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映画『あの夏、いちばん静かな海。』あらすじネタバレ結末と感想

この記事では、映画『あの夏、いちばん静かな海。』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『あの夏、いちばん静かな海。』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『あの夏、いちばん静かな海。』の結末までのストーリー
  • 『あの夏、いちばん静かな海。』を見た感想・レビュー
  • 『あの夏、いちばん静かな海。』を見た人におすすめの映画5選

映画『あの夏、いちばん静かな海。』 作品情報

あの夏、いちばん静かな海

  • 製作年:1991年
  • 上映時間:101分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:北野武
  • キャスト:真木蔵人、大島弘子、河原さぶ、藤原稔三 etc

映画『あの夏、いちばん静かな海。』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

映画『あの夏、いちばん静かな海。』 あらすじネタバレ(起承転結)

映画『あの夏、いちばん静かな海。』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『あの夏、いちばん静かな海。』 あらすじ【起・承】

茂(真木蔵人)はゴミ収集車の清掃員として働いている。
ある日茂は仕事で言ったゴミ箱にサーフボードが捨てられていることに気がつく。
それは先端が欠けてはいたのだが、直せそうだと判断し持ち帰る。
そして恋人の貴子と海に行きサーフィンのまねごとをしてみた。
しかし当然初心者の茂るには出来るはずも無い。

練習を続けるうち、結局修正した先端も壊れ使い物にならない。
しかしサーフィンにはまった茂は新品でも中古でも良いから欲しくなり、貴子と見に行く。
サーフボードは思ったより高く、新品は12万以上、中古でも8万円はした。
手持ちも無く諦めた二人。
だが諦めず給料日に12万円を持ってあのサーフボードを買いに行った。

それ以来、休みになると海で練習をした。
ある寒い日、その日も同じように練習に来た茂にボードを買ったオーナーが中古のウェットスーツをくれた。
そして千葉でサーフィンの大会があることを教えてくれる。

映画『あの夏、いちばん静かな海。』 結末・ラスト(ネタバレ)

大会に出てみよう思い二人は千葉に向かう。
しかし車は無いため、途中で軽トラックに乗せてもらった。
だが軽トラは3人乗りが違反。
この運転手は捕まってしまった。

大会についても呼び出しの放送が聞こえなかった茂は失格となる。
オーナーの中島が後から来てくれたおかげで車で送ってもらう。

茂はサーフィンの魅力にとりつかれた。
中島はそんな茂に技術を教えてくれ、日に日に上手になっていった。
しかしのめり込みすぎて会社に行かなくなってしまう。
そんな茂を心配した貴子は会いに来て涙を流した。
そして会社の先輩もやってきて、会社に戻るよう怒ったのだ。
ウェットスーツで良いからと、そのまま仕事をさせた先輩の有り難みを感じた茂はその日からきちんと仕事もすることにする。

二度目のサーフィンの大会の日。
貴子も来てくれた。
中島もコーチとして同行してくれ、茂は努力の結果6位入賞した。
会社の先輩も一緒に喜んでくれて茂は最高だった。

その後も茂は海に行きサーフィンの練習を積む。
そんな茂を楽しそうにみつめる貴子だった。
しかし雨の日、いつものように練習に行った茂を追った貴子はサーフボードだけ砂浜に打ち上げられていることに気がついた。
茂はいない。

貴子はサーフィン大会で入賞した写真とボードを持って、以前いった大会の場所まで行った。
そこで海にボード共に流すのだった。

映画『あの夏、いちばん静かな海。』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『あの夏、いちばん静かな海。』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

会話の無い恋人達

この作品の主人公とヒロインは聾唖である。
しかし北野監督はこの二人のやりとりを言葉無しで見事に表現している。
また、聾唖であることを何の違和感も無く見せてくれるのはさすがで、監督自身が障害に対して差別的で無い事が見受けられるのも非常に気持ちが良い。

これに対して北野監督が「台詞作るのが面倒だから聾唖にした」という表現があったが、実際には差別的発言では無く奥行きのある演技を撮影したかったからなのでは?と勝手に良くとってしまう。

監督は特別扱いもせず、同情もせず。
ただ淡々とこの二人の人生の楽しみを描いている。

ボード販売店のオーナーが人間味溢れている

この色々二人にしてくれるオーナーは、実は最初ボードを買うときに他店よりも高く販売してしまったことに罪悪感をもっている。
だからこそウェットスーツをくれたり、大会を教えてくれたりする。
親切であり、聾唖の人への偏見を持った自分を恥じたのか。
いずれにしろこの作品の中で一番人間くさい人間が彼であることは一目瞭然だ。

