると、彼は涙ながらに爆弾はないと証言し、爆弾の設置場所を1カ所のみ教えるのだった。
急いでその場所へ向かった軍とヘレンだったが、屋上にあった仕掛けを兵士の1人が触ってしまう。すると、近くにあったモールが大爆発。被害は相当数に上った。
映画『4デイズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ヘレンは憤慨してヤンガーへ詰め寄ったが、逆切れした彼が怒鳴り散らす。爆弾で亡くなった被害者は53人だが、同じ数だけ外国に派遣された米兵も死んでいる。人々はそれらを平然と受け取るが、兵士ではない者が死ねばそれを責めるのかと。
ヘレンは何も言えなくなり、尋問室を退室した。
金曜日。残り3時間と迫る中、1カ所の核爆弾を発見。残りは2カ所だが、捜している時間はもう残されていない。
捜索していたヤンガーの元妻と子供達が確保できた。妻をヤンガーに会わせ、自白を促すことにする。それでも奴は自白せず。Hが妻も拷問にかけようと言い出す。これにはヘレンも反対したため、妻を退室させようとするも、一瞬の隙にHが妻を殺害してしまう。
時間が迫る。それでもヤンガーは自白しない。誰もが追い詰められていた。
傍目から見てもHの憔悴が酷い。彼はとうとう、残された幼い子供達をも使うことにした。誰もが子供に拷問を加えることに反対したが、致し方ない。ヤンガーが自白さえすればいいのだ。
子供を一目見たヤンガーは、恐怖に戦きとうとう自白。残り2カ所の爆弾の場所を簡単に明かした。しかし、Hは全ての爆弾の場所を明かすまで、子供の解放はしないと言う。彼は爆弾が4つあると確信していた。だが、聞いていた爆弾の数は3つ。他の者達はもう3カ所の爆弾を発見できたため、作戦は終了だと言う。
政府側はHの言葉を信じて4つ目の場所を聞き出せと言うが、これにはヘレンが強い抵抗を示した。故にHは仕事を終わらせようとする。しかし、政府側は彼に仕事をしろと銃口を向ける。政府はHの妻子を人質にして、彼に汚れ仕事を強いているのだった。だが、ここにきて拘束を解かれたヤンガーが銃を奪い自殺。
唯一の手掛かりが死亡したことにより、Hの仕事は終了を告げたのだった。
直ちに爆弾処理班が爆弾を処理。残り時間は12秒と迫っていたが、無事にリセットを完了した。しかし、Hの言う通り4つ目の爆弾が隠されており、刻々と時を減らしている。
そうして、カウントは0になるのだった。
映画『4デイズ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
サミュエル・L・ジャクソン扮するHが、元特殊部隊であり、爆弾に精通しているヤンガーに対して、街に設置された爆弾の場所を吐かせるために、非人道的な尋問を行う。見ていて非常に痛ましいシーンが続くが、Hは平然とした態度で尋問を行っていく。ストーリーが進むにつれて、なぜ彼がそのような立場にいるか明らかとなっていく。そして尋問の末、ヤンガーが口を割るのだが、最終的にヤンガーは自殺、残された最後の爆弾のカウントが0となるというやりきれない結末を迎える。なかなか胸に刺さる内容となっているので、少し覚悟を決めてから閲覧することをおすすめする。(男性 30代)
爆弾を設置した場所を聞き出すため、捕まえた犯人から制限時間である4日間、拷問して答えを聞き出すという内容なのだが、非常に心を試される厳しい作品である。とにかく、サミュエル・L・ジャクソン演じるHの拷問が酷い。殺さないように痛めつけるという方法は恐らくいくらでもあって、Hは手っ取り早く済む方法をどんどん試していく。しかも、表情を少しも変えないのでより迫力がある。倫理観を保ち続けられるか試される内容だし、観ていても非常に辛い。ある程度の覚悟をして観ることをお勧めする。(女性 40代)
倫理とは何か、人道とは何かを深く考えさせられる映画でした。サミュエル・L・ジャクソン演じる尋問官がテロリストから情報を引き出すために行う拷問は、観る側に強烈な葛藤を突きつけてきます。家族を人質に取ったという設定も衝撃的で、彼の行動が正義か否かを簡単に割り切れません。最後に爆弾が残っていたという結末も、リアルで絶望的。社会派スリラーとして非常に完成度の高い作品です。(30代 男性)
最初は単なるテロ対策のスリラーかと思ったら、途中から倫理と人間性を問う重厚な心理劇に変貌しました。主人公たちが信念と職務の狭間で揺れる姿が印象的で、観ていて何度も胸が詰まりました。特に、尋問官が拷問に快楽を見出しているのではないかと錯覚させる描写があり、人間の狂気に恐怖すら感じました。考えさせられることが多すぎて、一度では消化しきれない映画です。(40代 女性)
この作品を観て「正しいことってなんだろう?」と真剣に考えさせられました。もし家族や多くの命が危険にさらされていたら、自分はどこまで許せるのか?サミュエル・L・ジャクソンの狂気をはらんだ演技に圧倒されましたし、キャリー=アン・モス演じるFBI捜査官との対比が良かった。最後の“未発見の爆弾”という結末がさらに物語を重くしています。(20代 男性)
