映画『NO』の概要:ガエル・ガルシア・ベルナルが主演、チリの1988年の国民投票を背景に信任反対派のキャンペーン活動を描いている。第85回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート。日本では東京映画祭コンペ部門で初上映され、その後2014年公開された。
映画『NO』 作品情報
- 製作年:2012年
- 上映時間:118分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:パブロ・ラライン
- キャスト:ガエル・ガルシア・ベルナル、アルフレド・カストロ、アントニア・セヘルス、ルイス・ニェッコ etc
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映画『NO』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『NO』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『NO』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『NO』 あらすじ【起・承】
1973年軍事クーデターを起こして以来、チリに君臨し15年間にわたり軍事政権を率いてきたピノチェト将軍は、国際世論の高まりを受け国民投票を実施すると発表した。
フリーのCMディレクターのレネは今日も商品のCMのプレゼンに忙しい。
そこへ共産党の議員が訪ねてきた。
レネの妻は、共産党員で議員と繋がりがあったのだ。
例の国民投票の為のPR放送の映像をレネに依頼しにやってきたのだ。
一緒に組んでいたディレクターには、根掘り葉掘り聞かれたが、彼は、「依頼を断った」とだけ伝えた。
政権存続にYESの陣営は、いままでの経済の成功例や各地へ表敬訪問した映像等を組み合わせ、ピノチェトの偉大さを全面に押し出した映像を作成していた。
一方にNO陣営では、独裁政治における被害者等の映像を使い、批判的な映像を作成していた。
NO陣営に意見を求められたレネは、「明るいものや楽しいものでないと人の心は動かない」と意見。
スタッフと話し合い、一から作り直す事を提案。
自分の信頼できるスタッフを集め、映像作りのコンセプトごと作り直していく。
「喜び」や「希望」を訴える映像だ。
レネは「虹」をイメージしたロゴを考え、楽しげなキャンペーンソングを使うべく、曲作りも依頼した。
仕事場では上司に、「NO陣営」の仕事を引き受けたことを伝えた。
上司には、自殺行為だと言われたがレネはやってみる事にした。
早速製作する前に、NO陣営の方々にデモの映像を見てもらったが、反応は良くはなかった。
今までの独裁政治の事が一切語られていない。その点が不満だったのだ。
一人の議員は自分自身親族や親友が殺されたのにこの楽しげな映像では、独裁政治を受け入れた形ではないかと激高し会議室を出ていく。
しかし、NOキャンペーンの映像作りは順調に進んでいく。
ある日、レネの家に深夜嫌がらせがあった。
車や窓にいたずら書き等がされたのだ。他のスタッフも同様だった。
嫌がらせもあったが、キャンペーンに向かって撮影や音楽づくりは順調に進んでいった。
スタッフともめることもあったが、とうとう映像はできあがった。
映画『NO』 結末・ラスト(ネタバレ)
キャンペーン初日だ。YES陣営は固いイメージの映像を流した。
レネたちの作品は、まったく斬新で明るく喜びに溢れた作品となった。
日に日に反響が大きくなる。
それに伴って妨害も激しくなってきた。
テープが放映までに届くかどうかという事態が起こったり、
レネの自宅へは、脅しの電話がかかってきたり。
レネはしょうがなく息子の安全の為、別居中の妻の家へ預けたり、あれこれ対策を練りつつキャンペーンを続けた。
NOキャンペーンの反響は凄まじく、とうとうYES陣営はレネ達の映像と同じようなものでパロディ的な映像を流す。
NO陣営も、ハリウッドの俳優達を参加させたりと、斬新な映像を流し続けた。
そして、とうとう投票当日がやってきた。
TVで開票結果を逐一みるNO陣営のスタッフたち。
途中経過は極めて厳しい感じだ。
事務所では妨害なのか停電が起こったりしたが、TVで流れた情報によるとNO陣営が勝利したらしい。
盛り上がる、スタッフたち。
皆でキャンペーンソングを歌ったりとすごい騒ぎだ。
そっと会場を出てみるレネ。町中がすごい騒ぎとなっている。
息子を抱いて、その中を歩くレネ。
そして朝、いつものように仕事場へ出勤するレネ。
新しい仕事のプレゼンをするレネと上司。
ふと、上司がクライアントにこう彼を紹介する「彼は、NO陣営を勝利に導いた男です」と…。
映画『NO』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『NO』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
アウグスト・ピノチェトを知っていますか?
1973年にクーデターをおこし、1974年にチリの大統領に就任。
その後、独裁政治を行っていたとされる人物です。
劇中でも女性たちが議員の方が、夫や弟を殺されたと発言している場面があります。
政治犯として拷問を受けたり、行方不明になった方々は10万人とも言われています。
その当時の亡命者も、ものすごい数いたそうです。
その独裁政治ゆえに国際世論が騒がしくなり、とうとう国民投票という形へと変わり、
劇中でもハリウッド俳優たちの映像もありますように、国外からの世論が高まっていたわけです。
結果、「このまま大統領を続けるかを国民投票」を1988年に行う事となります。
その為のNO陣営の映像ディレクターの話というのがこの作品なわけです。
また、このキャンペーンが本当に清涼飲料水のような美しい爽やかな映像で、それでいてユーモアに溢れています。
夜の生活に旦那さんが奥さんに「YES?」「NO!」などというおどけた、
結構間抜けな映像だったりするのですが…。
実話を脚色
実話ベースではありますが、キャンペーンとしての部分が実話で、
出てくる人物は、実話の人物をベースに作られたキャラクターとの事。
実は、実際の映像ディレクターは一人ではなく、お二人の人物がこのレネの人物のモデルで、モデルとなった方の作中、カメオ出演されているということでした。
映像が独特。
見ていますと、画像が荒いです。。
それもそのはず、CMやニュース映像など本当のアーカイブ映像を使用している為、それに合わせて画像を荒くしていたというわけです。
SONYのビンテージカメラを使用し、フィルムで撮影。
途中でカメラが壊れたりしたそうです。
もちろん、劇中で使われているNOのキャンペーン映像等は本当に使用されていたもので、現在でもYouTube等でも見ることができます。
映画『NO』 まとめ
私が、ピノチェト将軍の独裁政治を知ったのはスティングの曲からでした。
チリには伝統的なクエッカという踊りを男女ペアで踊るのですが、パートナーが行方不明の為、その踊りを女性一人で踊るというのを抗議の手段としていた女性たちを表現した曲でした。
その時、独裁政治を知ったわけなのですが、
それから後、この映画を東京国際映画祭で幸いにも鑑賞できました。
感想としては、結構な衝撃でした。
上映後、テーチインがありましたので、詳しく聞けてよかったです。
なんと言っても、あのキャンペーンの映像の発想を生み出せるというのがすごいなと。
辛い事があったら、やはりそこを前面に表現してしまいますよね。
でもそうではない悦びに溢れる表現をしていく作品を作ってしまう。
そこを思いつく人たちもすごいけど、そういう発想を出せる人を採用した人もすごい。
ちょっと映像と色合いは荒いけど、国を動かした人々の話っていうのは、
やはり普通のドラマとちがった重さがあって、こういう作品も素敵だなと思いました。
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