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映画『7月22日』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『7月22日』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『7月22日』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『7月22日』の結末までのストーリー
  • 『7月22日』を見た感想・レビュー
  • 『7月22日』を見た人におすすめの映画5選

映画『7月22日』の作品情報

7月22日

製作年:2018年
上映時間:144分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ポール・グリーングラス
キャスト:ヨナス・ストラン・グラヴリ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ヨン・オイガーデン、マリア・ボック etc

映画『7月22日』の登場人物(キャスト)

アンネシュ・ベーリング・ブレイビク(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)
極右の過激思想に染まっており、77人を殺害する凶悪テロを実行する。反移民政策を実現させるための革命だったと犯行を正当化する。
ビリヤル・ハンセン(ヨナス・ストラン・グラブリ)
労働党青年部に所属する将来有望の青年で、サマーキャンプに参加していて事件に巻き込まれる。銃弾を受け、片目を失明してしまう。
ララ(セダ・ウィット)
ビリヤルと同じサマーキャンプに参加しており、事件で姉妹を失ってしまう。戦火を逃れてノルウェーに移住してきた移民で、社会に溶け込むのに苦労した。
ゲイル・リッペスタッド(ヨン・オイガーデン)
過去にネオナチ事件の裁判を担当したことがあるためにブレイビクに弁護士として指名される。そのことで社会からのバッシングを受ける。

映画『7月22日』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『7月22日』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『7月22日』のあらすじ【起】

労働党青年部に属する子供達がサマーキャンプのためにウトヤ島に上陸してくる。その中にはビリヤルと弟、そしてララの姿もあった。彼らは政治指導者となるためのセミナーやスポーツ活動に参加する。一方、ブレイビクは農場で爆薬の準備をし、それをバンに載せる。そして自宅に戻って警察のユニホームに身を包む。ブレイビクはバンを政府庁舎前に停め、別の車に乗り換えて移動する。警備員がバンを確認しようとすると大きな爆発が起こる。

爆発事件の知らせはウトヤ島にも届き、ビリヤルは両親に連絡して無事を確認する。ブレイビクは警官を装い、フェリーでウトヤ島に向かう。島に着くと出迎えた人から順番に撃ち殺していく。子供達は森の中に逃げ、ビリヤルも弟を連れて崖の陰に身を隠す、ブレイビクは、ビリヤル達が崖にいるのを見つけて銃を乱射する、ビリヤルは数発の銃弾を浴びて倒れ込み、弟に一人で逃げるように指示する。ビリヤルが死んだと思ったブレイビクはその場を去る。警察がウトヤ島に上陸し、ブレイビクはあっさりと投降する。ビリヤルは応急処置を受け、病院に搬送される。

映画『7月22日』のあらすじ【承】

ブレイビクは警察に更なる攻撃があることを示唆し、移民の受け入れ停止を要求する。警察署に連行されたブレイビクはリッペスタッドを弁護士に指名する。連絡を受けたリッペスタッドはブレイビクと面会し、尋問に立ち会う。一方、ビリヤルの両親は無事に弟との再会を果たす。ビリヤルの安否を案じていたところに病院から連絡があり、駆けつける。昏睡状態のビリヤルは銃弾の破片を取り除く手術を受ける。しかし、一部は脳幹に近くにあるために除去できなかった。

リッペスタッドはビリヤルについて調べ始め、幼い頃に両親が離婚して家庭環境も悪く孤独な少年時代を送っていたことを知る。そして心神喪失を主張することに決める。弁護士となったことでリッペスタッドの自宅に脅迫電話がかかってくるようになる。

ララがビリヤルの病室に顔を見せ、両親に挨拶する。ララは生存者の様子を確認して回っていたのだ。真夜中にビリヤルが意識を回復させ、両親らは喜ぶ。そしてビリヤルは、医師から頭部の破片が移動したら致命傷になりかねないことや、リハビリ治療には数年はかかることなどを説明される。

映画『7月22日』のあらすじ【転】

ブレイビクはリッペスタッドの弁護方針に従い精神鑑定を受け、妄想型統合失調症と診断される。しかし、法廷は再度ブレイビクの精神鑑定を行うべきとの決定をする。

ララが再びビリヤルの病室に訪れ、2人は事件のことなどを話す。ビリヤルは歩行のためのリハビリを開始するが、ある時、ニュースでブレイビクの顔を見て恐怖に凍り付いてしまう。ビリヤルはララに犯人への怒りや将来を描けない不安を告白する。ビリヤルは退院し、スバールバルの自宅に帰宅する。しかし、ビリヤルは自らの置かれた状況に精神的に追い込まれてしまい、ララからの連絡も拒絶するようになる。

