映画『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』の概要:他の施設で見放された子供たちを救うために立ち上げた児童保護施設は、無許可で運営していたため閉鎖の危機に迫られる。実在する二人の福祉活動家をモデルにエリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュコンビがメガホンを取る。
映画『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』の作品情報
上映時間:114分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
キャスト:ヴァンサン・カッセル、レダ・カテブ、エレーヌ・ヴァンサン、ブライアン・ミヤルンダマ etc
映画『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』の登場人物(キャスト)
- ブリュノ(ヴァンサン・カッセル)
- 自閉症を中心に障害を抱えた子供たちとその家族を支援する施設を運営する男性。連絡が絶えず来るほど、日々問題に追われている。さらに施設の存続を危ぶむ問題に頭を抱える。
- マリク(レダ・カテブ)
- ブリュノと連携して、ドロップアウトした青少年に手を差し伸べる活動を進めている男性。閉鎖の危機に追われたブリュノを精神的にも支えている。
- ディラン(ブライアン・ミヤルンダマ)
- マリクの元で更生した青年。ブリュノの施設で介助することになったヴァランタンの担当を任される。意思疎通が難しいヴァランタンとのコミュニケーションに苦戦する。
映画『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』のあらすじ【起】
ブリュノは自閉症を抱えながら暮らす子供や青少年をケアする施設「正義の声」を運営している。ある日、ブリュノは連絡を受け、駅へ急いだ。支援しているジョゼフという青年が、通勤ラッシュの時間に電車の非常ベルを鳴らしてしまったという。
ジョゼフを引き取りに向かったブリュノだが、簡単に事情は理解されなかった。4人がかりで取り押さえ、ようやく落ち着いたというジョゼフの力に、駅員たちは困惑していたのである。なんとか話を付け、ジョゼフを自宅まで送り届けたブリュノ。
ヴァランタンという少年に会うため、ブリュノは緊急医療センターへと急ぐ。ヴァランタンは重度の自閉症を抱え、6か所もの施設で受け入れを拒否されているという。
長らく社会から迫害されていたヴァランタンは、家族からも拒絶されていた。自分を傷つけることが無いように頭突き防止のヘルメットを常につけているヴァランタン。一人で立ち上がり歩くこともままならないヴァランタンの一時外出に、ブリュノは付き添うことになった。
映画『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』のあらすじ【承】
ブリュノには大きな問題が立ちはだかっていた。施設に突然の監査が入ったのだ。無許可で運営していた施設は、スタッフを雇いすぎていることや疾患者を受け入れすぎているため赤字が続いている。施設の存続を心配する専属の会計士はブリュノにきつく忠告した。
子供たちの支援をしているのはブリュノだけではない。ドロップアウトした青少年の社会復帰支援をしている団体の運営者・マリクもその一人である。
職業訓練にも真摯に向き合うことが難しい子供たちを教育し、ブリュノの施設で介助人として働く機会を与えている。ヴァランタンの話を聞いたマリクはディランを介助人として送り出すことにした。
厚生省の監査に向けて頭を抱えるブリュノ。監査員は施設に落ち度がないのかジョゼフの母親に聞き込みを行っていた。ジョゼフとの出会いをきっかけに施設を立ち上げ、ずっと寄り添っているブリュノを悪く言うわけもなく、監査員の聞き込みは無駄足に終わる。
ジョゼフの将来を考え、ブリュノは働き口を探し続けていた。ようやく1週間の試用期間を設けてくれる洗濯気工場を見つけたブリュノ。ジョゼフの送り迎えもブリュノが行い、なんとか初日は乗り越えた。
映画『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』のあらすじ【転】
ある日ディランは電車が止まり遅刻してしまった。嘘をついているとマリクに罵倒され、ディランは逃げ出してしまった。しかし、ヴァランタンのことを想うディランは、施設に戻り熱心にペアワークに取り組むのだった。
ジョゼフは再び電車で非常ベルを鳴らしてしまった。駅で待機するジョゼフを引き取り、工場長に謝る練習をさせて、ブリュノは工場へと送り届ける。
心配は絶えない。ヴァランタンがディランを殴ってしまったのだ。孤立し、人と触れ合った経験が少ないヴァランタンの気持ちに寄り添うよう、ディランを諭すのだった。
ひっきりなしに連絡が来るブリュノの携帯電話。女性とのデート中も例外ではない。施設に監査員が突如訪ねて来たという。マリクが丁寧に対応するが、無許可の施設で定員以上の子供たちを見ているうえ、無資格の若者が働いていることも鋭く指摘される。
ディランはヴァランタンと向き合おうと必死にもがくが、衝動を抑えきれないヴァランタンをコントロールすることは容易ではない。有資格者たちを前に無力さを痛感する日々が続く。
映画『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジョゼフは職場である女性に好意を抱く。不器用なアプローチは相手の女性にとって脅威になってしまった。ジョゼフは試用期間を終えクビになってしまった。
問題が立て続けにブリュノたちの前へ立ちはだかる中、ヴァランタンがディランの目を盗んで失踪した。無事にヴァランタンを見つけることはできたが、このことが問題となり社会問題総合監査局により施設は監視されることとなった。
行政が見放した子供たちを信念の元見守っているブリュノ。施設を行政により制圧されたブリュノは、子供たちが有志で出演したダンス公演に出向き涙を浮かべる。
年月を経て、一部の民間企業が児童養護の地位を確立する。ブリュノとマリクはささやかながら活動を続けた。公的機関は障害児支援の中継を回避するため、問題提起をすることはなかったという。
ジョゼフが一人で電車に乗ることができるようになった瞬間を施設の子供たちと見守ったブリュノ。少人数ではあるが支援をしているブリュノは、ヴァランタンの介助も継続し些細ながら変化を実感していた。
映画『スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話』の感想・評価・レビュー
見る角度を変えるということはとても難しい。マリクが手を差し伸べている青少年たちは、ブリュノの施設で介助役を経験することで初めて別の目線を持つことができるのだろう。
ブリュノが迎え入れる子供たちもマリクが目を掛ける子供たちも「社会からはじかれた」存在である。本物の介護者と自閉症の若者をキャスティングした今作では、華やかなイメージのあるヴァンサン・カッセルの新たな一面を見ることができた。(MIHOシネマ編集部)
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