映画『ブロウ』の概要:70年代、アメリカへ大量のコカインを密輸した実在の人物ジョージ・ユングの半生を描いたアメリカ映画。2001年公開。主人公の約30年間をジョニー・デップが変幻自在に演じている。
映画『ブロウ』 作品情報
- 製作年:2001年
- 上映時間:124分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、フィルムノワール
- 監督:テッド・デミ
- キャスト:ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ジョルディ・モリャ、フランカ・ポテンテ etc
映画『ブロウ』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『ブロウ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ブロウ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ブロウ』 あらすじ【起・承】
マサチューセッツ州出身のジョージ・ユングは、小さな会社を経営する父と金に執着心の強い母のもとで育つ。父は勤勉に働いたが母はいつも金への不満を漏らし、父を責めていた。ジョージはそんな実家を嫌うようになる。
1968年、大人になったジョージ(ジョニー・デップ)は家を出て幼馴染のトゥナとカリフォルニアで暮らし始める。トゥナは大麻の売人をして儲けようと言い出す。ジョージの彼女バーバラは元締めのデレックを紹介してくれ、2人は売人として大麻を売りさばくようになる。
そんな2人を旧友のドゥーリが訪ねてくる。一服やった彼は、この大麻を東部の大学で売りさばけば大儲けできると言う。ジョージはスチュワーデスであるバーバラに運び屋をさせ、デレックをパートナーに東部で大量の大麻をさばき始める。
計画は成功し、東部で上物の大麻は面白いほどの高値で売れる。しかし、ジョージはこれに満足せず、直接産地から密輸しようと言い出す。
メキシコへ飛んだジョージは大麻栽培農家と交渉し、売買の約束を取り付ける。小型飛行機を盗み、大麻の密輸入に成功したジョージは大儲けする。アカプルコに大豪邸を購入し、仲間たちと満ち足りた日々を送る。
バーバラと結婚しようと思っていた矢先、ジョージは300キロの大麻所持容疑で逮捕され、2年の実刑を言い渡される。しかも、バーバラはガンに侵されていた。
仮釈放中に逃亡しバーバラの看病をするが、結局彼女は亡くなってしまい仲間もバラバラになる。葬儀の後、ジョージは久しぶりに実家へ帰る。しかし母はお尋ね者の息子を嫌い、警察へ通報。ジョージは再び逮捕される。
映画『ブロウ』 結末・ラスト(ネタバレ)
収監された刑務所はまるで犯罪スクールで、ジョージは同部屋になったディエゴからコカインの密売に誘われる。仮釈放後、ディエゴとコロンビアで会い、本格的にコカインの運び屋を始める。
ある日、ディエゴの代役でジョージは50キロのコカインをコロンビアマフィアから受け取る。同じ頃、ディエゴはコロンビアで逮捕されてしまい身動きが取れなくなっていた。ジョージはそのコカインをデレックにさばいてもらい、マフィアに気に入られる。そしてコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルを紹介される。
エスコバルの信用を得て、コロンビアから大量のコカインをアメリカへ密輸し始めたジョージとディエゴは巨額の金を手にし、3000万ドルをパナマの銀行に預ける。
そんな中、ジョージはディエゴの結婚式で出会ったマーサ(ペネロペ・クルス)と恋に落ちる。マーサには婚約者がいたが、2人は強引に結婚し贅沢三昧に暮らし始める。
ところが、徐々にディエゴとの関係がこじれ始め、ディエゴはジョージのお抱え売人であるデレックを横取りし、ジョージを裏切った上、さらに半殺しの目に合わせる。
ジョージはこれを機に足を洗い、生まれてきた娘のため、まともに暮らしていこうとする。5年は平穏な日々が続いたが、享楽的なマーサはこの生活に馴染めない。彼女がジョージの誕生日に自宅で派手なコカインパーティーを開いたことで、ジョージはまた逮捕される。
巨額の保釈金を積んで仮釈放されたジョージは、家族と国外へ逃亡しようとする。しかし、頼みの綱の3000万ドルはパナマ政府に没収されており破産してしまう。マーサはヒステリックになり、彼女のせいで再びジョージは逮捕される。
マーサは娘を連れ彼のもとを去ってしまう。ジョージにとって娘の存在だけが生きる支えであり、それは耐え難いことだった。
出所後、ジョージは娘とカリフォルニアで暮らす約束をし、金のためにまた密売の仕事をする。しかし昔の仲間は警察と取引しており、結局ジョージは逮捕される。
時は過ぎ、廃人のようになったジョージは、今も刑務所で娘の面会を待ち続けている。
映画『ブロウ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ブロウ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ジョージはタフガイ
ジョージは5回逮捕されている。とにかく懲りない男だ。最後に逮捕された時は52歳。本作の終わりに“2015年までの服役刑である”というテロップが出る。調べてみたらその後元気に出所しており、プロの小説家と共同執筆で「ブロウ」の続編まで書いたというのだからたくましい。現在74歳。いまだに長髪。この人、多分全く反省してない…。
そもそもクスリのディーラーなんていうのは人を破滅へ導く悪魔の商人であり、そんな奴が善人面していい父親ぶるなと言いたい。本気で娘の幸せを願うなら、彼女の前から消えてやれ!娘が面会に来ていないことで、むしろホッとしたわ!
しかし、ジョージはあのまま老いさらばえて孤独に獄死したりせず復活しているわけで…一体続編で何を書いたのか…。この映画を見た娘が面会に来たなんて展開は嫌だけど、ちょっと気になるジョージのその後。ある意味すごいタフガイ、それがジョージ。
汚くなっていくジョニー・デップ
ジョニー・デップは、20代から50代までのジョージをとてもリアルに見せてくれる。
若い頃、イカしたスーツを着こなしていたジョージが、だんだん年を取り汚いおっさんになっていくのを見るのは非常に面白い。髪型も服装もその時のジョージの状況によって細かく変化しており、変装が得意なジョニー・デップらしく、彼はどんなジョージにもうまく化けている。
だらしない体型になり変な色のダサいジャンパーを着たジョニー・デップと、同じくダサいジャージ姿のペネロペ・クルスが対峙するシーンはかなり見ものだった。あれほどの美男美女を生活臭のプンプンする無残なおっさんとおばさんに仕上げた衣装部のセンスとこだわりはとても好きだ。コントのようですごく笑えた。
映画『ブロウ』 まとめ
人が破滅していく様を見たいという俗物的な好奇心は満たしてくれる作品だ。そういう意味では面白いし、演出も軽めなので誰にでも見やすい映画になっている。
ジョージの父親フレッドは、本作の中で唯一まともな部類の人間だし、その人物像も好きだった。どこかで見た顔だなと思ったらレイ・リオッタではないか。「グッドフェローズ」ではコカインによって破滅していく主人公を演じた彼が、堅実な父親を演じていて感慨深い。ジョニー・デップと8歳しか違わない彼を父親役にキャスティングしたのは、その辺の狙いもあったのではないだろうか。
全体にテッド・デミ監督のセンスは嫌いではなかったので、彼が本作公開の翌年、39歳の若さで急逝したことはとても残念。まだまだこれからだったのに。そしてジョージはしぶとく生きているのに…。
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