ブレイビクは裁判での申し立てを変え、法廷で自分の正当性を主張すると言い出す。そこでリッペスタッドは戦略を練り直すことにする。ブレイビクが法廷で自己弁護することが認められ、遺族たちはプロパガンダに利用されるだけだと強く反発する。そのために裁判での被害者たちの証言が重要となってくる。これを受けビリヤルの元にも証言依頼の手紙が届く。

映画『7月22日』の結末・ラスト(ネタバレ)

裁判でブレイビクが発言し、多文化主義を批判する。そして暴力的革命が必要だったとして無罪を主張する。さらに法廷が自分を正気と認めれば、控訴をしないとまで申し出る。一方、ビリヤルはブレイビクに罪を自覚させるために証言台に立つことを決意する。しっかり歩けるようになるためにリハビリにも熱心に取り組む。

ララが裁判で、戦火を逃れてノルウェーに移住してきた経緯を説明する。そして時間をかけながらもノルウェーが安全で自由な社会であることを感じられるようになったが、事件でそれら全てが奪われたと証言する。さらに姉妹が死に自分が生きていることに罪悪感を覚えていると話す。ビリヤルはララに会い、距離を置いていたことを謝る。

ビリヤルは身なりを整えて裁判に臨む。ビリヤルはブレイビクと対峙し、事件やその後の後遺症について説明する。そして事件で亡くなった親友達への思いを語る。ビリヤルは最後に、自分には家族や友人がいて希望や愛に満ちているが、ブレイビクは刑務所で腐っていくだけだと言って証言を締めくくる。ブレイビクに無期懲役の有罪判決が下り、リッペスタッドは職務を全うする。リッペスタッドはブレイビクと握手を交わすのを拒んで刑務所を後にし、ブレイビクは独房に収監される。

映画『7月22日』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

ユナイテッド93』『キャプテン・フィリップス』など数々の実話を映画化してきたポール・グリングラス監督の手腕が光る一作。被害者の描写をビリヤルに絞り込んだことで、被害者とその家族が辿った苦悩がより鮮明に描かれている。1点だけ不満を挙げるとしたら、犯人の人柄や動機が深掘りできていないことだ。犯人の主張に汲みしないための選択だとは思うが、単なる異分子として片付けてしまっては未来への教訓にならないと感じた。(MIHOシネマ編集部)


本作は、2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で起こった悲惨な連続テロ事件を描いたヒューマンドラマ作品。
移民の受け入れ拒否を理由に単独犯が69人を殺害するという実際に起こったテロ事件の発生から終わりまでがワンカットで映し出されるが、特に冒頭の事件シーンは衝撃的だった。
事件後の後遺症に悩む生存者や被害者家族の苦しみ、公平な裁判のため犯人を擁護しなければならない弁護士といった登場人物たちの心情が細かな演出によって描かれており、これが実話とは信じたくないがとても臨場感があった。(女性 20代)


『7月22日』はテロの瞬間そのものではなく、その後に焦点を当てている点が印象的でした。特に生存者のヴィルヤルが負った心身の傷と向き合いながら再起する姿には涙が止まりませんでした。加害者の視点も淡々と描かれることで、むしろその冷酷さが際立ち、人間の心の闇を突きつけられた気がします。社会の分断や憎しみにどう向き合うべきか、観た人すべてに問いかけてくる作品でした。(20代 男性)


この映画は事件の被害者に寄り添うことに徹していて、それがとても誠実だと感じました。とくに母親が息子を支える姿に、親として胸が締めつけられる思いがしました。裁判のシーンでは加害者が無表情で自説を述べる様子が不気味で、現実の恐ろしさを痛感します。エンタメではなく記録として、多くの人に見てほしい一本です。(40代 女性)


衝撃的な事件を扱っていながら、過度にセンセーショナルにならず、むしろ静かに訴えてくる映画でした。加害者を過剰に悪魔化せず、あくまで“現実”の人物として描いていることで、逆にゾッとしました。生き残った青年がどれだけの苦しみと葛藤を抱えているのかが丁寧に描かれていて、胸が痛みました。暴力の正当化に絶対NOを突きつける作品です。(30代 男性)


実話に基づく映画は数多くありますが、『7月22日』はとくにその“視線の誠実さ”が心に残りました。撃たれても生き残った若者が、精神的にも肉体的にも回復していく過程はとてもリアルで感情移入しやすかったです。加害者が正義を語るたびに、その歪さが浮き彫りになっていくのが恐ろしく、同時に社会の分断や極端な思想の怖さを考えさせられました。(30代 女性)


この作品では事件のスピード感よりも“その後”に焦点を当てているため、ゆったりとした展開ですが、それが逆にリアルです。ヴィルヤルのリハビリの様子や精神的な葛藤にしっかりと時間を割いており、観る側としても自分のことのように受け止めました。実在の事件という点でも、改めて命の重さや政治的暴力の理不尽さに向き合うきっかけになりました。(50代 男性)


