映画『ぼくの伯父さんの休暇』の概要:フランスの喜劇俳優ジャック・タチ主演・監督のコメディ映画。ユロ氏はバカンスを満喫するため、海辺の避暑地にやって来た。とぼけた仕草でホテル客にちょっかいを出しながら、毎日のように小さな騒動を巻き起こす。
映画『ぼくの伯父さんの休暇』の作品情報
上映時間:87分
ジャンル:コメディ
監督:ジャック・タチ
キャスト:ジャック・タチ、ナタリー・パスコー、アンドレ・デュボワ、ヴァランティーヌ・カマクス etc
映画『ぼくの伯父さんの休暇』の登場人物(キャスト)
- ユロ氏(ジャック・タチ)
- いつもコートとチロル帽を着用し、パイプをくわえてモゴモゴと喋る、のっぽな紳士。とぼけた振る舞いでいつも騒動を起こすが、皆に愛されている。
映画『ぼくの伯父さんの休暇』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ぼくの伯父さんの休暇』のあらすじ【起】
フランス人が待ちに待った夏のバカンスが始まり、海辺の避暑地にはたくさんの宿泊客がやって来た。ユロ氏もポンコツ車でバタバタと音を立てながら、ホテルに到着する。
ユロ氏がホテルのドアを開けっ放しにしたせいで、ロビーに強風が吹き込み、宿泊客たちは水をひっくり返すなどの大騒ぎ。そんなことなどお構いなしに、ユロ氏はパイプをくわえてモゴモゴと喋りながら、のんびりチェックインを済ませる。
お嬢様のマルティーヌは、テラス付きの部屋に宿泊した。ユロ氏はレストランに入るが満席だったため、出入り口付近の小さなテーブルに、見知らぬ男と相席で座る。
翌朝。宿泊客たちはホテル前の海辺で、のんびり海水浴を楽しんだ。虫眼鏡で日焼け中の男性に悪さをする男の子、ペンキを塗っている途中で波に流される船、海水浴をして体を拭こうとするが、うまく拭けないユロ氏など、あちこちで小さな騒動が起きる。お昼時間になると、宿泊客たちはレストランに戻って食事を楽しんだ。
映画『ぼくの伯父さんの休暇』のあらすじ【承】
写真撮影をしようとした家族連れは、カメラマンがいなくなったため同じポーズで待ち続けた。ユロ氏はマルティーヌの叔母さんの荷物を運ぶ手伝いをしようとして、足を引っ掛けた反動で、ホテルの中を走り回る。
散歩好きな老夫婦は、いつもの散歩に出掛けた。ロビーで客たちが寛いでいると、大音量で音楽が鳴り響く。それはユロ氏が流したもので、客は怒って電源を抜いてしまう。ユロ氏は読書をしている男にちょっかいを出した後、若い女性のリュックを運ぶ手伝いをして、一緒にハイキングに出掛けた。
別の日の朝。海岸では監視員たちが整列して、入念にストレッチ体操をする。ユロ氏は女子更衣室前で背中をかがめている男を、覗き魔だと思って蹴り飛ばすが、勘違いだったため大慌てする。
ユロ氏は折り畳み式のカヌーに乗って沖に出ると、バランスを崩して船体が真ん中に折れてしまう。バタバタと開け閉めする様子が、まるで狂暴なサメの口ように見えたため、海水浴客は慌てて海辺から逃げ出した。
映画『ぼくの伯父さんの休暇』のあらすじ【転】
マルティーヌは地元の青年たちと仲良くなった。ユロ氏はバスに乗れなかった男性を自分の車に乗せてバスを追いかけるが、運転を誤って葬儀中の教会に突っ込んでしまう。パンクの修理をした後、参列者に車を押すのを手伝ってもらい、全員と仲良く握手をした。その夜、ユロ氏は騒々しい音を出しながらホテルに戻って来る。
翌朝、老夫婦は今日も朝から散歩。ユロ氏は朝刊「デイリーテレグラフ」を折って作った帽子を被ると、雑貨屋でラケットを買ってテニスコートへ向かった。彼は意外にもテニスが上手。若者を打ち負かし、元将校の老人と対戦した。ユロ氏はマルティーヌと仲良くなる。
老夫婦は夜も散歩に出掛けた。ユロ氏はロビーの片隅で卓球に夢中になり、寛いでいた宿泊客の邪魔をする。
翌朝も老夫婦は散歩へ。夫は妻から手渡された貝殻を、次々とポイ捨てする。ユロ氏はマルティーヌと乗馬体験へ行くが、馬を興奮させて騒動を起こしてしまい、バツが悪くなって小屋の中に身を隠した。
映画『ぼくの伯父さんの休暇』の結末・ラスト(ネタバレ)
ロビーにはいつものように客が寛ぎ、ラジオからは財務大臣が貯蓄を推奨する演説が流れる。ユロ氏は海賊の衣装を着て、マルティーヌとダンスを踊った。老夫婦は相変わらず散歩に出かける。
翌朝。宿泊客同士でドライブに行くことになった。ユロ氏は車を牽引中に、足をロープに引っ掛けて海に落ちる。ユロ氏に代わって、元将校の老人がドライブの先導をした。宿泊客たちは草原に到着してランチを楽しむ。ユロ氏の車は再び故障し、坂道を転がって行く。
宿泊客たちはホテルに戻ると、またしてもレコードが大音量で流れ出した。ユロ氏の仕業だと思われたが、悪戯したのは男の子だった。その夜、ユロ氏は戻らず、料理長も心配する。
ユロ氏は岬の小屋で一夜を過ごそうとしたが、うっかり花火に引火して次々と暴発させてしまう。花火はあちこちに向けて打ち上がり、ホテル客が飛び起きるほどの大騒ぎとなった。
翌朝。バカンスが終わり、宿泊客たちはそれぞれお別れする。ユロ氏も荷物を車に載せて、大きな音を立てながら海岸を去るのだった。
映画『ぼくの伯父さんの休暇』の感想・評価・レビュー
フランスの喜劇俳優ジャック・タチが主演・脚本・監督した、ほのぼのコメディ。全編モノクロ。タチが名物キャラクターであるユロ氏を演じ、小さなハプニングを次から次へと巻き起こしていく。何か大きな事件が起きる訳でもなく、クスっと笑顔になる笑いがいっぱいで、心がじわっと温まる。ユロ氏以外も皆ユニークなので、お気に入りのキャラを見つけるのも面白い。ユロ氏が自動車デザイナーとなって騒動を巻き起こす、「トラフィック(1971)」もおススメ。(MIHOシネマ編集部)
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