重い、でも見ごたえがありました。拷問シーンが多くて目を背けたくなる瞬間もありましたが、そうした表現が必要だったことにも納得。恐怖と苦悩、正義と暴力の曖昧な境界線が終始突きつけられます。最後に残された“本当に止めるべき爆弾”の存在が示されたとき、誰の行動も完全ではなかったと痛感しました。非常に考察のしがいがある一本です。(50代 男性)
終始緊張感が続く作品でした。特に地下の拷問室の密閉感と、サミュエル・L・ジャクソンの目の光にゾッとする場面が多かったです。正義のために非人道的な行動を取る矛盾と、それに誰もが葛藤する姿は非常にリアル。最後に爆弾の存在が明かされた瞬間、善悪の判断は観客に委ねられたんだと感じました。忘れられない映画です。(30代 女性)
観た後に静かに自分自身の価値観を問われるような映画。特に印象的だったのは、命を守るためにどこまで人間性を捨てるかという問い。どの人物も善人にはなれず、でも誰も悪人とも言い切れない。最終的にどの選択も“正解”ではないというところにリアリティがありました。もっと評価されるべき社会派スリラーだと思います。(60代 男性)
登場人物全員が正義を信じて行動しているのに、それが対立するという展開が秀逸。サミュエル・L・ジャクソンの狂気じみた執念と、キャリー=アン・モスの理性的な葛藤の対比が物語を支えていて、終始引き込まれました。残された爆弾が存在していたというラストの皮肉は、現実の複雑さを象徴しているようでした。(20代 女性)
派手なアクションがあるわけではないのに、心理的な緊張感でここまで惹きつけられる映画は珍しい。倫理の境界を超えるかどうかの線引きが常に問われ、観る側の感情も揺さぶられっぱなしでした。最後の爆弾の存在が示すのは、人間の判断の限界かもしれません。久々に「観て疲れるけど観るべき映画」に出会いました。(40代 男性)
映画『4デイズ』を見た人におすすめの映画5選
アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015)
この映画を一言で表すと?
一発のミサイルが道徳を揺るがす、現代戦争のリアル。
どんな話?
ドローンによるテロリスト暗殺を巡り、作戦成功と民間人被害のジレンマに揺れる軍と政治家たち。現代の“非接触戦争”の実態を描きながら、人間の倫理と責任を強烈に問いかけてきます。
ここがおすすめ!
『4デイズ』同様、「命を守るために命を奪うことは許されるのか?」というジレンマを描いています。終始張り詰めた緊張感とともに、倫理的選択を迫られる展開は、観る者の価値観を揺さぶります。
ミュンヘン(2005)
この映画を一言で表すと?
復讐か正義か——その境界線を曖昧にする戦慄の実録サスペンス。
どんな話?
1972年のミュンヘン五輪テロ事件の報復として、イスラエルの諜報員がテロリストたちを暗殺していく過程を描く。任務が進むほど揺れる信念と良心が、物語に深い人間ドラマを与えています。
ここがおすすめ!
人間の信念と復讐心のバランス、そして“国家の正義”という名の暴力の正当化を『4デイズ』と同じく鋭く描いています。スピルバーグ監督による圧倒的なリアリズムと演出力が見どころです。
ゼロ・ダーク・サーティ(2012)
この映画を一言で表すと?
“正義の名のもとに”行われた10年越しの執念の追跡劇。
どんな話?
9.11後のアメリカで、CIA捜査官がオサマ・ビンラディンの居所を探し続け、最終的に殺害作戦を成功させるまでを描くスリラー。情報戦・尋問・心理戦のすべてが詰まったリアルな諜報劇です。
ここがおすすめ!
『4デイズ』のような尋問シーンも描かれており、拷問という手段に対する是非が問われる点で非常に通じる作品。緻密な構成と重厚な演技が、史実ベースながらエンタメ性を失わない点も魅力です。
ザ・シークレット・サービス(1993)
この映画を一言で表すと?
正義の男が対峙する“過去の罪”と“冷酷な暗殺者”。
どんな話?
クリント・イーストウッド演じるシークレットサービスのベテランが、大統領暗殺を計画する元CIA工作員との知略戦に挑むサスペンス。職務と信念、老いと悔恨が交差する心理戦が展開されます。
ここがおすすめ!
一見『4デイズ』ほど重くはないが、国家と個人、任務と道徳の間で揺れる姿が通じるものがあります。イーストウッドの重厚な演技が胸に響く、大人向けの政治スリラーです。
プリズナーズ(2013)
この映画を一言で表すと?
正義のための暴走が、誰を守り、誰を壊すのかを描く衝撃作。
どんな話?
娘を誘拐された父親が、容疑者を拉致・監禁して自ら真相を探ろうとするが、正義と狂気の境界が次第に曖昧になっていく。ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールの熱演が光るサスペンス。
ここがおすすめ!
『4デイズ』の“目的のために手段を選ばない”倫理的ジレンマがここにもあります。緻密なストーリーテリングと人間の葛藤の描写が秀逸で、観終わったあともしばらく考えさせられる作品です。
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