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映画『空気人形』あらすじ・ネタバレ結末と感想

映画『空気人形』の概要:是枝裕和監督が描く、ペ・ドゥナ主演のラブ・ファンタジー。原作は短編漫画「ゴーダ哲学堂 空気人形」。人形と純一の恋を軸にペ・ドゥナの感性が光る秀作。共演はARATA、板尾創路、オダギリジョー。2009年の日本映画。

映画『空気人形』 作品情報

空気人形

  • 製作年:2009年
  • 上映時間:116分
  • ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー、ホラー
  • 監督:是枝裕和
  • キャスト:ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也 etc

映画『空気人形』 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『空気人形』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『空気人形』のあらすじを紹介します。

冴えないファミレス店員・秀雄(板尾創路)のもとで暮らす、空気人形・のぞみ(ペ・ドゥナ)。ある日、彼が外出した後、軒下にある雫に触れて、はじめて綺麗だと感じます。

秀雄に買って貰ったメイド服を着て、世界に一歩踏み出すとエプロンは揺れ、風を感じるのでした。しかし、空気人形・のぞみは男性の性欲処理道具でしかないのです。

町をぶらりと歩いて、レンタルビデオ店に入ったのぞみは、アルバイト店員・純一(ARATA)に人目ぼれします。次第に感情が生まれ、やがて秀雄のなすがままでいる事に苦痛を感じてゆきます。”心なんて、持たなければ良かったのに・・”と。

のぞみは、純一と同じレンタルビデオ店で働き始めます。ある日、くぎに体を引っかけてしまい、体に穴があき大変!純一は驚くものの、冷静にのぞみの体を直してやると、空気を吹きいれてくれました。こうして、2人は親密になってゆきます。

2人でいる幸せを感じる、のぞみ。しかし、心の空虚感はなかなか埋まらないのでした。町には、若さを求め続ける佳子(余貴美子)や死を予感している元高校教師の敬一(高橋昌也)が、いました。

のぞみは、敬一に教わった吉野弘の詩「生命は」をゆっくりと唱えます。

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映画『空気人形』 結末・ラスト(ネタバレ)

心が生まれ、育ってゆく過程で悩む、のぞみ。空気人形を作った人形師・園田(オダギリジョー)を訪ねます。人形師・園田から、人形の顔が変化してゆくことや捨てられた人形の墓場を案内されます。

なぜ、心が生まれたのか分からないが、人形師に対して感謝を伝えます。
秀雄のもとに戻ったのぞみは、秀雄が新しい人形を得たことを知り、怒ります。秀雄は”人形のままでいてほしいい、そうでないと面倒だから・・。”と言うのです。

のぞみと純一の恋は、互いの空気を抜き、再び息を吹き入れるという不思議な儀式だった。

やがて、純一は動かなくなります。タンポポの種子が空を舞い、のぞみの心も軽やかに溶けてゆくのだった。

映画『空気人形』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『空気人形』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

心の空虚感を埋める方法~是枝ワールドの魅力

人はなぜ、心を持つのだろう?そして、もし人形が心を持ったら幸せだろうか。心を執着と置き換えて考えてみよう。空気人形を演じる、ペ・ドゥナは無表情だ。言葉もぎこちないが、人の心にすっと入り込む魅力があります。

人間は自己と同じ形をしたものに惹かれるのかもしれない。また犬のように小さくかわいいものや美しいものに触れた時、共感を呼び起こすニューロンが活発になるということが研究で分かっています。

心が脳の作用ならば、想像力が作り出した幻であっても現実の出来事として捕らえてしまうのかもしれない。「空気人形」を観た時、人形に日々接している人はきっとこんな気分になるだろうなと思った。

人形に心が生まれるのではなく、人に心があるから、その願望を人形に投影するのだと思う。ダッチワイフしか愛せない男は、理想の女性像を人形に重ね、人形と恋に落ちた男は分身として視ているのかもしれない。

美しくも哀しい映画です。これまで、ドキュメンタリー的手法の映画を撮り続けてきた是枝監督の新境地といえる作品。ラストのタンポポなど、吉野弘の詩からインスパイアされた表現にも注目です!

ホラー映画としてみたら面白い!

京都に人形寺とよばれる、宝鏡寺があります。人形を供養する時や移す時には、霊抜き(たまぬき)という儀式をするのだそうです。夜、人形から魂が抜けだして女の子に入って遊んだという話も聞き、ブルブル震えてしまいました。

人形の起源は、お雛様に代表される厄除けです。人型を作り、病平癒やケガをしないようにと古来から祈ってきました。だから、人形が動きだすだけでもホラー映画ですよね。注目すべきシーンは、2人の愛の交感シーンです。

詳しくは観て頂くとして、簡単にいいますと空気を抜いて、再び息を吹き入れるシーンや彼のおなかに穴を開けるところが怖い。何度も繰り返したらどうなるか想像できますよね。


とても不思議で柔らかい雰囲気の作品でした。
表現の仕方によっては気持ち悪いと感じるかもしれないテーマでしたが、優しいキャラクターや丁寧な描写のお陰で、温かい気持ちで観ることができました。
心をもってしまった人形役を韓国の方が演じており、カタコトな話し方が、本当に感情を知りたてのようで良かったです。
速水もこみちさんがロボット彼氏を演じたドラマを思い出しましたが、ロボットと人形の話し方の表現の違いを感じ、おもしろかったです。(女性 20代)


お気に入りの人形やおもちゃと喋れたらいいのにと思ったことはありませんか?子供の頃に一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
そんな夢のようなストーリーをファンタジーに明るく描いたのが『トイ・ストーリー』だとしたら、今作は人形の世界をダークに描いた作品と言えるでしょう。
人形のままでいて欲しいというのは、人間の都合で、好き勝手に扱えるからという意味だと思っていましたが、次第にその言葉の本当の意味が分かっていき、鳥肌が立つような恐怖を感じました。
好き嫌いが分かれそうな作品だと思います。(女性 30代)


ペ・ドゥナが、まるで本物のドールのようです。空気を抜いて萎む、膨らむ動きが完璧でした。そんなラブドールが心を持つ設定が斬新です。しかも、のぞみの喜怒哀楽が理解できるのも大変面白いです。人形を愛する人間(秀雄)を見ていて、人間はつくづく勝手なものだと痛感します。都合の良い存在を都合良く愛し、悦に入る。独りよがりな自己満足に虚しさを感じました。しかし、それが悪いとも思いません。透明感溢れる映像、温かみのある居心地の良い空気感に魅了されます。(女性 30代)

映画『空気人形』 まとめ

「空気人形」は怖い映画です。ペ・ドゥナが可愛すぎるので、男の子は好きになってしまう。でもその代償に命を取られてしまうからです。是枝監督の描く世界は、美しい映像でさりげなく毒を投げかけます。

もし人形のままでいたらこんな悲劇は起こらないのに。空気人形を演じたペ・ドゥナの感性とファンタジーな映像が相まって、不思議な気持ちにさせます。日本人の俳優ではなぜいけなかったのだろう?

それは、ペ・ドゥナの持つ柔らかな存在感や妹のような気安さではないでしょうか。空気人形と恋に落ちる、純一役のARATAも繊細で色気のある演技を魅せています。

美術センスに優れた彼の隠れた一面を観たような気がして”気になる俳優”になること、間違いナシです!更に人形師役を演じる、オダギリジョーもミステリアスな魅力を放っています。ぜひ、ご覧下さい。

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