映画『ミッドナイト・イン・パリ』の概要:ウディ・アレン監督のパリを舞台にしたタイムトラベル・コメディ。出演はオーウェン・ウィルソン、レイチェル・アダムス、トム・ヒドルストン。第84回アカデミー賞脚本賞受賞作。2011年のスペイン・アメリカ映画。
映画『ミッドナイト・イン・パリ』 作品情報
- 製作年:2011年
- 上映時間:94分
- ジャンル:ラブストーリー、コメディ、SF
- 監督:ウディ・アレン
- キャスト:キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ、マリオン・コティヤール etc
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映画『ミッドナイト・イン・パリ』 評価
- 点数:65点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ミッドナイト・イン・パリ』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ミッドナイト・イン・パリ』のあらすじを紹介します。
パリは昔も今も、芸術家にとって憧れの街。エッフェル塔やシャンゼリゼ通り、ルーブル美術館と見どころがいっぱい。特に雨に濡れたパリは最高!1度、1920年代を想像してみてごらん。
ハリウッドで売れっ子脚本家のギル・ペンダー(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者のイネズ(レイチェル・マクアダムス)と共にパリに滞在していた。ギルは結婚したらパリに住み、脚本ではなく小説が書きたいとイネズに話す。
しかし、イネズはアメリカ以外の場所に住みたくないと拒否。パリ滞在中も心がすれ違う2人。ある晩、ギルはホテルに戻る途中、迷子になってしまう。途方に暮れていたギルの前に12時を告げる鐘が鳴り、1台の車が止まった。
その車に乗り込んだギルは、1920年代の芸術家達が集うパリにタイムスリップしてしまう。誘われて入ったバーで、ギルはF・スコット・フィツッジェラルド(トム・ヒドルストン)とその妻ゼルダ(マリソン・ピル)と出会い、親交を深めます。
更に”ポリドール”という店では、アーネスト・ヘミングウェイ(コリー・ストール)にも会う。ギルは、自分の書いている小説を読んでもらう事を決意。ヘミングウェイに相談すると、ガートルード・スタイン(キャシー・ベイツ)という女性を紹介されます。
その女性の店には、パブロ・ピカソとその愛人アドリアナもいて、不思議なパリの1夜を過ごした。
映画『ミッドナイト・イン・パリ』 結末・ラスト(ネタバレ)
毎晩、パリの街を歩き、タイムスリップしては、フィツッジェラルドやヘミングウェイ、T・S・エリオットらと親交を深めるギル。ガートルード・スタインからの小説の批評に自信を得たギルは、小説を推敲し完成させた。そんなギルの行動を疑い、イネズの父は探偵を雇い、ギルの行動を見張らせていた。
しかし、探偵もタイムスリップしてしまい、現代に戻れなくなってしまう。ギルは、ピカソの愛人アドリアナが気になっていた。昼間の古本市で、ギルの事を書いた彼女の本を見つけたから。キスを交わし、いい雰囲気になるが、彼女はロートレックに会ったとたん、この時代にずっといたいと言う。
アドリアナと別れて、現代に戻ったギル。過去で、婚約者イネズの浮気が分からないのはおかしいと言われたことを思い出し、イネズに問いただした。すると、イネズはあっさり浮気を認め、2人は別れます。
パリの夜。雨が降っていたが、ギルは傘もささずに歩いていた。パリの生活を選んだ彼の前に雑貨屋のガブリエル(レア・セドゥ)が現れます。生粋のパリっ子である彼女ともう少し話がしたいと思う。2人は、パリの夜へ消えていった。
映画『ミッドナイト・イン・パリ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ミッドナイト・イン・パリ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
パリの美しいエッセンスを散りばめた作品。古き良き時代と現代が交差するファンタジー!
パリ5区を中心に主人公・ギルが歩く、街や美術館、カフェが美しい。パリは、芸術家の憧れる街だというのを実感します。特に雨のパリは新鮮で、普段とは違うしっとりとした雰囲気を醸し出しています。
映像が綺麗でガイドブックのようにうっとりとするのですが、毎晩、夜のパリでタイムスリップする主人公にはあまり共感できませんでした。懐古主義というのもいいのですが、結局、自分の関心事ばかりで婚約者の事は置いてけぼり。
婚約者もまたインテリが鼻につく男と浮気をするといった調子で関係性の希薄さに胸が痛みます。ウディ・アレンの作品は、もっと毒のあるものだと思っていたのですが、中身が空虚で、主人公や婚約者の関係も心に響いてこないのです!
