映画『アーロと少年』の概要:臆病な恐竜アーロと、人だが勇敢な少年。そんな正反対の二人が出会う時、何かが大きく変わり始める。様々な困難を乗り越えた時、二人が出す決断とは。ピクサーがおくる、感動の友情物語。
映画『アーロと少年』の作品情報
上映時間:93分
ジャンル:ヒューマンドラマ、アドベンチャー、アニメ
監督:ピーター・ソーン
キャスト:レイモンド・オチョア、ジャック・ブライト、サム・エリオット、アンナ・パキン etc
映画『アーロと少年』の登場人物(キャスト)
- アーロ(レイモンド・オチョア)
- 恐竜にてしては小柄で、臆病な性格をしている。スポットと出会った事で、少しずつ変化が見られていく。
- スポット(ジャック・ブライト)
- 人間の少年。アーロと旅を共にする事になる。勇敢な性格。
- カミナリドカン(スティーブ・ザーン)
- 翼竜。凶暴な性格をしており、スポットを食べようとする。
映画『アーロと少年』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アーロと少年』のあらすじ【起】
我々の住む地球では、惑星の衝突により恐竜はすでに絶滅しています。しかし、もしその惑星が地球を逸れていたとしたら。絶滅という道を辿らなかった恐竜達は今もこの地球に生き続け、畑を耕し家畜を飼うという、まるで人間のような生活を送っていました。
アーロの家族もその一つです。アーロは、とある夫婦の間に3人兄弟の末っ子として生まれました。しかし立派な身体をした兄と姉に比べ、アーロは小さく、恐竜とは思えないほどの小心者だったのです。
兄弟にからかわれ自信をなくしていたアーロに対して、ある日父親がアーロに自信をつけさせようと、彼に大事な仕事を託しました。それは、家の備蓄庫を荒らす犯人を捕まえ殺すというものでした。アーロは罠を仕掛け見張りますが、何とその罠にかかった犯人は人間の子供でした。アーロは父親の言いつけ通りその子供を殺そうとしますが出来ず、結局その人間を取り逃がしてしまいました。その事を知った父親は怒り、アーロを連れてその少年の後を追う事にしました。
映画『アーロと少年』のあらすじ【承】
しかしその途中、山には嵐が迫って来ていました。その嵐の為に増水した川の水が、津波となってアーロ達に襲いかかります。アーロは父親に守られますが、父親は津波に飲み込まれ命を落としてしまいました。それからのアーロは父の代わりになろうと奮闘しますが、そんな彼の前に例の少年が現れたのです。
父の死はこの少年のせいだと思っているアーロは、少年を殺すべく少年の後を追います。しかし、その途中足を滑らせて川に落ちてしまったのでした。意識を失ったアーロが次に目を覚ましたのは、自分の家から遠く離れた場所でした。アーロは、以前父が言っていた、川に沿って歩けば家に帰れるという言葉を頼りに進み始めます。
そんなアーロに、例の少年もなぜかついて来ます。最初はいがみ合う二人でしたが、様々な困難を乗り越え一緒に旅を続けているうちに、少しずつ打ち解けて行きました。アーロは彼をスポットと名付け、恐竜と人間である彼らの間には友情が芽生え始めていました。そしてアーロは、スポットも家族を失ったということを知ります。
映画『アーロと少年』のあらすじ【転】
順調にアーロの住処、ギザギザ山に向かっていたアーロとスポットですが、そんな彼らに嵐の猛威が襲いかかります。嵐がやんでみると、二人は再び知らない場所へと飛ばされてしまっていました。困り果てた二人の頭上を、複数の翼竜達が飛び回っていました。アーロは彼らにギザギザ山への道筋を聞こうと彼らに声をかけます。
翼竜達は、この嵐に巻き込まれて身動きの取れなくなった森の動物達を助けているといい、アーロにその手伝いを頼みました。アーロは快く承諾し、1匹の小動物を助けてあげます。すると何と、その動物を翼竜達が食べてしまったのです。翼竜達は自分達の餌を確保する為、アーロを利用したのです。
そして最悪な事に、翼竜達は近くから人間の匂いがすると気付き、スポットを探し始めます。スポットを食べられるわけにはいかないと、アーロはスポットを背中に乗せ一心不乱に逃げ回りました。窮地に陥ったスポットとアーロでしたが、偶然鉢合わせた心優しいティラノサウルスの家族が彼らを助けてくれたことで九死に一生を得ます。
映画『アーロと少年』の結末・ラスト(ネタバレ)
ティラノサウルス一家は、アーロとスポットをギザギザ山の見える場所まで連れて来ました。ようやく目的地がわかり安心する二人でしたが、まだスポットを諦めていなかった翼竜達が何とスポットを連れ去ってしまったのです。
アーロは本来、非常に臆病な恐竜です。しかし大事な友人であるスポットを助けるべく勇気を振り絞り、翼竜達に立ち向かって行きました。そして見事、翼竜を倒して見せたのです。再び旅を始めた二人でしたが、そんな彼らの前に人間の家族が姿を表しました。スポットの家族ではありませんが、彼らはスポットに向かって手を差し出します。アーロはその姿を見て、スポットは人間と生活をした方が幸せだ、とスポットに別れを告げました。最初は拒否するスポットでしたが、アーロの気持ちを汲み、最後にハグをして彼らは別れました。
そして、それからの旅はアーロ一人です。しかし、遭難する前のアーロと今のアーロはまるで別人です。様々な苦難を乗り越え力強く成長したアーロは、胸を張って家の門を潜ったのでした。
