この記事では、映画『死国』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『死国』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『死国』の作品情報
上映時間:102分
ジャンル:ホラー
監督:長崎俊一
キャスト:夏川結衣、筒井道隆、栗山千明、根岸季衣 etc
映画『死国』の登場人物(キャスト)
- 明神比奈子(夏川結衣)
- 幼い頃を四国の高知県で過ごし、両親の仕事の都合により東京へ引っ越した。現在はデザイナーとして活躍中。恋人と上手くいかずに寂しさを抱えている。
- 秋沢文也(大人:筒井道隆 / 少年期:森脇史登)
- 比奈子の幼馴染。大学卒業後、大阪で3年間サラリーマンを経験し、現在は村役場で働いている。莎代理に未練を持ち寂しさを抱えている。
- 日浦莎代里(大人:栗山千明 / 少女期:鈴木美帆)
- 日浦家の最後の跡取り。幼い頃より口寄せの依り代として一族に貢献しているが、本人はその役目を厭っている。お嬢様気質で我儘な性格だった。16歳の若さで亡くなっている。一時期、文也と恋人関係にあった。
- 仙道直朗(佐藤允)
- 四国の結界を守るために練り歩く修験者。文也と比奈子の要請により、日浦家の谷へ駆け付け莎代理を黄泉の国へと送り返す。
映画『死国』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『死国』のあらすじ【起】
幼い頃に住んでいた四国の高知県、矢狗村へ家の処分のために帰郷した明神比奈子。彼女は幼馴染の日浦莎代理へ会いに向かうも、16歳の若さで亡くなっていたことを知る。同じ幼馴染である秋沢文也と会うことができたので、互いに近況の報告をし合った。
莎代理の母親は娘の死に酷く嘆き悲しんでいたと言う。そのため、長い間お遍路巡りに出掛けているらしく家には誰もいないとのことだった。
翌日、村の道祖神である地蔵の頭が落ちるという怪異が発生。地蔵が立ち並ぶ場所から谷へ向かう先は、入ると呪われるとされる場所がある。唯一、その場所へ入るとすれば、日浦家の者だけだという話だった。
比奈子の家に文也が訪れ、莎代理の生前の写真を持って来てくれる。莎代理はとても美しい少女へと成長していた。その夜、比奈子の夢枕に莎代理が現れる。

映画『死国』のあらすじ【承】
亡くなった莎代理が何かを伝えようとしていると思った比奈子は、このことを文也に報告。すると、彼は莎代理が悪霊にとり憑かれて亡くなったかもしれないという、もう1つの噂話をするのだった。
その後、2人は日浦家の者しか出入りしない谷へ入ってみる。山道を進んだ先には、小さな池の真ん中に石碑が立ち、その向こうに口を開ける洞窟があった。
更に翌日、比奈子は莎代理の父親を訪ねる。父親は8年もの間、廃人状態で病院にて寝たきりの状態だった。そして、彼が見つめる天井には“16”という奇妙な染みが。
同じ頃、文也は民俗学の教授を連れて洞窟の調査へ。洞窟の中には石が積まれており、周囲には15本の杭が刺さっていた。教授からこの場所について論文を書いた人物がいた、という話を聞いた文也は、役場の資料から莎代理の父親が書いた本を入手する。
公園で合流し、それぞれが報告をした2人。四国のお遍路は88カ所あるが、通常は順番通りに右回りで巡るものである。そうすることで、四国に結界を張り死者が蘇るのを防いでいると言う。お遍路は、四国すなわち死国となるのを防ぐためのものだった。
だが、莎代理の母親はお遍路を逆回りに巡っている。それを死んだ歳の分だけ繰り返すことで、優れた口寄せの依り代であった娘を蘇らせようとしているのだった。
映画『死国』のあらすじ【転】
莎代理に未練を持つ文也と、恋人と上手くいかない寂しさを抱える比奈子。2人は互いに協力し謎を追うことで次第に惹かれ合う。そしてその夜、互いの寂しさを埋め合わせるかのように身体を重ねるのだった。
だが、その様子に嫉妬した莎代理が姿を現し、比奈子を恐怖に貶める。その昔、比奈子は莎代理に川で折檻されたことがある。彼女は当時のことを思い出し、自分が莎代理に恨まれていると激しく泣き叫ぶのであった。
洞窟がある谷は代々、口寄せを生業とする日浦家が神を祀る場所であるらしい。そこは、黄泉の国と繋がっており、黄泉の国は肉体を持つ死者の国であった。
その後、2人は資料館にて修験者である仙道尚朗という人物を紹介してもらい、相談に向かう。仙道は四国の結界を張るために修行を続ける猛者だった。
その頃、娘を蘇らせる準備を整えた莎代理の母親が帰還。彼女は自分の計画を阻止しようとした夫を死に至らしめ、洞窟にて儀式を行い娘を復活させた。