ラストシーンの悲哀

まさか最後で茂が死ぬとは思わなかった。
北野映画はやっぱり最後に誰か殺すのだなという印象が強い。
確かに単純にサーフィンが上手くなるサクセスストーリーだと彼らしさも無く、そんな映画ならなにも北野監督のもので見る必要も無い。

その手のジャンルならハリウッドの映画を見ればきっちり爽やかに爽快な気分にさせてくれるに違いない。
人間の悲哀を描いた人間ドラマ。
まさにそんな見解がぴったりの作品である。


ろうあ者同士のカップルとサーフィンというのは正直、結びつきませんでしたがこの作品を見ると、私が勝手に障害に対して偏見を持っていたのだと気付かされました。たまたま始めたサーフィンにどんどん魅了されていく茂の姿はとても生き生きしていて、本当にサーフィンが好きなのだなと微笑ましく見ていました。そんな彼を見守る貴子の表情がすごく柔らかかったのも印象的です。
北野武と言うとヤクザ映画の印象が強かったので、こんなにも優しくて暖かくて悲しい作品も作るのだと驚いてしまいました。(女性 30代)


本作は、ある聴覚障害を持つ若いカップルが海でサーフィンの練習を重ね、最後には海へ消えていく姿を描いた北野武監督によるヒューマンドラマ作品。
北野武監督の作品はヤクザ映画のイメージが強かったので、この作品は障がいを持つカップルがサーフィンの練習に励む静かで爽やかな雰囲気で意外性があった。
北野ブルーの美しさも印象的だった。
そして、海でのラストシーンは、それまでの静けさを一気に打ち破るような展開で切なさと優しさの残る終わり方で穏やかな気持ちになれた。(女性 20代)


耳が聞こえない青年・茂がサーフィンに魅せられ、無言のままひたむきに海へ挑む姿が胸を打ちました。台詞が少ない分、彼の背中や表情から伝わる情熱が強烈で、観る側も自然と心を寄せてしまいます。恋人の貴子が静かに寄り添い、彼を支える姿も美しく、二人の絆に胸が熱くなりました。最後の喪失と残された静かな余韻は涙を誘い、北野武監督の独特な切なさが滲み出ていました。(20代 男性)


茂と貴子の愛は、言葉を超えた存在そのもののように感じられました。二人が交わす視線や仕草から生まれる温かさが、この映画の最大の魅力です。茂がサーフィンを通じて自由を得ようとする姿は、障害を超えた人間の強さを象徴していました。しかし、唐突に訪れる死がその夢を断ち切り、観る側も呆然とさせられます。悲しい結末ですが、その静けさが逆に愛を強く刻みつけました。(30代 女性)


映画全体に漂う「静けさ」が心に残りました。台詞の少なさや音楽の使い方が、むしろ登場人物たちの感情を鮮明に浮かび上がらせています。茂がサーフィンに打ち込み、貴子が無言で支え続ける姿は、純粋で清らかな愛の形を見せてくれました。結末で茂を失った貴子の表情が何よりも切なく、その後も海に寄り添い続ける姿に涙が止まりませんでした。(40代 男性)


茂と貴子の関係は、恋人というより人生を共に歩む伴侶のように見えました。音のない世界で繋がる二人が、夢に向かって進む過程は淡々としていながら力強いものがあります。海を前に立つ茂の背中には「生きる意味」を問いかけられているようでした。最後にその背中が永遠に失われたことは残酷ですが、彼の情熱と貴子の愛は確かに輝き続けていると感じました。(50代 女性)


北野武監督の演出が冴えわたり、余計な説明を排した映像で「生きること」と「愛すること」を語っていました。サーフィンに魅せられた茂の姿は、障害を抱えながらも自由を渇望する人間の象徴のようです。貴子が常に隣にいることで、二人の物語はより美しくも切ないものになりました。ラストの静寂は衝撃的であり、観終わった後もしばらく心に残り続けました。(20代 女性)


台詞が少ないからこそ、映像の力が際立っていました。波の音、風景、そして登場人物の無言の表情がすべて物語を語っているようで、とても詩的な映画でした。茂と貴子が共有する時間の尊さは、日常にある小さな幸福の積み重ねであると気づかされます。結末はあまりにも哀しいですが、その静けさが逆に観客の心を深く揺さぶるのだと思いました。(30代 男性)


この映画は「愛とは言葉ではなく行為で示されるもの」というテーマを強く感じました。茂がサーフィンに向き合う姿、貴子が彼を黙って支える姿、それだけで十分に二人の深い愛情が伝わります。だからこそ、茂が事故で帰らぬ人となった時、貴子の喪失感は計り知れません。にもかかわらず彼女が静かに海を見つめ続ける姿に、人間の強さと優しさを見ました。(40代 女性)


観終わった後に静かな余韻が残る映画でした。障害を抱えながらも夢を追う茂の姿に励まされ、彼を支える貴子の優しさに心が温まりました。だからこそ、突然の悲劇はあまりにも残酷で、しばらく立ち直れませんでした。しかし、ラストで貴子が海に立ち続ける姿は、二人の愛が決して消えないことを示しているように感じ、胸が締め付けられました。(50代 男性)

映画『あの夏、いちばん静かな海。』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『あの夏、いちばん静かな海。』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

菊次郎の夏

この映画を一言で表すと?