若い世代にこそ観てほしい映画です。私は高校生ですが、同世代の若者が突然命を奪われたり、大きな傷を負ったりする姿は衝撃的でした。テロという言葉がニュースで流れても、どこか他人事でしたが、この映画を観て「もし自分だったら」と想像して涙が止まりませんでした。感情だけでなく、社会全体の責任についても考えさせられました。(10代 女性)


この映画を観るまでは事件のことをほとんど知らなかったのですが、非常に重く、強烈な体験でした。加害者の冷静すぎる行動と、被害者の痛みや再生の道が対比されていて、静かな怒りが湧いてきます。ヴィルヤルが最後に証言台に立ち、自らの言葉で闘う姿には感動しました。暴力に屈しない勇気がそこにはありました。(20代 女性)


家族を失った人の悲しみや、生き残った人の罪悪感が丁寧に描かれていて、「単なる事件の再現ドラマ」とは一線を画す作品だと思います。とくに、裁判での証言シーンは圧巻で、人間の尊厳と正義が問われているようでした。どれだけ身体が壊れても、心まで奪われないように立ち上がる若者の姿が本当に素晴らしかったです。(60代 女性)

映画『7月22日』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『7月22日』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

ユナイテッド93(United 93)

この映画を一言で表すと?

「9.11テロの最中、命を賭けて立ち上がった“名もなき乗客たち”の真実」

どんな話?

2001年9月11日、ハイジャックされたユナイテッド航空93便の乗客たちが、犯人に立ち向かい飛行機を墜落させるまでの緊迫の90分を描いた実話映画。実際の記録や関係者の証言に基づいて構成された、リアリズムに徹した衝撃作。

ここがおすすめ!

ドキュメンタリータッチの演出で、登場人物に名前も背景もほとんど描かれません。それでも“人間”としての姿が強く焼き付くのは、現実の重みが全編に流れているから。事件の悲劇と乗客たちの勇気が静かに心を打ちます。

ペイトリオット・デイ(Patriots Day)

この映画を一言で表すと?

「ボストンマラソン爆弾テロ、その時、人々はどう動いたのか」

どんな話?

2013年に発生したボストンマラソン爆弾テロと、その後の犯人追跡劇を描いた実録サスペンス。実際の映像も交えつつ、事件当日の混乱、警察の捜査、市民の勇気と協力をリアルに再現している。

ここがおすすめ!

事件の混乱と恐怖、そして「助け合い」の力を同時に描くことで、観る者に希望と警鐘の両方を与える作品。マーク・ウォールバーグの熱演も見どころで、ただの事件再現ドラマに終わらない人間ドラマが胸を打ちます。

ホテル・ムンバイ(Hotel Mumbai)

この映画を一言で表すと?

「テロの標的となった高級ホテル、その中で命を懸けて闘った人々」

どんな話?

2008年にインド・ムンバイで発生した同時多発テロの一環として、タージマハル・ホテルが襲撃された事件を描く。ホテルスタッフや宿泊客たちが、極限の恐怖の中で勇気を振り絞り、命を守るために行動する姿が描かれる。

ここがおすすめ!

極限状態の中でこそ浮き彫りになる人間性。善と悪、恐怖と希望、混乱と秩序が交錯する中で、一人ひとりが選ぶ行動に息を呑みます。サスペンスとしても完成度が高く、心が震える実話映画です。

ディア・ハンター(The Deer Hunter)

この映画を一言で表すと?

「戦争は終わっても、心の戦いは終わらない──戦後を生きる男たちの物語」

どんな話?

ベトナム戦争に出征した3人の青年が、戦地での極限体験を経て、心に深い傷を負いながら帰国する。戦争が人間にもたらす影響を、静かに、そして壮絶に描いた1978年の名作。アカデミー賞受賞作品。

ここがおすすめ!

戦場での恐怖と祖国に戻った後の苦悩を対比的に描くことで、「生き残ること」の意味を深く問いかける映画です。長尺ながらも緻密な人物描写で引き込まれ、見る者の心に重い余韻を残します。

スポットライト 世紀のスクープ(Spotlight)

この映画を一言で表すと?

「真実を暴く執念が、沈黙の壁を崩す──ジャーナリズムの底力」

どんな話?

ボストン・グローブ紙の調査報道チーム「スポットライト」が、カトリック教会による大規模な性的虐待事件を暴くまでを描いた実話。記者たちが証拠と証言を地道に積み上げていく過程がスリリングに描かれる。

ここがおすすめ!

センセーショナルな描写を排し、徹底的に“真実を掘る”姿勢が貫かれた名作。社会の闇を明るみに出すことの困難と意義が、静かな感動として心に残ります。観終わったあと、きっと何かを考えたくなる一作です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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