そして、自宅の祈祷場にて莎代理の魂を口寄せし、娘を完全に生き返らせる。だが、彼女はもうすでに人ではなく、喜びに涙する母親を抱き殺してしまうのである。
映画『死国』の結末・ラスト(ネタバレ)
仙道に協力を要請して戻った文也と比奈子は日浦家を訪れる。2人は家に明かりが灯っていることで、母親が帰っていることを知る。
文也が洞窟を見て来ると言うため、その場に残った比奈子。彼女は日浦家へと足を踏み入れ、生き返った莎代理を目にするのであった。
急いで文也の元へ向かった比奈子だったが、同じ場所へ莎代理も現れる。
彼女は文也への妄執を見せ、一緒に村から出て幸せに暮らそうと言う。甘言に乗せられた文也は、比奈子の手を放してかつての恋人の元へ。
そして、彼は莎代理によって抱き締められ、意識を奪われてしまうのだった。
窮地に追いやられた比奈子。そこへ仙道が駆け付け、莎代理を黄泉の国へ返そうとする。
洞窟内の池へと彼女を投下した仙道。あとは逆遍路で集められた石を崩せば、黄泉の国の口が閉じるはずだった。
しかし、莎代理は激しく抵抗。比奈子は彼女を押さえることができず、二の足を踏む。そこへ、意識を取り戻した文也が現れ莎代理と共に池の底へ。すかさず、仙道が石を崩し黄泉の国への通路を閉じた。
朝になり、比奈子は幼馴染2人の御霊を思い、帰路へと就くのだった。
映画『死国』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
ジメジメした怖さがあり不気味さ陰鬱さが漂い日本の古き良きホラーといった感じ。土着信仰や民俗学が好きな人にはお勧め。美しく青々とした田舎の風景や空気がどことなく懐かしい。夏川結衣が瑞々しくとても可愛い、そして神秘的な美しさの栗山千明がさらにゾッとさせてくれる。莎代里の死んでも思い続ける文也への恋心や、もっと生きたかったという悔しさがとても切ない。原作は詳しく、莎代里、文也、比奈子の関係性やその他の登場人物の人物像も詳細に描かれ陰鬱さや不気味さもより生々しく描かれているので気になった方は是非読んでもらいたい。(女性 30代)
日本ならではの不気味で暗い雰囲気が漂う今作。ホラー映画と言うよりもその土地に昔からある言い伝えや、過去の事件や事故が真実とは異なる形で伝えられてしまったため怪談話になってしまった出来事など、とてもリアリティがあって興味深い作品でした。
栗山千明の美しく日本的な容姿は良い意味で怖さを増幅させていて、日本人形のような儚さを持ち合わせていました。ただ鑑賞するだけでなく、その土地の歴史や伝説などを知りたくなる作品です。(女性 30代)
四国を舞台にした土着的なホラーという点で、他のJホラーと一線を画す作品だと感じました。特に八十八ヶ所巡礼や死者蘇生というテーマが絡むことで、宗教的な怖さがじわじわと効いてきます。亡き親友・高子が生き返ったように見えて実は…という展開は、ただの幽霊よりもゾッとする不気味さ。人間関係の“業”を描いているところに日本的ホラーの本質を感じました。(20代 男性)
友人に勧められて観ましたが、予想以上に不気味で、ジワジワと怖さが迫ってくるタイプのホラーでした。都会から戻った主人公が、地元のしきたりや死者との再会に巻き込まれていくストーリーは、私の田舎にも通じるような怖さがありました。高子の表情や仕草に人間味がある分、生気のない恐ろしさが増して感じられました。心理的に追い詰められる感じがたまらなかったです。(30代 女性)
幽霊や殺人のような分かりやすい恐怖ではなく、「信仰」と「死」にまつわる根源的な怖さを描いた本作は、まさに“日本的ホラー”の真髄でした。八十八ヶ所巡礼を逆打ちするというアイディアが、呪術的でとても印象的。登場人物たちの苦悩や後悔が、呪いや災いに結びついていく構図が切なくもあり、怖さと哀しさが共存する物語でした。(40代 男性)
昔観たときよりも、大人になってからのほうがこの映画の怖さが深く刺さりました。死んだはずの親友が戻ってくる──それ自体が悲願だったはずなのに、歪んだ愛情や嫉妬、過去の後悔が積み重なって、恐怖に変わっていく。高子の存在そのものが「生きること」と「死ぬこと」の間をさまよっていて、ゾクッとしました。映像の暗さや演出も怖さを増幅させていて良かったです。(50代 女性)
日本の風土や民間信仰が物語に深く関わってくる構成が印象的でした。派手な演出がない分、じわじわと染み出すような怖さがあり、見終わった後も頭から離れません。とくに、死者の想いが“祟り”や“怨念”となって顕在化する描写が巧妙で、ただのホラーではなく、人の心の闇を覗き込むような不気味さがありました。邦画ホラーの中でも完成度の高い作品だと思います。(60代 男性)
