ウディ・アレン監督脚本による人間ドラマ。性格の違う兄弟が金のために叔父からの殺しの依頼を請け負ったことで、人生が狂っていく様を描く。ユアン・マクレガーとコリン・ファレルが兄弟を演じる。
映画『ウディ・アレンの夢と犯罪』 作品情報
- 製作年:2007年
- 上映時間:108分
- ジャンル:ドキュメンタリー、サスペンス
- 監督:ウッディ・アレン
- キャスト:ユアン・マクレガー、コリン・ファレル、ヘイリー・アトウェル、サリー・ホーキンス、トム・ウィルキンソン etc…
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映画『ウディ・アレンの夢と犯罪』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『ウディ・アレンの夢と犯罪』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ウディ・アレンの夢と犯罪』のあらすじを紹介します。
ロンドンで父が経営するレストランで働くイアン(ユアン・マクレガー)は今の仕事に満足しておらず、いつか元手をためて投資家になることを夢見ていた。一方イアンの弟テリー(コリン・ファレル)は自動車の修理工場で働いていた。ギャンブル好きで決して裕福ではないが、恋人とマイホームに住むのが夢という庶民的な一面を持っていた。性格は違えど仲の良い2人は共同で小型クルーザーを購入し、それなりに楽しい生活を送っていた。
そんな2人に転機が訪れる。ある日イアンは道でエンストを起こして立ち往生していた女優の卵アンジェラを助け親密になる。彼女の気を引くために金持ちのフリをしたイアンは、本格的に投資家となるために大金が必要になった。一方テリーも高レートのポーカーに手を出して大きな借金を背負ってしまう。共に金に困った兄弟が頼ったのは、金持ちの叔父ハワードだった。しかしハワードは金を出す代わりに2人に条件を出す。それは彼の悪事を暴こうとする男マーティンの殺害だった。気の弱いテリーの背中をイアンが押す形で殺害の計画を立てる2人。そしてついに夜道でマーティンの殺害に成功するのだった。金を手にしてついに夢に手を伸ばしたイアンだが、テリーは罪の意識にさいなまれ自首することをイアンに告げる。自分の罪の発覚を恐れたイアンはテリーをクルーザーの上で殺害することを決意する。しかし口論の末揉み合いになりイアンは事故死する。そして残されたテリーも自害を選ぶのだった。
映画『ウディ・アレンの夢と犯罪』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ウディ・アレンの夢と犯罪』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
『太陽がいっぱい』か『罪と罰』か
恐らくウディ・アレンも意識していると思うのだが、本作はルネ・クレマン監督の『太陽がいっぱい』を彷彿させる物語だ。小型クルーザーという小道具は勿論、金の為なら殺人を犯しても心が痛まないという、欲望にまみれたイアンのキャラクターは『太陽がいっぱい』のアラン・ドロンに似ている。しかし本作の天候は太陽がいっぱいどころか船の上では常に曇天な辺り、もう1人の主人公テリーを象徴するかのようだ。彼はどちらかと言えば『罪と罰』的なキャラクターだ。犯した罪がいつまでも良心を傷つけ続けてしまう。罪に対して正反対の意識を持つ兄弟をもってして、罪に手を染めてしまうことによる悲劇を展開しているのだ。
根強い階級制度
イアンの原動力は労働者階級からの脱出だ。父親の経営するレストランは大した利益をあげられていないし、弟は自動車の修理士だ。テリーは現状に満足しているが、イアンはそうではない。だから彼は必死に金持ちのフリをするし、本物になるためなら殺人も厭わない。だが彼は根本的な勘違いをしており、金があるだけでは労働者階級からは抜け出せないのだ。それはアンジェラの芸術論に全くついて行けない所で顕著に現れる。ホテルに出資するだけの金があっても、結局知性の面で階級からは抜け出せない。イギリスにおける階級制度の根強さを描いている。また結局この物語で一番得をしたのが、悪徳資本家の叔父だという点も皮肉が効いている。
ウディ・アレンらしくないというか、明るくないシリアスな雰囲気のウディ・アレン作品を初めて見ました。ユアン・マクレガーとコリン・ファレルという好きな俳優の二人が揃っているのでストーリーは関係なく楽しみにしていたのですが、今作はストーリーも素晴らしかったです。
個人的にウディ・アレン作品があまり得意では無いのですが、今作は性格の違う兄弟が何に幸せを感じ、何に罪を感じるのか対照的に描かれているのでとても見やすく、良い意味でウディ・アレンらしさが薄かった気がします。
ウディ・アレンの作品が得意ではない人にもぜひ見てほしいです。(女性 30代)
映画『ウディ・アレンの夢と犯罪』 まとめ
『マッチ・ポイント』『タロットカード殺人事件』に続く「ロンドン3部作」のひとつ。コメディーや人情に溢れた作品を数多く世に送り出したウディ・アレンだが、今作はシリアスな作風で勝負している。だが犯罪に巻き込まれ転落していく2人の兄弟の様は、悲しくもあるがどこか滑稽だ。やはり悲劇と喜劇は裏表だと言うことなのだろう。ウディ・アレンの手腕は今作のような悲劇でも遺憾なく発揮されている。主役のユアン・マクレガーとコリン・ファレルも良い。インテリっぽい兄と粗野な弟という、見た目から対象的な2人をうまく演じている。ちなみに本作のレンタル版は『カサンドラズ・ドリーム 夢と犯罪』とタイトルが若干異なっているので注意が必要。
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