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映画『スタンドアップ』あらすじ・ネタバレ結末と感想

映画『スタンドアップ』の概要:世界初セクシャルハラスメント訴訟の記録「集団訴訟」を原作とした映画。原題は「North Country」。一人のシングルマザーの葛藤や、裁判に至るまでの女性差別の数々を克明に描いた作品。

映画『スタンドアップ』 作品情報

スタンドアップ

  • 製作年:2005年
  • 上映時間:124分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:ニキ・カーロ
  • キャスト:シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ショーン・ビーン、リチャード・ジェンキンス etc

映画『スタンドアップ』 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

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映画『スタンドアップ』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『スタンドアップ』のあらすじを紹介します。

日常的に暴力をふるう夫から逃げ、ミネソタ州北部にある実家へ戻ったジョージー・エイムズと息子サミー、娘カレン。
高校生の時に父親がわからない子供サミーを妊娠、出産して以来、父親ハンクとは不仲、周囲からは男性関係が派手だと噂されていた。
離婚も決まるが、2人の子供を抱えて生きていくには収入が足りない。
そんな時、古い友人グローリーと再会し、鉱山で働かないかと誘われる。

賃金の良さに惹かれ、父親もいる男性ばかりの鉱山で働くことにしたジョージーを待っていたのは、女性差別やセクシャルハラスメントの数々、そして高校時代の恋人ボビー・シャープだった。
ローンで家を買い、家族3人での暮らしもできるようになった頃、サミーのホッケーの試合中にボビーの妻から夫を誘惑したと中傷を受ける。
そして簡易トイレごと転倒させられるという嫌がらせを受けたジョージーは限界を感じ、本社に直談判に行くが“女だから”相手にされない。

町ぐるみでの嫌がらせの影響もあって、息子サミーとの関係が悪化。
頼れる友人グローリーはALSという難病を発症しており、ジョージーは居場所を失くしてしまう。

作業中、ボビーに襲われたジョージーは、見て見ぬふりをする同僚たちの姿に限界を感じ、仕事を辞めて会社を訴える決意をする。

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映画『スタンドアップ』 結末・ラスト(ネタバレ)

カイルとグローリー夫婦の友人のビルが弁護士だったため、ジョージーは彼に弁護を頼み込む。
そして、セクハラの集団訴訟を起こす準備を開始する。
しかし他の女性たちは報復を恐れ、口を閉ざしてしまった。

結局ジョージー個人の訴訟になるが、裁判でサミーの父親の話題になる。
ジョージーは高校時代に教師にレイプされ、目撃したボビーは逃げ、やがてサミーが生まれた。

全てを知ったサミーはジョージーと和解、鉱山の仲間たちの卑劣さを実際に見たハンクは幻滅、家族は一致団結する。
その後の裁判でビルの追及に負け、ジョージーを見捨てた過去を認めたボビー。

ジョージーの強い心を見せられた鉱山の女性たちは、ジョージーと共に、集団訴訟のために立ち上がる。

映画『スタンドアップ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『スタンドアップ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

人間どうしの問題を描いた作品

1988年に行われた、世界初のセクシャルハラスメント裁判の記録をもとにしたストーリー。
しかし裁判シーンは少なく、裁判に至るまでが描かれている。

描き方を間違えれば、男尊女卑という考え方のおかしさを主張して、男性はこんなに意地悪だ、女性はこんなに迫害されているんだ、という内容になりそうな作品。
しかし、会社の女性顧問弁護士が裁判でジョージーに対してねちねちと攻めていく、女性同士の争いのシーンもあり、セクハラをする人間の問題として描かれている。

奥が深いストーリー

レイプされて生まれた息子がいる設定だが、親しみやすいキャラクターの主人公ジョージーは、感情移入しやすい。
そんなジョージーが徐々に追い詰めていくストーリーで、犯罪といっても過言ではないほどのセクハラや職場いじめが横行するようになっていく様子には、気分が悪くなる。
また、女性控室への嫌がらせも彼女が会社に直談判したからだと、女性同僚から突き放されるシーンは見ていてとても辛いものがある。

主人公はジョージーだが、娘がハイスクール時代に妊娠したことをきっかけに、周囲から好奇の目を向けられるようになった彼女の両親の苦痛、新たなセクハラのターゲットにされたくない同僚女性たちの葛藤なども、細かく表現されている。
前半では、裁判中の発言から回想のように鉱山で働くことになった経緯、ヒステリックになっていくジョージーの姿が映し出されていき、後半では裁判の準備などが描かれていく。

職場いじめやセクハラの数々の中で、さすがに逮捕されるのではないかと思える、ありえない行為もあるが、ここまでされたら訴えたくもなるという説得力につながっている。


「男尊女卑」なんて言葉がありますがそんな言葉があること自体おかしな事で、苦痛から目を背けたり、見て見ぬふりをしていても何も変わらないのだと思い知らされました。
何を根拠に「弱い」と言うのかは分かりませんが、体格や力の強さなど、女性が男性より「弱い」のは多くの人が理解しているはずです。しかし、それをいいことに女性を性の餌食にするような行動は本当に許せません。
ジョージーのように1人でも立ち上がれる女性がどれくらいいるのでしょう。目を背けたくなるようなシーンばかりですが、ジョージーの心の強さから勇気や希望を貰いました。(女性 30代)

映画『スタンドアップ』 まとめ

実在の殺人鬼を演じた「モンスター」で注目を集めたシャーリーズ・セロンが、再び実在の人物をモデルにした主人公を演じた映画。
彼女は本作で、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

また、同年に公開された「イーオン・フラックス」でも共演しているグローリー役のフランシス・マクドーマンドは、本作でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされている。
ハート・ロッカー」で有名になったジェレミー・レナーが、陰湿なボビー役を演じているのにはびっくりさせられる。

世界初のセクシャルハラスメント裁判の記録を原作としていて、現実にあったとは思えないようなひどい行為も描かれている。
ジョージーの不幸だらけの生活は少々盛ったように思えるが、説得力のある作品に仕上がっている。

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