ひと夏の出会いが生む、不器用で温かい絆の物語。

どんな話?

母を探しに出かけた少年と、成り行きで旅に同行する中年男・菊次郎の奇妙な道行きを描くロードムービー。ぶっきらぼうで頼りない男と無垢な少年が、旅を通じて互いに心を通わせていく姿がコミカルかつ感動的に描かれます。

ここがおすすめ!

北野武監督らしいユーモアと優しさが詰まった一作です。映像の美しさと久石譲の音楽が相まって、どこか切なくも温かい余韻を残します。『あの夏、いちばん静かな海。』の静謐な感性が響いた人にぴったりの映画です。

ソナチネ

この映画を一言で表すと?

暴力の果てにある、儚く静かな時間を描いた物語。

どんな話?

抗争に巻き込まれたヤクザが、仲間とともに沖縄に逃れ、つかの間の穏やかな日々を過ごす物語。しかし平和は長く続かず、再び訪れる暴力の連鎖の中で男たちは運命に抗えず破滅へと進んでいきます。

ここがおすすめ!

激しい暴力と、波打ち際での遊びのような無垢な時間の対比が強烈な余韻を生みます。『あの夏、いちばん静かな海。』同様、沈黙や余白で語る北野映画の美学を堪能できる一作です。

パーフェクト・ワールド

この映画を一言で表すと?

孤独なふたりが旅の中で心を通わせる切ないドラマ。

どんな話?

脱獄した男と、彼に人質に取られた少年の奇妙な逃避行を描く物語。最初は不安と恐怖で始まった関係が、旅を通して互いに深い信頼へと変わっていきます。しかし、自由の代償として悲しい結末が待っています。

ここがおすすめ!

クリント・イーストウッド監督の人間ドラマとして秀逸で、切なさと温かさが共存しています。静かな余韻と深い感情を残す作品で、『あの夏、いちばん静かな海。』の純粋な心の交流に心動かされた人に強くおすすめです。

ライフ・イズ・ビューティフル

この映画を一言で表すと?

絶望の中で生きる希望と愛を描いた感動の名作。

どんな話?

第二次世界大戦下、収容所に送られた父と息子。父は息子を守るため、収容所での辛い現実を「ゲーム」と偽り、明るく振る舞い続けます。困難の中でも愛と希望を捨てない親子の姿が描かれます。

ここがおすすめ!

深い悲しみの中にユーモアと温もりが溢れ、観る者に「愛の強さ」を痛烈に伝えます。『あの夏、いちばん静かな海。』のように、静かで切実な人間の強さに感動した方には必ず響く作品です。

海よりもまだ深く

この映画を一言で表すと?

日常の中に潜む愛と未練を描いた静かな家族ドラマ。

どんな話?

かつての夢を叶えられず、今は探偵業で食いつなぐ中年男。元妻や母親と過ごす一夜を通じて、自分の人生と向き合い、家族との関係を見つめ直していきます。

ここがおすすめ!

是枝裕和監督らしい静かでリアルな人間描写が魅力。大きな事件はないのに心に沁み入る余韻を残します。『あの夏、いちばん静かな海。』の静謐な語り口が好きな人におすすめの現代日本映画です。

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この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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ヒューマンドラマ映画

みんなの感想・レビュー

  1. ゆうすけ より:

    立て続けに失礼します。
    しかしながら明確な茂の死の描写がない以上、死んだわけではなく、単に茂はサーフィンに興味がなくなった、ごみ収集の仕事が嫌になって辞めた、恋人と別れたくなったので今はどこか他の海でサーフィンをしている、貴子は思い出が忘れられず、今でも海へ通っている、という解釈もできます。

  2. ゆうすけ より:

    聴覚障害者なので当然なのですが、主人公二人に会話がないのが、この映画の良いところですよね。
    ラストでごみ収集車のおじさんが、別の男性とコンビを組んでいるところに、茂が死んでしまった事を示唆していて、良い演出です。(おじさんも元気がない)
    茂の最後の波乗りの日に雨が降っていたのも、事故死の示唆をしていますね。