映画『5月の花嫁学校』の概要:舞台はフランスの田舎町にある家政学校。良妻賢母な「いい妻」になるため学ぶため新入生を迎えた矢先、経営者である夫が突然死する。夫の多額の借金も発覚し、窮地に追い込まれた学校と女性たちは革命へと向かっていく。
映画『5月の花嫁学校』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:マルタン・プロヴォ
キャスト:ジュリエット・ビノシュ、ヨランド・モロー、ノエミ・ルヴォフスキー、エドゥアール・ベール etc
映画『5月の花嫁学校』の登場人物(キャスト)
- ポーレット・ヴァン・デル・ペック(ジュリエット・ビノシュ)
- 夫が営む家政学校の校長として生徒たちに指導している女性。「いい妻」としての教えを生徒たちに説きながらも、自由のない思考が正しいのか自問自答している。
- ジルベット・ヴァン・デル・ペック(ヨランド・モロー)
- ポーレットの義理の妹。脚が悪く、不器用さが際立つことが多い。兄・ロベールの幻覚な教えを守ってきたため、ポーレットが起こす革命に感化される。
- マリー=テレーズ(ノエミ・ルヴォウスキー)
- ポーレットが営む学校で教員として働いている。生徒たちの監視役も兼ねているため、授業中以外も就寝時まで厳しく指導を続ける女性。
- アンドレ・グランヴァルド(エドゥアール・ベール)
- ポーレットの夫・ロベールが借り入れをしていた銀行の担当者。実はポーレットとは過去、恋愛関係にあった男性。ロベールの死を知り、ポーレットに結婚を申し込む。
映画『5月の花嫁学校』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『5月の花嫁学校』のあらすじ【起】
フランスには多くの専門「家政学校」が設置されていた。それは理想の女性像とされる「良妻賢母」に近づくために必要とされていたからである。
校長のポーレット・ヴァン・デル・ペックは新入生の減少に頭を抱えている。煙草をくわえながら開校準備をするマリー=テレーズ。赤毛の新入生がいることに気付き、ポーレットに「知る限り赤毛の生徒は受け入れたことがない」と告げ口をする。
ポーレットは数少ない生徒をより好みしている余裕はなく、義妹・ジルベットを呼びつけて生徒たちの前へと向かう。腰の悪いジルベットは椅子に腰を掛けてポーレットの話を聞く。
「行儀と品行を重視する」と語り始めたポーレットは理想的な主婦になるための鉄則7か条を生徒たちに説く。「未来の旦那様のため」に学ぶ生徒たちを、ポーレットの旦那であり理事長のロベールは時折覗き見ていた。そのたびにマリー=テレーズは制止し、生徒たちの目をごまかすのだった。
規則の厳しい全寮制のヴァン・デル・ペック校。ある夜、生徒たちは夜の歯磨きと寝巻の自由、そして夜間のお手洗いの使用に関してマリー=テレーズに主張した。強い抗議に負け、生徒たちはお手洗いへと駆け込む。
その頃、ポーレットは就寝準備で歯磨きをしていた。ロベールはベッドに誘おうとするが、ベルベットがかける音楽が不愉快で止めさせにロベールを走らせた。生徒には「夜のお勤めも怠るな」と語るポーレットだが、自身は嫌で仕方なかった。
映画『5月の花嫁学校』のあらすじ【承】
不器用なジーグラーはどの授業でもマリー=テレーズから注意を受けていた。厳しい指導を受ける中、いつも不真面目なフックスは母親から「女は男の奴隷ではなくなる日が近い」と教えられていると他の生徒たちに話していた。
赤毛のコリンヌが授業中に鼻血を出した時、優等生が看病をした。生徒の体調よりも制服の汚れを気にかけるポーレット。二人きりになった空間で、優等生は突然コリンヌにキスをしてしまった。
生徒たちが夢を語り合いながら食事をしていた時、ロベールが兎の骨をのどに詰まらせ亡くなる事件が起きた。葬儀では妻のポーレットよりも、ジルベットの方が悲しみに明け暮れていた。
束の間の自由時間を得た生徒たち。一つの部屋に集まり、ラジオの「女性のお悩み」コーナーを聞く。たばこを吸い、音楽に身をゆだね踊っていたが、コリンヌは突如部屋を飛び出した。
ロベールの遺品整理をしていたところ、たくさんの催促状が見つかった。ポーレット夫婦は破産が確定、ベルベットに遺産は遺されていなかった。
映画『5月の花嫁学校』のあらすじ【転】
すぐに銀行を訪ねたポーレットとベルベット。そこに居たのはポーレットと過去に付き合っていたアンドレである。運命的な再会に揺らぐポーレット。授業で「素行の良い人」に関して問われるが、これまでのように自信を持って答えることができなかった。
アンドレからの連絡を受け、人気のない林へポーレットは車を走らせる。自制心と闘いながら、アンドレへの恋心を抑えきれないポーレット。二人は愛し合っていたが、戦争により生き別れてしまっていたのだった。
寝室を訪ねてきたベルベットに、ポーレットはズボンを初めて買ったことを明かす。ベルベットも何か秘密を打ち明けようとした矢先、外から銃声が聞こえた。
銃を構えていたのはマリー=テレーズである。不審者だと思い、大声をあげていたがその相手はフックスであある。その日、フックスはロベールの葬儀で出会った男性と会うために寮を抜け出していたのだった。
フックスに「男性のいいなりになる人生が正しいのか?」と聞かれ、答えに詰まるポーレット。騒ぎの陰で、コリンヌは結婚を取りやめ、優等生とパリに行く約束をしていた。
映画『5月の花嫁学校』の結末・ラスト(ネタバレ)
アンドレとこっそりと食事をしたポーレットは、ホテルの部屋に誘われ体の関係を持つ。アンドレの支援もあり、学校存続の危機から逃れる兆しも見えた。さらに青年家政協会から「最優秀家政学校」の称号を与えられたのだ。
受賞に際して学校の取材を受けていた中、ジーグラーが自殺を図る。遺書を見たポーレットは自分の教育が正しいのかわからなくなってしまう。寝室へ引きこもったポーレット。タイミングを見計らったかのようにアンドレが現れた。
心配するジルベットだが、寝室から男性の声がすることに気付く。鍵穴を覗くとそこにはアンドレとキスをするポーレットの姿があった。
翌日、表彰式へと向かうため生徒たちはバスに乗り込んだ。出発時間になっても出てこないジルベットを心配するポーレット。しかし、ポーレットの心配をよそにジルベットはこれまで縛られてきたロベールの教えから自身を開放し、好きな洋服に身を纏い思う存分着飾って出てきたのである。
自由のすばらしさを痛感したポーレットたちは、道中ストライキに遭遇し足止めを食らうがめげることなく自分たちができる革命を起こそうと走り出すのだった。
映画『5月の花嫁学校』の感想・評価・レビュー
「未来の旦那様のために」学びに来た少女たち。しかしすでにこの学校の意味を疑っている者もいた。家族を平和にするために主婦が犠牲になるのが当たり前とされていた時代。不満を言うことさえも掟破りともされていた。「モラハラ」などの単語が日常に飛び交うようになった昨今の日本において、この作品は共感度が高いのではないだろうか。根深い問題を取り上げていながらも、オスカー女優ジュリエット・ビノシュのチャーミングさにより物語はとてもカラフルな展開へと自然と浄化されていた。(MIHOシネマ編集部)
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