過去のウディ・アレン作品には、ロンドンを舞台にした3作品があります。このように土地が持つ雰囲気・文化・人間が重要な柱です。その点を生かし切れていない点が残念です。
唯一の見どころは、1920年代にタイムスリップして、主人公がF・スコット・フィツッジェラルドとその妻ゼルダ、ヘミングウェイ、T・S・エリオットら文学界のスターと交流するシーンです!
文学者達の生き生きとした姿に彼らの作品が読みたくなりますよ。
映画のあとには本を読もう!~1920年代の文学界ガイド
主人公ギルが出会った、F・スコット・フィツッジェラルドの文学と生涯について紹介します。1925年に出版された、「グレート・ギャッビー」で文学界の寵児となったフィツッジェラルド。
大富豪ジェイ・ギャッビーの栄光と悲劇の生涯を描いた作品で、享楽的な生活を送ったと言われるフィツッジェラルドの自伝的な体験が元になっています。2013年にレオナルド・デカプリオ主演、バズ・ラーマン監督の「華麗なるギャッビー」でも有名。
この映画には、トビー・マグワイヤやキャリー・マリガンも出演しています。フィツッジェラルドは、ロスト・ジェネレーション作家とも言われ、大変な時代を生きた人物です。彼はパリで妻ゼルダと過ごしたあと、アルコール中毒に悩まされます。
数年後、アメリカに戻り、ハリウッドで脚本家としても活躍しました。主人公ギルの人生と重なる部分があるのです。日本でも翻訳されており、興味をもった方はぜひ、一読をおすすめします。
絵画や文学、音楽など古き良きものを愛する者にとって、過去にタイムスリップして芸術家たちと交流を交わし、作品への思いを聞き、彼らの私生活を覗くことは、願ってもない夢のまた夢だ。そんなディレッタントたちの心の声を具現化してくれたのが『ミッドナイト・イン・パリ』である。
結局、抗生物質もある現代の利便性に敵うことはないという結論に至るお陰で、願っても叶わないタイムスリップに潔く諦めがつく。そんなところもウディ・アレン監督らしいなと、くすっと笑みがこぼれる。94分間の1920年代のパリへの航空券を手にして、搭乗しないわけにはもちろんいかないだろう。(女性 20代)
誰しもが持っていそうな人生の”苦”の部分をしっかりと描きつつ、その中でも少しの夢を見せてくれるのがウディ・アレンの映画だと思う。過去に無意識のうちに憧れや極度のノスタルジーを感じてしまうところは凄く共感した。
そして何より描かれるパリが凄く綺麗だ。終始お洒落な雰囲気であるし、偉人たちが出てくるシーンも自分がタイムスリップしたみたいな世界観で引き込まれる。皮肉っぽい終わり方も含めて好きな作品だ。(女性 20代)
映画『ミッドナイト・イン・パリ』 まとめ
タイムトラベル物の評価は難しい。人は皆、自分の人生を変えたいと思いながら生きています。この映画も、そんな主人公が活躍するのですが、1920年代の文学作品を知らなければ、主人公との関わりがイマイチ分からないという欠点があります。
読んだ事はなくても、1度は名前の聞いた事がある作家ばかりなんですよ。F・スコット・フィツッジェラルドとその妻ゼルダ、「老人と海」など名作で知られるヘミングウェイ、T・S・エリオットなど興味深い内容になっています。
作家を志す人なら、1度は会ってみたいと思うのではないでしょうか。ウディ・アレン作品の特徴である、アイロニーやイライラさせる展開がこの映画にはありません。毒がないのは面白くない!しかし、皮肉な事にヨーロッパの人にはこの映画は人気になりました。
最後にフィツッジェラルドの墓石に刻まれた言葉を紹介したいと思います。「こうしてぼくたちは、絶えず過去へ過去へと運び走られながらも、流れにさからう舟のように、力のかぎり漕ぎ進んでゆく。」(野崎孝 訳)
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