映画『ダメージ』の概要:仕事でキャリアを築き、安定した家庭を育んでいた中年男性。しかし、息子の恋人と運命的に出会い、関係を持つことで男の日常は歪み始める。原作はジジョゼフィン・ハートの同名小説。
映画『ダメージ』の作品情報
上映時間:111分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:ルイ・マル
キャスト:ジェレミー・アイアンズ、ジュリエット・ビノシュ、ミランダ・リチャードソン、ルパート・グレイヴス etc
映画『ダメージ』の登場人物(キャスト)
- スティーヴン・フレミング(ジェレミー・アイアンズ)
- 元医師で、イギリスの下院議員として地位を確立している。義父は大物政治家であり、政界に幅を利かせていたが、息子・マーティンの恋人と出会ったことで、不貞に没頭していく。
- アンナ・バートン(ジュリエット・ビノシュ)
- スティーヴンの息子・マーティンの恋人として、フランス大使館のパーティーで挨拶を交わす。外交官の娘で、兄との関係にトラウマを持っている。
- イングリッド・フレミング(ミランダ・リチャードソン)
- スティーヴンの妻。大物政治家の父・エドワードを持ち、スティーヴンの政界入りを支えた存在。息子・マーティンをとても大事に思っているため、アンナに疑念の目を向ける。
- マーティン・フレミング(ルパート・グレイヴス)
- スティーヴンとイングリッドの息子。新聞社で働いていて、政治部の中で最年少ながら副編集長まで昇進している。アンナと交際を始め、結婚を意識していた。
映画『ダメージ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ダメージ』のあらすじ【起】
国下院議員・スティーヴンは社会的地を築き、妻・イングリッドとの関係も良好だった。やんちゃな息子・マーティンがまた新しい恋人を連れてくると知り、スティーヴンは呆れていた。
仕事でフランス大使館主催のパーティーに参加したスティーヴンは、すぐに帰るつもりであった。しかし、マーティンの恋人だという若い女性・アンナに声をかけられ気持ちは変わる。
一目惚れに近い感情を抱いたスティーヴン。アンナも意味深な別れの挨拶をしてきたことで、互いに再会を予期しているようだった。
数日後、マーティンはアンナを自宅に招いた。動揺するスティーヴンだが、アンナは堂々としている。帰宅後、仕事中のスティーヴンにアンナから連絡があった。二人は家族の目を欺きこっそりと会うようになった。
マーティンの昇進が決まり、家族で祝いの席を設けることになった。そこへはアンナも参加する。イングリッドはアンナを尋問するように家族について問いたてた。抑止するマーティンだが、アンナは顔色一つ変えずに父親が外交官だったため世界を渡り歩いたことや、兄が自殺した話まで明かしたのだった。
映画『ダメージ』のあらすじ【承】
スティーヴンとアンナは頻繫に会うようになる。回数を重ねるほど、スティーヴンがアンナを求めるようになってしまった。
アンナはスティーヴンを翻弄するためか、マーティンと宿泊しているホテルを教えた。アンナ一人だと思っていたスティーヴンは予定外の事態に困惑する。アンナはスティーヴンと会ったあともマーティンと何事もなかったように幸せに過ごす。その様子を向かいのホテルから覗いていたスティーヴンは嫉妬に狂ってしまう。
アンナを独占したいと思うようになったスティーヴン。イングリッドとの離婚をほのめかすようになった。しかしアンナにはその気はないようである。考え直すようにスティーヴンを諭すのだった。
気を落としたスティーヴンが朝方に帰宅すると、末娘・サリーがボーイフレンドを連れてきていた。どこか寂しさに追われたスティーヴンは、理由をつけてアンナに会いに行った。
アンナの自宅には幼なじみのピーターという男性が居た。再び嫉妬してしまうスティーヴン。アンナは、兄の強い愛情と束縛に不安を抱くようになったことや、ピーターと交際し始めたことが原因で兄が自殺したことを明かす。スティーヴンは嫉妬心を忘れ、夢中でアンナを抱くのだった。
映画『ダメージ』のあらすじ【転】
スティーヴンの父・エドワードの屋敷で、家族が集まる日もアンナは参加した。エドワードはアンナをとても気に入っていたのだ。しかし、イングリッドはまだアンナを信用できていなかった。
ご機嫌な様子のエドワードはアンナに屋敷内を案内していた。その頃、マーティンは両親へ結婚の報告を済ませる。突然の報告に戸惑うイングリッド。スティーヴンはショックを隠せずにいた。
アンナの母親・エリザベスを招き、両家の食事会を開くことになった。4度の再婚をしているエリザベスはイングリッドとは対照的で相性が合うようには見えなかった。お酒が入ったエリザベスはマーティンが自殺したアンナの兄と瓜二つであると話し出す。
食事会の場では淀んだ空気が流れだす。食事後、スティーヴンはエリザベスをホテルまで送り届けた。食事中にアンナとスティーヴンの関係を見抜いていたエリザベスは、アンナのためにも別れるように諭した。
思い悩んだスティーヴンは部下に当たってしまうようになる。イングリッドとの約束も放り出して、アンナの連絡を待っていた。アンナはスティーヴンの心情を見抜いていたのか、新居の鍵をこっそりとスティーヴンのオフィスに送るのだった。
映画『ダメージ』の結末・ラスト(ネタバレ)
すぐにアンナの新居を訪ねたスティーヴン。アンナは「あなたの顔を見るためにマーティンと結婚した」とスティーヴンの気持ちを掻き立てる。
激しく二人が愛し合っているとき、マーティンが帰宅してしまった。アンナの浮気現場にたちすくむマーティンは、相手が父親であることに気づき顔面蒼白する。後ずさりをしたマーティンは誤って階段から落ちてしまい命を落とした。
マーティンを抱き寄せ泣き続けるスティーヴン。その様子を見たアンナは黙ってその場を去った。
その後スティーヴンは警察の尋問を受ける。帰宅したスティーヴンはイングリッドからも酷く責め立てられた。アンナと関係を持ったのは、欲求を満たすためなのか裸になって問いたてるイングリッド。しかし、スティーヴンは答えられなかった。
すべてを失ったスティーヴンは一人で田舎町に身を寄せた。マーティンが送ってくれたアンナと3人で映った写真を大きく引き伸ばし飾っている。事件後1度だけ空港でアンナを見かけたというスティーヴン。アンナはピーターとその子供を抱き歩いていた。その姿にかつて愛したアンナの雰囲気はなく、「普通」の女であった。
映画『ダメージ』の感想・評価・レビュー
設定から昼ドラ感がにじみ出て興味を持つ人もいるだろう。ましてやキーヴィジュアルが官能的なのである。物語の展開は想像の範疇であった。しかし、スティーヴンとアンナが密かに関係を持つ時間は実に芸術的な印象があった。コンテンポラリーダンスかのようにまぐわう二人。不貞という後ろめたさが熱を高めるのか、とても情熱的な時間が続く。国際的なベストセラー小説が原作だけあり、色あせない一作ではある。(MIHOシネマ編集部)
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