Jホラーといえば『リング』『呪怨』が有名ですが、『死国』も負けず劣らず怖かったです。特に、死者が蘇って人の中に紛れ込んでいるという設定は、他人事じゃない感じがして怖い。高子の静かな語りや表情の変化ひとつで、画面全体が不穏になっていく演出が素晴らしい。音楽や環境音の使い方も秀逸で、夜中に見ると眠れなくなります。(20代 女性)
物語の背景にある四国の風景や八十八ヶ所巡礼の映像が、映画全体に独特の空気を与えていました。ホラーとしての怖さもありつつ、「死者と向き合うとはどういうことか」という哲学的な問いも感じられて、単なるエンタメでは終わらない作品です。人が死者を悼むこと、あるいは忘れられずに苦しむことが、どれほど強い力を持つのかを考えさせられました。(30代 男性)
一見すると地味なホラー映画だけど、心理的な恐怖と和風の民俗学的要素が絡み合っていて、非常に引き込まれました。高子のキャラクターが本当に怖くて、無表情で語るセリフがすべて心に引っかかる。四国の田舎という舞台も、閉鎖的で神秘的な空気を醸し出していて、都会では味わえない恐怖がありました。静かなのに怖い、じわじわ系ホラーの代表作ですね。(40代 女性)
映画『死国』を見た人におすすめの映画5選
姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)
この映画を一言で表すと?
「怪異と論理が交差する、妖しくも知的なジャパニーズ・ホラー」
どんな話?
京極夏彦の小説を実写化。20ヶ月も妊娠が続くという奇怪な事件をきっかけに、古書店主であり霊能力者・中禅寺秋彦が、“この世ならざるもの”の正体を暴いていくミステリー・ホラー。怪異と人間の深層心理が交錯する物語。
ここがおすすめ!
『死国』同様、日本古来の怪異や宗教観、そして土地に根付いた因習が描かれており、重厚かつ哲学的な雰囲気が魅力です。ホラーだけでなく、緻密な会話劇や人間ドラマを楽しみたい人にもぴったりです。
残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-
この映画を一言で表すと?
「恐怖は“地続き”でやってくる——静かに蝕む連鎖型ホラー」
どんな話?
作家がとある読者から届いた“奇妙な音”の相談をきっかけに、部屋の過去を調べ始めると、次第に複雑に絡んだ忌まわしい歴史が明らかになっていく。怨念が土地や建物に連鎖するというコンセプトが秀逸。
ここがおすすめ!
一見地味ながら、観終わったあとにじわじわと効いてくる“後を引く恐怖”が特徴。『死国』のように、“目に見えない死者の気配”や“呪われた土地”をテーマにした作品が好きな方には非常におすすめです。
霊的ボリシェヴィキ
この映画を一言で表すと?
「恐怖が“理屈”を超えた瞬間、人は本当に震える」
どんな話?
霊的現象を科学的に検証しようとするグループが、山中の廃屋で降霊実験を行う。だが、徐々に現実が歪み、不可解な現象が連鎖していく。理性が崩壊していく過程が恐怖を倍増させる知的ホラー作品。
ここがおすすめ!
実験的かつ独特な演出で、従来のJホラーとは一線を画す異色作。『死国』に通じる、死者との境界線が曖昧になる感覚や、精神世界に潜む恐怖を味わいたい方にぴったりの作品です。
回路
この映画を一言で表すと?
「インターネットの向こうに“死”が存在する——静かに絶望する未来型ホラー」
どんな話?
インターネットを通じて、この世にいないはずの存在とつながってしまった人々が、次々と不可解な死に巻き込まれていく。テクノロジーと霊的存在が交錯する新感覚のホラー作品。
ここがおすすめ!
全体に漂う“世界の終焉感”が独特で、ただ怖いだけではなく深い虚無感が残る作品です。『死国』と同様に、人が死をどう受け入れるか、死後の世界がどう存在するかを哲学的に問いかけてきます。
アナザー Another
この映画を一言で表すと?
「“存在してはいけない者”が紛れ込んだ教室で始まる連鎖する死の恐怖」
どんな話?
ある中学3年3組に転校してきた少年が目にするのは、クラス内で次々と起きる不可解な死亡事故。そして“いないはずの生徒”の存在…。過去に封印された悲劇が、再び動き出す学園ホラー。
ここがおすすめ!
『死国』同様、「死者が日常に紛れ込む」テーマが根底にあり、物語を通して誰が“いないはずの存在”なのかというミステリー要素も楽しめます。日常の延長線上にある恐怖を描く好作品です。
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