映画『アーロと少年』の感想・評価・レビュー
もし、恐竜が現代で生きていたらという、たらればの世界観と、恐竜と人間との友情を描いた作品である。パッケージを見る限りは、トイストーリーなどといった子供目線の友情物語かと思いきや、父親の死や、消極的な自分への葛藤、旅を通した心の成長など、全体的にとても考えさせられる作品となっている。エンディングも単純なハッピーエンドではなく、アーロやスポットのこれからの生き方への希望が垣間見えるようなものになっており、幅広い世代が楽しめる映画だと感じた。(男性 30代)
恐竜が作物や家畜を育てながら、まるで人間のように生活している、今までにない恐竜映画です。
見る前は「恐竜が主役だし、子ども向けの映画かな。」と、軽い気持ちで見たのですが、いい意味で裏切られました。序盤の頼りないアーロと家族との葛藤や、父親の死、スポットとの出会いを通して成長する姿、どこか共感できる悩みを持ったアーロの姿を、いつの間にか応援しながら夢中に見ていました。
ハラハラする展開が多い中で、アーロとスポットの友情の芽生えるシーンや、蛍のシーンなど、感動する場面も多く、大人の方にもぜひ見ていただきたい作品です。
自分も頑張ろうと思える、そんな元気をくれる映画です!(女性 30代)
ピクサーが制作した2015年の長編アニメーション。小柄で臆病者である恐竜と幼い人間の少年が出会い、共に友情を育みながら家路への旅をするというストーリー。この作品は子供だけではなく大人が見ても楽しめるが、実に奥が深い。そもそもピクサー制作のアニメは単純明快なテーマでありながら、感情や心理を繊細に描くことで人気を博している。今作もまた家族との絆、種族を越えた強い友情、共に旅をすることで主人公が成長を遂げるという心を打つ良作である。(女性 40代)
「言葉を超えた友情」ストーリーは至ってオーソドックス。弱虫な恐竜アーロが少年スポットと家路を目指す旅の中で、少しずつ成長し、絆を深めていきます。
さすがピクサーと言うべき作品。水や光、自然を表現した素晴らしい映像に心奪われました。ストーリーも真面目で心にくるものがあります。
ハラハラドキドキするシーンもあり、思わず「頑張れ!」と声をかけてしまうくらい、感情移入する場面も。ラストも素晴らしかったです。(女性 30代)
絶滅するはずだった恐竜が生き残って、知性を持つようになるという面白い設定で引き込まれる。設定は秀逸だが、肝心の主人公が緑色一色の恐竜で少し地味な印象を受けるのが玉にきず。
ストーリーは冒頭から、父親との死別というディズニーの子供向けCGアニメにしては重い展開が待ち受ける。同じディズニー作品である『ライオン・キング』と同じ物語構造だが、この作品は世の中を渡っていく厳しさを少し多めに描写していた。
とにかく風景が美しく、ピクサーの素晴らしい映像表現を楽しむこともできる。(男性 30代)
みんなの感想・レビュー
ピクサーの映画は凄い。
小さな子供を映像で夢中にし、大人をストーリーで夢中にする。
年齢層を問わず人気になるという本当の意味を教えてくれる作品が多い。
本作品は映像の綺麗さに力を入れたのだろう。
スポットとアーロが蛍に感激するシーンは印象深い。
今までのピクサーとはひと味違う、見た目のビジュアルの壮大さに力を入れた感がひしひしと伝わってくる。
それとは反対に物語の内容は現実的で、人のリアルな感情の動きを描いている。
幻想的なファンタジーかと思いきや、シビアで現実社会の厳しさを教えてくれるような作品である。
CMなどで目にする本作品の宣伝は、少年と恐竜アーロの友情である。
もちろんそれに間違いはないが、思っている以上に恐竜映画であることは想像しておいた方が良い。
頭から最後まで恐竜に妨害されながら、恐竜に助けられ、恐竜に襲われる。
まさにディズニー映画のダイナソーピクサー版といった感じである。
この映画は子供向けをウリにしているが、実際には大人が楽しむように作られている。
まず冒頭でいきなりパパが川に流されて死んでしまうことだ。
小さい子供にはまだこの意味はわからないだろう。
そしてパパが死んだのはスポットのせいだと思っていること。
人のせいにすることは弱いことだということを全編においてアーロは感じている。
だが行き場の無い気持ちをつい人のせいにしてしまうのだ。
しかし、旅をしていく上で強くなり、その思いは払拭していくのだがこの「パパが死んだ」という気持ちがこの物語の要である。
子供が見るよりも大人が見た方が親子の関係性をよりリアルに見ることができるため、じーんと来る。
そして人のせいにしないとやりきれない思い、それに対する弱さへの葛藤が痛いほど伝わってくるのだ。
ファンタジーではない、実は現実社会の厳しさを表現している。
本作品の見所はピクサーが力を入れた背景の臨場感である。
恐竜の物語であるだけに、川やサバンナ、森に至るまでスケール感を出さなければならない。
それを見事にやってのけている。
特に最後のシーンで、川の真ん中に取り残されているスポットを助けに行くアーロが水に飛び込むシーンはリアルすぎて目を見張った。
水の粒や重い感じが細部に渡り表現されていて、滝壺に落ちてしまう恐怖感を感じることも出来た。